こんばんは
今日は少し病棟に顔を出しましたが、基本的に病棟業務から離れて研究に専念することとなりました。臨床は好きですが、研究しに大学に帰ってきたのでそろそろやらないと困ったことになりますので。
いや、すでに困っているのですが。
今日は病棟に顔を出して15時くらいから妻の実家へ行ってきました。週末だけ子供の顔を見ております。そのうちこちらに戻ってくるとは思いますが、しばらくは実家で妻ものんびりやってもらっています。
さて、今週はいろいろ医療記事がありました。
まずはこちらの記事を紹介します。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140812-00050009-yom-soci
読売新聞 8月12日(火)7時16分配信
厚生労働省は、高度な医療を担う大病院を、紹介状なしで受診する患者の費用負担を引き上げる方針を固めた。
軽症の患者の治療は診療所や中小の病院が担い、大病院は重症患者の治療に専念しやすくする狙いがある。厚労省は、社会保障審議会の部会で、対象となる大病院の基準や引き上げ額などを協議し、来年の通常国会に関連法案を提出したい考えだ。
厚労省は引き上げ方法について、〈1〉初診料(2820円)や再診料(720~730円)の患者負担を、現行の1~3割から全額に上げる〈2〉診療を受けて患者が負担する通常の費用に加えて定額の負担も求める――などの案を検討している。
現行でも、200床以上の病院は独自の判断で紹介状なしの患者に追加の自己負担を求められる。ただ、対象の約2700病院のうち、追加負担を求めているのは半数弱で、外来患者の6~8割は紹介状を持っていない。
--------------------------------------
確かに時々インターネットの知識で「○○という病気ではないかと思って・・・」と言って受診される方がいます。紹介状なしで来る人は数か月に1人くらいだと思いますが、「大丈夫ですよ」と理由をつけて説明して安心される方と、何故か納得していただけない方とがいらっしゃいます。
僕は大学病院とかが何でもいいとはとても思えないのですが・・・・。ただ、専門性を求める必要があるときは「大学病院」などの必要性は高いと思いますので、そういう患者さんがしっかりと診療できる体制を作るために、ある程度のアクセス制限は必要かもしれません。
続いてエボラの記事ですが、正直感染症は怖いですよね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140816-35052435-cnn-int&pos=4
CNN.co.jp 8月16日(土)14時58分配信
(CNN) 西アフリカ諸国で大流行するエボラ出血熱の問題で世界保健機関(WHO)は14日までに、犠牲者の増加に歯止めがかかっていない現状などを踏まえ、被害の規模ははるかに過小評価されていたと警告した。
WHOが今月13日時点でまとめたデータによると、ナイジェリア、ギニア、リベリアやシエラレオネでの死者数は計1145人。患者は少なくとも2127人に達した。11日時点では、死者は1069人、感染者は1975人だった。
WHOは14日の声明で、被害が判明した現場で働く職員らは死亡者や感染者の数が大きく過小評価されていたことを裏付ける証拠を見ていると述べた。感染は今後も一定期間、続く恐れがあるとも指摘した。
報告がこれまで届いていなかった感染の例もあるとみられる。被害が起きている4カ国と協力し、関連情報の入手拡大に努めているとしている。
---------------------------------------------
ポリオなどがワクチンである程度感染症を抑え込むことに成功しましたが、抗菌薬や抗ウイルス薬などでは「一定の効果」を上げるにとどまっています。要は効かないやつが残ってくるんですよね。
けど、アフリカとかでは抗菌薬が使用されていないせいか、「この抗菌薬ってこんなに効果があったんだ」と思うほど効くという話もありますが・・・。
最後にこちらです。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140816-OYT1T50129.html?from=tw
千葉県船橋市の高橋宏市議(38)が、自身のブログ(http://ameblo.jp/takahirominfuna/entry-11906106544.html)に輸血医療を巡る見解を書き込んだところ、批判が殺到する「炎上」状態となり、「反響が大きく、党に迷惑をかけたくない」などとして、所属する結いの党に離党届を提出していたことが分かった。
高橋市議は16日、長谷川大議長と会い、一連の経緯について説明した。議員辞職はしないとしている。
高橋市議は7日、「放射線照射した血を輸血しているという現実」とのタイトルで、輸血用の血液に放射線照射することが副作用防止に有効とする厚生労働省の指針に触れ、「放射線照射した血液、自分の体に入れたいという方いらっしゃいますか?(笑)」などと書き込んだ。
これに対し、閲覧者からは「根拠もなく全く間違った内容」「輸血しなければ助からない命がたくさんある」といった批判的なコメントが殺到した。
高橋市議は取材に対し「周りに配慮して自分の主張を曲げたくないから離党届を出したが、謝罪の必要性は感じていない」と話した。
-----------------------------------------
まぁ、これに関してはいろいろな医療系Blogで批判的な話が出ていますので、僕は先日実際に合った話を少し。
ある患者さんの家族におそらく「輸血が必要だろう」という話をしたところ、「家族の血液を使ってください」と言われました。他人の血液よりも家族の血液を…ということだったようですが、普通に一般論をいいました。
「実は輸血の副作用で一番怖いのはGVHDという輸血に交じっていた白血球が患者さんを攻撃する反応なんです。家族の提供した血液中の白血球は患者さんのものと似ているので、駆逐できずに一方的に患者さんが攻撃を受けて亡くなってしまう可能性があります。献血の他人(血縁ではないという意味)のものであれば白血球の型(HLAです)があっていることは普通ないので、この反応が起きたとしても数で優勢な患者さんが勝ちます。もっとも、その反応が起きないように放射線照射をしているのですけど」
と、答えました。
放射線照射をする理由はここにあります。
ちなみにこの関連は何名かの先生がblogに書かれています。
http://blog.livedoor.jp/dannapapa/archives/4150136.html
http://ameblo.jp/nodril/entry-11770523023.html
また、こちらのblog(http://www.xanthous.jp/2014/08/14/takahashi/)に高橋議員が
「輸血で助かっていると思っているのは実は、輸血という行為によって水分が補給され、電解質ミネラルが適性に回復しているためであるということです。その証拠に海外では多くの事例が存在しています。アメリカ、ニュージャージー州のイングルウッド病院では、血液の90%以上を失い、ヘモグロビン値が1.7に急落しても輸血せず、治療された例もあります。もう一度、前回の記事をお読み頂きたいのですが、「今すぐ全ての輸血を中止せよ」などとは一言も申し上げていません。言ってもいないことを言ったかのように批判するのは止めて頂きたいのです。」
と書いていらっしゃいますが、おそらくそれは出血性ショックなどで血圧が下がっているときの話です。その場合、医療従事者の大半は粘稠度の高い「赤血球」よりは生理食塩水や乳酸リンゲルなどの「細胞外液」を主体に「5%アルブミン溶液」などの膠質液をくみ合わせて血圧を維持し、それだけでは凝固因子などが欠乏するので「新鮮凍結血漿」をいれ、「赤血球と血小板」を入れていきます。緊急時は血圧の維持が重要で、それを行ったうえで足りないものを補充していきます。
まともな医療従事者であればそれを知っているはずですが・・・僕も初めて知りましたが、そういう知識を医療従事者が発信(http://tokyo-dd-clinic.com/)していると思うと悲しい話ですが・・・。
さて、明日の朝からは病棟からの電話はないだろうと信じて、朝のランニングを再開しようと思います。
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。