荒川三歩

東京下町を自転車で散策しています。

東京の夏越の祓 茅の輪考

2016年07月03日 | 散文
今年は東京の夏越の祓を随分見学(?、そんな感じになっています)しました。
ここで総括したいと思います。
勿論これから記載する内容は、対象である神社の関係者にとって「余計なお世話」ばっかりです。

「亀戸天神」
各所を回っての結論ですが、ここの輪のくぐり方が正統だと思いますので、最初に記載します。


①輪のくぐり方
茅の輪の隣に絵と文字で説明している。
・左足で跨いで左の輪を回る。
・右足で跨いで右の輪を回る。
・左足で跨いで左の輪を回る。
・左足で跨いで本殿に進む。
都合4度茅の輪をくぐる。

②輪の形状
・真円に近いけど真円じゃない。
・輪は十分太い。
・輪の両脇の支柱にも茅を縦に配しているのが豪快というか、荒ぶる神を感じさせる。
・美しさは乏しい。

③総括
・正統な茅の輪くぐりの方法を案内板に記載して、伝統を継承しようとしている点を評価します。
・祀られている菅原道真公に似合わない無骨さが下町らしい。


「波除神社」


①輪のくぐり方
・「左足より3度くぐり祓い清めましょう」との記載板がありますが、この記載だけでは回り方がわかりません。
②輪の形状
・真円である。
・細くて綺麗。
・輪の両脇の支柱がむき出し。
・他と比べて小さい気がする。


③総括
・輪が細く真円で綺麗な茅の輪ですが、この繊細さは気風のいい築地の氏子とは違和感があります。
・茅の輪を支える支柱の取り扱いに工夫が欲しい。


「深川神明宮」


①輪のくぐり方
茅の輪の隣に絵を描いた看板があります。
・右に回る。
・左に回る。
・本殿に進む。
輪をくぐりのは3度。
・右から回るのはここだけ。

②輪の形状
・真円に近いけど真円じゃない。
・輪は十分太い。
・輪の両脇は石柱を構えている。
・美しさは無い。


③総括
・茅の輪を設置する石柱を構えているのは評価できます。
・全体的に無骨です。家康に付いて来た先祖の大阪人のセンスでしょうか。


「宇迦八幡」


①輪のくぐり方
・指定はありません。
 下町の八幡様なので、氏子以外の通りすがり(私とか)が来る事を前提にしていません。
・支柱とその隣の常夜灯との距離が狭いので回り難いと思います。

②輪の形状
・真円です。
・輪は十分太い。
・輪の両脇の支柱にも茅を縦に配しているが、量が少ないので裸の支柱よりマシな程度。
・美しい。
 ただ、輪を踏んだ跡があります。


③総括
・素朴さと厳かさを感じさせ、神社全体の雰囲気が好いです。
・氏子以外の来訪を前提にしていな潔さを感じます。


「烏森神社」


①輪のくぐり方
・茅の輪の左右に隙間が無いので回れない。

②輪の形状
・真円です。
・輪は細い。
・スッキリとシンプル。


③総括
・何より、茅の輪が参道の入口と本殿前の二ヵ所にある(ここだけでした)のが個性的です。
・飲み屋街にあるにしてはスッキリと纏めています。
 嫌みの無い纏め方です。


「氷川神社」


①輪のくぐり方
・指定はありません。
・茅の輪を越える足の左右も分かりません。
・茅の輪の左右が狭いので、回りにくい。
②輪の形状
・ほぼ真円です。
・輪はそこそこ太いが野暮じゃない。
 都心で磨かれたセンスを感じます。
・美しい。

③総括
・神社全体の厳かさ、神聖さがあります。
・来年も来たくなります。


「乃木神社」


①輪のくぐり方
・指定はありません。
 というか、本殿前の鳥居に設営されていて、左右に柵があるので回れません。
・茅の輪を跨ぐのでなく、輪の上に板の階段を渡して通る形式。

②輪の形状
・鳥居に一杯いっぱいの長方形(トースト型?)です。
 円じゃない茅の輪を初めて見ました。
・輪はそこそこ太いが野暮じゃない。


③総括
・氷川神社と同様、神社全体の厳かさがあります。
・キンキラキンの神社よりこちらの趣が好きです。


「東京大神宮」


①輪のくぐり方
・輪を越える足の指定はありませんが、左、右と回って、正面の本殿に向かう。
 輪をくぐるのは都合3度。

②輪の形状
・真円です。
・細身で美しい。


③総括
・スッキリと美しい茅の輪です。
もう少し茅の輪を設置する支柱の処理を綺麗にするとなお更可。
・参拝客が多く、殆どが若い女性なので、行事が華やかに施行されている。


