トヨタ社員労災認定裁判(控訴審)
判決言い渡し 8月10日(火)16時と決定
5月25日10時30分から、名古屋高裁大法廷にて、控訴審弁論準備法廷が開かれました。支援傍聴者は約20名。コロナ禍でのご支援に感謝申し上げます。閉廷後の弁護団からの報告は以下のようです。今回の法廷で結審し、判決言い渡しになりました。
<梅村弁護士談>
前回の法廷では、準備書面として二つ提出した。
①2020年ビジョン業務の過重性・困難性について補充。2020年ビジョンの過重性について、国からは、「チームでやっているので被災者への負担はたいしたことはない」と言うものでした。これに対して、被災者の同僚・清水さんの陳述書の内容は、「確かにチームでやっているが、まとめ役は被災者であり、このまとめ役としての業務が困難で過重であった」と言うものです。
②一審の地裁判決では、被災者が携わっていた業務を一つ一つバラバラに扱い大した業務ではない、20202年ビジョンについては、業務として扱わないという判断でした。準備書面では、この判断は間違っていると主張した内容。被災者は一人でいくつもの業務を担当しており、しかもそれらの業務が重なっており、複数の業務に携わるなかで、焦りを生じている。業務全体をとらえるべきで、その上で業務全体を評価すべきと主張しました。
さらに、「荷下ろし症候群」についても主張。これは、被災者は、新型プリウスの業務で、三好工場の上司からパワハラを受けながら、9月にこの業務を何とか終了した。ホッとした10月に中国の自動車会社TFAPの困難な業務に携わった。丁度この時期に「うつ病」を発症している。これは、大変な業務がやっとの思いで終了 → ホッとする → 困難な業務 → メンタル疾患発病 と言う流れ。
また、労災認定基準では、被災前の6か月間の出来事で判断しているが、メンタル疾患の新認定基準では、セクハラ、パワハラ、いじめについては、継続していることから、被災前6か月以前の状況についても考慮すべきとしている。この点でも被災者が受けたパワハラもはじめから考慮すべきと主張。
被災者は自ら命を絶たなければならなかったほど、精神的に追い詰められていたところにパワハラを受けていたことは、元同僚が地裁で証言台に立ち「自らもパワハラを受けていた」と明かしていることは重要な証拠です。
裁判所は労働災害保険の趣旨に沿って、ご遺族救済の判決を下すことを望みます。編集 ATU