こんばんは。
先ほど、教授の恐らく本当に最後の送別会が実施されていました。最後に教授にえらく気を使ってもらった気がしたので、少し頑張るとするかとも思ったり・・・。
さて、今日は様々な新聞で上がったこの記事から。
まずは朝日新聞。
肝硬変の新薬実験に成功 札幌医大チーム
2008年03月31日03時09分
根本的な治療が難しい肝硬変について、札幌医科大(第4内科)の新津洋司郎(にいつ・ようしろう)教授らのチームが新薬の動物実験に成功した。米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジー(4月号)に発表する。年内にも臨床試験を始め、肝硬変を完治させる薬をめざす(それは早すぎではw)。
肝硬変は肝臓全体が線維化して硬くなり、肝機能が衰える病気。国内では、肝がんと肝硬変で年に4万人を超える人が死亡する。肝臓で脂質やビタミンAをたくわえる星細胞が、コラーゲンをたくさんつくるようになることで起こると考えられている。 新津さんらは、コラーゲンの生成に欠かせないたんぱく質「HSP47」を抑える物質を合成。これが星細胞だけに届くよう工夫した「薬」をつくり、肝硬変を起こすように仕向けたネズミ72匹で効果の有無を実験した。
「薬」を注射されなかったネズミは、4週間ほどで肝硬変になって40日ほどでほとんど死んだ。だが、肝硬変ができてから「薬」で治療されたネズミは、すべてが70日たっても生き延びた。慢性の肝硬変の状態にしたネズミの実験でも効果があった。 肝臓を調べると、「薬」が星細胞を死なせ、肝組織がほぼ元の状態に戻っていた。新津さんは「単に肝硬変が治ったというだけでなく、肝組織を再生させる幹細胞の働きも活発になったと考えられる。星細胞がかかわる肺や心臓、腎臓、膵臓(すいぞう)の線維症など、他の病気の治療にも利用できそうだ」という。
HSP47を86年に発見した京都大再生医科学研究所の永田和宏教授は「肝硬変をはじめ線維化疾患の有効な治療法はまだ開発されていない。今回、画期的な方法論で肝臓ではっきりと効果が確かめられた。肝硬変の根本的な治療法として、大いに期待できると思う」と話している。
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次に北海道新聞
肝硬変治療、マウスで成功 札医大・新津教授ら開発の薬で 5年後実用化が目標(03/31 09:31)
札幌医大第四内科の研究チーム(新津洋司郎(にいつようしろう)教授ら十二人)は、肝硬変治療薬として、ビタミンAを含む複合体を開発、マウスへの投与で肝臓を正常に戻す実験に初めて成功した。三十一日、米国の科学雑誌ネイチャーバイオテクノロジー電子版に発表する。肝硬変は根治治療がなく、人への効果が確認されれば患者には朗報。新津教授らは年内にも米国で臨床実験を始め、五年後の実用化を目指す。
肝硬変は、肝臓内の星細胞がウイルスなどで刺激され、コラーゲンと呼ばれるタンパク質を作る。これが細胞を繊維化させるために起こる。 新津教授らは、星細胞がビタミンAを貯蔵する点に着目。ビタミンAを加えた脂肪(リポゾーム)の中に、siRNAという物質を包んだ複合体を開発した。
siRNAは、コラーゲンの産生を助けるとされる物質「HSP47」を壊す働きを持つ。この複合体が、繊維化した星形細胞に取り込まれると細胞自体を消滅させ、正常な肝臓に戻す。
実験では、肝硬変が進んだ六グループのマウスのうち、一グループ(十二匹)に、複合体を静脈注射。二週間に五回の注射で、すべてのマウスの星形細胞が消えた。残りの五グループにはビタミンA単独や、HSP47を壊すsiRNAとリポゾームを組み合わせた別の複合体などを投与したが、効果はみられなかった。
