新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

TPPは医療に影響を与えないのではないか?

2012-03-31 22:37:07 | 医療

こんばんは

 

先程風呂の中で明日参加するつもりの「TPPと医療」に関して考えておりました。考えても結論は出ないのですが、まぁ情報が少なく、正しい情報かどうかがわからないのに考えるだけ無駄かもしれませんw

ただ、必ずある結論にたどり着く前に、逆を考えるべきだと思っています。必ずアンチテーゼを何かを決める前には考えるべきだと。ただし、決めたら力のベクトルは一方行に行く必要があるのですけどね。分散したら力の無駄だしw

明日の会は・・・「堤未果先生の思いを語る会」ですが、

主催  
任意団体 TPPと医療を考える会
   代表 医師 栫井 雄一郎
特別顧問 医師 色平哲郎

ということで、先ほど日経メディカルを確認していました。

日経メディカルブログ:色平哲郎の「医のふるさと」

2011. 1. 24

TPP参加で医療は…

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/201101/518226.html

 農村医療の現場から眺めていると、菅直人首相が言う、幕末、戦後に続く
 「第三の開国」を目指したTPP(環太平洋戦略的経済パートナーシップ協定)への参加は暴挙と映る。

 TPPとは、2006年にシンガポールやニュージーランドなどの4カ国で始まった経済連携協定のこと。加盟国の間で取引する農産物、工業製品、金融サービスの関税を、即時または段階的に関税を撤廃しようとしている。知的財産や、人の移動なども協定に含まれている。

 菅首相と同じく、TPPに前のめりの前原誠司外務大臣が、日本のGDPに占める農業の比率は1.5%とした上で、「1.5%を守るために98.5%を犠牲にするのか」と発言したことには呆然とするばかりだ。

 農業が食糧の安定供給のみならず、国土の保全や防災、景観などに資する「社会的共通資本」であることを全く顧みない暴言だ。
 これで日本は大丈夫なのだろうか。

 現政権が議論を経ず、いきなり「TPPで開国」と言いだした背景には、米国政府の強い影響があるようだ。

 TPPに参加すれば、農業だけでなく、医療も破壊的な圧力を受ける恐れがある。
 米国は2国間のFTA(自由貿易協定)でも、モノの輸出ばかりでなく、医療、金融、法律などの諸分野におけるサービス輸出を追い求めている

 TPPに加われば、医療分野では、小泉政権下の悪夢が再来し、市場原理主義の嵐が吹き荒れるのではないか、と懸念される。

 具体的には「株式会社方式による医療機関経営」「保険者と医療機関との直接契約」「混合診療全面解禁」などを強く求められることだろう。
 行き過ぎた市場化は、総合的な医療サービスを低下させ、公的医療保険の給付範囲が狭められて、医療格差をますます広げる。患者の負担は増大し、負担に耐えられない人は切り捨てられる
 医師や看護師の国際移動で「頭脳流出」が深刻化し、医療従事者の不足と偏在がさらに顕著になる。
 地方の医療は荒廃し、日本が世界に誇る国民皆保険制度が瓦解する……。

そんな最悪のシナリオが思い浮かぶ。

 TPP参加論者は、自由貿易が工業輸出を増やし、国を富ませると主張する。
 しかし、2002年から07年にかけて、日本は輸出主導で好景気だったが、利益は株主と企業に回り、勤労者たる一般国民には還元されなかった。
 一人当たりの給料は下っている。内需の拡大こそ、重要なのだ。財政再建に向けて税収を増やすためにも内需主導の景気回復が求められる。

 新しい形の公共投資も必要だろう。
 そこで医療・介護・福祉の雇用をもう一度、見直していただきたい。
 医療・介護・福祉に従事する若い世代にお金が回る仕組みを整備することが、日本を担う次の世代の希望につながるのだと思う

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結論に関しては同感ですけど、いろいろ考えたいと思っています。市場原理主義の嵐、構図がほとんど郵政民営化と同じだから書かれるのでしょうけど。お金がすべてって。

あと、きっかけも似ているからですかね?ちょっとWikiから紹介します。

郵政民営化に対しては米国からの強い要求も存在した。 2004年10月14日に公表された「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」(略称:年次改革要望書)には日本郵政公社の民営化の要求が明文で記載されている。米国政府は要望書で自国保険業界の意向に沿う形で「簡保を郵便事業から切り離して完全民営化し、全株を市場に売却せよ」と日本に要求している。郵政民営化について政府の郵政民営化準備室と米国政府・関係者との協議が2004年4月以降18回行われ、うち5回は米国の保険業界関係者との協議であったことを2005年8月5日の郵政民営化に関する特別委員会で大門実紀史参議院議員の質問に竹中平蔵郵政民営化担当相が答弁で明らかにしている。

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で、結局・・・外資系保険会社が加わってきて何が変わったのだろうか?

 

 

2012. 3. 21

「アメリカの『失われた10年』が私たちに警告すること」

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/201203/524087.html

 社会の流れは、複雑そうに見えて、実は大きな潮流で動かされている。
 「政府は必ず嘘をつく」 (堤未果著・角川SSC新書)は、その流れをとらえた好著だ。

 「原子力ムラ」というのは日本独特の利権集団なのかと思っていたら、米国、英国、フランスなど核兵器と原発を保有する国々でもほとんど同じ構造があるようだ。

 原発推進にマイナスになる情報は政府や国際機関が隠し、嘘をつく。
 原発を推進する資本の側は、どの国でも、「不都合な事実」を握りつぶそうとするのだ。

 たとえば1979年3月に起きたスリーマイル島原発事故の後、原子力産業の資金を使って調査をしたコロンビア大学は1990年に「放射能流出の人的影響は軽微、因果関係は証明できず、発癌率増加はストレスによるものだ」という発表をした。

 これに対し、ノースカロライナ大学のスティーブン・ウィング助教授たちは独自の調査で、事故から18年後に、「原発の風下にいた住民の肺癌や白血病の罹患率は2~10倍」というデータを発表している。

 ほかにも、米国のハンフォード原子力施設で働いていた2万4939人の労働者を29年間にわたって調査分析したトーマス・F・マンクーゾ博士は、癌や白血病にかかるリスクが
一般労働者よりも数十倍高いことを世界で初めて疫学的に証明した。すると米国政府は、マンクーゾ博士を「危険人物」リストに載せ、博士の研究成果を抹殺し、研究費を没収したという。

