ようこそ里山へ 茨城笠間・青葉って永遠

茨城県笠間市。観光と陶芸の町の知られざる宝。穏やかな里山と田園は心の原風景。庭と山川草木、体感する旬の言の葉たち。

「ホタル歌舞伎」を堪能す

2011-06-20 04:32:15 | 里山の役者たち
 昨日の夕暮れ時、小さな出来事がありました。

 仕事を終えて、トラックの荷台を点検していると、一点の光明あり。
なんと、一匹のゲンジボタルさんが仰向けに寝ているではありませんか(写真)。

 この姿は、いわゆる、気絶または、護身のための「死んだふり」状態と推測されます。
幸い、発光機能が健全ですので、生命には別状がないようです。

 気絶の原因は、おそらく、県道からの入り口にあるお堂の木の枝です。
一本下がって伸びてしまった梢がありますが、きっとそこで休んでいたのでしょう。
そこに通過した私のトラッククレーンの金具(地上2.8メートル)に枝先が触れ、ゆり落とされた模様です。

 なかなか動きません。腰を抜かしたのでしょうか。どこが腰なのかは、判然としませんが・・・

 微動だにしません。もしかしたら、危篤状態なのか?
そんなはずはないぞ。これだけ景気良く発光しているのだから。

 ところで、光ったまんまです。点滅を忘れて、ずーっと光ったまんま。
この、光ったまんまというのは、あまり風流ではないなと感じました。

 そうだ、何か動くキッカケをつくってやれと、少々荒っぽく、荷台の床をドンドコドンドン!

 すると、来ました来ました、すかさず動き出しました。
点滅機能もすみやかに復旧、完全無欠な優雅さが回復。
自然さんのメカニズムはまことに精巧です。

 歩くのはなかなか速い。ズンズンズンズン、真実一路、気合も十分、信念の人です。

 ふと、ぴたりと停止しました。一呼吸置いて、硬くつややかな上の羽を左右にパッと開いてキメポーズ。
次の瞬間、ゆうゆうと夕暮れの空に舞い上がるではありませんか。
思わず、
「ゲンジ屋!」

 ううむ、負けた。完全に負けてもうた。これが芸というものか。

 拍手鳴り止まぬ、夕暮れの劇場でした。

 


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4 コメント

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「青葉屋!」 (舞台)
2011-06-20 06:41:55
荷台のホタルさんだけで、
これだけ楽しませてくれるとは、さすが!
毎朝、旬の空気を感じるお話、
ありがとうございます。
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ほ~ほ~ホタル来い (とう・しろ)
2011-06-20 20:45:58
たまたま車の荷台に降りたホタルさん、
里山の小さな夕暮れ物語ですね・・・
情景が浮かぶようです。
私はいまだかつてホタルを見たことが
ありません。
里山・笠間でホタル鑑賞初体験をして
みたいものです。
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やられましたが・・・、 (青葉)
2011-06-21 03:49:36
 舞台さん、大向こうからありがとうございます。

 ゲンジ屋さんに芸のお手本を見せつけられ、一瞬呆然としましたが、我にかえりました。

 芸の道は、長く厳しくて当たり前。
これしきのことでひるんではいられない。

 今後も精進を続ける所存です。
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ホタルとともにお待ち申し上げます。 (青葉)
2011-06-21 04:06:01
とう・しろさんありがとうございます。

 ホタルをご覧になられていない方は、意外と多くいらっしゃるので、いつもびっくりしております。

 例年、6月上旬が、ゲンジボタルの最盛期です。お陰さまで、こちらのホタルは例年通り健在で、数が増えている感じもあります。

 近年は、河川の護岸の葦が増えたり、田んぼの空中防除の回数が減ったり。
幼虫や、エサであるカワニナの生息環境も、まずまずのようです。

 今年は震災復興で皆、ドタバタしておりましたが、是非一度、とう・しろさんはじめ、読者の皆様をご案内できれば幸いです。

 ゲンジ屋の名優たちとともに、復光してまいります。
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