チームは肝硬変治療薬開発のため、複合体の組み合わせを五年にわたり研究してきた。新津教授は「複合体はコラーゲンを作った星形細胞だけに効果があり、正常な星形細胞には影響しなかった。投与後に繊維組織を取り除けば肝臓が再生するので、再生医療としての意義も大きい」と話している。 星形細胞は肝臓のほか肺や膵臓(すいぞう)など他の臓器にもあり、薬として実用化されれば肺線維症や慢性膵炎(すいえん)、心筋梗塞(こうそく)などの治療にも応用できる可能性があるという。
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この記事で画期的だと思うのはVitamin Aですね。
このDDRはすごいと思いました。正直、このアイデアを思いついた教授に脱帽です。 HSP47の話を少しすると・・・まぁ、コラーゲン産生のKeyになるのは書かれているとおり。 今後、商品化されるとすれば気になるのは・・・実は「老化」だったりする。まぁ、肝硬変に関しては大丈夫だと思っていますが・・・・。Dataなどから・・・。
宇宙医学において・・・ある先生が
「宇宙に出たときにあるmRNAが落ちている」
とおっしゃっていました(僕の大学の先輩ですけど・・・)。
その方の講演では、「帰ってきた宇宙飛行士のmRNAを広く探ったら・・・HSP47が落ちていた」と・・・。
HSP47のコラーゲン産生は当然、骨・筋肉・皮膚・・・などなどのコラーゲン産生を抑える。そうすると・・・骨年齢は下がるし、筋肉は落ちるし、皮膚は弾力を失う・・わけです。
その副作用だけが気になるところですが・・・・肝臓に関しては大丈夫でしょう。
何故って・・・血流が多い上に、まず最初にVit.Aを食う細胞が肝臓にいるわけですし・・・しかもそいつらが増えていて、それをターゲットにしているから。 だから、この実験はすごいと思う。
肝臓や肺以外に行かせようと思ったら・・・正直、VitA先行投与で、肝臓の星細胞を満腹にしてやってから、本命を叩き込むくらいしか思いつきませんもの。
そういう意味で・・・すごいなぁ・・・と思います。
逆にこれをやると・・・副作用が気になるが・・・星細胞が増えているような疾患なら、たぶん大丈夫なのだろう。
取り込みが亢進している細胞(星細胞)なので・・・。
こういう実験が・・・これから先出来なくなるかもしれません。なぜなら、今の日本の医療制度のため・・・・。
今後、日本発のTranslatinal researchがどんどん進んでいく事(そしてその中に自分がいる事)を期待したいなぁ・・・。
さて、先ほどの記事のコメントに老子の言葉を書いたので・・・一つ書き加えます。
僕の好きな言葉で「重は軽の根たり」という老子の言葉があります
重いものはどっしりとして、軽いものを支えている例えば・・・木の枝や花を支える根。 自分を鍛えたり、知識をつけたりする事は・・・自分が権力を得るためではなく、弱い人を助け(子供とか)、守り育てるためである。支えていくためである・・・という意味。
根となるほどの力があるかはわからないし・・・根であったとしても、深く広がる根ではなく・・・まだハルジオンのようなすぐに抜けてしまうような根かもしれない。
しかし、これから大きく広がりいろいろと支えていけるような根になれればと思う。
話は変わりますが・・・・最近酒が弱くなりました。ビール×3、ワイン×3+αしか飲んでいないのに・・・・少しほろ酔い。
・・・・・明日は、「厚労白書」「医療と社会」などの雑誌を読み漁りましたので、そこから書きたいと思います。
因みに・・・・今、ずっと悩んでいるのは・・・まだ、地方で残存する「医局制度」の良いところを残し、新たに「新しい教育システム」を導入するために最良の方法はどうするべきか・・・・という事。
自分が正しいと・・・Bestであるとは決していえない。しかし、悪いとは思えない。ただ、うまく機能するかどうかは別次元であり、予想より機能しなければ・・・「悪化」の一言で終わってしまうかもしれない
どうすれば、よりよい医療制度ができるのか・・・と、そんな事を悩んでいます。