細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

切符

2014-04-24 16:40:44 | フランスのこと

フランスでは、私は通勤等に回数券を買っています。SuicaのようなICカードを買うこともできるのかもしれませんが、私の場合は手続きが面倒か、購入できないようなので、回数券にしています。通勤(メトロ+RERのA線が一つの切符)の回数券と、メトロだけの回数券、メトロの子ども用の回数券などを、大量に買い込んでフランス専用の財布に収納しています。

子どもたちも切符でメトロなどに乗るのには慣れていて、改札を通った後は、無くさないように親に渡すように今はしています。

メトロでも、RERでも、切符を買わずに無賃乗車している輩は非常に多いようです。改札を飛び越えて行ったり、前の人に続いて切符なしで通り抜けたり、いろいろと悪いことをする人たちをしょっちゅう見かけます。改札には駅員がいない場合がほとんどのように思います。

パリでは、それらに対応する臨時の検札が結構ある、と聞いてはいましたが、滞在初期にはあまり見かけませんでした。滞在途中から、私の通勤ルートのメトロとRERの乗り換えの駅のある部分で、頻繁に検札に遭遇するようになりました。もちろん、私は切符を持っていますので、何の問題もありません。

Nationというその駅で、多くの検察員が駅構内の通路をふさいで検札をするときには、その箇所より手前の、かなり離れたある箇所に、多くの人たちがたむろしています。検札している情報が伝わり、検札が終わるまでそこにたむろしているのでしょう。「何とまあ、モラルの無い方々だろうか」と半ばあきれて、それらの人々を見ながら通り過ぎたことが何度もありました。

今朝、通勤時に、Nationの駅で、メトロからRERに乗り換える改札でいつものように切符を通そうとしたとき、私の前に、改札を飛び越えたワルの若い男がいました。「またやっとるな、バカが」と思っていたら、みんなが流れていく右側へと行かず、その男は左の方へ。何だろうと思ったら、数人の警官が左側の死角に隠れていて、ワルをする奴がしょっ引かれていました。

歩行者が平気で信号無視をする国です。信号ごときに支配されたくない、決定するのは自分、というような考え方らしいですが、切符の件はさすがに犯罪でしょうから、種々の食い止める仕組みがあるのですね。

メトロだけの場合は、改札を出るときに切符が不要な場合が多く、より無賃乗車をしやすいのですが、昨日は、私のメトロの最寄駅で改札近くの死角に検察員が複数いてびっくりしました。初めての経験でした。もちろん切符を持っていますので、びっくりはしましたが、何の問題もありません。(ただ、メトロの改札を出る前に、切符をゴミ箱に捨ててしまうこともこれまで何度かあったので、今後は改札を出てから捨てるようにしようと思いました。)

現在、フランスはバカンスの時期で、多くの旅行者がパリに来ていることもあるのかと思いますが、私の滞在が始まって以降では、かなり厳しい検札を何度かこの短い期間に目撃しました。

海外に長期間住む、ということはやはり短期の旅行では決して分からないことに気付かせてくれると聞きますが、身をもっていろいろと体験しています。

結論としては、当たり前ですが、意図的であろうとなかろうと、無賃乗車は決してしないようにしてくださいね。 


芥川龍之介

2014-04-24 16:04:22 | 人生論

武田鉄矢の「今朝の三枚おろし」の過去の番組を聴いて触発されて、「芥川龍之介大全」を昨日購入しました。200円でこんなすごいものを買って鑑賞することができるなんて、やはり便利な世の中になったものです。

すごい。芥川龍之介すごい。

昨日は、「今朝の三枚おろし」で紹介されていた、「馬の脚」と「おぎん」を読みました。これらの作品を読むのは初めてでしたが、深く、斬新で、感銘を受けました。その後、今朝にかけて、「蜘蛛の糸」「鼻」などを読み、感嘆していました。昨夜は、寝る前に、長女に「蜘蛛の糸」の話をしてやりましたが、「面白い!」と絶賛で、今夜は「鼻」を話してやることにしています。近いうちに、長女が自分で芥川の名作を読めるように段取りしてやろうと思います。 

以下、「芥川龍之介大全」(351編が収録されている)の中にある、「校正後に」という作品の中にある、芥川自身の言葉。

「僕の書くものを、小さくまとまりすぎていると言うて非難する人がある。しかし僕は、小さくとも完成品を作りたいと思っている。芸術の境に未成品はない。大いなる完成品に至る途は、小なる完成品あるのみである。流行の大なる未成品のごときは、僕にとって、なんらの意味もない。」(新思潮第七号)

「夏目先生の逝去ほど惜しいものはない。先生は過去において、十二分に仕事をされた人である。が、先生の逝去ほど惜しいものはない。先生は、このごろある転機の上に立っていられたようだから。すべての偉大な人のように、五十歳を期として、さらに大踏歩を進められようとしていたから。」(新思潮第二年第一号)

「絶えず必然に、底力強く進歩していかれた夏目先生を思うと、自分のいくじないのが恥かしい。心から恥かしい。」

まさに、芥川龍之介はイチローのようです。王貞治とイチローの関係とは違うのかもしれませんが、真に一流の人の言葉には学ぶべきことが多いです。

我々凡人が同じような気持ちでやると火傷をすると思いますが、わずかなりとも同じような気持ちを持って、我々のミッションを果たすべく、努力を重ねたいと思います。

それにしても、良い本を見つけました。短編なのですぐ読めるし、ワインでも飲みながら芥川龍之介の作品を鑑賞するなんて、大人ではないですか!!!