新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

HIV感染者の輸血問題:輸血の信用性が落ちたら社会的にも不利益

2013-11-27 21:09:26 | 医療

こんばんは

 

昨日、先週の失敗を再考して、いくつかやり方を変更して実験を始めました。今度はうまくいってほしいと思っていますが、それでもうまくいかなかったら関係ないのかなぁなどと思ったりもしています。

まあ、まだできることはいくつかありますが・・・よい結果を期待して。

 

さて、先日輸血によるHIV感染事案がニュースで流れました。

HIV血液、2人に輸血=検査すり抜け、感染を調査

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131126-00000037-jij-soci

時事通信 11月26日(火)10時26分配信

 エイズウイルス(HIV)に感染した献血者の血液が、日本赤十字社の検査をすり抜けて患者2人に輸血されていたことが26日、分かった。厚生労働省が輸血された人の感染の有無を調査している。検査をすり抜けて輸血されたのは2003年以来。
 輸血用製剤はウイルスを加熱殺菌できないため、HIVなどの感染防止には検査でのチェックが必要となる。日赤は03年の検査すり抜け事例を受け、04年以降、血液の一括検査をそれまでの50人分から20人分にして精度を高めていたが、防げなかった。今後、個別検査を検討する。
 日赤の検査で、11月に献血した男性のHIV感染が判明した。男性は今年初めにも献血していたため保管検体を調べたところ、HIV遺伝子が検出され、この血液が医療機関で2人に輸血されたことが分かった。当時は感染して間もない時期だったため、ウイルスなどが微量で、検査をすり抜けたとみられる。
 男性は、献血前に感染リスクを調べるために行っている最近6カ月以内の性的行動に関する質問に、事実と異なる回答をしていた。正しく書いていれば献血は認められず、検査目的で献血を利用した疑いがある。
 厚生労働省は、HIVに感染しても1カ月以上経過しないと検査をしても分からないことがあるため、感染の疑いのある人は献血せず、献血後に感染が判明した場合は日赤へ連絡するよう呼び掛けている。感染の有無は各地の保健所で無料、匿名で調べられる。

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少し前にシャーガス病の話があったころ、ちょうど似たようなことを書きました。

献血の感染チェック:シャーガス病は想定外

「輸血の感染症のチェックにはかなりよい機械が入っていて、例えばHIVに感染して2週間以内に献血(こういうのは検査目的で行ったんじゃないかと思いたくなりますが、ウイルスの数が少なければ検出できない可能性はあります。一般にwindow periodといいます:http://www.tokyo.bc.jrc.or.jp/tmpfile/yougo/detail51.html。ちなみに抗体法では6週間以上かかります。)しなければひっかけられますが、調べていないものはわからないわけです。」

実際に、日本赤十字の検査はかなり良いもので日本の輸血は世界でも最も安全な輸血だと思います。

 

この記事でも書きましたが、検査目的でウイルス量が増える前に採血しても検査で引っかかりません

今回の献血者はそれを行ってしまったような気もします。

 

ただ、一般的に献血されている方は善意でしていらっしゃいますし、検査目的で献血する人はほとんどいらっしゃらないと思います。今回のようなことで「日本の輸血」の安全性が疑われて、患者さんが安心して輸血できなくなるようなことがあれば、今回の献血者は「感染させた可能性のある2人」に対してだけではなく、日本の社会全体に対して不利益をもたらしたことになります。

 

そのような方がほかにいらっしゃるとは思いませんが、検査目的での献血はやめましょう。

 

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医療輸出へ特命チーム?:そんな余裕あるのかしら?

2013-11-25 21:39:10 | 医療

こんばんは

 

さて、もうすぐ11月も終わりですね。年末に向かうといろいろ考えるところも多いのですが、さしあたり今週は行事が多いのでその対応をしながら実験と外来を・・・となりそうです。

 

短い記事ですが、すごく気になったので一つ記事を書きます。

 

医療輸出へ特命チーム メコン流域国狙い政府

http://www.47news.jp/CN/201311/CN2013112501001265.html

 政府は、東南アジア・メコン川流域全5カ国を狙い「日本式医療」の売り込みに向けて官民合同の特命チームを月内にも設置する方針を決めた。日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)との特別首脳会議を12月に東京で開く際に、輸出拡大を目指し5カ国と医療協力を進めるとの覚書を会議の成果文書に盛り込みたい考えだ。政府筋が25日、明らかにした。