「根津神社」


①輪のくぐり方
・茅の輪を越える足の左右の指定はありません。
 茅の輪をくぐって左に回り、右に回って本殿に向かいます。
 都合3度茅の輪をくぐる。

②輪の形状
・真円です。
・清潔感漂う美しい輪です。


③総括
・神社全体の厳かさがあります。
 流石は、五代将軍綱吉が兄綱重の子綱豊(六代家宣)を養嗣子に定め、氏神根津神社にその屋敷 地を献納、世に天下普請と言われる大造営を行なっただけの事はあります。
・唐門と本殿の間に置かれた真円の茅の輪から前後を覗くと、その華やでかつ厳かさに思わず手を合わせたくなります。
 信心を起こさせる為にはそういった演出が必要です。


「日枝神社」


①輪のくぐり方
・輪を越える足の指定はありませんが、左、右、左に回って、正面の本殿に向かう。
 正統派です。

②輪の形状
・真円で美しい。
・派手な本殿を引き立てます。
 都心で磨かれたセンスを感じます。


③総括
・神社全体の華やかさがあります。
 この華やかさは色彩の乏しい古代において、庶民の目を奪って、信者を増やすことに大いに貢献したと思います。
 ひとがイケメンや美女に惹かれるように、みてくれって大事だと思います。

「神田明神」


①輪のくぐり方
・輪を越える足の指定はありませんが、左、右、左に回って、正面の本殿に向かう。
 正統派です。
・茅の輪を跨ぐのではなく、板の上を渡ります。

②輪の形状
・真円です。
・太い輪が豪壮です。


③総括
・神社自体が江戸総鎮守の艶やかさです。
・昔ここでAKB48が成人式を挙げました。
 そんな華やかさに相応しい雰囲気があります。
・この煌びやかさが集客に必要な要素の大きい部分です。


「素盞雄神社」


①輪のくぐり方
・輪を越える足の指定はありませんが、左、右、左に回って、正面の本殿に向かう正統派です。

②輪の形状
・真円じゃない。
・輪は太く、下町らしい武骨感がある。

③総括
・素盞雄命を連想させる茅の輪の造りです。
・茅の輪は美しくは無いが力強く、これも信心を高める手法だと思います。


「愛宕神社」


①輪のくぐり方
・指定はありません。
 茅の輪を越える足の左右も分かりません。
・茅の輪の左右が狭いので、回らないでそのままくぐって本殿に向う形態です。

②輪の形状
・輪ですが円ではありません。
・輪は太く野趣的。


③総括
・門の朱色と茅の輪の緑が鮮やかです。
 茅の輪の真円の美しさで惹きつける神社をここまで多く見てきましたが、色彩で人を引き付ける茅の輪は初めてです。
 恐らくここだけだと思います。
 茅が新鮮な緑を保っているからこそできる演出です。
 「見た目」って大事だと思います。

以上、長らくのお付き合いありがとうございました。
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素盞雄神社/夏越の祓

2016年07月03日 | 散文
ここでも夏越の祓の行事を行っていました。

旧日光街道に面した、平安時代から在る古い神社です。



お参りします。




綺麗な真円ではないのがちょっと残念です。


輪のくぐり方の説明版があります。
神社毎に区々のようですが、おそらくこのくぐり方が正式だと思います。
その根拠は、本殿にお参りするまでの所作が一番多い事なのですが・・・。


この神社は千住大橋の袂に在ります。
そのせいでしょう、こんなモニュメントがあります。
松尾芭蕉が大橋を渡るところのミニチュアです。

すぐ北側に千住大橋があるのですが、実は「芭蕉矢立始めの地」が大橋の南北両岸にあるのです。
察するに、彼は深川から船で千住に着いた事は分かっていますが、橋のどちらに上陸したか(橋を渡ったのか否か)は定かでは無いようです。

境内では瑞光石が祀られています。
巫女さん(女官?)がお世話をしていました。

当神社の説明
「御祭神素盞雄大神・あすか大神が光を放ち降臨した小塚の中の奇岩を「瑞光石」と言います。
  文政12年(1829)編纂の「江戸近郊道しるべ」には、千住大橋架橋の際、この瑞光石の根が大川(現隅田川)まで延びていた為に橋脚が打ち込めなかったという伝承が紹介されています。」

「元治元年(1864)には富士塚を築き浅間神社を祀り、門前の茶店では疫病除けの麦藁の蛇が土産に売られるなど、富士参りの参詣者で賑わいました。」

先日都内神社の富士塚が山開きをしたとのニュースがありました。
ここでも行ったのでしょうか?

茅の輪の向こうに神楽殿を望みます。


東日本大震災の後、この神楽殿に1万羽はあろうかという折り鶴がつるされていました。


被災地の復興を祈念して折られたものです。

折り鶴の向こうに、見知らぬ人の幸せを祈って鶴を折る人々がいます。

私なりに思い入れがある神社です。



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