 堤氏は、原発事故への対応だけでなく、環太平洋経済連携協定(TPP)についても、日本政府が重要な真実を隠していると警告する。米国政府がTPPへの日本の参加を求めるのも、グローバル企業の意向を反映しているからではないのか。関税を撤廃し、「非関税障壁」と呼ばれる、それぞれの国の規制や法律を無効化しようとする原動力はグローバル企業のあくなき市場化への欲求だ。

 グローバル経済の本家本元である米国自身で、無保険ゆえに毎年4万人の患者が死亡し、100万人が高い保険料のために破産しているという
 グローバル企業にとって、99%の市民の国籍は意味を持たず、単なる経済的な「数字」でしかないのが現実だ。

 この本の副題「アメリカの『失われた10年』が私たちに警告すること」を端緒に、この潮流を把握しておきたい。

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僕は高校時代に日本史の先生から「お前は理系ではなくて、どう考えても史学だろう。お前なら慶応とか一流の大学で研究ができるぞ」と言われるくらい、歴史大好きなんですが、歴史を考えればいつでも政治がすべて「本当のことを言う」ことはないだろうと思います

まぁ、それはおいておいて。TPPと医療ですよね。

 

僕も混合診療解禁という話に関しては、以前書いたように反対です。「生命の平等」「生きる機会の平等」が失われてしまうから。また、儲けを出すためには患者が来るところに病院が集中する(都会に多くなり、地方に少なくなる)ことになりますしね。そういうことです。

 

ただ、混合診療を解禁しないという話になった場合にどうなるか…ということです。実際、今そういう話になっていますが(ここが本当ですか…ということかもしれませんけど)。

 

仮に関税なしで医薬品業界が日本国内に入りやすくなったところで、混合診療にさえならなければよいのではないだろうか。なぜかって多くの制約企業が国内に入ってきたら、その薬剤を使用したいと考える。混合診療だと高い金を払って、それが使用できる人が増えるかもしれない。しかし、混合診療でなければそれを使用するためには承認を受けるしかなく、ドラッグラグが少しでも解消するかもしれない

少し良いような気がしませんか?…医者が大変になるかもしれないですがw 

しかし、今度は保険の問題にはなってきます。医療保険が持つのか・・・ということです。

 

あとは流通の拡大が人の移動にもかかわってきます。その場合の諸問題も考えるべきなんでしょうね。医学の問題であれば「感染症」の問題でしょうね。

 

あと、日本医師会のTPPに関する見解(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20120314_1.pdf)より

日本医師会が考える「国民皆保険」の重要課題
1.公的な医療給付範囲を将来にわたって維持すること
2.混合診療を全面解禁しないこと
3.営利企業(株式会社)を医療機関経営に参入させないこと

とあります。

国民皆保険に関して公的医療保険の維持と混合診療禁止は僕も同意見です。民間の医療保険の参画が公的医療保険に影響するわけもないので(これは国家の方針だけでしょう)、僕的には混合診療だけです。

3つ目に営利企業を医療機関経営に参入させないこととあります。ここに関していろいろ書かれており、納得するところもあるのですが、少しアンチテーゼを考えてみようと思います。

 

日本にアメリカ企業が入ってくるためには・・・日本の医者がやっていることを向こうの医者もやるということにならないかしら?
以前、クリントン現国務長官が日本の医療を視察に来たとき「日本の医師の聖職者のような献身に日本医療は支えられており、アメリカの医師には同じことはできない」と言いました。

2011年の欧米諸国のDataですけど・・・・。

 アメリカイギリスドイツフランススウェーデン日本
人口千人当たり
総病床数
3.1 3.3 8.2 6.6 13.7
人口千人当たり
臨床医師数
2.4 2.7 3.6 3.3 3.7 2.2
病床百床当たり
臨床医師数
79.4 91.1 44.1 49.3 15.7
病床百床当たり
臨床看護職員数
350.8 289.9 133.2 123.5 69.4
平均在院日数 6.3 7.8 9.8 12.9 5.8 33.2
人口一人当たり
外来診察回数
3.9 5.0 8.2 6.9 2.9 13.2
平均寿命(男)

アメリカと同じことは日本ではできないとおもいませんか。少なくとも日本の医者と同じことをしなくては、医師数が足りな過ぎて・・・。

仮に営利目的で自由診療を行う病院を作るとします。そこは恐らく医師の数と患者の数がそれ相応になるように設定されるでしょう。そうでないと、患者の満足が得られない。日本の医師数では3分間診療、時間外も頑張るという医療にならざるを得ない。それゆえ差を作るためには完全自由診療で、特別な少数の患者がいく病院になるのだと思います。あとは自由診療じゃないですけど、個室料金とか・・・病院のブランドによる影響などもありますが、現時点でいろいろありますよね。

そう考えるとほとんどの人は行かないでしょう。日本の医療がアメリカや他の国々に劣るわけではなく、どちらかというとレベルはかなり高い。安く医療を受けられる病院と高い自由診療の病院では話にならない。だから、営利企業を参画させると混合診療を解禁させようとしてくる。できることが増えることで、優位性を保とうとする。

しかし、前提を混合診療は解禁しないとするならば営利企業が参画してきたところで何も起きはしないのではないだろうか?

仮にスペシャリティの高い医師を自国から呼ぶとします。アメリカから来たり・・・。言葉の壁は大きいだろうなぁ。先日アメリカ人を少し診察する機会があったのですが、大変でしたよw 横にいた英語がとてもできる方は「通じていた」といってくれていましたが・・・w

ついでに言うなら医師数が増えるなら、今の日本にとっては多少なりともありがたいことかもしれない。

 

考えれば考えるほどTPPが医療に与える影響は、「混合診療の解禁」がなければ何も起きないという結論に至ってしまうのですけど。そして混合診療は解禁されないという。僕はまだよくわかりません。コメントなど皆さんから頂ければ嬉しい限りです。

 

僕は明日は全体な流れを見つつ「TPP反対ありき」の雰囲気であった場合に、アンチテーゼを出してみようと思っています。もし、全体の雰囲気が両者均等であれば、横からそっと様子を見て参考にさせてもらおうと思います。全体の雰囲気で決めるのは、結論が一つに決まっている話などは発展性に欠けるからです。相手の意見を理解し、こちらの意見も理解してもらい、より良い第3案を作るのが重要だと思っています

 

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「子供を医者にさせたい」か?