 安倍政権は成長戦略の一環として、最新医療施設や保険制度といった日本式医療の「パッケージ輸出」を掲げている。

-------------------------

メコン川流域ということで、ミャンマーやラオス、カンボジア、タイ、ベトナムといった国々だと思いますが、タイ以外の国はまだ医療システムなども不十分だろうとは思います。そしてそこに医療施設や医療制度を輸出と書いていますが、国民医療保険というシステムはともかく、設備などを輸出すると使い方やその他の事も含めて指導する人間が必要になると思います。

 

検査をするというのは「何かを疑い」それに対して「鑑別が進められる」ように「検査」をします。物だけ与えればよいというわけではないですので、いろいろと医療従事者も必要になるのではないかと思ったりします。

 

そんな余裕はあるのかしら?

 

それが本音です。

 

それとも健診など「医療ツーリズム」というようなところを中心に展開するのであれば、医師も含めて医療従事者がそれなりに必要になるとは思いますが、新たな輸出産業になるのかもしれません。言語の壁がなければ。

健康診断であれば問診が主体にならないと思う(日常診療・・・診断は問診が最も重要だと思います)ので、それであれば何とかなるかもしれませんが、日本国内の医療状況はみないのだろうかとも思います

 

今日、僕は予測外に治療が全く効かずに増悪した患者さんと2時間ほど次の治療に関して相談しました。本来、そのくらい話をする時間は必要だと思っています。普通の予約外来では難しいので、時間外で診療をしますが、そういうのを余裕がない診療状況というのではないだろうかと思っています。

 

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ちょっとした抗癌剤治療の話・・・その2

2013-11-20 23:21:38 | 医学系

書きだしたら止まらなくなってきました。

 

研究を続けるというのはある意味結果がすぐに出ないからしんどいですよね。将来、必ず患者さんたちの役に立って見せようとは思いますが、今は限られた時間しか診療もしていませんし、患者さんたちの役に立っているという実感が少ないのですよ。

僕は研究は自己満足で終わるのではなくて、必ず患者さんに還元できなくては意味がないと思っています。それができるかどうかで、今後の人生も決まるだろうな~。

 

さて、それでは少し書き加えていきます。近藤誠氏の話から書き始めた「ちょっとした抗癌剤の話」シリーズですが、僕は血液内科医ですから白血病や悪性リンパ腫など「抗癌剤だけで治りうる」疾患を対象にしています。そう、僕はもともと「がんを薬で治したい」「がんを撲滅するために、免疫を学びたい」「手術はしたくない(ネガティブw)」で血液内科医になりました。

 

ちなみに一般的に言われている話ですが、癌というのはがん細胞が1~2㎝、重さでは約1g(10^9なので、10億個)を超えると臨床的ながんということになります。白血病の倍化時間は非常に早いですが、一般的な腫瘍(転移性肺がんに関するネット上の記載は3ヶ月でした)の速度を考えると1→2→4・・・・・とすると30回くらい経たないとこの大きさになりません。90か月以上の経過ということになります。転移した癌は基本的に増殖速度は速いですので、実際は10年以上前にできた腫瘍が悪さをしてきているという話だと思います。ただ、ここから10回の分裂(増殖)する時間を経過するとあっという間に1kgまで大きくなるといわれています。

 

何が言いたいかというと、今いる癌はずいぶん昔にできたやつなんだという話です。

 

で、その癌に対して抗癌剤を一般的に使用するか・・・という話ですが、YesでもありNoでもあると思います。

 

まず、白血病などは抗癌剤がよく効きますし、手術で取りきるなんてできません。ワシントンではないですけど…全身の血を抜くつもりか(笑)

 

それでTotal cell killという話が出てきます。これは

1個の白血病幹細胞を移植すれば全身に広がり致死的になる

癌細胞の増殖は指数関数的で一定(対数グラフで直線)

抗癌剤の効果はがん細胞の数が多かろうと少なかろうと一定

という話から、すべてのがん細胞をつぶさないとダメ(1個残ればまた増えてくる)という話になりました。癌細胞の増殖速度よりも早く、多くのがん細胞をつぶしていこう…となったわけです。

 

