荒川三歩

東京下町を自転車で散策しています。

ペン画の現場を訪ねて-3

2016年07月24日 | 散文
≪千駄木≫
・「菊見せんべい総本店」 

創業明治8年の超老舗です。


≪谷中≫
・「カヤバコーヒー」
 
2年間の休業の後再開されました。
コーヒーが苦手なので入った事はありません。

・「瑞松院」の塀 

小さな石仏に生花が絶えたことがありません。
哀しみを抱いて生きている人がいるのでしょうか、と先生に訊いた事があります。

「塀に立小便されるので、和尚がこのお地蔵さんを置いたのが始まり」とか。

・「谷中2丁目の民家」
 
この家はもうありません。
ヘーベルハウスの2世帯住宅に建て替えられてしまいました。

・「谷中5丁目の路地」 
この画集での先生のアングルです。


画集以外に、このアングルの絵もあります。

こちらのアングルが名所になっています。


≪上野公園≫
・「東京芸大奏楽堂」
ここならこの季節の、この時間の、このアングルだと思いますが、先生いかがでしょう?



≪日本堤≫
・天丼の「伊勢屋」
 
今まで食べた中で、一番美味い天丼だと思います。
ガラス戸の海老模様も老舗らしいです。


・「伊勢屋」の隣の桜鍋屋「中江」
 
馬好きの身では入り辛いです。


≪向島≫
・「上総屋」
 
言問橋の袂にあります。
店頭の飾り付けが特徴的です。


≪柴又≫
・「矢切りの渡し」
 
向こう岸は伊藤左千夫の「野菊の墓」の舞台です。

先生は「寅さん」が嫌いらしい・・・。
ここまで来ているのに、帝釈天周辺の絵がありません。

長くなりましたが画集の現場紹介ができました。
次回投稿のチャンスがあったら、カレンダーや絵葉書の現場も紹介したいです。
ちなみに、先生の作品は18~20万円/枚(先生談)(ご逝去後値上がりしました)です。
先生の生きているうちに1つは入手したいと考えています(現在1枚だけ我が家にあります。前掲のご自宅に上がり込んでお譲り頂いたもので、我が家のお宝になっています)。
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ぺん画の現場を訪ねてー2

2016年07月24日 | 散文
≪根津≫
・画集の表紙でもある、明治42年建造の串揚げ屋「はん亭」

もう東京でも珍しい木造3階建てです。
土日祭日の昼は3千5百円のランチセットのみです。

・創業明治28年の染物屋「丁字屋」 

この店舗は画集に描かれている建物を改築したものですが、いい雰囲気をそのまま再現しています。
(その後この店舗も改築されて、今は新しい店舗で営業しています。)

・間口5間の大店「吉野寿司」

廃業してしまいました。
祭りの日だけ人が賑わう集会所となっています。
(現在立て替わって、小物販売の店等数店舗になっています。)

・質店「サイタ」
 
暖簾をくぐると、先生が子供の頃からある井戸が今も使われています。

(ご主人の逝去と共に廃業・解体され、現在は大きな空き地です)

・箒屋「榊原商店」とお茶屋
 
ちょっと見には分からない程地味。気付くのに数年掛りました。
(現在お茶屋は廃業して民家に建て替えられています。)

・「根津神社」 

先生お気に入りの場所のようです。
画集に3点の作品があり、それ以外にも多く描かれています。

時代劇の撮影によく使われるらしい。


・「根津教会」 

下町では目を引く洋風建築物です。

冬は刈り込まれますが、「蔦の絡まるチャペル」の全盛期も好いです。


・表具屋「武田」
 
ここ数年人が住んでいる気配がありません。

そのうちに取り壊されてしまうのでしょうか。


≪本郷≫
・樋口一葉も使った井戸と、奥の石段の両側に木造3階建てです。

下町風情の代表的場所です。

・「本郷4丁目の民家」
 
玄関からは2階建て、中に入ると3階建てに造られています。

今、人は住んでいないようです。

・樋口一葉が通った質店「伊勢屋」
 
住居部分は戦後に建て替えられましたが、土蔵は当時のままです。
(現在は大学の所有になっています。)

