こんばんは
当院(当診療科含め)今月で大きく診療体制の変更を余儀なくンされていますが、診療体制変更をスムーズに行うために患者さんの数を頑張って減らそうとしております。
まぁ、とはいうものの緊急入院が来たり、初発の白血病患者が来たりといつも通りの毎日となっております。まぁ、患者さんは減らないですからねぇ。治療のできなかった高齢者にも治療することができるようになって、患者さんの数は拡大する一方ですからね。
医師数はあまり増えないのに・・・(汗
この焦りを感じるのは「患者さんの生死」が短期間で決まる診療科だからでしょうか(待っていられないので)。
と、言うものの患者さんがいる以上、頑張るしかないのが我々医師・・ということで、燃え尽きるまで頑張るわけです(本当に燃え尽きないように気を付けてはおりますが、何せ自覚が足りないもので・・・)
臨床もそうですが、ぼちぼち研究をしないとと思う毎日です。最近はすれ違う仲の良い先生方に
「研究大丈夫?そろそろ臨床から一回離れないとまずくない?」
というありがたい一言をいただいております(笑
ますます、燃え尽きそうですね(笑
さて、それはとりあえずおいておいて、今日は非常に気になる記事を見つけました。
http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/140727/plt14072720060012-n1.html
【松本学の知って得する社会保障】「名より実」の日本医師会 混合診療拡大の“抵抗勢力”は本当に翻意したのか
保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」が平成28年度にも拡大される。政府の新たな成長戦略に新制度「患者申出療養(仮称)」として盛り込まれた。制度新設に向けた議論では、当初は「安全性、有効性が定まらない治療が拡大する可能性がある」と反発していた日本医師会(日医)が、土壇場になって容認へと“翻意”した。日医の狙いはどこにあるのか-。
「困難な病気と闘う患者が、費用を軽減しながら先進医療を受けたがっているということを、しっかりと受け止めなければならない」
安倍晋三首相は6月10日、視察先の都内の病院で、「患者申出療養」を導入する方針を正式に表明した。
新制度のもとでは、国内で実績のない治療や未承認薬投与を患者が希望する場合は、医療機関が国に実施計画を提出し、専門家による合議機関が安全性や有効性が審査する。審査の期間は原則6週間以内で、現状の3~6カ月から大幅に短縮されることになる。
混合診療拡大案は今年3月に政府の規制改革会議の提案という形で浮上したが、日医は、安全性確認の仕組みの不明確さや国民皆保険制度が揺るがすおそれがあることを理由に「到底容認できない」と強硬に反発した。
日医に加え、難病患者団体なども次々と反対を表明、厚生労働省も慎重姿勢を示し、調整は難航した。議論の末、田村憲久厚労相と稲田朋美行政改革担当相の6月6日の会談で新制度の大枠についての合意にこぎつけ、首相による10日の正式表明に至った。その直後の13日、日医は日本歯科医師会などと共同で記者会見を開き、新制度を容認する考えを示した。
こうした外形的な経過からは、日医が官邸に「屈した」ようにも見えるが、実情は異なる。
規制改革会議の当初案は患者と医師の合意があれば混合診療を幅広く認めるものだった。しかし、最終的な落としどころとなった「患者申出療養」は、専門家の合議機関が安全性を認めない限り混合診療の対象にはしないことなどが盛り込まれるなど、内容としては大きく後退した。日医など混合診療拡大慎重派への配慮の結果だ。
そもそも、現在でも混合診療を限定的に認める「保険外併用療養費」という制度がある。審査期間の大幅短縮などの変更点はあるとはいえ、新制度は「大枠では現行制度の範囲内」(厚労省幹部)にとどまる仕組みに過ぎない。
結局のところ、日医は「名より実」を取ることに成功したというわけだが、これは日医の横倉義武会長の政治判断が奏功した結果にほかならない。
横倉氏は安倍首相にも近く、政府・自民党との関係を重視する立場を掲げる。平成24年の会長選では、当時野党だった自民党との関係改善を主張、親民主党路線の現職を破り初当選した。今年6月には無投票で再選され、2期目にあたっての記者会見では「政権と敵対するということはありえない」「政権に対して、必要なことは必要だと持続的に訴えていく、そして理解を求めていくということを積み重ねる」と言い切った。
政権と敵対して抵抗勢力のレッテルを貼られるより、政権に食い込んで「実」を取るべきだ-。横倉氏の言葉の行間にはそんな姿勢がにじむ。
患者申出療養の導入に向け、政府は来年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。これに向け、厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)などでこれから具体的な制度設計が進むことになるが、日医に近い委員の主張によって、新制度がさらに「有名無実」化される可能性は高い
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産経新聞の記者さんは混合診療に賛成の立場で書かれているようですが、僕は基本的に混合診療反対の立場です。ちなみに日本医師会とは一切関係ありません。このblogはかなり日医の事もケチョンケチョンに書いていたりしますので。
混合診療に関しては過去にもいろいろ書いてきました。
混合診療解禁へ?:TPP向けかしら・・(月に100万近くを払い続けられるのか?)
僕はいつも医師として患者さん一人一人の病態に向き合って、ベストを尽くすことを続けてきたと胸を張って言えるつもりです。ただ、混合診療が導入されたときにどうなるだろうかといつも考えます。
1つめに患者さんの「生きるチャンス」が平等でなくなると思っています。保険診療内(これもいつも書いていますが、エビデンスとしてはしっかりしているのに保険診療内では「ある疾患には使用できるがこれはだめ」とか「これの副作用予防に有効であることはわかっているが、建前上使用できない」などいっぱいあります。この場合、やむなく保険病名をつけて投薬をするわけですがね、日本の医師の多くは。ただ、保険診療で一切認められていない薬剤が「金をかければ使用できる」となったときにどうなるか・・・。
Aさんには新薬「××」を使用できるが、Bさんには使用できない。Bさんにむしろ今必要なのに、Bさんはお金がかけられない。第一、保険診療外で治療するのに「高額療養費」も何もないだろうしなぁ・・・。どこからかお金が出せないだろうか・・・。
僕は患者さんの病態で悩む分にはまだ無い知恵を絞りだそうと思いますが、こんな不毛な悩みはしたくないと思っています。少なくとも混合診療だとそういう可能性もあるわけです。
病院もそのうち変わっていくかもしれません。公立、国立の病院は保険診療を主体で行くかもしれませんが、そのうち「混合診療中心」の病院は出てきてしまうだろうと思います。お金儲けることができそうですからね。
そして収入が多い病院に医師も集まるので・・・ある程度の収入がある患者さんはそちらに集まるだろうと思います。逆に収入のない病院では医師数がいないから、患者さんも診れなくなるなどの悪循環に入る可能性もあります
あくまで「患者」中心の医療であればそうならないと思いますが、もし念頭に「公的保険の負担軽減」があれば、自然と混合診療が増えていくことになります。
杞憂であればよいのですが、杞憂では終わらないような気がしてなりません。
皆様はいかがお考えになられますか?
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。