癌細胞というやつらは・・本当は正常な細胞が「修正しなさい」という命令をしたら、自分を治して元通りになるのですけど・・その命令を聞くことができずに悪くなってしまったので。癌細胞は修復能力は普通の細胞よりも弱いわけです。それ故同じダメージを受けた後の回復は正常な細胞の方が早いと考えられています。白血病やリンパ腫の治療が抗癌剤を一定レベルで繰り返すのはそういう理由があるからです。癌細胞に大ダメージを与えれば、正常細胞の方が先に回復してくる(はず)。たとえ、増殖速度が「やつら」の方が早くても、回復速度はこっちの方が早いのだ・・・。

 

白血病では「増殖速度が常に早い」ということで・・・(専門的には違うことが書けますが・・・・難しいので、白血病などは増殖が速いので上の理屈が成り立つということにしてください)

一般のがん腫はどうか…という話になります。

 

固形がんの場合・・・専門家ではないので完璧な説明にはなっていないかもしれませんが、抗癌剤をよく使うグループで癌の研究をしている人間からのコメントだと思ってください。

 

固形がんの場合、上の「一定速度で増え続ける」という過程が間違いであるといわれています。一般的に小さい時にはよく癌は増えるが、大きくなると増えにくくなる(増殖が遅くなる)といわれています(Simonの仮説、Compertzian増殖モデル)

増殖速度が落ちる…という個とは理屈上「抗癌剤は効きにくくなる」ということになります。

 

よく、術後化学療法の話がありますが、僕は理屈的にはよくわかる話だと思います。一つ目の理屈はある程度の大きさの腫瘍を手術すると、血液中に癌細胞が流れているのが確認できるという話からです。別にどこかに定着できるかどうかは(要するに転移するという話)、その環境によるとされていますが0ではないと思います。

2つ目に統計学的に再発のリスクがある群、ない群で抗癌剤投与の有無で生存を比較をして差が出ていること。

3つ目は上の仮説を考えると癌細胞が少ない時の方が抗癌剤は効きやすいことになります。

 

以上から、術後抗癌剤治療というのは理にかなっているのだと思います。

 

もちろん、将来的にはさらに研究が進んでこういう人にはやったほうが良い、この人はやらなくてよいというのがわかってくるのだと思いますが、今はある程度「こういった患者さんたちにはやったほうが良い」としか言えないのでしょう。

 

治療をいつまで継続するか・・・に関しては、治療効果があって副作用が許容範囲であることが絶対条件だと思います。先日読んだ「悪医」という小説にも書かれていましたが、引きどころは難しい。

 

どのタイミングでも引く可能性は考える必要があると思いますが、個人個人によると思います。医師は常に患者さんのメリットとデメリットを考えながら治療の計画を立てています。患者さんによっては自由に動く時間が必要な方もいるでしょうし、患者さん個々に合わせるしかないのですよね。

 

そうすると将来の医師数が本当に心配だ・・・・。

 

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ちょっとした抗癌剤治療の話…その1

2013-11-19 21:49:30 | 医学系

こんばんは

 

先週は風邪でダウンして(インフルエンザの流行の兆しもあるようですが)大変でした。

実際、風邪でダウンした状態で外来と当直をしておりました。周りにうつすなよ・・・・という声が聞こえそうですが、まぁ仕方がないです。

 

さて、昨日コメントを返したのですが近藤誠医師の関連記事のところでは、いろいろご意見をいただきます。賛成反対いろいろあるのですが、僕は基本的に「時代が違うのではないか?」ということから、少なくとも・・もろ手を挙げて賛成する気にならないというところです。

 

というわけで、若造が書く内容ではないかもしれませんが抗癌剤の話を少しだけ。一応、血液専門医でもありますので。

抗癌剤治療と聞くとどう思われるでしょうか。

 

抗癌剤には大きく分けると今の時点では2種類あります。

 

従来の抗癌剤分子標的薬です。

従来の抗癌剤というのは代謝拮抗薬、アルキル化薬、抗癌性抗生物質など基本的には細胞毒性(一言でいえば毒物です)を持った薬剤です。ほとんどは難しい言葉で書くと「核酸合成」「蛋白質合成」「微小管」「DNA」などをターゲットにしていますが、基本的に「よく増えるもの」に対する毒性が高いものです。

基本的には「増殖しない」脳などにはあまり影響がないものが多いです。脳にも影響するのは血液脳関門を越えるMTX(メソトレキサート)が若干ある(白質脳症とか)かしら。神経系に関しては微小管が関連するビンカアルカロイド(ビンクリスチンなど)やタキサン系が有名です。

 