2012-03-31 19:39:50 | 医療

こんばんは

 

今日は本当にすごい風でしたね。仕事で屋外にいる間は雨は降ってこなかったのですが、終わり際の15時ころから雨が降り始めました。帰ってくるころには横殴りの風雨で大変でした。本当にw

 

さて、たまたまYahooの見出しでこんな記事を見つけました。

ドラマで共演した萩原健一から「寂聴さんを師匠みたいに思っている」と聞かされて以来、瀬戸内寂聴さん(89)に会いたいと思ってきたという東山紀之(45)。今回その願いが叶い、2人の対談が実現した。

「今までにいろいろな誘惑がいっぱいあったでしょう。この仕事を一緒にしませんか、いいビジネスがあるからしませんか、というのが」と寂聴さんが話を振ると、東山は、母親についての知られざるエピソードを語り始めた。

「僕はこの道で生きていきたいですね。バブル経済の末期、理容師の母は生活を安定させようと自分の店を開こうとしたり、僕の将来を思ってマンションをいくつか買っていたようです。それがバブルの崩壊で巨額の借金が残って……。僕が7~8年かけて返済しました。そのとき、僕は商才のない母の血を引いているのだから、芸道以外のことに絶対手を出すまいと決めたのです」

昨年11月には、女優で妻の木村佳乃(35)が待望の第1子となる女児を出産し、パパとなった東山。「もし男の子ができたら、あなたのような俳優にさせたいと思う?」と寂聴さんが聞くと、彼はこんな“夢”を明かした。

いや、僕は今の子もそうですけど、医学の道に行ってほしいなと思っているんです。大震災後に被災地をお訪ねする機会があり、人の命を救える医学がいちばん大事なのかなと、思いました。本人がどう選択するのかは任せるんですけど、僕の希望はやっぱりお医者さんですね
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もちろん、本人の意思が一番重要だと思いますが・・・少しうれしく思います
医者という職業が「人の命を救える医者にさせたい」とか「人のためになれる医者になりたい」とか思っていただける職業であるというのが、医者の一人としてますます人のためになりたいと思うばかりです

 

僕は逆に「子供を医者にさせたいですか?」と言われたら、何とも言えませんが本人次第と答えるのでしょうね。やりがいはありますが、今後はどうなっていくかよくわかりませんから

 

結構今日は疲れたなぁ。風呂が沸いたみたいなので、さっさと風呂に入ろう。

 

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未熟児救命の話と事故調の話

2012-03-30 21:24:25 | 医療

さて、もう一つだけ。

 

先日、風はば先生から「堤未果先生の思いを語る会(https://ssl.form-mailer.jp/fms/8117bf75189800)」を誘っていただきました。後学のため、TPPに関するさまざまな意見・考えを確認するために参加してみようと思います。

TPPと医療を考える・・・。さて、どういった内容かな~と思っております。

 

さて、少し良い記事があったので紹介します。

 

超未熟児3つの病気併発 小さな命、助かった 
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20120330153210683
 

(2012年3月30日) 【中日新聞】【朝刊】
 
静岡県立こども病院 4診療科連携

 静岡県立こども病院(静岡市葵区)は28日、命に関わる重い3種類の病気を心臓などに抱えた超未熟児の治療に成功したと発表した。病院内外のスムーズな連携や、国内5例目の新技術を用いた人工透析などが救命につながったという。 

 病院によると、治療を受けたのは沼津市の加藤寛之さん(32)の長男健(たける)君(生後4カ月)。胃に穴が開く胃穿孔(せんこう)や、細菌が血中に入り全身の臓器に感染する「敗血症性ショック」、胎児期の血管が生まれた後も残り正常に血液が流れない「未熟児動脈管開存症」の症状があった。

 健君は母裕子さん(31)が妊娠26週の昨年11月24日、伊豆の国市の順天堂大静岡病院で932グラムで生まれた。20日後、腹部が膨らむ異常がみられ、こども病院にドクターカーで搬送された。搬送中はほぼ血圧がないなど、危険なショック状態だった。

 到着してすぐに開腹手術で胃の穴をふさいだ後、人工透析で血液の毒素を除去。5日後には心臓の血管を閉じる手術をした。人工透析は、技術改良により超未熟児にも使えるようになった療法で、こども病院では昨年4月に導入していた。

 無事に手術を乗り越えた健君は、順天堂大静岡病院に戻り、ことし2月28日に退院。体重は2290グラムまで増え、後遺症もなく元気だという

 こども病院は新生児未熟児科と小児外科、腎臓内科、心臓血管外科の4診療科の連携がスムーズにできたと説明。新生児未熟児科の佐藤慶介副医長(34)は「一つ一つの症状はよく見られるが、複合的に抱えて命が助かった例は珍しい。同じ症状の患者や家族の希望になる」と話している。 (美細津仁志)

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たぶん、PMXか何かの未熟児用を使用したのでしょうけど、難しい状態を乗り越えて子供が元気に育っていると聞くとうれしいですよね。そういった患者さんがいるだけで、医療にやりがいが出るというものです。

さて、同じような新生児関係の話で、これも新たに同じような患者さんの救命に役立つと思うので、いいことだと思います。

 

岐阜大病院 「新生児集中治療部」を新設

(2012年3月30日) 【中日新聞】【朝刊】【岐阜】
 
 岐阜大医学部付属病院(岐阜市柳戸)は4月1日、早産の未熟児や先天性疾患のある新生児を治療する新生児集中治療室(NICU)などを置いた「新生児集中治療部」を新設する

 NICUと、状態が安定した未熟児を治療する「継続保育室」(GCU)にそれぞれ6床ずつ置く。県内では5番目となるNICUで、病床は計48になる。

 厚生労働省は年間の出生児数一万人当たり、25〜30のNICU病床を基準としており、県内の出生数では40〜50程度が必要。これまでも基準は満たしていたが、ほぼ満床状態が続いている。

