こんばんは
今日はヤンセンファーマ・武田の2社が主催している「myeloma workshop」に参加してきました。まぁ、医局で病棟の患者さんの様子を見てから参加したのですが…出発予定時刻を過ぎてしまい開始時間に少し遅れてしまいました。
帰ってきて、先程24時間テレビのドラマを見ていました。
医学生のころは「頑張って医師になって、こういう病気の患者さんの役に立ちたい」と思ってみておりましたが、情熱は冷めないもののドラマ自体は冷めた目で見てしまう自分がいます。
今回、アップフロントでの同種移植(血縁者間)を行っておりますので、悪性リンパ腫といっていますがリンパ芽球性リンパ腫、すなわち急性リンパ性白血病の細胞がリンパ節を主体に増殖しているタイプと思われます。それでも最初から行うということは結構前の話なのかもしれないと思いました。もしくは、移植ありきではなくて念のために近い形でHLA検査を行って、抗癌剤耐性のために移植せざるを得ない状況だった…という話なのかもしれません。
非ホジキンリンパ腫には低悪性度(年単位で進行)、中等度悪性度(月単位で進行)、高悪性度(週単位で進行)がありますが、リンパ芽球性リンパ腫は高悪性度の非ホジキンリンパ腫に当たります。
治療法は他の悪性リンパ腫と異なり、急性リンパ性白血病の治療に準じた治療を行います。それにより劇中にもありましたが寛解率、生存率ともにかなり改善しました。
ただ、個々の患者さんに対して・・・ではありません。
ドラマの中で父親(役柄)が医師に「抗癌剤しか方法はないのか。苦しんでいるだけで治らないじゃないか」というようなことを言うシーンがありましたが、おそらく多くの患者さんには効果があるといってはじめられた治療が効果がなかった場合、患者さんや家族はそのように思われるのだろうとは思います。
もしくは治ると信じて開始した治療の合併症により、大きなことが発生した場合など。
標準治療というのは「多くの方に有効性が証明されている」から標準治療になっています。その標準治療が効かなかった患者さんは、一般的な統計から外れていきます。
劇中の最初の医師の説明が「80%の確率で治るものです(ちょっと高い気もするが・・・)」だったのが、標準的な治療が奏功しなかった時点で確率が低下したというのは、標準から外れた(+予後因子として寛解に入らなかったというのもあります)という話です。
逆に寛解に入ったグループは恐らく入らなかった患者さんたちを含む統計学的な解析よりも上を行くのでしょう。
少し話から外れますが、今日のmyeloma workshopで日赤の鈴木先生が
「75歳まで生きられた患者さんの平均余命は10~15年あります。その半分は生きることができるように頑張りましょう」
というような話をされました。平均寿命は若くして亡くなられた方も含めての話です。75歳まで生きている方は平均寿命よりもっと生きられる可能性が高いという話(まぁ、それはその通りです)からです。
医療でもこの状況になった人とならない人…というので、道が異なるポイントというのがあります。血液領域であれば「抗癌剤が効くか効かないか」です。標準的な治療が効いた人と効かなかった人では最初の分岐点が違います。
本来、ABVd療法がよく効き、90%の人が5年生きるホジキンリンパ腫ですが、薬が効かない人って本当にいらっしゃいます。その場合はほかの治療薬を使用するわけですが(プラチナベースの抗癌剤になるでしょうけど)、それでも効かない場合の選択肢は骨髄移植しかないという話になります(範囲が狭ければ放射線治療もありますが)。
毎年、24時間テレビのドラマを(見れるときは)見ていますが、血液疾患もよく出てきます。今回も血液疾患ということもあり、医師ではない目線で・・・どのように患者さんや家族が病気に対して対応されているのかの一つの例を見ることができたような気がしました。
このブログでも様々な方がコメントをしてくださっています。コメント総数も5000を超え、相談も含めて患者さんやご家族の方のご意見をいろいろお聞きすることができ、勉強になっております。本当にありがとうございます。
今後も応援いただけますとうれしく存じます。
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。