トウダイグサ科のユーフォルビアの花序は 杯状花序のひとつの典型です。
まず、いちばん目につく青い果実のようなのは めしべの子房です。このめしべだけで 雌花一単位となります。
雌花(子房とその柱頭)は 葉が変化してできた杯(カップ)状をした苞葉のなかで産出されるのですが、すぐに大きくなるので、カップから飛び出して果柄が曲がりぶら下がるような恰好をしています。これ(だけ)で雌花です(カップの頭に白い花びらのようなものが付いていますが、花びらではありません)。
トウダイグサ属は雌雄異花で、雌性先熟で、まず 雌花(めしべのこと)が他のおしべの花粉を受粉し、子房を膨らませた後、雄しべが伸び、花粉を放出します。この図は 果実のような大きい雌花と 黄色の花粉を付けたたくさんの雄花が見えますので、雌性期から 雄性期への移行期にあると思われます。
この写真の花序は 雄しべの黄色い花粉がとても目立ちます。
でも ちょっと変ですね、
雌性先熟といいましたが、雄花(おしべたち)に先行する 雌花(果実になる子房)がありません。
これは 上と同じ時期の花序を拡大したものです。
花弁のようなヒラヒラは その付け根に 唇のような形をした腺体をもっています。腺体の蜜を求めて 虫が集まってくると、雄しべの花粉が 虫につきます。
ここで 一番下の花序をよ~く見てください。おしべの林の中から めしべ(子房)が顔を出しているではありませんか!
この絵を見ると、どうもユーフォルビアでは すべてが 雌性先熟ではないようです!
この杯状花序では 花粉を付けた 雄性期の花序と 果実のように大きくなった子房をもった雌性期の花序が同居しています。
一番上の花序は おしべの先が2つに分かれた葯を付けて、まだ雄性期のようです。下の2つは 大きな果実が カップの外にぶら下がっています。これは 雌花(めしべ)が先にできて そのあとおしべが成長してきたのか、その反対なのか、判断できません。
(今回は ユーフォルビア属のすべてが 雌性先熟ではないことを確認しました)