東京新聞の二つの記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012051790070319.html、http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012051702000093.html)。それに関連して、My News Japanに出ていた二つの記事(http://www.mynewsjapan.com/reports/1585、http://www.mynewsjapan.com/reports/881)。最後に、東京新聞のコラム「筆洗」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012051702000080.html)。
都知事選前からいろいろ言われていたけれども、同様な状況はこの大手チェーン店だけではないのでしょう。社会的正義とか企業倫理とか、いろいろと考えさせられます。生きるための「生業」であるはずなのに。
非正規労働者の増加、それを加速化させる消費税増税。これで本当に日本は大丈夫なのか?
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012051790070319.html】
残業で不正手続き ワタミ過労死 労使協定 形だけ
2012年5月17日 07時03分
居酒屋チェーンを展開するワタミフードサービス(東京)に入社二カ月後に自殺した森美菜さん=当時(26)=が、長時間労働などを理由に過労死と認定された問題で、同社が労働基準法で定められた労使間の手続きを踏まず、従業員に時間外労働をさせていたことが、会社側への取材で分かった。手続きが形骸化すれば、経営者側の思うままに従業員側に長時間労働を強いることも可能だ。同様の違反はほかの企業でもみられ、専門家は「適正な手続きが担保されないと、過労死を助長しかねない」と警鐘を鳴らす。
この手続きは「時間外労働・休日労働に関する協定(三六(さぶろく)協定)」。厚生労働省労働基準局監督課は、ワタミフードサービスについて「適正なやり方とは言えず、労基法に抵触する」と指摘している。
労基法上、時間外労働は禁じられているが、労使間で三六協定を結べば認められる。三六協定を結ぶには、経営者側は店や工場ごとに労働組合もしくは、従業員の過半数の推薦で選ばれた代表との合意が必要となる。
ワタミフードサービスは毎年、「和民」など全国五百三十のチェーン店(四月一日現在)で三六協定を結んでいる。同社は労働組合が無く、協定を結ぶには、店舗ごとに社員やアルバイトの過半数の推薦を得た代表と合意しなければならない。しかし、実際は違った。
親会社ワタミの法令順守部門を担当する塚田武グループ長は「店長がアルバイトの中から代表を指名し、協定届に署名させている」と、手続きが形骸化していたことを認めた。
同社は全店の協定届に、従業員の代表を「挙手で選出」と明記していたが、塚田氏は「挙手している前提で記載していたが、実態として行っていなかった」と釈明した。
森さんが勤めていた神奈川県内の店では当時、月百二十時間まで時間外労働を認める三六協定が結ばれていた。ワタミは「次回の三六協定の更新時から、適正な手続きに改める」としている。
森さんは二〇〇八年六月に自殺。労災を認めた神奈川労働者災害補償保険審査官によると、月の時間外労働時間は厚労省が過労死との関連が強いとする八十時間を上回り、約百四十時間に及んだ。
(東京新聞)
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012051702000093.html】
労働条件 言うがまま 協定 店長指示でバイトが署名
2012年5月17日 朝刊
あらかじめ時間外労働の上限時間が書き込まれた三六協定届に、店長の指示でアルバイトが署名する-。新入社員森美菜さんが過労自殺したワタミフードサービスでは、違法な手続きで、従業員に時間外労働させていた。会社から一方的に提示された労働条件を、受け入れるしかない従業員。労使対等とは名ばかりの実態が浮き彫りになった。 (中沢誠、皆川剛)
森さんが働いていた「和民京急久里浜駅前店」(神奈川県横須賀市)。この店の三六協定届には、労使協定を結ぶ労働者側の代表は、「挙手による選出」と印字されていた。しかし、男性アルバイトは「協定届を見たことはないし、挙手で代表を選んだこともない」と打ち明ける。
「会社側から三六協定の説明を受けたことはない」。首都圏で店長や副店長を務めた男性(30)も、そう証言する。男性は同意した覚えのない協定届を根拠に、毎月三百時間ほど働いていた。
ある現役店長は「全従業員の意思を確認する時間もない」と明かす。自分の店の時間外労働の上限を知らない店長までいた。