 治療部は156平方メートルで、分娩(ぶんべん)室に直結して新生児をスムーズに移動できる。肺へのダメージを抑える最新型の呼吸器や、仮死状態の赤ちゃんの後遺症を防ぐ「脳低温療法」を導入し、小児科や産婦人科の医師9人と看護師ら26人が対応する。

 先天性疾患の治療法開発や、新生児医療を担う医師や看護師の人材育成にも取り組む

 29日に開設式があり、小児科の折居建治医師は「NICUを持つ他の医療機関と連携して、病床を有効に回していきたい。(妊娠から新生児までを扱う)周産期医療の環境改善へ一助となれば」と話した。

 NICUはほかに、岐阜市の県総合医療センターと長良医療センター、県立多治見病院、大垣市民病院にある。(斉藤珠美)

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このように、地域ごとに大きな問題をもつような新生児を助けることができる施設ができています。 

 

 しかし、それでも絶対に助かるというわけではないです。妊娠は安全なもの、子供も母親も助かるのが当たり前と思っていてはいけない。ただ、できるだけ子供が元気に、親も元気に生まれてほしいというのがすべての人の願いだと思っています

 

そのために頑張っている医療従事者(NICUだけでなく、子供を取り上げる産婦人科やその後生まれた子供を評価し、対応する小児科医、そしてサポートする看護師・助産師さんをはじめとしたいろいろな方々)のことを少しだけ心のどこかにとどめておいてほしいなぁ・・・と思っている今日この頃です。

 

なぜかって、昨日書いた「医療事故調」関係の話で、「報告書が訴訟に使用されるのは仕方がない」というM3の記事を見たので。

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(略)

 ヒアリングを基にしたディスカッションで出された質問の一つが、事故調査と刑事告発との関係。全国医学部長病院長会議の検討案では、「真実を正確に説明し、院内事故調査の報告書を交付する。事故調査の説明を受けた患者家族らが刑事告発し、刑事司法が介入することもあり得る。異状死の届け出が必要ない場合でも、患者家族へ真実を正確に説明することで、刑事告発が誘発される可能性もある。しかし、院内事故調査委員会の自律性を維持するためには必要不可欠。これは医師のプロフェッショナル・オートノミーの理念に基づく」とされている。

 南山大学大学院法務研究科教授で、弁護士の加藤良夫氏は、この部分を指摘し、「これは当然の感覚か」と質問。これに対し、ヒアリングの対象者は、「刑事告発される可能性はあり、その権利を奪うものではない」(日医常任理事の高杉敬久氏)など、いずれも否定はしなかった

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大野病院の医師をはじめ多くの医師が患者さんを助けようとしているのだということを忘れないでいただきたいと思っています。殺そうとしたのではなく、助けようとしていた。

 

それが罪に問われる、刑事訴訟にあるようであれば、医師がリスクの高い診療科からいなくなるのは仕方がないことではないでしょうか。医師本人だけであればともかく、その医師には妻も子供もいるかもしれないからです。 お金だけではなく、夫・父親が訴訟の対象になれば、世間の目はどうなるかということになります。どれだけ自分自身のことは絶えることができても、子供がいじめの対象になるかもしれないなどと思えば、気持ちは揺らぐかもしれません。 

 

それでは、明日も仕事なので失礼いたします。

 

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小児科の入院患者はどの程度受け入れられるだろうか?:志木市立市民病院、日大光が丘病院問題

2012-03-30 21:19:23 | 医療

こんばんは

 

先ほど帰ってまいりました。床屋に寄ってきた後で、本屋により、「7つの習慣」で有名なスティーブン・R・コヴィー博士の「第3の案」先日コメントいただいた「政府は必ず嘘をつく」を買ってきました。この後、読みたいと思います。

 

さて、本日は小児科の問題で有名になった二つの病院の記事を紹介します。

光が丘病院、地域医療振興協に使用許可- 東京都

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/36935.html

 日大が3月末で練馬光が丘病院(東京都練馬区、一般342床)の運営から撤退する問題で、東京都は30日、後を引き継ぐ公益社団法人「地域医療振興協会」に使用許可証を交付した。光が丘病院では、既に診療体制を縮小しており、職員の交代などを経て、4月1日午前零時に病院は引き継がれる。後継法人の公募の際、区は小児や周産期などの機能維持を掲げていたが、新病院の常勤医師数は、小児科と産科で現在の半数程度となる予定だ。

 これまで光が丘病院は、特に小児救急と周産期医療の分野で、地域医療に大きく貢献してきた。とりわけ小児科は、常勤医15人(専門医は11人)と非常勤医師に加え、系列の板橋病院からの派遣もあり、年間8000人以上の夜間救急患者の診療を行ってきたが、都によると、新病院の医師数は70人(常勤換算)となる見込みで、このうち小児科の常勤医は9人にとどまる見通し。

 区によると、同協会では、小児科医による24時間対応の診療を行い、入院患者の受け入れが可能な体制を整えるとし、産科については、4月から分娩を前提とした妊婦健診を開始し、今後さらに体制を充実させるとしている。
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志木市立市民病院:小児科入院医療休止で揺れる 来月休止、一転撤回 秋以降見通し立たず /埼玉

 志木市立市民病院(同市上宗岡)が、小児科の入院医療休止問題をめぐり揺れている。長沼明市長がいったんは経営難を理由として4月からの休止を発表したが、その後方針を撤回し秋ごろまでは入院患者を受け入れることになった。しかし受け入れ患者数は半減しそうなうえ、秋以降の見通しは立っていない。赤字経営の改善策として、市は公設民営化などの経営改革を検討しているが、こちらも具体的な道筋は不透明だ。【高木昭午】

 市民病院は79年開院。内科、外科などを有し、病床数は100床。このうち小児科は45床で、救急患者を引き受け年間にのべ約1万2000人を入院させてきた

 長沼市長は1月に休止方針を表明した際、小児科の年間赤字額が約1億6000万円に上ることを挙げた。市によると、小児入院患者の約8割が新座、朝霞、和光、富士見、ふじみ野の5市と三芳町の患者だという。長沼市長は「周辺70万人の小児救急を、人口7万人の志木市が担うのはつらい」とも述べた。

 休止に反対する6市町の首長は3日後、「応分の負担をするので入院医療の継続を」と要請。長沼市長は、3月末で退職が決まっていた清水久志院長ら小児科医3人を慰留し、4月から半年程度は、院長は非常勤、他の2医師は常勤として病院に残ることになった。

