こんばんは
実験と臨床と、忘れていた血液学会の発表準備に追われております。そして、10月1日になったらICD (Infection Control Doctor)の申請と移植認定医(初年度は学会参加証明ができず、二年目はセミナー受講証明書を紛失し・・・3年目の正直です)の出願をします。まぁ、ここら辺は準備はできていますが、11月末にある輸血認定医試験はそろそろ準備しないとなぁと思っています。
やることが多い(汗
あとはICLSのディレクター資格が取れそうなので、JMECCのインストラクターを繰り返し経験して、そのうちブース長、ディレクターと狙ってみようかと思っています。
さて、先日川島なおみさんが亡くなられました。そのことでMSNに長尾医師のコメント記事が出ていました。
長尾医師、川島なお美さん闘病を解説「すぐに手術していたら…」
テレビドラマ「失楽園」などで知られる女優の川島なお美さんが24日に亡くなったが、その治療方法などについて、ネットで話題となっている。がん治療に詳しい医師の長尾和宏(57)に川島さんが選んだ治療方法について聞いた。
兵庫県尼崎市でクリニックを運営し、「町医者」という肩書に誇りを持って地域医療に従事する内科医で、さまざまなコラムでも全国的にファンを持つ長尾氏。がん専門家で独自理論を展開している近藤誠氏の治療法に疑問を呈した本「長尾先生、「近藤誠理論」のどこが間違っているのですか?」(ブックマン社)を夏に出版している。
長尾氏は、胆管がんについて「胆管とは肝臓で造られた胆汁を十二指腸に運ぶ管のことで、肝臓の中にある肝内胆管にがんができると、肝内胆管がんと呼び、胆管がんはかなり進行するまで症状が表れないため、早期発見が難しいがん」だという。
「早期発見には腹部エコーが有用であり、CTやMRIによる精密検査が行われる。進行すると、黄疸、腹痛、食欲不振などの症状が出る。原因としては、肝内胆管の結石、高脂肪食、印刷工場での職業歴が知られている。わが国の2013年の胆のう・胆管がん死亡数は男性約8900人および女性約9300人で、それぞれがん死亡者全体の4%および6%を占めている」
川島さんは「人間ドックで自覚症状が出る前に発見されたことは幸運だった」というが、「手術をためらい、手術までに6ケ月の間が開いたことはマイナスだったかもしれない」という。「少なくとも、発見されてすぐに手術をしていたら、経過が異なっていた可能性がある」と話す。
また川島さんは抗がん剤治療を行っていなかったが、「根治性を期待できる手術は受けて、手術後の抗がん剤も放射線治療も行わなかったという川島さんの選択は、とても良かった。実際、早期に仕事にも復帰もできていたようです。もし抗がん剤治療をしていれば、あれほど早く仕事に復帰できなかったことは、川島さんご本人が一番わかっていたはず。たとえ主治医から勧められても、彼女のように『抗がん剤はやらない』という選択はもちろんあります。そして報道から知る限りにおいて、抗がん剤をやっても結果はほぼ同じか、かえって寿命を縮めた可能性が高いはず。少なくとも、抗がん剤をやらなかったから再発して死に至ったわけではない」と語る。
ちなみにワインとがんの関係性については「一般的には、ワインはポリフェノールの作用でがんの発生には抑制的と考えられている。ただしアルコールは飲み過ぎると肝硬変や脂肪肝になるので危険。ワインと胆管がんの直接の関係は知られていないが、ワインのつまみとして食べるチーズやハムソーセージ類などの高脂肪食が、胆管がんに関係した可能性は充分ありえます。またもし川島さんが喫煙もされていたなら、リスクを高めた可能性はある」と話す。
そして最後に「川島さんは亡くなる直前まで、皆さんの前に姿を現し、仕事をしていたこと、一切弱音を吐かなかった点は、見事というか、あっぱれの一言だ。がんでも最期まで働けることを証明した初の芸能人ではないか」といい「その根底には『平穏死』の思想があったことに気がついて欲しい。平穏死の思想は老衰だけではなく、がんでもまったく同じ。本人、家族、そして医療スタッフとも『枯れていくことを待てた』ことで最期まで仕事を続けて、食事をして、笑顔でいられたのだと思う。川島さんのがんは、悪性度の高いがんであったのだろうが、手術後1年半も生きられたので、少なくとも手術が彼女の寿命を縮めた可能性は極めて少ない。なによりも、川島さんは自分のいいタイミングで、治療の『やめどき』を自己決定、何よりも前向きさをわれわれは見習うべきだと思う」と話していた。
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まず、川島さんのご冥福をお祈りいたします。
長尾先生が書かれている(わけではないので、もしかすると言っていないようなことも書かれているかもしれませんが)ように、人間ドックで偶発的に見つかりにくい癌が見つかったのは運がよく、そしてすぐに手術に行けば完治したかもしれないというのは確かだと思います
ただ、いつも書いているように「たら、れば」はないので、わかりません。
そして書かれているように「抗癌剤をやらない」という選択肢はあります。実際に、抗癌剤がよく効く「血液疾患」ですら、僕の説得(しかも、標準的な対応なんですが)を断られて、本人の納得のいく形での緩和的な治療(まぁ、本人がやはりやりたいと言えば動きますが、どうしても後手にまわります)をしている人もいますし。まぁ、今までの生活が続けられて、症状は改善しているので、ご本人は満足されていますが(家族は治療を受けさせたいと思っていらっしゃるようですが)。
ただ、あくまでこの記事に書かれているものを読んで「固形腫瘍の抗癌剤治療はやっても同じ」とは考えないでください。やったほうがよいものはいろいろありますし、一つ一つの病気(できた場所)、その性質、広がり具合…さまざまなもので変わってきます。
こういった記事を極解するのはやめてください。治療を受けている人はきちんと主治医の先生と相談してください。そのうえで自分で選択したものを最良の選択だと信じて病気と対していけばよいのだと思います。
長尾先生が書かれている「治療のやめ時」という話ですね。
そういう意味では川島さんは記事に書かれているように「納得」できる人生を歩まれたのであれば、よい病気との付き合い方をされたのだろうと思います。
明日はまた実験や学会発表準備をします。もう、今日になっているか・・・。
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。