こんばんは。
当直になる前にひとつ記事を・・・・。
先程本を読みながら何故か医療の需給に関して考えていました。
医療の需要は当然増えるばかり、供給は急激には増やせない。当然の見解です。当たり前のこと・・・。
では需要をどうすれば抑制できるか・・・。そう考えて20分。あれこれとんでもない意見まで考えましたが・・・
とんでもない意見というのは、年齢で完全にTriageする。ある一定以上の年齢の方は大きな病気になっても積極的な加療適応なしと判断し、救急搬送も病院受診もしない・・・。
そこまでやれば「需要」は減るでしょうね。医師として言うべきことではありませんし、やりたいとは決して思いませんが・・・。
しかし、誰にも医療が提供できなくなるというのであれば、まだその方がましか…とも考えたり。
他に需要を減らす方法はないか・・・と考えると、過去にも意見が出ていた「軽症」はコンビニなどで購入した薬で対応する…など、軽症患者をきちんとTriageする。
病院にかかる前に「Traigeセンター」のようなところでどのような処置を受けるべきか尋ねる。できるだけ基幹病院などに軽症患者がいかないようにする。
結局のところ需要の制限は「Triage」をどのように実施するか…にかかってくるのだなぁとしみじみ考えていました。
一方で供給を増やす方法はないか…ということも考えました。医療の供給、つまり医療従事者や病院などのことですが、日本に関しては「社会福祉」が未発達な国のため「介護」などの対応が病院に依存していたりします。
3月頃、近くの病院から意識不明の状態で運ばれてきた肺炎のおばあちゃんは、大変元気になられましたが(本も読んでるし。うらやましい)、介護の体制を整えるまでもうしばらく入院になりそうな・・・・。
転院先を探すよりは、介護体制を整えるほうが早そうなのでそのまま診ていようと思っていますが、介護施設なんて全く足りていませんし・・・・総合的に「医療・福祉の面でどれだけ供給不足なんだろう、この国は・・・」と思ったりしております。
供給を増やすためには当然、まずは「人的資源」になりますが、医師はすぐには増えません。6年制の医科大学を卒業し、臨床研修を経て・・・少なくとも8年は・・・今から増やそうとしても増えません。さらに、増やそうとしてもいつも書いておりますが、「教育」ができるような体制ではない。
まぁ、体制は作り直せばどうにかなると思っていますが、今のままでは不可能でしょう(笑。・・・・・・・・・笑いごとではないのですがw
看護師さんも「家庭と職場の両立」(医師も同じです、男女問わず)などの問題や「勤務体制」など様々な問題で辞めていく人は多いですし、実際に看護師不足が最大の原因でうちの病院は稼働病床数を200床削減していますしね。
これをどう整えていくのか。実際に勤務している看護師さんの数はどのくらいなのか…国は様々な対応をしなくてはならないですね。
医師の代わりにベテラン看護師に一部医師の仕事を…という話もあります。例えば風邪…などに関して(最近は発熱外来などもありますけど)基本的な処方は「風邪を治す」薬がない以上、対症療法になります。
この症状がある人にはこの薬などとある程度は振り分けられるかもしれません。しかし、風邪の中にいつも紛れている重症患者・・・これを見逃すと痛い目に会います。
医師であっても見逃さないとは言えないのですけど、このような場合の「責任」をどうするのか。様々な問題はあります。ちなみにこれもTriage的な要素になります。
医師や看護師が患者さんの搬送や検査検体の運搬のメインになっている場合、これを他の方々が代わりにやったり(医療メッセンジャー)、様々な医療の供給増加の手段はあると思います。
医療は医師だけでやるわけではないのですから…と言いたいのですが、そういう体制になっていないのですよね。
医師と看護師の「役目」の違いはあっても、上下関係はないのですが、どういうわけか「医師主導」の体制なので困ります。 そのあたりも本当は「今の医療」の限界かもしれません。
供給をどう増やしていくか。医療業界だけでなく、他の分野の体制改善も必要なのだろうとも思います。
あと「医療」の考え方でしょうか。 医療を「国の礎の一つ」であると考える僕のような人間は「多くの人が安心して働ける」ように国や企業などがサポートしてもよいのではないかと思っているのですが。
今まで僕は「医療」が損なわれると経済にも影響しうると書いてきました。
「新型インフルエンザ」で「病気」というものが「経済」に与える打撃が大きくなるということを実感できたのではないかと思います。経済界が「医療」をどのように見ていくのか、それが改善される日が来るのではないか・・・そういう期待もしております。
医療現場を「今」改善させるために、もう一度需給について考えてみました。
需要の要は「如何にTriageするか」であり、イギリスのような家庭医制度を持って「Triage(制限、選択)」するもよし、他のシステムにするも良し。しかし、Triageなくして、現時点での改善は無理でしょう。
また、供給の要は「役割分担」であり、また役割をふやすことで医療従事者の数ももっと多くの職種、人数にするべきだろうと思います。
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そして総合的に「医療」を日本人がどう考えていくのか。 それが重要なのだろうと思います。
さて、明日はまた当直です。体調はかなり悪いのですが、仕方がないですね。代わりがいないんですもの・・・。
死なない程度に頑張ります(笑
では、また。