細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

過ごし方

2014-04-23 19:58:49 | フランスのこと

いろいろな方々に支えられ、資金的にも税金でのご支援もいただきながらの留学生活です。この記事の内容は誤解を招きかねないので、無駄な生活は送っていないことをあらかじめお断りしておきます。。。もう41歳ですので、自分一人が満足すればよい、というような低次元で物事を考えはいたしません。自分自身の時間をマネジメントする主役はもちろん私自身ですが、私自身を使って、どのように中長期的に全体がよくなるか、ということを私なりに試行錯誤しながら全力で考えて実践しているつもりではあります。(いつもながら、見事な「言い訳」。。。)

基本的には真面目な人間でして、責任感も強い人間のつもりですので、40歳というタイミングでの1年間の留学は非常にありがたい貴重なチャンスではありながら、どう過ごそうか悩みもしましたし、常に試行錯誤を続けております。半年の折り返し地点を過ぎましたが、今後も試行錯誤は続くものの、一つのパターンができつつあるのは確かで、それについてこの記事でまとめておきます。

「どうせ一年行くんだから、日本のことなんかほっぽり出して、好きなようにやってくればよい」というようなアドバイスを年配の先生からいただいたこともありますが、まあ無理です。

事前にもいろんな「アドバイス」をいただきましたが、残念ながらほとんど役に立つものは無く、ほぼ唯一、私の行動原則を構築するのに大きな影響を及ぼしたのは、前川先生の「後ろ向きの仕事ばかりをやる」(ご自身が30代のときにタイのアジア工科大学で2年間を過ごされた時のモットー)でした。その通りに過ごせてはいませんが、これまで取り組んできた研究をきちんと形にする、ということは非常に重要なミッションの一つであると当然に考えておりました。まだ5ヶ月以上残っていますので、しっかりと論文、解説文等で形に残すこと、講義・講演(英語も含む)資料等に残すことは、今後も変わらず優先順位を高く設定したいと思います。

フランス滞在を開始するに当って、当然に頭をよぎったのは、日本で活発に動いている研究プロジェクトへの関与です。復興道路の品質確保等、かなりダイナミックにプロジェクトが動き始めた状況で1年間、日本を不在にすることはもちろんマイナスだと思っていました。

ところが、種々の理由で日本にどうしても帰国しなくてはならない(博士論文の最終審査、予備審査、幹事長を務める委員会の最終報告会、日本の修士・卒業論文の最終追込みの時期等)ときに、研究活動ばかりを詰め込んだ出張にしてしまうことにし(自然になり)、これが大変濃度の濃い研究活動となることを発見しました。

2013年10月末、2014年1月末、3月末に、日本出張を実施しました。3回の日本出張のほぼすべての時間、研究です。もちろん、日本でそのような研究漬けの時間を体験できることはありません。改めて、自分は研究が大好きであることも認識しました。どの出張も土日も全く休み無し、です。

次回の日本出張もすでにほぼスケジュールが固まりましたが、大学に一度も顔を出せませんが、5/31(土)に日本到着で、日本各地を飛び回って、東北地方でも集中的に構造物の調査を行い、6/10(火)にノルウェーでの国際会議に向けて成田を出発する行程となりました。同志の方々のご協力もあり、土日もすべて現地調査等、研究漬けです。

日本出張を有効に活用することで、むしろ日本にいるときよりも研究は進むかもしれない、とも感じています。そして、フランスに戻ってじっくりと時間を使いながら後ろ向きの仕事や、勉強を行う。このブログを書くことも、自分の中での重要性は増してきているように思います。完全に「仕事」の一部です。

もちろん、フランス滞在中に、研究成果を出すこと、国際的なネットワークを構築すること、等が公式に求められている要件ですが、41歳の研究者にとって、それは難しいことではありません。

誰かの評価を受けるわけでなく、ほぼ完全に、自分が納得する過ごし方をできるか、のみが問われています。だから悩むのだろうと思います。

何度も日本に帰ってきて大変ですね、ということを言われることが多いのですが、私にとってベストと思う過ごし方をしているので、まったく大変とは思っていません。

上記の私の過ごし方に、いろいろとご批判もあるかもしれませんが、第三者への説明責任はきちんと果たせますし、公式文書で成果をきちんと説明してください、と要請されても何の問題もなくしっかりと書くことができます。私自身が心から納得する過ごし方しかできませんので、今後も模索を続けたいと思います。今日は、長女のお迎えの前に、芥川龍之介の作品がぎっしり詰まった電子図書を購入する予定です。


日記

2014-04-23 18:52:25 | 家族のこと

長女が4年生になりました。新しい女性の先生のご指導のもと、日々の勉強を頑張っています。宿題も増えたようで、家でも頑張って勉強しています。

日記帳に毎日日記を付けることになったそうで、初日の日記を長女が書いていたときに、「コツを教えてあげようか?」と話しました。何せ、ブログをかれこれ20年近く続けている実績を持っておりますので。。。

長女の日記帳の最初のページをのぞいてみると、 「案の定」、筆が進まずにページの途中で止まっていました。

そこで、日記のタイトルをまず考えることを、ほぼ唯一のコツとして伝えました。

とにかく伝えたいこと、読んでほしいことの要点が何なのかをよく考え、それを日記のタイトルにすることを教えました。さらに、日記の内容はポジティブな内容でも、ネガティブな内容でも構わず、とにかく自分が感じたこと、考えたことであれば何でもよい、と教えました。