 1月の段階で、市民病院の後を受け小児入院医療に名乗りを上げたのが「菅野病院」(和光市)だった。しかし同病院は条件として、志木市など4市に年約1億円の財政支援を要請。4市は難色を示し菅野病院は小児医療を断念した。子供の入院先確保は再び志木市の肩にかかった。

 市が3月定例議会に提出した来年度病院予算では、小児入院を9月まで続け、10月から休止することになっている。長沼市長は秋以降について「予算とは別に、入院医療継続に努力する」と話すにとどまっている。

 清水院長は毎日新聞の取材に対し「4月には非常勤医師や看護師の一部が退職し、今の小児科45床が実質20床程度になるのは避けられない。私や他の2医師が残るのは長くて9月まで。その後の見通しはない」と話す。

 一方、病院の赤字体質の改善について、市は2月、外部識者らによる「市民病院改革委員会」を設置。特定の大学名をあげた付属病院化案なども出されたが、2月の最終報告書では、運営を民間法人に委ねる公設民営化か、独立の法人格を与える地方独立行政法人化すべきだとの提案になった。市は3月、庁内にチームを設けて検討を始めたが、結論を出す時期は明示していない。【高木昭午】

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この2つの病院の問題は隣接した地域の問題で、今後の小児科医療が本当に危ぶまれる状況です。

 

志木市立市民病院小児科が12000人の患者を年間に受け入れていたということは、45床でほぼフル稼働していたことになります。それは実質20床になれば、半分の患者は受け入れ不能な状態になるかもしれません

もちろん、9月までの間残って頑張られる小児科医ができるだけのことをされるとは思いますが、それでも難しいかもしれない。また、10月以降は小児ぜんそくの入院が増えると思われます。その時期以降の見通しが立たないのは不安なことです。

 

この地域の医療のためにも何らかの対策が練られることを祈念いたします。

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東電に関して:国民などに対する「借り」を認識しているのだろうか?

2012-03-29 22:07:18 | Weblog

もう1つだけ

 

東電の記事を見て少し「う~ん」と思いました。

3月29日 東電“殿様商売”変わらず…恫喝同然の「値上げ更新」発言http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120329/biz12032903020000-n1.htm

2012.3.29 03:00 産経抄

 元朝日新聞記者の本多勝一さんは、『NHK受信料拒否の論理』の著者として知られる。NHK沖縄放送局営業部のスタッフが、支払いを拒否する視聴者に、「本多さんも払ってます」と説得した。

 ▼ところが、この視聴者が本多さんに連絡を取り、事実ではないとわかったそうだ。数年前、ある新聞が伝えていた。ウソは絶対にいけない。いけないけれど、なんとか集金しようとしたスタッフの熱意も伝わってくる。

 ▼東京電力の場合はNHKと違い、顧客が料金の支払いを拒否すれば、電気の供給を止めればいい。それどころか西沢俊夫社長は昨年末、「値上げは事業者の権利」とまで言ってのけた。「電力の自由化」とはいえ、新規参入業者の供給力には限りがある。顧客に選択肢がない独占企業の「殿様商売」に、世間はあきれたものだ

 ▼4月からの企業向け料金の値上げについても、契約期間内なら拒否できることを契約者に十分伝えなかった事実も発覚した。厳しい経営環境のなかで、昨夏の節電に協力した企業の経営者が、怒りの声を上げるのも当然だ。東電によれば、値上げに同意した契約先は全体の13%にすぎない。

 ▼それでも「上から目線」の姿勢は変わらない。「電気をお届けすることは、なかなか難しい」。27日の会見で、契約更新に至らなかった場合の対応について、こんな発言が出た。丁寧な言葉遣いながら、恫喝(どうかつ)と受け取られても仕方がない。

 ▼福島第1原発事故をめぐる賠償問題の解決や、原発の再稼働に向けて、現場では多くの東電職員による懸命の努力が続いているはずだ。彼らの目に、事故の責任を自覚していないかのような幹部の振る舞いは、どう映っているのだろう

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値上げは事業者の権利ということだが、義務は果たしているのだろうか。

東電に「行政指導」 経産相、一方的電力停止に難色

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120329/plc12032913080010-n1.htm

2012.3.29 06:07 野田内閣

 枝野幸男経済産業相は28日、東京電力が電気料金の値上げに応じない企業には一定期間後に電気を止める可能性があると説明していることについて、一方的な対応をしないよう行政指導する方針を明らかにした。

 枝野経産相は参院経済産業委員会で、電気を止めることについて「契約や法律でこうだから、と機械的な対応をすることは社会的に許されないと思っている。行政指導をする」と語り、東電が柔軟な姿勢で顧客と協議するよう求めた。

 家庭向けと異なり、企業など大口顧客向けの電気料金は国の認可なしに上げることができ、東電は4月1日から平均17%値上げする方針だ。

 経産相は「東電が自ら起こした原発事故や、その後の値上げの対応が適切でない結果として、今日の段階に来ている」とこれまでの東電の態度を批判。「(規制がない)自由料金部門だから経産省として直接関与できないが、あらためて東電に厳しく指導したい」と強調した。みんなの党の松田公太氏への答弁。

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少なくとも震災が起きたことは東電が悪いわけではないし、震災前の段階では自民党と東電が、震災が起きた後の対応は民主党と東電に責任があると思う。一方的に悪いというつもりはないが、関東知事会などが申し入れたようにいろいろやるべきことはあるのではないかと思う

記事がすべて正しいと思ってみてはいないのですが、まったく的外れではないと思う。少なくとも電気料金の値上げは。本来つぶれて路頭に迷わなくてはいけない(少なくとも幹部は、取締役級は・・・事故対応の後に総辞職するくらいのつもりでいてほしい)はずのものが、多くの公的資金が投入されている

 この時点で国民や各会社にかなり支えてもらっているのだから、・・・と思う。

 

借りたものを返さないのは問題だと思うが、東電の社長らは「借りたという認識(正確にいうと借りたわけではないが、支えられているという認識)」がないのではないだろうか。これはかなりたちが悪いと思う。

 東京電力は29日午後、政府の原子力損害賠償支援機構に対し、公的資金1兆円の資本注入を申請した。賠償や原発停止による燃料費増大で財務基盤が著しく悪化しており、債務超過を回避するための措置。同時に、福島第1原発事故の賠償費用として8459億円の追加支援も要請した。

 西沢俊夫・東電社長はこれらの内容について、きょう午後4時から、本店で記者会見して説明する。

 要請が認められれば、公的資金による東電への資金支援は、原子力損害賠償法に基づく1200億円を含め、3兆5000億円規模となる。

 賠償支援機構は出資に伴い、東電の過半数の議決権を得たい意向だが、議決権の比率などが当面の課題となる
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皆さんはどう思われますか?
 