すなわち、普通の細胞よりも「増殖が速いはず」の「悪性腫瘍」に対して使用して、そちらを中心につぶそうというものです。そのため、正常であってもよく増えるところはダメージを受けやすいという欠点があります。有名な脱毛ですとか、消化管障害(消化器は菌と接していますので、常に新しいものが増え続けています)、そして僕たちが専門としている血液系があります。

 

その一方で分子標的薬というものも出てきました。

最初の分子標的薬は1997年にでてきた「リツキシマブ」になります。これは悪性リンパ腫などでCD20という標的を表面に出していたら、それに引っ付いて壊すという薬です(簡単に書きすぎかもしれませんが)。そうするとCD20というものが出ていない他のところには副作用がない。すなわちメリット(抗癌作用)がデメリット(副作用)を大きく上回るわけです。このメリットがデメリットを大きく上回る可能性があるのが、分子標的薬の特徴だと思います。

次に有名なものは慢性骨髄性白血病で標準治療となったbcr-abl阻害薬「イマチニブ」です。慢性骨髄性白血病は診断基準としてbcr-ablという複合遺伝子を持っていることが条件ですが、この腫瘍細胞は増殖にほぼ完全な「bcr-abl依存性」を示します。専門用語的にはoncogene addictionというらしいですが、要するに100%依存しているため、ここを何とかしたら病気の細胞が増えなくなっていきます。

 

では、他の癌細胞ではどうかといいますと、どちらかというと、この依存性が100%まで高くないものが多いというところだと思います。例えば肺癌の治療薬として有名なゲフェチニブ(イレッサ)では普通のEGFR遺伝子ではあまり効かないといわれています。逆に東洋人に多い「遺伝子変異」があるとよく効くので、それが使用基準となっていると思いますが、この異常がいいのかというと腫瘍細胞の増殖を強く刺激(腫瘍の増殖がこの遺伝子に依存している)しているから効いているといえます。

 

分子標的薬は「できるだけ癌細胞だけに効かせる」ことを狙いとしていますが、やはり多少なりとも副作用があります。ただ、患者さんのがんによってはとてもよく効く可能性を秘めているわけです。

 

普通の抗癌剤の効果は「がんの増える速度依存性」となりますし、分子標的薬は「がんがそれにどの程度依存しているかに効果が依存する」わけです

分子標的薬がわかりにくい気がするので、もう少し書きます。

 

例えばリツキシマブの効果はCD20という分子を発現している量に依存します。あまり強く表面いだしていなければ、リツキサンは引っ付きにくいですし効きにくいことになります。慢性リンパ性白血病ではCD20の発現は一般に弱いのですが、それに対してリツキシマブよりもよく引っ付く薬としてオファツムマブができたわけですが。

 

他にも同じキナーゼ系の阻害薬といっても、慢性骨髄性白血病におけるイマチニブ(含めたチロシンキナーゼ阻害薬)ほど絶対的なものはほとんどないと思います。これはその経路だけに依存していないということを示しています

 

慢性骨髄性白血病ではある池から別の池につながる川は1本しかありません。それ故、そこをふさいで染めば切り離すことができます。他の病気では2本も3本も出ているので、たまたま使用する薬が塞ぐ河が「本流」であるかどうかに依存してきます。

 

それを見極めることができるように、さまざまな研究がされている状況であると思います。

 

そういうわけで、僕たちはどういう患者さんにこの抗癌剤が効くのかを考えながら研究していたりしています。可能であれば日常診療で分かるものが、最終的に何かのシグナルを刺激していて、この抗癌剤が必ず効果を発揮する・・・というような発見をしたいものです。患者さんにいい意味で還元できますので。

 

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詳細は後日

2013-11-17 00:01:01 | 医療
こんばんは。

風邪を引いて、体調不良で寝込んでました。
まあ、その後外来、当直、研究会と続きましたが。
なかなか楽しい研究会でした。

その後、うちの大学を辞めた同期と何人かで東京で飲みに行き、いまに至ります。

当直中に来た患者さんに話を良く聞いてくれて、という理由と不安を解消してくれたと、涙を流されましたが、患者さんのことを最優先するとそういう話になって行きます。

たぶん、医師というのは患者さんと相対する時には、患者さんのことを第一に愛情をもって接するからだと思います

そんなことを思ってますが、先程気になる本を二冊見ました。
抗がん剤のやめ時に関しての話と、日下部羊氏の悪医という本です。
まだ、100ページほどしか読んでませんが、偏りはあります。ただ、全否定もできない感じです。
おそらく、7割以上は違いますが(^◇^;)

