日々ふさおまき

走って跳んで歩いてます。

堂場瞬一「チーム」と「ヒート」

2012-01-24 02:05:10 | 活字

箱根駅伝前に読んで、気分を盛り上げようと、

年末に「箱根駅伝公式ガイドブック」とともに勝っておいたこの2冊を読み終えたのは、

年あけて3週間もたってからになりました。

堂場瞬一さんの作品は初めての体験です。

スポーツ小説を多く書いている方のようで、この2冊はランニング関連です。

ランニングの小説と言うことでまずは私の領域に入り、

さらには「チーム」が、学連選抜のチームが箱根で優勝を競うという天外の浪漫。

「ヒート」が、日本人に世界記録を出させるためのレース作りという奇想の驚異。

あとは共感を呼び込む、鷲づかみ言葉を投げつけるように散らして、

まさしく走るように活字を読ませてしまいます。

しかも。

この2冊は関連小説です。「チーム」で学連選抜の9区を走る孤高の大学生ランナーとして描かれた山城選手が、

「ヒート」では、世界記録をねらわせようとする知事や代議士やらの渦中に巻き込まれます。

 

小説の中身を書いて分解批評をするべき小説ではありません。

ただ設定を堪能して、導かれるままに活字とともに走れば、気持ちよくゴールに至るという

本の示す道行きを書いておくにとどめましょう。

 

「チーム」(実業之日本社文庫 686円)

「ヒート」(実業之日本社 1700円)

 

 

ちなみにですが、今年の初読書は「レディジョーカー(下)」(高村 薫)で、どろどろでした。

 


「舟を編む」を読みました

2011-11-23 23:29:52 | 活字

三浦しおん様は、年に一度私を慰めてくださる方です。

「まほろ駅前多田便利軒」「風が強く吹いている」に続き「舟を編む」

なんか気になる舞台を作ってくれる作家です。

舟を編むの主人公が働くのが出版社の辞書編集部。

しかも新たに刊行する辞書を編み始めて15年の歳月を描くのです。

この設定を新聞広告で読み、帯の雲田はるこさんによるイラストが愉快で、

大久保伸子さんいよる装幀がまさに辞書風で誘ってくれるので、

読まないわけにはいかない本でした。

さらに。主人公の名前が、馬締と書いて、マジメさん。

そのあこがれの君が、香具矢と書いて、カグヤさん。

本と一生の友とする人ならこれほどの設定は逆に煩わしいのかもしれませんが、

本が高みのものであり続ける私には、これほどの敷居の下げ方が、なんとも嬉しいのです。

 

言葉の存在を語るために、これだけの誘いを準備してくれる三浦しおん様に

読み終わった今は、さらに深い尊敬の念を感じています。

人が集まり情熱をかけ、言葉の海を渡るために、

あなたも読む時間にひたってみてください。

 


骨ストレッチ

2011-09-09 01:55:37 | 活字

最近、さまざまなトレーニングに手を出している。ほとんど、ダイエットと同義語になっているかもしれないほど。

一冊の本が新聞に出ていた。「誰でも速く走れる 骨ストレッチ」(松村 卓著  講談社)

走り本には、ハウツーから小説まで幅広く目がないが、骨ストレッチには驚いた。

普通、走るためにストレッチするのは筋肉だ。なのに件の著書は骨を伸ばすという。

うーん?首長族か。想像はその程度にしか及ばない。

さっそくAMAZONで購入。

薄くて写真が豊富、行間も1メートルは空いているので、読み通すのに30分。

実技をしながらプラス1時間。

それが、すっかりはまりました。書いてあることは相当に強引で、

経験と理屈と想像をごちゃ混ぜにして説得する、あまたあるハウツー本と同じ書き方なのですが、

”骨”を支点にストレッチをすると、”筋肉”がよく伸びる、というお経が足にも首にも肩にも腰にも腕にさえも

実感できるのです。

そう、読む本ではなく実行する本、というわけ。

そして、私にはフィットした、ということ。

体が悪い意味で鋼と言われるほど柔軟性に乏しい私の、

いつもハムが張って腰まで突っ張ってしまう私の、

固い筋肉を骨という視点を作って強引に引き延ばしてくれるのでした。

 

渋谷の小さなビルの階段踊り場で、くるぶしの骨をつかみ前屈をしている男がいたら

それは”ふさおまき”です。

 


2日ぶりの練習

2009-05-30 14:14:27 | 活字
木曜日金曜日と、雨。
朝起きたときにはすでに窓が飛沫に濡れるほどだったので、
せっかく目覚めても走りに出ることができず、
せいぜい鉄アレーやゴムチューブを使った筋肉トレーニングのみ。

今日も朝から、細い筋が見える雨ではあれど、明日は神奈川マスターズ選手権です。
せめてJOGだけでも、と家を出て、9:30には代々木公園へ。
T&Fスマイルの練習会の日ではあるけど、この空模様では誰も
こないかと思いつつストレッチをして待ち、15分経っても誰も来ないので、
それでは織田フィールドの占有使用が中止になっていたら
ダッシュでもしようかと向かったけれども、雨の中セカンドウインドらしきグループが
占有中。しょうがないと、競技場横の長い坂を利用してダッシュを4本。
プッシュの感触を確かめながら、2日の休養でかなりバネがもどりつつも、
反面筋肉のパワーが減じていると感じたのでした。