 
 

 

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医療事故調の話、久々に登場:システムエラーを解決するために作るのが本筋だと思う

2012-03-29 21:27:38 | 医療

さて、続けます

 

久しぶりに医療事故調のニュースがありました。

 

 
 厚生労働省の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」(座長=山本和彦・一橋大大学院教授)は29日に会合を開き、病院団体など医療提供者側から、医療事故調査制度についてヒアリングをした。ほとんどの病院団体などが、事故調査は院内の「事故調査委員会」を基本にし、患者や遺族がその報告に納得しない場合、第三者機関に委ねる仕組みを提案したところ、患者側委員を中心に、第三者機関の位置付けなどは慎重に検討する必要があるとの指摘があった。同検討部会では今後、患者や遺族、法曹関係者などから第三者機関のあり方などについて意見を聞く。

 この日の会合では、医療提供者を代表して、同検討部会の委員である日本医師会(日医)の高杉敬久常任理事や、参考人として招いた日本医療法人協会(医法協)の伊藤伸一副会長らから、事故調査制度についての考え方を聞いた。高杉委員は、日医がまとめた事故調査制度に関する提言を説明した。この提言では、すべての医療機関に「院内医療事故調査委員会」を設置した上で、その委員会の調査依頼を受け付けた第三者機関が再度、検証を行うとしている。この第三者機関は、医療界と医学界が一体的に組織し、運営するものだ。

 伊藤参考人は、医法協が提案する事故調査制度を紹介した。この制度は、患者や遺族が院内事故調査委員会の報告書に納得できない場合、医法協が設置する「原因分析委員会」が選任した調査員で構成される検証チームに、報告書の検証を依頼する仕組み。伊藤参考人は、「医療事故は、医療の専門家自らが、公正な視点で行うべき。医療界全体の意図的なモラルハザードで起きているわけではないため、医療以外の第三者による独立した事故調は、医療事故にはそぐわない」と述べた。

 意見交換では委員の間で、「医療の質向上や医療安全のために事故調査が必要というのは、共通認識と受け止めた」(加藤良夫・南山大大学院教授)などと、院内での事故調査の必要性は確認されたが、第三者機関については、慎重な議論を求める声が聞かれた。山口育子委員(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「患者の話を聞くと、まずは院内での説明。そこで納得いかない場合に、どこに行くかということ。次は第三者機関をどうするかを骨子に議論すべき」と指摘。豊田郁子委員(医療事故被害者遺族)は「院内事故調に比重を置くのか、第三者機関をしっかりつくるのかはまだ(意見が)統一されていない。次回以降の議論では、患者が何を求めているかを取り入れてほしい」と述べた。
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医療事故調を何のために作るのか。
 
平成20年に出された案ではいろいろな問題があり、多くの医療従事者が反対したのは有名なところです
今回の試案の内容がどうなっていくのかはわかりませんが、以前のような内容では医療は委縮していくことになります。
 
本来は航空機事故などと同じように「同じような案件が二度と起きないように」ということでシステムエラーを解決するために作られるべきであり、前回のような個人の吊るし上げのような内容ではいけないという話です。

この記事の中で「医療の質向上や医療安全のために事故調査が必要」というのははずれではないですが、あたりともいえないような気がします。
 
システムエラーを改善するための「パワー」が不足しているので、おそらく安全弁の複数設置ができないのではないかと思うからです。
 
とりあえず今後の話を見守っていきたいと思います。
 

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勤務医の労働時間ガイドライン

2012-03-29 20:45:27 | 医療

こんばんは

 

今日は朝7時過ぎから英語、その後は資料作成、健康管理業務などをやり、仕事が終わってから走りに行っておりました。日が長くなってきたので夕方に走ったりするのも、やりやすくなりました。

やはり体を動かすのは心身両面に良いと思います。

 

先程、M3の医療ニュースを見ていたら

「医師の健康確保、医療の質向上に不可欠」

日医委員会、「勤務医の労働時間ガイドライン」作成を提言
という記事がありました

ということで、そのガイドラインを紹介します。

出典は「勤務医の健康支援に関するプロジェクト」です。10ページから見てみてください。

 

2.医師の労働時間の適正化を図る目的
勤務医の労働時間等が適正に設計され、管理されることの重要性は論を待たないが、少なくとも次の3 点をその理由としてあげることができる。

表1 医師の労働時間を適正に設計し、管理、適正化する意義
1. 医師の健康は医師自身のみならず、その家族、社会にとって重要である
2. 勤務医の健康確保は、医療の質の向上を図り、患者安全と国民の健康を確保する基盤となる。
3. 勤務医がその専門性を十分発揮できる勤務設計、労働時間管理を行うことは、労使の自主的な合意形成によって支えられた診療所・病院(事業場)の健全な事業体運営にとって不可欠である。

 

3.医師の労働時間ガイドライン作成にあたって考慮すべき点
上記の点を踏まえ、勤務医の健康支援のための労働時間ガイドラインのあり方を検討するにあたっては表2の7 点を考慮して取り組むべきである。