また、書きます。

とりあえず、帰宅中の車内から
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看護師の医療行為解禁問題:判断を適切に行えるかが重要かな

2013-11-10 10:00:32 | 医療

さて、もう一つだけ。

 

看護師の医療行為解禁へ 研修受講で気管挿管など可能に

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131109-00000009-asahi-soci

朝日新聞デジタル 11月9日(土)8時12分配信

 【辻外記子】厚生労働省は8日、医師の具体的な指示がなくても、看護師が一部の医療行為ができる制度の創設を決めた。国指定の研修を修了すれば自身の判断で、気管挿管や脱水患者への点滴などをできるようにする。医師がいなくても患者の変化に素早く対応できると期待される。

 この日の審議会の部会で最終案が了承された。次期通常国会に、保健師助産師看護師法の改正案を提出。対象の行為や研修内容を確定させ、2015年度の施行を目指す。

 最終案は、床ずれで壊死(えし)した部分の切除や点滴中の高カロリー輸液量の調整、抗不安薬をのませるなど、医師が主にしてきた41の行為を「特定行為」と位置づけた。研修を受けた看護師は、医師が事前に示した手順に従い、自身の判断でできるようにする。一般の看護師も、医師の具体的な指示があればできる、と明確にする。当初検討された「特定看護師」という資格は、日本医師会などの反対で見送られた。

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恐らく、これは賛成・反対の両方の意見があると思います。

 

脱水患者への輸液などを行うという判断を適切に行えるかというのが重要になると思います。脱水なのか心不全なのかを間違えたら話になりませんが、輸液の蘇生も違いますし点滴の方法(速度)も変わります。

 

脱水かどうか…という軽微な判断ですら間違えば状況を不利にすることがあります。その間違いを犯さないとは医師であっても看護師であっても言えないのですが、その場合にどうするのだろうか。看護師さんの判断ミスという話になるのか・・・?それとも仕方がないという話になるのか。仕方がないという話にならないのであれば、やりにくくなるかもしれませんね

挿管でも・・ある種の疾患では「この人は抜管できる可能性がある」という判断などは重要になります。

看護師さんの判断で…というのは病棟を念頭に置いているはずなので、入院患者(救急の現場ではなく)想定で話をしていますが、その患者さんの先行きを確実に判断していなければ…例えば「年齢的にも挿管したからといって助かる可能性は低い。せめて家族と話をしてから・・・」と主治医が考えていたけど、すでに挿管されていた。入れてしまった以上、抜くことはできないし(物理的にはできますけどね)…運が悪いとこのまま二度と家族はお話しできずに…ということもある。

 

いろいろな判断をしながら医師も判断していますので、同じような判断をできるのかどうか

 

挿管に関してはせめて主治医の判断を確認後くらいにしたほうが良いかもしれませんが・・・

 

皆さんはいかが思われましたでしょうか?

 

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東北医学部新設問題:どちらの意見もわかるが・・・どっちもどっちかな

2013-11-10 09:27:29 | 医療

おはようございます

 

最近、だんだん寒くなってきましたね。昨日うちの妻と池袋で買い物などをしていたのですが、寒かったですね。風邪をひくかと思いました。

若干南の方なのでもう少し暖かいといいなぁと思っていますが、大島で作業している方々が体調を崩されないように祈念しています。

 

さて、大島の話ではありませんが東北の医学部新設話です。

医師不足の東北で医学部新設をめぐり、医療界が対立しています。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20131107-00000351-fnn-soci

フジテレビ系(FNN) 11月7日(木)1時19分配信

三十数年ぶりとなる大学医学部の新設計画が進んでいます。その理由は、医師不足です。都道府県別の医師の数を表すグラフを見ると、関東から東北は、平均を下回る赤色が目立ち、医師不足が、東日本に集中していることがわかります。しかし今、東北では、医学部の新設をめぐって、医療界が対立を深めています。

