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▲鉄鋼スラグ問題 愛知の報道(その1)

 8月23日に、新聞報道がありました。その後の報道をまとめてみました。
 今まで、会社名は公表されていませんでしたが、自ら記者会見をされたので、新聞でも会社名が明らかされました。調査が正しいとか間違っているとかの問題ではなく、検出されたのは確かなので、原因と対策をとっていくことが大切です。(中日新聞と某新聞社は、7月8日の水採取に同行しました。)

■070823(中日新聞):鉄鋼スラグから有害物質溶出 愛知県認定のリサイクル資材


http://www.chunichi.co.jp/s/article/2007082390073503.html

 愛知県の愛西市や飛島村などの5カ所で野積み保管されている鉄鋼スラグの溶出水に、環境基準を大幅に超える鉛やホウ素などの化学物質が含まれていることが22日、粕谷志郎・岐阜大教授(環境生態学)の調査で分かった。鉄鋼スラグは同県からリサイクル資材として認定を受け、公共工事でアスファルト舗装の路盤材などに使われており、粕谷教授は「環境への影響など、さらに詳しい調査が必要」と指摘している。

 鉄鋼スラグは、くず鉄などを高炉や電炉で再生するときに出る副産物。路盤材やコンクリート製品の骨材として利用されている。愛知県は02年、廃棄物を資源再生させるため県リサイクル資材評価制度(あいくる)を制定。同県蟹江町の産業廃棄物中間処理会社が作る鉄鋼スラグを、リサイクル資材に認定した。

 この中間処理会社や愛西市の別の会社も、同市などで鉄鋼スラグを野積み保管している。粕谷教授は、その5カ所の敷地から流れ出る水を採取、分析した。

 その結果、いずれも人体に悪影響を与える有害物質4種類を検出。ホウ素は5カ所すべてから1リットル当たり11-280ミリグラム(環境基準1ミリグラム)と、最高で環境基準値の約280倍だった。セレンは3カ所で0・27-0・65ミリグラム(同0・01ミリグラム)、鉛は1カ所で0・34ミリグラム(同0・01ミリグラム)といずれも基準値の数十倍に上った。また、検出限界以下の参考値ながら、ヒ素は3カ所で0・059-0・36ミリグラム(同0・01ミリグラム)。

 同県建設企画課は「『あいくる』の認定時に、化学物質の溶出がないか検査結果を業者から提出させているが、もとは廃棄物。品質管理を徹底する必要がある」と話している。同県資源循環推進課は「リサイクルが隠れみのになってはいけない。環境基準を超えるものは、『あいくる』とは認められない」と厳しい姿勢を見せている。

 粕谷教授は「鉄鋼スラグには、さまざまな有害物質が含まれている可能性が高い。検査を業者任せにするべきでない」と話している。

■070823(中日新聞):県の認定方法問題

■070823(中日新聞・夕刊):サンプル調査を開始

■070824(中日新聞):工場外で加工 申請なし

■070824(朝日新聞):保管場所の環境調査

■070824(中日新聞・夕刊):完成前の鉄鋼スラグは産廃 愛知県判断、適正保管指導へ
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007082402043563.html
2007年8月24日 夕刊

 愛知県弥富市などで野積み保管された鉄鋼スラグの溶出液から、環境基準を超す鉛やホウ素などが検出されたとする問題で、同県は、鉄鋼スラグを加工販売する同県蟹江町の産業廃棄物中間処理会社「共同建設」(露崎勇社長)が野積み保管している完成前の鉄鋼スラグについて「産業廃棄物にあたる」と判断。近く、廃棄物処理法に基づき、地下への浸透防止策を講ずるなど適切な保管をするよう指導する方針を固めた。

 同県によると、同社は二〇〇三年に路盤材用の鉄鋼スラグについて県のリサイクル材「あいくる材」の認定を申請した際、すべての工程を自社工場(弥富市)で行うとしていた。

 しかし、実際は、破砕などの処理をした鉄鋼スラグを六カ月以上、雨や風にさらす工程(エージング)を工場外の複数の敷地で実施。現在は弥富市や同県飛島村など六カ所で、野積み保管される状態になっている。

 同県は、エージング中の鉄鋼スラグについて「まだ製品とは言えず、産廃とみなされる」(廃棄物監視指導室)と指摘。地下への浸透を防ぐコンクリートやアスファルトの設置など、廃棄物処理法に基づく保管が必要としている。県は二十四日、県庁に同社を呼び、事情聴取。同社は、エージングを工場外で行っていたことを認めた上で「エージング前の段階で、すでに製品と考えていた」と釈明した。

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▲鉄鋼スラグ問題 瀬戸内の報道(その1)

鉄鋼スラグの問題は、瀬戸内で大きな問題となっています。
webで、記事を拾ってみました。

■今治、鉄鋼スラグ「一時保管所」をめぐる不安
http://www.janjan.jp/area/0605/0604280524/1.php

■産廃優等生 苦い教訓(保管場所誤り 健康被害):読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/feature/kankyo/20070313ft04.htm
黒っぽい砂状の鉄鋼スラグが、ダンプカーで運び出されていく。愛媛県今治市・津倉自治会長の石井礼一さん(71)は、その作業を見つめ、「撤去にこぎつけるまでは苦労の連続だった」と話した。

 鉄鋼スラグは、鉄鋼を生産する時にできる副産物で、主成分は石灰とシリカ(二酸化ケイ素)。国内では年間約4000万トンが出るが、産廃処分場に回るのは1%に満たず、ほとんどがセメントの原料やコンクリート骨材などに使われる優等生的なリサイクル資材。各省庁に環境配慮製品の使用を義務付けるグリーン購入法の「特定調達品目」に指定されている。

