欄干とタワー
まだサッカーにはしばし時間があります。代々木公園近くのパンが美味しそうカフェで夕飯、優しい声と笑顔のボーイが ロコモコ丼と ふわふわオムライスを作ってくれました。
明るい森のような居心地のいいお店です。
走り幅跳びの参加者が男子は25人、女子6人。
人数が多い上、あ通常3回の試技のところ
全員が4回跳べるシステムになってました。
これで私は最悪の状況から免れました。
1回目が逆足ジャスト踏み切りという妙な結果で5m41。
2回目は助走調整で、うまく浮き上がったものの5㎝ファール。
3回目も踏み板にうまく乗った思ったら、3㎝ファール。
そして4回目を迎えたのでした。普通なら3回で終わりですから、
5m41で鬱々しなければなりません。
だから4回目は、どうしても記録が欲しい。
そこで助走スピードを落としました。
走り始めて体が立ち、迫る踏み切り板。
のはずが・・あれ?届かない。踏み切り板に足が乗らない距離で
最後の一歩を迎えました。
正しい踏み切り姿勢を取るためには、板よりずっと前で踏み切らねば
なりません。すると記録は少なくとも板の分、20㎝はマイナスになります。
体は、踏み切り板を求めていました。
最後の一歩を、ぐっと開いて大股に。足は乗りました。
でも、グッシャ。自分の中ではそんな音が聞こえるほど、腰位置が低く、
上へ跳ね上がると言うより、よいしょっと体を持ち上げる感じで
いわゆるつぶれたジャンプになってしまいました。
すると空中姿勢も最初から前のめりになり、基本であるはずの上体そりも
できません。
丸まったまま弾丸のように砂場へ着地。
5m61。
いや、もう筋力アップのおかげという証拠だけは手に入れました。
このつぶれジャンプで、5月に参加した大会の良い踏み切りと同じ記録を
出したのですから。
と、結果変な気持ちを抱えたまま、人数の多さと試技の多さで、
1時間以上競技に時間がかかり、11時40分。
次の競技である200mのコール終了まで5分しかありません。
あたふたとスパイクを履き替え荷物を抱えて、スタンドにおいたままだった
短距離用スパイクを取りに行き、招集場所に到着したのは、コール締め切りぎりぎりで、
審判に「まだいたよ」とせかされました。
こういう短時間の準備の良いところは、精神の集中力が継続できるところです。
テンションは割に高いまま、スタート地点に並びます。
でもですね、幅跳び4回、しかもどうやら筋力がついた体は一回一回強烈に
プッシュしていたため、疲労もいつもより大きく残っています。
あれよあれよという間に、私の走る3組の順番が来ました。
今日は1レーン、皆さんの走り具合を後ろから眺められるので
後半型の私には虎視眈々などという余裕がとれるレーンなのですが、
一方で、内傾がきついので、コーナーワーク練習不十分な身には
不安もあります。
よーい。
今年から改善した、肩をスタートラインと並行に上げる腰上げをして
ストップ。
どん。
割に反応は良くいけます。でも、一歩目の着地を受ける左足付け根、ハムストリングに
力が入りません。滑るような足運びになり、数歩は前傾で行くはずが、
2歩目には体が立ってしまいます。
隣の2コースには、幅跳び王者のNさん。
助走のパワーの通り、スタートダッシュはほれぼれとするほど
前へ前へと飛んでいきます。
この人についていこう!という気になります。
コーナーをでる100m付近、N氏の距離は近づきませんが、
離れもしません。後ろから近づく足音も、どちらかというと
離れていきます。
直線に入れば、しっかり着地と足首返し、目線を高くしてと
練習で教わったことを再現しようと努力します。
あと50m。
腰が沈んできます。あと少し、と心へムチ。
やはり、レースで最後まで体を支えられる体幹ができあがっていないのでしょう。
25秒46はほぼ無風、筋肉がつかれた中ではまあまあの結果と受け止めますが、
正直悔しさも残ります。
練習不足!
