東京新聞の社説【週のはじめに考える 福島から日本を変える】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016050102000157.html)。
《原発事故の影響が続く福島県ですが、元気な人もいます。ご当地電力で復興を図り、日本を変えようというのです…二〇四〇年にはすべてのエネルギーを再生可能エネルギーで賄う》。
《始まりの地、福島から日本を変える》…「原発に依存しない地域の未来図」を描くことは可能だ、と信じる。
『●「えらそうに反対するなら、この田舎町で生活できる基盤を下さい」
・・・原発再稼働以外の道はある』
『●「原発に依存しない地域の未来図を」描くことは可能だ』
「福島原発の被災者は、放射能でふるさとさえも失った。
あまりに過酷な現実の渦中にある。
再び原発と共存できるとは思うまい。
他の原発立地地域にも、もはや原発の安全神話を
信じる人はいないだろう」
『●「核と人類は共存し得ない」』
『●東電原発人災から『X年後』:「自分が壮大なできごとの
参加者だということがわかっているのだろうか」?』
「『チェルノブイリの祈り』(松本妙子訳、岩波書店)…
本の副題は「未来の物語」とした▼だが、この副題は
隠喩以上の意味を持つこととなった。福島の事故を見て
彼女は「私は過去についての本を書いていたのに、
それは未来のことだったとは」と慨嘆したという
▼人類は核と共存しうるのか。常にそう問われる時代に
私たちは生きている。」
『●人類は核と共存できるのか?
『放射線を浴びたX年後』とパグウォッシュ会議』
「《長崎市で第六十一回パグウォッシュ会議世界大会が…
人類は核と共存できるのか…》?
核発電も含めて、答えは「No!」だ」
シェーナウ電力、会津電力、飯舘電力、《デンマーク・サムソ島にあるサムソ・エネルギー・アカデミー》…内橋克人さんの言う「FEC自給圏(Food、Energy、Care)」と重なる。
『●『不安社会を生きる』読了(2/2)』
「「・・・イスラムの金融機関は利子、利息の概念そのものを禁じている。
・・・利が利を生むマネー資本主義に対するアンチテーゼが
イスラムにはある。/・・・とってかわるのではなく、市場経済を
より健全なものにする上で価値の高い対抗思潮だと思います。」(p.218)。
自給自足圏の中でも安定した経済成長は可能かとの問いに、
「ほどほどの成長は可能です。それを実践しているモデルは
世界にたくさんあります。『浪費なき成長』です」(p.221)。
いわゆるFEC。「BSE問題の発端、肉骨粉に関しても
飼料穀物の輸入自由化にさかのぼる長い歴史検証を
スキップすることはできない」(p.226)」
『●『新版 悪夢のサイクル/ネオリベラリズム循環』読了(4/4)』
『●原発絶対断固反対!』
『●FECにつながる「地給率」』
『●SLAPPと祝島』
『●まさに、FEC自給圏を目指せ』
『●内橋克人さんインタビュー:
〝貧困マジョリティー〟の形成と『FEC自給圏』への志向』
「目指すべき方向性。「私は新たな基幹産業として『FEC自給圏』を
提唱してきた。FはFoods(食糧)。日本の穀物自給率は世界で
124番目だが、食糧自給は国の自立条件で新たな産業も形成する。
EはEnergy(エネルギー)。再生可能エネルギーとしてデンマークでは
風力発電、太陽熱発電を推進し、エネルギー自給率が今では200%近い。
日本は国策として原発に集中し、他の選択肢を排除した。
CはCare(介護)。市場に任せるのではなく、社会による介護自給圏を
形成すれば北欧諸国のように強力な産業になる」。
「『うっぷん晴らし政治』ではなく、世界のモデルに目を向け、
食糧、介護、エネルギーの自給圏を志向すべきだ。地味でも良いから、
グローバル化の中で、それに対抗できる『新たな経済』を作ることが
本当の政治の役割だと思う」。目指すべきは北欧型か?
「地味でも良いから」、というところにグッときた」
『●衆院選の惨敗と参院選という正念場:
FEC自給圏・「浪費なき成長」と「暗闇の思想」』
『●原子力ムラに対して、開き直ろう!:
こういう挑発や脅し、騙しに乗ってはならない』
『●居直ろう!: 〈毒食わば皿まで〉?
「一度認めた以上、どこまでも認めるという論理の一貫性」?』
『●電源構成(エネルギーミックス)案という貧相な「未来図」:
泥棒やその子分に縄をなわせる愚』
「ニッポンにとって、デンマークはとても参考になると思うのですが?