表2 わが国における医師の労働時間ガイドライン作成にあたり考慮する点
1. 労働時間・勤務体制の改善が勤務医の健康確保、安全な医療につながる点を管理者が確認し、宣言する
2. 労働時間・勤務体制を見直すにあたっては、複合的なチームを作り取り組む。特に、安全衛生委員会等の職員の安全健康について検討する場やすでに設定されている会議を活用する。
3. 見直し・改善のすすめ方は、段階的改善を重視し、勤務医の勤務条件の底上げを目指した取り組みとする。現状把握、対策立案、実施、見直しの段階的ステップを設定する。
4. 管理者の責任において労務監査としての労働時間の見直しを行う。特に労働基準法32 条、37 条を中心に見直す視点は以下の5 項目である
1) 労働時間管理に関する勤務医への周知の有無
2) 労働時間の適正把握
3) 労働時間・休憩・休日の取り扱い(外勤・アルバイト)
4) 36協定(残業に関するとりきめ)
5) 割増賃金(時間外手当、宿直・日直の取り扱い等含む)
5. 勤務医の労働時間に関するわかりやすい自主的な働き方のルール定め、その運用を確認する
6. 労働時間等の見直しと併せて勤務医の診療体制・業務配分、環境改善、業務負荷軽減策、勤務医の過重労働・メンタルヘルス対策等の健康管理体制を見直す
7. 見直すにあたっては社会保険労務士等の専門家助言を得る

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といったような内容が書かれています。36協定も書かれていますが、まぁいろいろ書かれていますので読んでみてください。

 

その続きで、資料が出されていますがその中にもいろいろなことが書かれています。

表1 医師が元気に働くための7 カ条
1. 睡眠時間を充分確保しよう
最低6 時間の睡眠時間は質の高い医療の提供に欠かせません。患者さんのために睡眠不足は許されません。
2. 週に1 日は休日をとろう
リフレッシュすればまた元気に仕事ができます。休日をとるのも医師の仕事の一部と考えましょう。
3. 頑張りすぎないようにしよう
慢性疲労は仕事の効率を下げ、モチベーションを失わせます。医療事故や突然死にもつながり危険なのでやめましょう。
4「 うつ」は他人事ではありません
「勤務医の12 人に1 人はうつ状態」。うつ状態には休養で治る場合と、治療が必要な場合があります。
5 体調が悪ければためらわず受診しよう
医師はとかく自分で診断して自分で治そうとするもの。しかし、時に判断を誤る場合もあります。
6 ストレスを健康的に発散しよう
飲んだり食べたりのストレス発散は不健康のもと。運動(有酸素運動や筋トレ)は健康的なストレス発散に最も有効です。週末は少し体を意識的に動かしてみましょう。
7 自分、そして家族やパートナーを大切にしよう
自分のいのち、そしてかけがえのない家族を大切に

 

当たり前のことをと思われるかもしれませんが、僕が当てはまるのはほとんどないですよw

今はのんびりしていますが、昔は4時間前後の睡眠でしたし、休日も最初のころは年間で2日だし、頑張りすぎるなって頑張るしかない環境だしw

うつは…多分関係ないと思うけど、ストレスを発散しに行きたくても病院からの電話が怖くて走りに行けないし。Offということになっている日に池袋歩いてたら呼び出されるしw

7に関してはこれからは家族が増えた関係上、気をつけないといけないとは思うけど…・状況次第ですよね。

 

まぁ、勤務医の労働環境は基本的に悪い人は悪いです。僕は忙しい方が好きだし、患者さんにきちんと説明するためにはどうしても時間がかかってしまう。患者さんの家族が「病院に来たので医師から説明が聞きたい」と言えば、時間を作って説明するタイプでしたしね。

それを患者さんと家族の権利とするべきなのか、労働時間内ではないから対応不能とするべきなのか。社会的には後者が正しいのだろうと思いますが、どうしても患者さんや家族の気持ちを考えると説明する時間を作ってしまいます。

 

同僚・後輩から「患者さんから見て都合のいい医者になっていますよ」と言われたりしましたが、仕方がない。けど、そういう医者だと時間内では終わらないのですよね。困ったものですw

 

さて、この協定はどうなっていくのだろうなぁ

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中学生にくすり教育:将来の服薬コンプライアンス上昇に期待(家族に伝わることによる期待も含め)

2012-03-28 20:12:03 | 医療

さて、もう一つだけ続けます。

 

中学生に「くすり教育」
4月から完全義務化
正しい使い方指導

http://www.47news.jp/feature/medical/2012/03/post-650.html

 
 医薬品の正しい使い方を教える「くすり教育」が、4月から全国の中学校で完全義務化される。2008年3月に文部科学省が 告示した新学習指導要領に基づくもので、3年生を対象に保健体育の授業1~2時間が割り当てられる。氾濫する情報から本当に必要な知識を選び出し、いかに適正に薬を使って自身の健康を守るか。そんな力の養成が期待されている。
 ▽試行錯誤
2012.0327honki.jpg 「カプセル剤は、なぜゼラチンなどの覆いの中に薬を入れているのか。錠剤は、なぜ成分の周りを固めて何層もの構造になっているのか。考えてみてください」
 筑波大付属中(東京都文京区)で2月下旬に行われた公開授業。3年5組の40人に大きな薬の模型を示しながら、保健体育科の小山浩教諭が問い掛ける。「飲みやすいから」と生徒。「いいですね。では、層構造になっているのは? すぐに溶けずに胃や腸で溶ける、時間差をつける意味もありますね。いろいろ工夫されている薬を何で飲むのがいいか。そう、コップ一杯の水、またはぬるま湯です」
 同校では08年度、全国に先駆けてくすり教育を導入。小山教諭が試行錯誤を繰り返しながら授業を行ってきた。
 宇宙の誕生から生命の進化、命の連続性を阻む病気へと話は進み、薬の大切さが語られる。効果を得るために薬の血中濃度の維持が重要で、そのためには正しい飲み方が必要なことを、パネル教材やビデオ、各自が自宅から持参した市販薬なども使いながら指導する。
2012.0327honki1.jpg ▽自分の責任
 くすり教育実施の背景には改正薬事法の施行がある。風邪薬など一般用医薬品の販売規制が緩和され、コンビニエンスストアやスーパーなどでも買えるようになった。インターネットを使えば、さまざまな薬が簡単に入手できる現状もある。一方で、自分の責任で健康を管理する「セルフメディケーション」の考え方が広がっている。
 だが、薬は必ずしも正しい使い方をされていない。製薬企業で組織する「くすりの適正使用協議会 」が小中学生計約3400人を対象に実施した調査では、42%が「お茶やコーラでの服用経験がある」と回答。さらに「飲み物なしでの服用」が28%、「自己判断での服用」も21%に上った。
 また、医師が処方する医療用医薬品と一般用医薬品の違いは、中学生の7%しか知らなかった。
 同協議会啓発委員会の石橋慶太委員長は「小中学生が正しい知識を持たずに自己判断で薬を使っている」と心配する。
  2012.0327honki2.jpg▽高校は13年度
 中学校の新学習指導要領の「解説」は、具体的な指導内容を「医薬品には、主作用と副作用があることを理解できるようにする。使用回数、使用時間、使用量などの使用法があり、正しく使用する必要があることについて理解できるようにする」としている。
 中学での完全義務化を受け、高校では各学校の判断で先行実施されていた従来の内容よりレベルアップして13年度から全面実施に移行する。
 小山教諭は「正直なところ、文科省の導入方針が示された時は戸惑いました。でも、早いうちに薬の使い方を子どもたちに教える必要はあるし、子どもを通して家庭にも情報が伝わればいい」とした上で「2時間では足りない。総合的な学習や理科、家庭科などと連携してもいいかなと思っています」と語った。
 男子生徒の一人は「授業を受け、以前より薬の注意書きを読むようになりました。薬を正しい場所に保管し、塗り薬を必要以上に使わないよう気を付けるようになりました」と話した。(共同通信 赤坂達也)
 
