こんばんは
今日はハネムーン関係で旅行会社に行ったほか、買い物をして一日は終わりました。なんか久しぶりにのんびりした休みだったような気がします。
また、披露宴のオープニングで使用する写真をどうするか・・・も考えていました。小中学生のころの写真がほとんどないのですが、まぁいいか…と思っています。来るのは高校と大学の友人や関係者が主体なのでいいかなぁ…と。
さて、今いろいろ考えておりますが…考えていることの中に今の日本の医療のことがあります。
医師不足、医師過剰などいろいろな話がありますが根拠はどこから来るのか。現場にいる医師の感覚としては医師不足です。患者さんに説明する時間も不足、研究や教育も時間が足りないでしょう。医師個人としては家族との時間や自分の時間も足りないだろう…と思っています。
医師数がどれだけ必要なのか。それをどのようにして見積もるのか。それによって医師が過剰になるのか、医師が不足するのかが分かれるのだと思います。
かって厚生労働省(旧厚生省)は10万人あたりの適性医師数を200人と見積もり、医師抑制政策を行ったのだと思いますが、現実としては医師は全く足りていないという状況になりました。今の日本の医師数は225名です。
人口当たりの必要医師数が増えているというのは「できることが増えてきた」ことによると思います。以前、骨髄腫を例に「今の医師数が適切なのか?」と書きました(患者や病床あたりの医師数が今のままで適切なのか?)。そういうことだと思います。
あとは患者数に対して本当に医師数はこれでよいのかということでしょうか。例えば高血圧は教科書的にも4000万人が罹患しているとされています。
「2000年の『第5次循環器疾患基礎調査』によると1),30歳以上の日本人男性の47.5%,女性の43.8%が,収縮期血圧140mmHg以上,または拡張期血圧90mmHg以上,あるいは降圧薬服用中であり,高血圧者の総数は男女計で約4000万人である。平成18年国民健康・栄養調査速報も同様の値である。この高血圧有病者数は国民の高齢化に伴い,今後も増加することが懸念される。」
http://minds.jcqhc.or.jp/n/medical_user_main.php
この4000万人の患者さんに対し「きちんと説明」をして、必要な薬物治療をする医師数はどの程度か。はっきり言いますが、いい開業医の先生は本当にいいですけど、まったく説明もせずに「薬飲んどけ」という医師もいますよね。前も書きましたが、それで急変して搬送されてくるのは同じ開業医さんの患者というのがありましたが(これは糖尿病ですけど)。生活習慣病というのは説明がやはり重要だと思うので(僕の高血圧の説明(患者さん向け))。
いろいろな疾患があると思います。1人の患者さんが複数の疾患を持っていることもあると思いますし、簡単に見積もれるものではないと思います。糖尿病も現在700万人、境界型を含めると2000万人になるといいます。僕は日本の医療というような大きな尺度ではないですが、先日ある状況の中で医療従事者の必要数を見積もり、明らかに不足していると職場に訴えてみました。これは患者数の発生見積もりから出しているのでちょっと状況が違いますが、根拠がかなりしっかりしてたので、いろいろ動き始めてくれています。同じように明らかに不足しそうだというのであれば、できることが見えてくるのではないでしょうか。
例えば厚労省の資料ですが、医療法において「入院において患者16名に対し、医師1人」「外来において患者40名に対し、医師1人」というものがあります(これが正しいとは思いませんが、根拠の一つとして)。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0323-9b.pdf
もし、4000万人の高血圧の患者さんをすべて外来で診るとこの基準だと医師は100万人必要ということになるのでしょうか?
