さて、続けます
そもそも人間関係において「一方の話」だけ聞けば、必ずそちらの「色眼鏡」で物事を見てしまいます。 喧嘩している人の仲裁に入るとしたら、両方の話を聞くと思いますが・・・なんでもそうですよね。
それは普通です。
そんなことをこの記事を読みながら感じました。
閑想閑話:「マスコミは病院側を取材せず記事にしたんです」… /島根
毎日新聞 10月29日(金)15時4分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101029-00000187-mailo-l32
「マスコミは病院側を取材せず記事にしたんです」--。医師不足に悩む大田市の「地域医療シンポ」で、千葉県のNPO法人「地域医療を育てる会」の藤本晴枝理事長は報道陣にとって衝撃的な内容を語った
▼07年に同県東金市で救急搬送された心肺停止の男性が、14回受け入れを断られた後死亡したと一部マスコミが“スクープ”した。だが同会の取材では、打診先は当直医1人で他の患者を次々処置中か、処置できる人員の無い病院だったとのこと。藤本さんは「消防署に聞いた話を書くだけで、記者は医師不足の現実に触れようとしなかった」という
▼前に他県で医療ミス隠しを記事にした際、病院の主張と現状も極力取材した。心ある医療スタッフは協力してくれた。「医療現場をよくしよう」との思いで、綱紀粛正という結果を残せたと自負している。スクープ欲で一方的、安直な取材をしていれば、何の実もない記事ができただけだったろう。医療報道は何のためのものか、改めてかみしめている。【鈴木健太郎】
10月29日朝刊
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むかし、救急搬送された患者さん。吐き気が主訴でしたが、統合失調症もあったので「水中毒」の可能性を考えて検査をしたら、Naが11●でした。Naの補正をするために入院したら痙攣重責で、しょうがないので挿管して、CV入れて…というようなことを夜中にひとりでやっていました。
もういちど家族を呼んだら、「大量服薬」していて、その他の検査結果から「悪性症候群」であることがわかり、翌朝救急部に引き取ってもらってセンターICUに行ったという人もいました。初めてダントロレンをみたのはこの時でしたw
こんなレベルの患者さんを一人で引き受けたら、病棟で何かあったときに動きが止まります。
これは家族が救急隊にも伝えていなかったので、家族に問題があるわけですが・・・
よく救急車を引く後輩が「AML2人」+「ショック」患者を受けた日がありました。
そもそもショック患者を単科当直に受け入れ要請する救急隊もどこかずれていますが・・
まぁ受け入れる方も「おぃ」という状況ですけど。
この時はもう当直の後輩はショック患者で手いっぱい。
そこにAMLの受け入れ要請があって。病棟の余裕はともかく、この地域でAMLの治療ができるのはうちだけですから受けれざるを得ない。
だからこそ、
「受け入れていいよ。病棟はこっちで診るから。」
と言ったときに、後輩から
「先生、申し訳ありませんが、救急隊の受け入れからお願いできませんか?」
と言われ
「はぁ?何言ってんの。お前何しているの?」
と言ったところ、ショック患者の対応中でした。
これは救急部でないと駄目です。まぁ、救急部ならどうにかできたかと言えば無理でしたでしょうし、結局家族がこれ以上やらないと言ったのですけど。
その日、僕が研修医を全員呼び集め、振り分け、AMLの対応が終わった後に検査結果をみてUKカテーテルを入れて、緊急透析の体制を整え、腎臓内科のスタンバイも完了し、挿管の準備まで整えたところで
「家族が透析も挿管も必要ないということです。昇圧剤もこれ以上はいらないと」
・・・・
「先生、祝祭日にありがとうございました」
と、腎臓内科の先生にお礼を言い、その日は終了・・・。
単科当直が受け入れられるところには限界があります。
これだって、単科当直に加えて・・たまたま救急(内科分野のみ)が得意な僕、研修医5名(内科●の)、腎臓内科などが集まって、救急部のような対応をしたわけですが、祝祭日ですからね・・・。
当直以外でも本当は限界があります。
例えばうちの血液内科、現在5名。スタッフは教授と講師だけ。僕ら3名はあくまで別管轄で動かされる医師です。
たぶん、すべての大学病院で「血液内科医」が一番少ない病院じゃないか…と思ったりしています。
昨日、後輩とそのような話をしていました。
「うちの診療科ってスタッフは5名ですよね」
「5名って内科●として?」
「はい。ありえないなと思って。」
「そだね。血液内科としてもスタッフ2人+俺ら3名だしね」
「他の大学ってどうですか?」
「普通は前線に5,6名はいるだろう」
と言って、各大学病院を調べると…やはり10名以上いるんですよね。
「うちって頑張ってますね~」
「頑張っているけど、綱渡りだよなぁ」
誰かが倒れたらそれで一気にきしみますからね。
病院長などがこの状況を理解してくれていて、何らかの対応をしてくれると助かるのですけど。
まぁ・・・僕は・・・この状況でかく陶冶されていったのですが・・・・。
そんなことを考えていたら・・・後輩から
「ここだとドラ○エでいったら4人でパーティを組んで、旅に出るところを一人で旅しているようなもので、経験値は稼げますよね。大変ですけど」
と言われ、思わず大爆笑しました。
http://blog.with2.net/link.php?602868
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話がずれましたが、大学病院でも、うちだとこんな感じになっています。地方だったら当然受け入れられる状況であるかは・・・説明も要りません。
自分が受ければその人が助かるならともかく、自分が受けてもその人は助からない(自分にはその技能がない、人手が足りない、など)上に、助かられる人も助けられなくなる。 そう考えたら断ります。
僕は先日も言ったように「受け入れられるのであれば、受ける方」です。それでも、無理なものは無理とはっきり断りますし、逆に「それは大学病院の血液内科などで受けると、本当にここでしか対応できない患者を受けられない」と思った時も受けません。
医者は自分が人の命にかかわっていることをよくわかっているので、「自分では無理。ここでは無理」なら「無理」と答えますし、受け入れなくてはと思えば受け入れます。
ただ、それが100%やれるほどの医者・看護師はいません。
それが日本の医療だと思います。
それでは、また。
P.S:今日は体調が悪いかな・・・やはり。