 
 
 
 
 
-----------------------------------------------
 
 
くすり教育が始まるのは薬事法改正の影響があるのでしょうけど、それはともかくとしてこういう教育はよいのではないかと思います
 
 
今後、一生を通して薬を使用することというのはよくあると思います。そのとき正しく使うことの大切さを知っておいていただければ、生活習慣病などで定期的に薬をに服するようになった場合のコンプライアンスの上昇につながるかもしれません。
 
それに期待しています。
 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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エピペンの紹介:岡山県内の公立学校に関する県の調査より

2012-03-28 19:56:54 | 医療

こんばんは

 

今日は英語、生活指導(医療相談)、医療ニュースの作成などをやっておりました。

 

「血液検査などの結果を見ても、正常値から外れているがこれがどういう意味なのかが分からない」

という当たり前の話があり、異常がある人は適宜連絡を頂ければ個別に時間を取って説明、指導するという方針で行くことにしました。僕もそのほうが少しでも医療関係者らしいことをしていて、うれしいですし。

 

まぁ、それはさておき。今日はまずこんな話から。

エピペンというものをご存知でしょうか。確か7年くらい前に出されたエピネフリンの自己注射キットです。一度講習会にも参加したのですが、一回も処方したことはないなぁ…などと思っています。

そのエピペンの話です。

「アナフィラキシー」の恐れ63人 発症時の対処法再確認へ

http://www.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2012032721300420/ 

 食べ物などが原因で起きる重度のアレルギー症状「アナフィラキシー」の恐れがある児童生徒が、岡山県内の公立学校で少なくとも63人に上ることが県教委の調査で分かった。対応が遅れると低血圧や呼吸困難の危険もあるため、県教委は在籍校に対して発症時の対処法を再確認するよう求める方針だ。

 アナフィラキシーは食物、薬物アレルギーなどの重症型。発症が懸念される人には症状を緩和する自己注射薬を医師が事前に処方する2009年には教職員が注射しても医師法に違反しないと国が判断している。

 県教委による実態把握のための調査は10年7月に続き2度目。昨年12月、県内27市町村教委と県立学校を対象に実施した。

 回答によると、発症の恐れがあり、自己注射薬が処方されている児童生徒は63人。前回の35人より大きく増加した。在籍校は県立中高校が16人、市町村立学校が14市町の47人だった。

 学校現場でアレルギーの研修をしている県医師会の神崎寛子理事は「アナフィラキシーの危険性に対する認識が高まり、注射薬の普及が進んだためではないか。学校側でも自己注射薬を扱う態勢が整いつつある」とみている。

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エピペンは食べ物や蜂などのアレルギー(アナフィラキシー)などの対応のために使用する薬剤です。僕も救急外来で蜂とそばで一回ずつ、あとは病棟でDrug(セフェピムだったかな)などでエピネフリンを使用することになったことがあります。もちろんその場合はキット製剤ではなくて、アンプルですけどね。

アナフィラキシーやアナフィラキシーショックで亡くなられる方がいます。ここにも書いているようにアナフィラキシーはアレルギー反応の重症型です。アレルギーというのは本来攻撃する必要のないものに対して、体が過剰反応してしまい、有害な反応が起きることを言います。その反応は1回目より2回目の方が強く生じます

それ故、以前アナフィラキシーを発症した方は次に同じものに接触してしまった場合、さらに強い反応が起きる可能性があります。それに備えておく薬です。

 

そばアレルギーの子供、蜂アレルギーの子供、僕の過去の経験でそういえば草刈り中にアナフィラキシーになった方もいましたね。草刈りの方は2回目だったそうです。

 

そういう方々のために作られ、使用されています。そういった薬剤で以前はなくなっていたような方々(むかし、そばと同じ湯でゆでられたうどんを食べて、アナフィラキシーで死亡した子供がいたような気がします)が救命できるようになったというのはよいことだと思います

 

そういった思いがあり、紹介させていただきます。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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公務員新規採用6割減:人が余っていたということか?

2012-03-27 18:42:17 | Weblog

こんばんは

 

再び急いで帰ってきました。今日は19時から少し多くの人数で歓迎会です。

あと20分ほどなので、これを書いてすぐに出発します。コメントは後程、もしくは明日返させていただきます。

 

前も書いたのですが、これってもう決まりですかね。未来が見えない政治だと思います。まぁ、言うのは易しということもあるのでしょうけど。

 

 政府は27日、国家公務員の2013年度新規採用について、09年度比で原則6割減とする方向で最終調整に入った。国土交通省や農林水産省など、地方に出先機関を持つ省庁については65%の削減を目指す。川端達夫総務相が各府省と詰めの協議を行い、30日の行政改革実行本部で決定する。 

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今までが人がいすぎて、業務をしていない人が大勢いたとでもいうことがない限りは6割減は無理な気がします。それとも、今まで無駄な金を投じていたということなのでしょうか?

どこも現場は厳しい状況にあると思いますが(少なくともうちの弟は、年末年始も帰ってきませんけど)、そこで過労死とかが発生しないようにしてほしいものですね。その時は国に責任があると思いますので・・・。

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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