ワタミによると、毎年の協定更新の際、店長が経験の長いアルバイトの中から代表を指名。すでに時間外労働の上限時間が記載された協定届を印刷し、アルバイトが署名をして本社に返送するやり方が常態化していた。
ワタミの辰巳正吉・ビジネスサービスグループ長は「大きな不都合やクレームは起こらなかったので、踏襲してきてしまった」と話している。
<三六協定> 時間外労働を例外的に認めた労働基準法36条の規定から取った通称。同法で定める労働時間は1日8時間、週40時間。この時間を超えて働かせるには、労使合意に基づき書面で上限時間などを定めた協定を結び、労働基準監督署に届け出ることを36条で義務付けている。協定にも月45時間の上限はあるが、上限を超えて働かせられる「特別条項」もあり、労使の力関係で時間外労働は青天井になりうる。
◆労働者の声反映を
労働問題に詳しい鵜飼良昭弁護士の話 三六協定を結ぶ際に、「百二十時間も働けない」という労働者の声が反映される適切な運用ならば、過労死は防げただろう。労使協定は労働時間や賃金控除など、さまざまな労働条件に影響する問題で、組合のない企業でも、労働者が声を上げられる法制度や環境づくりが大切だ。
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【http://www.mynewsjapan.com/reports/1585】
15時間労働で休憩わずか30分! 入社2カ月で過労自殺するワタミ社員のスタンダードな働き方
佐藤裕一 09:19 03/17 2012
入社2カ月後に自殺した居酒屋「和民」の正社員、森美菜さん(当時26歳)の労災認定が報じられた今年2月21日、ワタミの渡邉美樹会長がツイッターで「彼女の精神的、肉体的負担を仲間皆で減らそうとしていました」「労務管理できていなかったとの認識は、ありません」などと発言し、炎上した。美菜さんの両親が会社に提出させた資料などによると、15時間勤務でも休憩は30分しか予定されておらず、また、休日と睡眠時間を削らせるように組まれた研修など、勤務環境は精神障害の発症後にも、さらに過酷さを増していたことが分かった。遺族から提供を受けた社内資料をもとに、「生きていられるわけがない」と両親も憤るワタミの労働実態を報告する。(給与明細3ヶ月分は末尾よりダウンロード可)
【Digest】
◇時系列
◇「生きていられるわけないじゃないか」
◇15時間勤務でも休憩30分のスケジュール
◇「これは、スタンダードでしょうか?」
◇配属1カ月目から残業100時間以上
◇始発待ちで2時間待機、睡眠時間減少
◇一番最初に難しいポジションをやらせる
◇「休みが休みでないんだよね」
◇配属1カ月で精神障害に
◇死亡前日に日用品購入、生きる意欲の本も
◇時系列
2008年04月01日 |
ワタミフードサービス入社 |
2008年04月11日 |
京急久里浜駅前店配属 |
2008年05月中旬 |
精神障害発症 |
2008年06月12日 |
自殺により死亡 |
2008年08月19日 |
横須賀労基署に労災申請 |
2009年07月09日 |
横須賀労基署が業務外認定 |
2009年08月24日 |
神奈川労災審査官に審査請求 |
2012年02月14日 |
神奈川労災審査官により労災認定 |
◇「生きていられるわけないじゃないか」
美菜さんは2008年4月1日にワタミフードサービスに入社。10日間の研修を受け、4月11日から神奈川県横須賀市にある居酒屋「和民」の京急久里浜駅前店に配属となった。同店は現在、改装して黒い看板の和民に業態転換しているが、美菜さんが会社に提出したレポートでは「私の勤務しているのは赤和民の方」と書いている。(※赤看板=旧来型の和民、黒看板=「居心地の良さ」を押し出し高級感を演出した和民)
京急久里浜駅前店は三浦半島の東側にあり、海の向こう側には千葉県の鋸山がある。社員は店長、副店長、美菜さん、美菜さんと同期入社の男性社員Aさんの4人。このほかにアルバイトがおり、労災の決定書では従業員数39人となっている。
ワタミ本社へは、乗換駅となる京急蒲田駅まで京浜急行の快特列車で50分ほど。横浜には快特で40分、品川までやはり快特で1時間という距離だ。大都市から離れ、それほど大きくない駅前の店舗だが、午後5時の開店から平日は午前3時まで、週末や休みの前日は午前5時まで。入社前はシフト制と説明されていたが、正社員は開店前から閉店後までずっと店にいなければならないのが実態だった。
美菜さんの死後、両親がワタミフードサービスに強く要求して作成させたのが、美菜さんが毎日、何時から何時まで何をしていていたのかを示す資料とグラフだ。これを見ると、開店1時間前の午後4時から閉店30分後の午前3時半まで、午前5時閉店のときは午前5時半まで、ほぼ毎日12時間を超える勤務を強いられていた。