内橋克人さんのFEC自給圏の確立を」
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016050102000157.html】
【社説】
週のはじめに考える 福島から日本を変える
2016年5月1日
原発事故の影響が続く福島県ですが、元気な人もいます。ご当地電力で復興を図り、日本を変えようというのです。「始まりの地、福島」の物語です。
JR福島駅の新幹線コンコースには、全国の駅でも珍しい大型の鉄道模型があります。太陽光発電量が世界一の駅(昨年四月現在)で、模型は「再生可能エネルギー情報館」の目玉展示なのです。
情報館には福島県の計画を紹介したパネルがあります。「二〇四〇年にはすべてのエネルギーを再生可能エネルギーで賄う」。ガソリンや灯油も含むエネルギー消費量と同量の再生可能エネルギーを生産する野心的な目標です。
◆再エネで人づくり
政府の目標は三〇年度、電力の22~24%を再生可能エネルギーとすることですが、福島県は既に達成しています。広い県土には、水力発電はもちろん、風力発電も地熱発電もあります。
住民も意欲的です。
福島市郊外の土湯温泉では、土湯温泉町地区まちづくり協議会会長の加藤勝一さんが社長を務める「元気アップつちゆ」が、温泉熱を利用した地熱発電と小水力発電を昨年から始めました。誘客にも利用しようと考えています。
浜通り(沿岸部)の南相馬市には福島復興ソーラーが同市と共同で太陽光発電所を造り、隣接の植物工場に電気を供給し、余剰電力を売っています。
目的は発電だけではありません。設備を使って体験学習をさせ、志に満ちた子どもを育てることも狙いです。発電で得たお金を教育につぎ込んでいます。こうした活動は一般社団法人「あすびと福島」が担当します。「あすびと」とは「明日を切り拓(ひら)く人」の意味です。
仕掛け人は同市出身で、震災前は東京電力の重役だった半谷栄寿(はんがいえいじゅ)さんです。半谷さんは「自分で考えることができる子、起業家精神を持つ子を育てることが地域の復興につながる」と信じています。
すでに女子高生のアイデアを元にした「高校生が伝える・ふくしま食べる通信」という福島県農産物の宅配事業がスタートしています。高校生が取材して書いた記事が付加価値となっています。
◆地域の雇用を生む
ご当地電力としては、会津電力が有名です。原発事故で会津地方も混乱しました。その中で生まれたのが、会津電力です。社長の佐藤弥右衛門さんは、江戸時代から続く酒蔵が本業です。
地産地消で、地域を活性化させるのが「ご当地電力」です。発電した電気は地元で使います。そうすれば、お金は地域で回り、外に吸い上げられる金額は少なくできます。雇用も生まれます。
原発で作られた電気は、首都圏で使われ、お金は東京に本社のある東電に入る。地元に入る税金などは、事故が起きると割に合わないほど少額だった。そういう苦い思いが背景にあります。
一昨年、会津電力のバックアップで、全村避難が続く飯舘村に飯舘電力が誕生しました。ご当地電力の輪は広がっています。
さらに今年三月、佐藤さんは「ふくしま自然エネルギー基金」を設立しました。基金は企業や個人からの寄付を募り、福島県内の自然エネルギー事業や教育などへの出資や助成に使う予定です。
きっかけは、ドイツ南西部の小さな町にあるシェーナウ電力から佐藤さんに環境賞が贈られたことです。シェーナウ電力は旧ソ連のチェルノブイリ原発事故を契機に生まれた、再生可能エネルギーで発電する電力会社です。会津電力とよく似ています。
設立記念シンポジウムが三月に福島市でありました。国内外のゲストが指摘した課題は二つです。もうけること、無理だという声に惑わされないこと、です。
デンマーク・サムソ島にあるサムソ・エネルギー・アカデミーのソーレン・ハーマンセン代表は「サムソ島が100%再生可能エネルギーに切り替えると言ったとき、周りから無理だと言われました。でも、自然エネルギーは経済性があり、雇用を生みます。今、島の生活水準は上がりました。福島でも同じことが起きれば、と願っています」と励ましました。
◆平和につながる
河合弘之弁護士は現在、脱原発を訴える映画を制作中です。映画のための取材で体験したことを話しました。「米国防総省が自然エネルギー研究をしているのを知って、理由を尋ねたんです。答えは『歴史上の大きな戦争は資源争奪が原因だった。自然エネルギーが普及すれば石油の取り合いはなくなる』。自然エネルギーは平和につながるのです」
シンポジウムの後、多くの人が口にした言葉があります。
「始まりの地、福島から日本を変える」
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