 43世帯、103人が暮らす津倉地区は、今治市から東に4キロ沖合の大島の西部にある。住宅地に接した小学校の校庭ほどの広さの湿地に、2005年11月から06年2月にかけ、計5万5000トンが搬入された。敷地一面に敷き詰めた上に、高さ約5メートルの山ができた。

 湿地を購入し、鉄鋼スラグの保管場所としたのは、「東武開発」(松山市、資本金1000万円)。大手製鉄会社から購入したスラグから道路の路盤材などの原料を作る「東方金属」(広島県呉市)の関連会社だ。

 ところが、06年初め、付近住民が「のどが痛い」「目がコロコロする」など健康被害を訴え始めた。3月、住民は「津倉環境を守る会」を結成し、撤去を求める嘆願書を県に提出。5月には、岡山大教授の協力を得て住民98人の健康調査も行った。目やのどの異常を感じる人が搬入開始直後と比べて2~3倍に増えた。1キロ離れた地域の住民に変化は見られず、鉄鋼スラグ搬入が原因と疑われた。

 住民側の動きに押され、東武開発は6月、敷地のボーリング調査を実施。その結果、スラグの撤去に踏み切ることを決めた。海水をためて塩を採る塩田の跡地だった敷地は、粘土層などが厚く、水がしみこみにくい地層と分かったからだ。

 鉄鋼スラグはアルカリ性が高く、粘膜や皮膚を刺激する。たまった雨水にスラグの高アルカリ物質が溶け、周辺大気中に拡散したとみられた。日本の土の多くは酸性で、スラグは土壌に吸着中和される。が、保管場所には水はけが良い場所を選ばなくてはいけない。

 「売買交渉の際、水を通しにくい土地であるという説明があれば、買わなかった。とはいえ、こちらも事前調査が不足していた」と住民との交渉窓口を務める上妻謙常務(63)は悔やむ。

 「有価物であり産業廃棄物ではない」として、住民と会社の話し合いを見守ってきた県の岡本靖廃棄物対策課長は、「広く使われているという安心感があり、健康被害は全く想定していなかった」と言う。

 リサイクル製品は取り扱いを誤ると周囲の環境や健康に悪影響を及ぼす、という苦い教訓が残された。産廃のリサイクルを進めるには、適切な情報提供が欠かせない。

 鉄鋼スラグ協会は昨年7月、前年に作成した1ページの「鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン」を8ページに拡充した。「(保管場所など)使用場所の現地調査をおこなうこと」など、取り扱い上の注意点を詳細に説明している。

 昨年12月半ばに始まった撤去作業は、4月ごろには完了する見通しだ。10億円を超える費用は、東武開発と東方金属が負担する。
(2007年2月23日  読売新聞)

 


 

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▲鉄鋼スラグが逆有償で取引

 関西地方では、毎日新聞一面トップと社会面トップの2本組の記事に、淡路島の鉄鋼スラグが逆有償で取引されていたことが明らかになりました。中部では、今日の夕刊に載りました。

 優秀なリサイクル材の名は、もう通用しません。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070825dde041040056000c.html

鉄鋼スラグ:山陽特殊製鋼が実質処分 販売装い、数倍の運搬賃

 ◇10万トン、淡路島に一時放置

 東証1部上場の鋼材メーカー「山陽特殊製鋼」(兵庫県姫路市)が、鉄鋼の製造過程でできた副産物「鉄鋼スラグ」約10万トンを、リサイクルのために販売した形をとりながら、実際は「販売額」の数倍を運搬費名目で購入業者に支払っていたことが関係者の話で分かった。鉄鋼スラグはセメント材などにリサイクルされるが、同社から流れたスラグは兵庫県の指導を受けるまで、淡路島に放置されていた。購入した側が金銭的にも利益を上げる「逆有償」取引で、「99%以上リサイクル利用」とされてきたスラグが、一部で事実上の産業廃棄物として流通し、放置されていた。

 公共工事の減少で需要が減っているスラグは、廃棄物処理に数倍の費用がかかるため、逆有償取引が業界に広まっているとされ、新たな環境問題も生じかねない状況だ。

 山陽によると、同社は昨年8月~今年2月、姫路市の商社を通じて、同県西宮市の土木資材販売会社に約10万トンのスラグを販売した。同社で生じる約1年分の量で、淡路島に海路で運ばれた。海上輸送費や港湾使用料、荷役費などは運搬費名目で山陽が全額負担した。

 取引関係者の話を総合すると、山陽に支払われた代金は1トン100円前後だが、山陽が支払った運搬費は1トン千数百円。山陽が一億数千万円の支出超過となり、うち1トン約500円、計数千万円ずつが、資材会社と海運会社にそれぞれ支払われたという。資材会社は、同県南あわじ市の砂利製造会社に費用を払い、スラグは砂利会社の管理地2カ所に野積みされた。

 山陽によると、スラグは砂利プラント建設用地などの舗装用として販売したが、計画が中断したとして野積み状態が続いたという。雨で強アルカリ性の排水が流出し、粉じんによる健康被害の恐れもあるとされ、住民の苦情が相次ぎ、県は今年6月、資材会社などに環境対策を指導。これを受けて山陽が翌7月から撤去を始めた。

 山陽は「スラグは有用な製品」と強調するが、資材会社は「取引を仲介しただけ」、砂利会社は「置き場を貸しただけ」と互いにスラグの所有権を押し付け合っている。【日野行介】

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