労災の決定書には社員の「基本シフト」は午後4時から午前1時までと書かれているが、「基本シフト」通りの日は1日もない。休憩時間もすべて取得したことになっていたほか、午後3時前に出勤しても午後4時までは「自主出勤」と扱われていた。さらに、勤務終了後は電車がなく家に帰れない時間が抜けて落ちていたり、休みの日の研修会や会社行事のボランティアが「自己啓発」になっているなど、多くの疑問があった。
会社の資料に加えて、美菜さんがつけていたノートやメモ、複数の同僚への聞き取りをもとに両親はこのグラフを修正、美菜さんの労働実態を明らかにしていった。分かったことは、「生きていられるわけないじゃないか」(両親)と思えるほど過酷で、社員を追いつめる勤務実態だった。
◇15時間勤務でも休憩30分のスケジュール
労災の決定書によれば、京急久里浜駅前店の店長は労基署の聴取に、勤務時間は「開店時間より1時間前から」と説明しているが、副店長は聴取で「平日が15時から3時30分、週末が15時から5時」と話している。同店の同期社員Aさんも、「店長から開店2時間前に出勤し準備をするように言われた」と述べている。
美菜さんの勤怠打刻データを見ると、たとえば5月31日は出勤と退勤の打刻が午後3時と午前5時で、実働11時間、休憩2時間になっている。実働と休憩を足しても1時間足りないのは、午後3時に出勤しても午後4時までの1時間が計上されていないからと見られる。
午後3時過ぎに打刻をした日もあるが、5月4日と5日、振替休日の6日は連続して午後2時10分から15分に出勤の打刻をしており、4日と5日は午前6時に退勤の打刻をしている。午後2時15分から午前6時までは、時間数にすると15時間45分もある。これほど長時間働いても、休憩は30分しか予定されていなかった。
1日ごとのワークスケジュール表(右記)を見ると、スタンダードな休憩時間がどのように予定されていたか分かる。この表には、何時から何時まで誰がどのポジションを担当するか30分区切りで記されており、実際にどうだったか、客集の見込みや実績、1人1時間あたりの売り上げ、その他の特記事項なども記されている・・・・・・。
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【http://www.mynewsjapan.com/reports/881】
「和民」を元パートが提訴 弁護士が語る「内部告発に対する違法な報復解雇」
伊勢一郎 22:23 07/29 2008
内部告発したことを理由に通報者を懲戒解雇し、暴力行為による解雇という虚偽の理由を後付けして、内部告発するような奴は再就職できないと脅迫する――こんなにわかには信じがたい違法行為があったとして、「和民」を経営するワタミフードサービス株式会社を20代の元パート男性が訴えた。6月の提訴直後、ワタミの渡邉社長は、業界紙のインタビューで、「内部告発を理由に解雇を行った事実は一切ない」と答えている。果たして事実はどうなのか。原告の担当弁護士に話を聞いた。
【Digest】
◇裁判情報にアクセスできぬまま傍聴へ
◇労基署への相談から解雇までの経緯
◇真の解雇理由は内部告発への報復措置と主張
◇原告が名前を出せない事情とは
6月初め、WEB上で以下の新聞記事が目についた。
内部告発で解雇 居酒屋「和民」元パート男性が提訴 6月2日21時46分配信 産経新聞
居酒屋「和民」などを展開するワタミフードサービス(東京)の賃金未払い問題で、労働基準監督署に内部告発したため解雇されたとして、20代の元パート店員の男性=大阪府在住=が2日、同社に約450万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
訴状によると、男性は平成15年4月から「和民香里園駅前店」(大阪府寝屋川市)で勤務。勤務時間から30分未満の端数を切り捨てる賃金未払いがあったため、18年7月に北大阪労働基準監督署に通報した。2カ月後、同社社員から「労基署に行くようなやつは企業にとって脅威」などといわれ、解雇されたという。
同社は18年10月の同労基署の是正勧告を受け、東京や大阪など47店舗の217人に未払い分計約1200万円を支払っている。
ワタミ広報担当は「訴状を見て対応を検討したい」としている。
◇裁判情報にアクセスできぬまま傍聴へ
これが事実なら非常に重大な事件だが、他のメディアによる関連記事はサイト上に見当たらず、「すき家」や「マクドナルド」などで労働者側の支援を行っている団体や弁護士に聞いても、裁判の日時も、原告や担当弁護士の名前もわからないという。
そこで、大阪地裁に直接電話して聞いてみた。06-6316-2813(直通)