もちろん、同じ日に診療するわけではないですので・・・そうですね週5日外来に出ているとしたら(同じ医師が…というのは少ないと思いますけど)20万人で毎週患者さんの診療ができる。実際は2~3か月おきとかになると思うのですが、これが適切な間隔かどうかはわかりません。その気になればいろいろな推測はできるはずです。
様々な疾患があると思いますので、実際はそれらの総計を考慮しなくてはいけない。もし同じ患者さんが複数の疾患を持っていたら、本来ならばその分説明に時間がかかると思います。医師数がその場合どれだけ必要なのか…というのはあります。
最近思うのは、国が医師不足をごまかすためにいろいろあっているように見えるということですね。医師数が不足してきているので、患者さんの経過観察の期間を長くする。そうすることで一人の医師が診療できる患者数を増やしているような気がします。
例えば・・・今の医療において患者さんの処方日数は平成14年度から一部を除いて制限が撤廃されたと思います。一部というのは新薬だとか、向精神薬(睡眠薬含む)などですね。長期処方可能になりましたから。
まぁ、実際は受診してもらわないと外来では困るかもしれませんが・・・。
外来の間隔をあけることに関して具体的な話をします。
僕は悪性リンパ腫の患者さんの経過観察を行うときに初めの2年間は毎月診ようとしています。それは特別な根拠があるわけではないです。確かヨーロッパ血液学会は2ヶ月毎の経過観察でよいとしていたと思いますが、個人的に20か月付近まで再発が多い(統計的に無再発生存期間が20ヶ月くらいからややプラトーになり始めるので)ので24か月の時点でPET-CTを取って集積がなければ2か月おきに経過観察としています。
ただ、患者数が増えすぎて…どう頑張ってもこの基準通りに実行できない。そうすると少しずつ…ごまかしながら伸ばしていくしかない。
そんな状況が今だと思っています。
別の基準としては医療法施行規則第19条に基づく必要な医師数の算定方法もあります
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/s0311-5a5.html
ただ、これも何を根拠にしているんかよくわからない基準というのが本音です。実際作られたのは60年前ですし・・・。
他に医師数の想定で問題になっているのは実際に働いている人間の数がわからないということでしょうか。
「日本の医師数はアメリカのように医師数をフルタイム勤務の医師1人で換算し、医師免許があっても働いていない人はカウントしないようなことはしておらず、働いていない医師でも医師免許をもっていれば医師数にカウントしている。このことにより、結婚で家庭に入った女医や高齢で引退した、医師免許を所持しているだけで働いていないような医師が医師数にカウントされていることが予想されている。さらには厚生労働統計は医師が死亡しているかどうかを把握しておらず、死後に遺族から医師免許が返納された分だけをマイナスしているため、すでに死亡している医師がカウントされている可能性もある」
(Wiki「医師不足」より抜粋)
医師不足に関しては日本医師会もいろいろ言っています。
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20100714_1.pdf
出てきたのが2010年度のものだったのですが、今も言っていることは大して変わらないのでこれで十分だと思います。
基本的には将来的に医師は過剰になるから、今のままでよいという考え方ですよね。それって、1980年代の厚労省と同じことをやっていますし、女性医師や実際に働いている医師数を把握していないのだから多分無意味なのだと思います。
今の時点では医療業界も厳しい状況です。また、医師数を増やすと歯科医師の二の舞になるという恐れもあると思います。
歯科医師が「ワーキングプア」になっているのは患者さんはいるけれども、医療費が増えていないことから来ていると考えられるからですね。実際に患者さんはいるわけですよね、虫歯などで・・・。パイが大きくならない中で歯科医師が増えたから全体の収入が減ってきた。
今後日本の医師を増やしたらその二の舞になるのではないか。診療報酬が増えないのですから。必要経費の中で減らせるところは人件費などですよね。他にも「開業しても競合してしまう」「勤務医も能力がないと、ポストにありつけなくなる」という恐れ(ワーキングプアどころか、働けなくなるかも…という恐れw)もあるかもしれません。
まぁ、その恐れが現実的かどうかはわからないです。
実際にまずやるべきことは
1、実際に稼働している医師数
2、今後減りそうな医師数(高齢化、育休・産休など)
3、実際に様々な病気の患者さんは有病率などからどの程度と推測されるのか
4、それらの患者さんを診察するのにどの程度の時間が実際に必要と考えられるか
ということをまず把握することなのではないかと思っています。
現状把握なしに何を話しても無駄な気がします。
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。