そうすると、とたんに書きやすくなったようで、日々もりもりと日記を書いています。

以上のコツを伝えたとき、長女が、「ああ、パパの日記の『時代遅れ』みたいなタイトルね。」と言っていました。私がブログを書いていることは知っており、「時代遅れ」の記事の内容は長女にも話してやったので、覚えているようです。

「そうそう、その通り。「時代遅れ」というパパのブログのタイトルを聞くと、何となくどんなことが書いてあったのか内容が思い浮かぶでしょ?それが大事なんだよ。書きたいことを適切に表すタイトルを付けること、それが本当に大事。そして、頭の中でぼやっと思ったことを、文章にきちんと書けるようになること、これがとても大事。日記はそのとても良い訓練になるから、続けるとよいよ。」

と話しました。毎日、頑張って面白い日記を書いておられるようです。


リンク

2014-04-23 18:08:38 | 人生論

4/18(金)の夜から、奥さんの親友の家族が四人で遊びに来て、我が家に三泊し、4/21(月)の夕方に帰っていきました。奥さんが学生時代にフランスに留学していた時の親友で、今は家族ぐるみで付き合っています。この間の年末年始にクレルモン・フェランの彼らの自宅に遊びに行き、二泊しましたので、これで短期間に五泊をそれぞれの自宅でともにした間柄になるので、かなり濃厚です。おまけに、4/19(土)の日中には、もう一人の親友であるパトリシアの家に皆で遊びに行き、三家族(すべて子供が二人)のパーティーとなりました。イースターの家族イベントも含まれており、かなりすごい体験でしたが、フランスを体験するという意味ではこれ以上ないかと思います。

なかなか平坦な生活が訪れない、私のフランス滞在ですが、自分自身の時間にはやはり恵まれています。

昨日も、濃厚な家族イベントの後ということもあったのかもしれませんが、ほとんどじっとしていました。特に調子が悪いというわけではありませんでしたが、じっとして、You tube等から私の好きな情報を入手し、「勉強」していました。

3月末に日本出張に出かける前に、かなりの不調に陥りましたが、今のところ振り返ってみると、フランス滞在期間中で唯一の大型不調であったと思います。もちろん、大型不調の間には、研究的な活動はほぼ進みません。その代り、日常であれば入ってきにくい情報をたくさん吸収する時間となりました。例えば、武田鉄矢の「今朝の三枚おろし」。You Tubeにアップロードされているので、ひたすら聴いていました。

専門家であることは大事だと思います。真の専門家でないとできない判断、指導等はあると思うので、私も真の専門家になれるよう、努力を続けたいと思います。中途半端なレベルの「偽の」専門家が溢れる世の中ではありますが。

一方で、自分の分野に閉じこもって、かつクオリティの低い仕事に埋没する専門家には決してなりたくないと思っています。自分の分野を大事にしつつも、殻を破って様々な分野の方々とコミュニケーションしたり、勉強することも、私にとっては真に大切であるという思いを年々強めています。

武田鉄矢さんの「今朝の三枚おろし」からは学ぶことが非常に多く、昨日もたくさん聴いていたのですが、脳の働き(特に「海馬」)と、芥川龍之介のすごさ、についてはかなり感銘を受けました。「脳は疲れない」という10年くらい前の著書を三枚におろす、という内容なのですが、非常に興味深かったです。この著書もアマゾンで購入しました。

詳細は省きますが、私自身の分野で真の専門家たるべく努力する過程で学ぶ、多くの根源的な知見、発見と、他の分野でのそれらとがつながることが多いのです。アナロジー、でもあります。

コンクリートやインフラ、インフラの維持管理などを人間や病気などで例えて分かりやすく説明することは多いですが、その理解がさらに深まっていくというイメージです。これは、寄り道のように見えて、実はそうではないと最近の私は強く思い始めています。

水のように非常に便利なもの、不可欠なものは、逆に人間にとって非常に怖い存在となることがある。物事すべてに長短の裏表がある、というのはこの世の真理だと思いますが、水についてはそのように感じてきました。コンクリートにおいても、水は絶対に不可欠です(セメントの化学反応は「水和反応」と呼ばれ、水が絶対不可欠)が、コンクリート構造物の劣化にも水が最大の敵となります。人間社会にとって津波、海面上昇等が大きな脅威となることは自明です。

昨日も、武田鉄矢さんの情報で、「酸素」についても同様であることを学びました。言われてみれば当たり前ですが、「リンク」したのは初めてです。酸素が生きていく上で不可欠なのは当たり前ですが、酸化反応が老化であり、さび付くことである。脳も酸化していくそうです。我々の分野での鋼材の腐食現象は当然に酸化現象です。

長くなるので、芥川龍之介の話はここではしません(機会があれば別の記事で)が、フランスにいる期間こそ、寄り道を大事にしたいな、と3月下旬の不調時に学んだ経験をもとに思っています。

医学、人間の体、等についても興味を持ち始めているので、土木工学の専門家として、またこの世をたくましく生きていく一人の人間として、これらのテーマにも適切に興味を持って勉強をしたいと思っています。