広報係の男性に「6月にワタミを元パート店員が損害賠償で訴えた記事を読んだんですが、裁判の期日はいつで、どこの法廷でしょうか?」と尋ねたところ、「原告代理人の名前はお伝えできないが、期日と場所は調べてみるので10分後にお電話ください」とのことで、おそらく以下の裁判だろうということがわかった。
・事件番号「平成20年(ワ)6784」
・7月18日(金)13:10より 611号法廷
・担当は第五民事部(06-6316-2836)
その後も大阪に事務所のある知り合いの弁護士や新聞社の支局長に問い合わせたが、詳細はわからないままだったので、とりあえず、裁判当日に大阪地裁に行ってみることにした。
7月18日の11時半に大阪地裁に着き、6階にある611号法廷の廊下に貼ってある「開廷表」を見ると、確かにこの裁判であることが確認できた。
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裁判長 菊井一夫
13:10「平成20年(ワ)6784」第一回弁論
賃金等
原告/●●●●(編集部により非公開)
被告/ワタミフードサービス株式会社
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13時前から廊下で待っていると、13:02に扉が開いた。
傍聴席は24席あったが、座っているのは筆者一人。しばらくすると原告側と思われる弁護士が1名入ってきたが、被告側の席は空いたままだ。
そしてまだ定刻前の13:06、裁判長1名が入廷し、「それでは始めます」と宣言した。どうやら、今回は原告本人も被告側も欠席らしい。
原告側弁護士が、追加の証拠としてカセットテープを提出することを要求し、裁判長はその文字起こしとテープ本体を被告側にも提出するよう要請した上で、次回期日を9月1日11時から、電話会議(非公開)とすることを告げて、13:10に閉廷した。
廊下に出て、原告の担当弁護士に取材を求めたところ、翌日の取材を了解してもらった。
その後、今回の裁判資料を見るために8階にある第五民事部に行き、閲覧申請(150円の収入印紙と保険証などの身分証明書と認印が必要)をした上で、民事部室内の4人掛けの机を一人で使い、約2時間にわたり全ての資料を閲覧した。
その際、持参したノートPCを開いてメモを始めたが、職員からは特に注意もされず、「全部写されると困ります。あくまで閲覧なので」とだけ言われたので、「要点をメモしているだけですから」と答えて入力を続けた。
原告の訴状は6月2日に出され、代理人は大阪にある法円坂法律事務所の西念京祐弁護士他、被告側であるワタミフードサービス株式会社の答弁書は7月11日に提出され、被告代理人は東京の三好総合法律事務所、担当は鶴崎有一弁護士とのことだった。
原告の訴状では請求の原因が10ページにわたり説明されているのに対し、被告側の答弁書は、原告の主張を認めないことと訴訟費用は原告の負担とすることしか記載されておらず、その主張の理由は示されていなかった。
翌日、法円坂法律事務所を訪れて西念京祐弁護士に詳しい話を聞いた。
◇労基署への相談から解雇までの経緯
「大阪弁護士会館で行われた無料法律相談に彼がきて、たまたま僕が担当したのがきっかけでした・・・・・・。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012051702000080.html】
【コラム】
筆洗
2012年5月17日
昭和電工を興し、水力発電事業なども手掛けた戦前の実業家の森矗昶(のぶてる)には、こんな口癖があったそうだ。「うちは三井、三菱とちがう。日本中の人にお客さんになってもらわなけりゃ、やって行けない」。森をモデルにした小説『男たちの好日』を書いた城山三郎さんが明かしている▼就職試験で落とした学生には出掛けて頭を下げた。「残念なことに、この度は縁がなかった。まことに申訳ない。来てくれたきみたちの気持を、いつまでも有難く思っているよ」▼味方をつくる力が抜群だったという。将来、顧客になる可能性のある人たちを大切にしようとしたのだろう。「圧迫面接」と呼ぶらしいが、高圧的な態度で学生に接する企業の担当者に読ませたい▼就職戦線は、わずかな光が差してきた。大手企業にこだわらない学生が増え、今春卒業した大卒の就職率は四年ぶりに改善に転じた。一方で就職の失敗が原因で昨年、自殺した三十歳未満は百五十人にも上った。調査が始まった二〇〇七年の二・五倍だ▼何回面接を受けても、内定をもらえない。全人格を否定されたような絶望感を想像する。「一に雇用、二にも雇用」と訴えた首相もいたが現政権には雇用への熱意はあまり感じられない▼景気低迷と円高、震災で就職難はまだ続きそうだ。失敗しても何度でもやり直しができる。そんな寛容な社会を目指したい。
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