花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

長所が欠点

2021年01月02日 | 研究
強烈なインパクトで日本中、話題となったフローラの白いりんご。
しかし今はどこに行っても見つけることはできません。
これにはいくつか理由があります。
袋をかぶせて栽培すると、強光から身を守る必要がないため果皮は薄くなります。
白いりんごの長所のひとつは皮が薄く口に残らないので、丸かじりできること。
りんごの短所である面倒な皮むきをせずに食べられるというのが強みでした。
しかしこの長所は輸送上では弱点となります。すぐ傷ついてしまうのです。
大量生産、大量販売する現在の農業の流通システムに乗らないものは淘汰される世界。
爽やかな甘さ、しっかりした果肉。美味しいだけに残念です。
でもよく考えるとこれは「南部太ねぎ」が衰退していったのと同じ理由。
つまり先輩太ねぎを参考に、ここだけで食べられるというような付加価値をアピールすれば
もしかしたら鮮やかに復活できる可能性があります。
ところがもうひとつ理由が重くのしかかっています。
それはこのところの猛暑。図のように夏場の高温で真っ白にならなくなりました。
遮光すると赤のアントシアニンは合成されませんが、
黄色のカロチノイドの合成には光が不要。温度さえあれば促進されます。
そのため暑い夏は、どんなりんごでも見事な黄色に変えてしまうのです。
すべてのりんごを黄色にする自信だけはありますが、これでは白いりんごと名乗れません。
そこでフローラは遮熱するアルミ袋をかぶせたり、標高の高い山間の園地で栽培するなど
いろいろ工夫しますが、やはり黄色。そんなこともあってフローラは
園芸科学科在籍最後になった2014年、NHKのあさイチで紹介してもらったのを最後に
フローラの代名詞となった白いりんごの栽培を断念しました。
この図は2013年のフローラの3年生が夏の平均気温と色の関係を示したもの。
東京ビッグサイトで開催された日本最大級の環境イベント「エコプロ」で
バイオサーモレコーダー「夏の記憶」という名で黄化現象を紹介し受賞しました。
この年の3年生はわずか4名の女子。この黄色のりんごを見ると
班員の家の高台の果樹園を毎週訪れては悪戦苦闘したのを思い出されます。
あれからもう5年以上経ちます。応用できそうな新技術は生まれたでしょうか?
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Turning point

2021年01月02日 | 研究
懐かしいチーム フローラ フォトニクスのモノクローム写真です。
撮影されたのは2014年。2年生と3年生あわせて12名もの大所帯でした。
フローラはこの年、大きな転機に差し掛かっていました。
なぜなら前列右から6名の女子が園芸科学科3年生。
前列左端の女子と後列の男子5名が2013年に新設された環境システム科の1回生。
当時はまだ2年生でした。なんとこの年のフローラは2つの学科の
メンバーで構成されていたのです。なぜならこの年からフローラは
長年お世話になっていた園芸科学科から環境システム科に移籍。
園芸科学科は草花班ですが、環境システム科では環境研究班という名称に変更。
しかし、どちらの愛称もチーム フローラ フォトニクスでした。
当時の課題は、いかに先代フローラの前衛的研究活動のスタイルと
活動を楽しむという精神的な財産を継承するか。
そこでとった作戦は農業クラブの大会に出場すること。
発表は3年生が行いますが、2年生は資料作りなどでサポート。
そして一緒に練習して、大会の遠征にも全員で参加させてもらいました。
合同チームは農業クラブの県連会長、生徒会長などフローラ史上、最強のメンバー。
また発表力も彼女たちを超える人たちにまだ出会ったことがありません。
アジア国立公園会議で英語スピーチしたり、筑波大学や弘前大学など4人も4大に進学。
東北大会で惜しくも彼らの快進撃は止まりましたが、学科を越えた活動のおかげで
しっかりフローラ魂を新学科の男子たちに伝授できました。
そして引き継いだ男子たちは2015年から環境研究に舵を切って水質浄化研究を開始。
2018年の世界準グランプリ、そして昨年の世界グランプリへとつながっていきます。
そんな環境研究班はまた転機を迎えています。それが研究班の存続。
2018年も解散と宣言していましたが、力づくで延命措置が行われ2年契約で存続。
その契約が2021年3月いっぱいで切れるからです。
学科改編により環境システム科の学習内容は変化。
課題研究においても環境班の廃止が最も可能性の高い選択だと思われますが、
こればっかりは、下々の我々にはわかりません。自由契約となり、
来春、明け渡すことも想定して本拠地の順化温室も片付けましたが、
ロッカーの中には研究できずにしまってある材料が山ほどあります。
いったいどうなることやら。首を洗って待っている環境研究班です。
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