仙台厚生病院の宮坂政紀医師は「1時間半ぐらいかけて、救急車でこの病院に紹介になるというのは、本当、ざらにあって。医者の数が、ほかの地域と比べて少ないんですね」と話した。
深刻な東北の医師不足は、医学部の新設で解決できるのか、議論の行方を追った。
2011年3月11日、津波によって尊い命が失われた宮城・石巻市。
復興に向けて歩みを進めるこの地域にとって、医療機関は、重要な役割を担っている。
宮城・東松島市のみやぎ東部循環器科は、急性心筋梗塞など、心臓分野の救急搬送に、3人の常勤医師だけで24時間対応している。
心臓の血管の中を映すモニター画面を見ながら、狭くなった血管部分を「ステント」と呼ばれるメッシュ状の筒で広げる「冠動脈インターベンション手術」。
ここでは、最先端の心臓治療を、日常的に行っている。
9年前に開設されたのは、仙台までの救急搬送におよそ1時間かかる、地理的な事情だった。
みやぎ東部循環器科の菊地雄一院長は「心筋梗塞の急性期治療で1時間ずれると、ダメージの程度が全然違いますから、それはすごく大きいですし、その1時間で失われる命もあります。心臓の病気が疑われた(救急搬送の)人は、絶対に断りませんよって約束をして、それを貫くことを、一生懸命、頑張ってやっています」と語った。
リハビリ中の70代の男性は、2013年6月、ここに救急搬送されて、九死に一生を得た。
男性は「心筋梗塞で、まあ気絶したというか。5~6分ぐらい意識なくなった。(仙台まで救急車で行くとなると?)大変ですね。ちょっと、もたないでしょうね」と話した。
まさに、「命のとりで」とも言える3人1組の医師チームは、気仙沼など、東北の5地域で活動している。
この医師チームを派遣しているのが、心臓カテーテル治療で全国有数の実績を上げる、仙台厚生病院。
今回、仙台厚生病院は、医師不足を解消するため、大学医学部の新設計画を打ち出した。
仙台厚生病院の目黒 泰一郎理事長は「お産もみられる、子どももみられる、脳卒中も、いろいろみられる総合臨床医を育ててですね、そして、それを3人1チームで送ると。永続性のある制度で、医師派遣ができる大学医学部、そういうのが必要だと」と語った。
10月、宮城県の村井嘉浩知事から、医学部新設を要請された安倍首相は、文科省に検討を指示した。
政府の動きを受けて、新たに、70年の歴史を持つ東北薬科大学が、仙台厚生病院とは別の医学部新設計画を公表した。
東北薬科大学の高柳元明学長は、「東北地方の医師不足、これは十分感じておりましたので、やはり機会があればですね、医学部を新設したいと」と語った。
しかし、宮城県医師会は、医学部新設に反対を表明した。
理由の1つが、東北の医師が、教員として引き抜かれる可能性だという。
宮城県医師会の嘉数研二会長は、「地域医療のスタッフの数がですよ、またそこでドンと引き抜かれてしまうということは、もう想像するに難くない。地域医療が崩壊する」と語った。
これに対して、仙台厚生病院の目黒 泰一郎理事長は「われわれは、東北以外から、臨床系教員(医師)は採用するし、人材(医師)が多いのが西なので、宮城にもし(医学部を)作ったとすれば、宮城に、急に医師が増えるという現象も作りたいと思っています」としている。
都会に医師が集中している地域偏在の状況についても、双方の意見は対立する。
宮城県医師会の嘉数研二会長は「医学部新設でもって解決されません、これは。卒業したって、(地方に)行かないんですから。へき地には行かないし、東北には残らないし」と話した。
一方、仙台厚生病院の目黒 泰一郎理事長は「奨学金の返還の代わりに、(医師不足の)地方に赴くっていう制度ですね。医師が足りないところに、はりつかないんじゃないかという問題は、解消できると思います」と話した。
政府は、東北の復興にとって、医学部の新設は必要と考え、申請手続きに向けた準備を進めている。

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自治医大の東北版みたいな感じの制度を作るんでしょうね。

さて、医学部新設問題でどちらの言い分もわかりますが、基本的には日本全国医師数は足りてないと思っています。3分間診療で仕方がないという日本の状況がおかしいとは思わないのかな~と僕は思っています。

 

先週の金曜日に埼玉県や東京などの血液内科医が集まって研究会をしていましたが、某先生が「一日に新患10名+予約60名」とおっしゃっていたそうです。僕も今は新患中心でやっているので良いのですが、昔は40~50人に新患という感じで、新患の患者さんに時間を割り振れば予約の患者さんは3分診療にならざるを得ない感じでした。

