真夏日以来の上川口屋です。様子がヘンです。店頭に駄菓子が有りません。
お婆ちゃんが俯いて何かしています。声を掛けます。
「先日『御会式』があってね。御会式を知らない⁈そこの掲示板に写真があるわよ。
東京の日蓮宗のお寺で、日にちを違えてお祭りをするのよ。鬼子母神の前が池上本願寺でね。池上本願寺は知っているわよね。お互いの檀家が灯籠や纏を持ち寄って、日蓮上人の生誕日をお祝いするのよ。約30基の纏や灯籠が参集するのよ。昔は50基あって、それは賑やかなお祭りよ。池袋駅から1時間半かけて練って来るのよ。灯籠に火が入って揺れてね。綺麗よ!こうして縁があって話するようになった貴方にお勧め!来年は絶対に来なさい!綺麗だから!」
「で、何をしてるの?」「そうそう、その御会式で商品が売り切れたのよ。商売って博打みたいなものでね。予測が大変なのよ。平日だし、手持のお金も少なかったので、これでよしと仕入れたんだけど、4年ぶりのお祭りに予想外の客が来てね。商品が売り切れたのよ。そう、儲け損なっちゃったわよ。やっと今さっき問屋から商品が届いたので、店に出している処よ」
「それは邪魔したね。いつものラムネ下さい」「それが、冷蔵庫がこの荷物の奥に埋もれているのよ。ぬるいのだったら有るけど、、、」「ぬるいので良いです。このグミもちょうだい」奥から、ラムネを持って来たのかと思ったら、湯呑みによく冷えたレモンジュースを持って来てくれました。「もう一杯どう?」「仕事の邪魔になるから、今日は帰るね」
「そうそう、前回貴方が興味を持った『唐組』が公演の準備をしているよ。見て行きなさい。今度は芝居観に来なさいよ。今週と来週の週末やっているから」こんな話です。
ちょと覗きます。
帰りの挨拶をしようとしたら居ません。奥のダンボールを取りに行ったのだと思います。声を掛けずに帰ります。
声掛けしたら、また仕事にならないもの。