15分ほどで終了、代々木公園に戻ると、スマイルのメンバー2人とコーチが
周回を走ってくるとを出迎える形になり、合流。
JOG1キロ程度と、結構ドリルを繰り返しました。
ドリルは回転を上げる、着地を真下にしてポイントをずらさない、
股関節を大きく回すと言うところが主です。
これは全て、明日が選手権、しかも400Mだと言ったらコーチが配慮してくれた
メニューです。

ダウンJOG1キロのあと、11時には終了。
東京マスターズに電話して、全国大会のエントリーブックの送付を要請、
午後は、仕事に行っているふさおまき(めす)と日比谷で落ち合い、
「スラムドック ミリオネア」を見に行きます。



栗本 薫さん さようなら

2009-05-29 01:39:37 | 活字
タイトルさえ なんと書けばいいのか キーが進まなかった。
訃報を聞いて一日経つ。
作家 栗本 薫 
私にとっては 特別な思い出があり、読み続けてきた本があり、
心の勢いにあこがれを抱いていた人。
早稲田大学を目指したのは、
雑誌バラエティで連載していた、中島 梓のサインくれなきゃ帰らない を
最初に、僕らの時代 僕らの気持ち グインサーガ を読んでいたから。

ハーモニカソサイエティにも数ヶ月だけれどお世話になり、
栗本さんはキーボードを弾いていたと聞くけれど、
その近くで 切なく息を吹き込んだり吸い込んだりして
ハーモニカのどうしても情緒的なあらがえない優しい風の音に
吹かれたりした。

同人誌に いくつか自分の身の回りに補助線を引いた程度の小説を
2,3のっけてもらった後、少しは想像の海にこぎ出したような
思いの小説を書けたと思ったとき ペンネームに 薫 の名前を
使いたくなって 使わせてもらった

仕事をするようになって
本を読むために時間をすごすような日の送り方ができなかなると
目にする本も 探す本も 気持ちに触れる本さえ少なくなるなかで
村上春樹も 橋本 治も 縁遠く 目に入らなくなってしまったなかで
グインサーガだけは 店頭に並ぶ前から探し 既刊の126巻までを
月刊グインとご本人が笑うほどの刊行を重ねたときも 遅れずに
付き従ってきた

死は 生きるものの心深くに 突き進む
心の中の得体の知れぬ空白にとどまる
悲しみという言葉が 実感として中にある

訃報を聞いて一日経って
さようなら
この言葉だけが 書かずにはいられなかった

サークルの同窓会に出席 6時間

2008-09-07 21:38:08 | 活字
 ふさおまき(オス)は大学時代、文芸同人誌というサークルに
所属していました。小説や詩を書いて、文芸冊子を作り読んでもらうために、
毎週習作を重ね、会員相互が議論を重ね切磋琢磨するという団体に
なります、説明すれば。
 このサークルは、卒業後も結構仲がいい。昨日も、大学時代集った土地・
高田馬場BIG BOXに集合し、居酒屋で話し込みました。
だいたい年に一回の集まりで、今回も1年半ぶりくらい。
話題はまず、「変わったか変わらないか」の探り合いというのは
同窓会のお決まり。だいたいみんな卒業後20年~23年経ってますので
変わらないわけはないし、集まる場所もかつての「だるま」「清瀧」から
「土風炉」「えん」にグレードアップ(?)したし・・・
髪は薄く、白髪は増え、腹が出たか痩せてしまったか、
おしゃべりになったか、口数が減ったか。
たわいもないからわかりやすいし、居心地もいい。

重松清の小説のように、驚くべき会話や、生々しい記憶を掘り起こして
過去をもう一度よみがえらせるような、頭にも筋肉にも疲労がくるような
ことは何もなく、でも時間だけは6時間もかけて、
カラオケもない一晩が過ぎたのでした。



坂の上の雲(1)(2)

2008-08-26 02:15:07 | 活字
ご存じ「坂の上の雲」。2009年のNHKドラマが
始まるまでに読めばいいかと、先月末あたりに(1)を買い、
しばらくはリュックの底ですり切れるばかりの日を過ごさせて
いました。

夏の海外旅行はフライトが12時間。読書にはもってこいです。
維新後に生まれた伊予・松山の人々が主人公。
正直、関西出身の私には多少縁遠い舞台であったのも
これまでこの著名な本に親しまなかった理由なのですが、
読み始めて、司馬さんの巧みな筆運びにあっさり持って行かれました、私。


いや、どうしてこうもうまく文章をつなげていけるのでしょう。
一人の人物を語るとき、その行動と思いを書いていると思ったら、
次の2行は20年後にその人が何をしたかを記して方向付けをし、
転じて現政権と藩の時代的な関係を示してその人物の立場を置く。
時間も空間も一ページの間に行き来しながら、それを読ませてしまうのは、
人を掘り描くために、おろす鍬の位置を見極め、一点の狂いもなく鍬を振り下ろし、
綺麗に根菜を収穫するようなイメージです。

行きの飛行機と旅の宿で第一巻。
帰りの飛行機で第2巻を読みました。
ああ、そういえば、30年前。父の初夏にこの本があった。
そのころ父は今の私くらいの年だった。