ひどいことを言うと、予約の患者さんにも軽重があって、外来治療している人は有害事象が出ていないか5分くらい話しますが、経過観察だけの人は再発していないかが中心なので1~2分にせざるを得ない。新患の患者さんを10分では終わらせられないので(20~30分はかかる。癌の可能性を秘めてきているわけで。しかも、物によってはすぐに治療に入らないと死亡率が増加する疾患)。

 

現在、新患中心でおそらく一人の患者さんに30分~1時間は使っていると思います。それ以外に治療開始後、もしくは状況が落ち着くまでの治療を僕がやっていますが、この時間の割り振りでようやく「一人一人にすごく納得のいく治療」ができるような気がします。

先日、紹介されてきた患者さんも「血液疾患」で紹介されてきましたが、その診断途中で「胸部大動脈瘤」が存在することが判明し、両方の対応をしております。たまたま胸部単純写真で分かっただけですが。

他にもそれまで見過ごされてきた様々な疾患が見つかって、うちにかかったがために3つの診療科を受診するようになった患者さんもいます。いくら軽症だからといって3分間診療が良いのかどうか・・・といわれるとよくはないような気もするのですが・・・。

現実的には僕は集約化と病院までの時間的距離の短縮、そして定員増の後に医学部の新設が必要な状況であれば医学部新設という考えでしたが・・・医学部を新設するのが本当に悪いかといわれれば悪くはないと思います。

ただ、地域医療の崩壊というのは可能性は0ではなくて…例えば埼玉県で700万人人口がいて、血液専門医は数十人。その人口からは一定ペースで患者が発生しますので、埼玉県の血液内科医的には「医師が不足」(あと看護師不足)という思いがあります。自分たちでいうのもなんですが、ほぼギリギリの状態で成り立っていて、そこから引き抜かれたらどこかが崩れていって、それで他の病院が割を食って、ドミノ倒し的に崩れていくのだろうと思っています。

 

西の方は人口当たりの医師数は多いわけですが、診療科によっては少ないところもありますし、地域によってもそうだと思います。そういう場所の先生ってたぶん能力的にも少ない人数でやっているから高いのではないかと思いますが、引き抜かれたらいきなり崩れていくかもしれないですね。

 

あと、懸念は「お産も小児も脳卒中も診られる総合臨床医」は厳しいと思います。産科はある程度の知識があるだけではやりきれると思いませんし、子供については小児の軽症を軽症と判断し薬を出すくらいまでで、専門診療を行うにはたったの3名では荷が重すぎます。

 

それに関しては申し訳ありませんが、焼け石に水のような発想である気がします(患者数にもよりますが3名で何でも診るのを回す病院なんて行きたいとは思いませんね。僕でも)

 

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ど~でもいい話:僕とH1

2013-11-02 11:41:25 | ど~でもいい話

こんばんは

 

今日はこの後リンパ腫の研究会(海外招聘講師2名が4演題と、国内2演題)がありますので、そちらに参加しに行きます。

そうやって情報収集しながら、毎日の臨床をしております。

 

さて、今日はど~でもいい話ですが、先日当直をしていた時にこんな電話がありました。2人目の患者(救急搬送)を受けた少し後の事です。その患者さんの診療中でしたが、3件目の電話が家族の方から来ました。

「○○と糖尿病でそちらの病院にかかっているのですが、夜の血糖値がH1とでるんです。3回やりましたが、3回ともH1とでるんです

と電話。

H1・・・?と思いましたが、すぐ意味が分かって

「あぁ、High(HI)と出ているんですね

はい、H1とでるんです

「・・・・・」

「H1と出たのは初めてなんです」

確かに最近治療が変わっていて、血糖値が動いたのだろうと思いましたので

「わかりました。こちらに向かってきてください。ご本人は大丈夫ですか?喉が渇いていたりしませんか?」

喉は乾いていて、先程ノンカロリーと書かれた飲み物を飲みました

「・・・・・(甘いやつね)」

 

結局2列並行で診ながらやっておりましたが、患者さんの家族と患者さんと看護師さんとH1がHigh(HI)であることがわかり、笑いに包まれました。当然脱水の解除と血糖値を程よく下げる処置をして帰宅してもらいましたが、ちょっと面白い話でしたので、ど~でもいい話ですが記事にしました。

 

そんなに高くなる人は少ないと思いますが、簡易測定器ででるのはH1ではなくてHIですよ~

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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なかのひと 

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それでは、また。

 

コメント (2)
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