・木造3階建て下宿「本郷館」 
10数年来何度も何度も取り壊しの話が持ち上がって、とうとう解体が決まりました。

都条例で、もう木造3階建ての共同住宅は建てられないのに・・・。

・「東大 赤門」 
このアングルで表現した作品は先生以外見ていません。


次回に続きます。
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ペン画の現場を訪ねて-1

2016年07月24日 | 散文
消失したブログのリメイクです。

ママチャリで“谷根千”に通い始めた頃、一冊の画集に出逢いました。
そこにはほぼ毎週通っている街がモノクロの世界に再現されている事に感動して迷わず買い求めました。
しかも作家の杉山八郎先生(以下先生)は、根津に生まれて根津に住んでいるらしい・・・。
一気に親近感が湧きました。
以来地図と一緒にママチャリの買物カゴに入れて、ペン画の現場を探すのが週末の日課になりました。
しかし、現場に行っても多くの家が見つかりません。
123ページに及ぶ画集の1/3程度しか行き当りません。

数十年来、下町の変遷は著しく、一般の民家はもう取り壊されてしまっています。
建物の古さが集客の手段に成り得る、商家が比較的多く残っている。
やっと見つけた現場に到着すると、画集と見比べて「このアングルから描いたんだな」と確認し、「季節は冬で、日差しは夕方だろう」と推察し、「このアングルの方が良いんじゃないか」と幼稚な対抗心から思い上がった批評家になってます。
そして、先生と同じ世界を共有できた満足感に浸ります。
概して画家は眼前の対象をデフォルメし、対象物の配置を変えて、自分好みの作品に仕上げるのだが、先生は確かなデッサン力で驚くほど忠実に描いています。
実直な人柄を連想します。

やっぱり先生に会いたくなりました。
根津の裏町を探してみます。
すぐに見つけました(現在この家は取り壊されてマンションになっており、杉山家は1本隣の路地に引っ越しています)!
これ程分かりやすい家もありません。

以来、毎年カレンダーを買いに訪問するようになりました。
先生は町内会の会長を務めていて、よく公用で根津の路地を歩いています。
先生を見つけると必ず先回りして、偶然出逢った風を装い「あ、先生こんにちは」と挨拶します。
こうして強引に“数年来の知人”にしてしまいました。
先日は大きな梨を貰って恐縮し、一方で友人に自慢しました。

先生は人柄がにじみ出たいい顔をしています。
こんな年寄になりたいと思います(先生はもう故人におなりです)。


先生は町内会会長なので、「根津千駄木・下町祭り」と「根津神社の祭り」には必ず寄付をされます。




先生は商売熱心で、お祭りには必ず露天を出してカレンダー・絵葉書等を販売します。


先生は・・・、そろそろ画集の現場を紹介しないと、いつもの様に冗長な駄文になってしまいます。
それでは画集の1ページ目から。

≪神田須田町≫
・あんこう鍋屋「いせ源」

あんこうが苦手なので店に入ったことはありません。

・隣にある鳥すき屋「ぼたん」

いい感じの古さです。

・向いの甘味処「竹むら」

負けていません。

・「神田やぶそば」 
年越しそばの報道に必ず登場します(この店舗は火災で焼失しました。今は新しい店舗で復活しています)。


・蕎麦屋の「まつや」
 
神田祭の日に小粋なうちわを貰いました。


≪佃島≫
・「超高層マンションと舟溜まり」 

古い町並みと近代的な高層マンションの共存が好い場所です。

・「佃3丁目の雑貨屋」
 
高層マンションの向いで今日も老夫婦が店を守っています。「がんばれ!」
(この店舗はご主人がなくなられた後、取り壊されました。)

・佃島から見る「聖路加タワー」
 
こういった近代ビルは先生の作品には珍しいです。

・佃煮屋「田中屋」 

この一角に3軒の老舗佃煮屋があります。
先生はここが好みのようです(この店を主体にした絵が多い)。
私も影響を受けて、よくこの店で買います。

次回に続きます。
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