収穫は、この気持ちになったことでしょう。
さてと、次はヤリです。
今日も新宿発は8時ちょうど。
こんなにのんびり出かけても、3種目出られてしまうのが、
甲府市は緑が丘スポーツ公園陸上競技場で開催される本大会の
いいところ。
9時30分に甲府駅に着きタクシー乗り場に行くと、
見るからにマスターズ陸上参加者とおぼしき
トレーニングスーツ姿の数人。そのうちの男性一人と
目が合い「ご一緒しますか」ということで、530円で
片道がすむことになりました。
路面の濡れた競技場回りから正面入り口にまわると、
懐かしくも歴史感溢れる表のしつらえ。
ゼッケンとプログラムに参加賞のこくまろカレーをもらい、
まるでボクサーのリングへ通じる道のような、暗いけれど
出口は明るい10m回廊をぬけるとトラックがすぐ前に広がります。
正面スタンドも、ほとんどハードル越えすれば降り立てるような
近さ、9時50分には荷物を開けてゼッケンをランシャツに装着。
10時40分開始の走り幅跳びには十分時間の余裕がありました。
競技場回りをゆっくりJOGして、体が重いなと感じつつ、
軽く動的ストレッチ、10時15分には一次コールを済ませ、
少しだけトラックをスピード走します。
ここでそれほど気持ちよくは走れなかったので、
今年の初戦で緊張しているからなのか、やはり昨日の火傷もあって
体内調整がうまくいってないのかなどとぶつぶつ感じつつ、
バックストレートにある幅跳びのピットへ行きます。
そうそう、気持ちが今ひとつ盛り上がらないのは、
ついて直ぐに見つけたプログラムのある人の存在でしょう。
速報でも書いた、静岡のNさん、昨年全日本選手権の覇者で、
私の50センチ以上先に着地する人です。
この方がいる以上、メダルはもらえない・・・
という気持ちが働かない訳にはいかないのが度量の小さいところ。
一方で、少しは近づく跳躍をしてみたいという気持ちもあります。
運動が久しぶりなら、跳躍は2週間ぶり、助走が合うかどうかが
何よりものプレッシャーです。夢の島で見つけた34m40を
一つの目安に助走練習を開始しますが、どうも足が届きません。
3本飛んでどうにか折り合う距離を見つけたつもりになって、
いよいよ審判の協議開始のコールがかかります。
ここで小雨。荷物をビニールカバンに入れたりしながら、私は2人目。
風はほぼ無風でしょうか、ピットに立っても気になりません。
34m00に右足を合わせて、リズミカルなテンポでスタート。
2歩目でぐらつきながら、腰に体重が乗る、中間疾走でスピードアップ、
近づく踏み切り板、下を見すぎて前屈みにならないように、
わざと遠くを見て、さあいよいよ・・・あれ、左右が逆でしか
合わない。私は普段右足踏み切り。だけど、踏み切り板まで
この距離では、左足でしか踏み切れない。
こんなのが目測できるのは2歩手前になってからですから、
もう今更どうしようもありません。
ただ幸いなのは、逆足踏み切りとしたは、真っ直ぐ板を踏み抜けたことでしょう。
そう、つまり全く逆足の距離でジャストになってしまったのです。
ただ、逆足の弱みは、踏み切り筋力の弱さと共に、体の供応性ができていないので、
反り返ったり、逆足を振り出したりなどもできず、ただ体を2つに折った姿勢で、
最後まで弾丸のように飛んでいくしかないところです。
結果、5m41。これ、自分としてはびっくりでした。逆足でここまで飛べるのは、
もう足に筋力がついたからに違いない。これは加圧のおかげとほくそ笑ました。
2本目が楽しみです。参加者は30人近く、次の順番が回ってくるまで、
かなり時間がかかります。
そんな余裕の時間に、競技場を見回していると・・・
なんと、1500mスタート地点のダックアウト(ひさしのあるベンチ)に
何となく見覚えのある、良く日焼けした顔が見えます。
横に奥様らしき人の顔と、抱かれた子供の姿も。
これは嬉しい!本当に来てくれたんだ。
思わず競技中にもかかわらず、そちらへ走っていきます。
同僚のKさんです。甲府は奥様の郷里で、今週は赤ちゃんと一緒に
実家にいるから応援に行きますよと言ってくれてはいたのですが、
まあ天気も良くないし、それに大人の運動会を見たってそれほど
面白い物ではないし、と思っていたのです。
ただどんな経緯であれ、応援者の声は選手の最大の励みであり喜びとなります。
しかも、初対面のお嬢さんは、まあ愛らしいことこのうえなし。
つやつやのお肌はどこまでも白く、まあるい一点の曇りもない明るい瞳は
いったい何を見ているのでしょう・・・・
思わず紅葉のようなという形容句もかくやという手に触れさせてもらって
御利益をいただき、ピットに戻ります。
そして2本目。
助走は、距離を変えず逆足でスタートすればジャストでいけるはず。
でした。そして間違ってはいなかったのです。
右足で板一杯に踏み込み、体も高く上がるのが実感できます。
しかし着地とほぼ同時に後ろ、つまり踏み切り板の審判から
発せられたのは「ダメ」に一言。
どうやら5㎝ほどオーバーしたようなのです。
それとなく審判にくきと、5M70は越えた模様。
うーん、かっこよく行ったのに・・・
気を取り直して3本目、のはずだったのですが、
微調整しても踏み切り位置はほとんど変わらず。
4本目には、スタートを20㎝下げた結果、
踏み切り足の着板距離が長くなってしまい、
うまく真っ直ぐ上に登る力が得られませんでした。
5m61、これが今日の記録で、
共に闘ったN氏は6M40越えでした。
今日発見したポイントは、なんと言っても助走距離。
これで、34m15を、左足つま先合わせで走り始めれば
板を攻めて飛ぶことができるはずだとわかりました。
幅のリポートはここまで。
走り幅跳びでパワーを出しきった10分後のスタートとなった200メートル走はほぼ無風の好条件、25秒46はこの体調なら満足の結果です。スタートの差がそのままゴールの差となりました。因みに一位は走り幅跳びでも優勝のNさん、ばねのある飛び出しはさすがでした。私は中盤からの重心を腰に乗せた走りができたのが収穫でした。崩れないフォームは加圧トレの賜物でしょう。
10時40分から始まった走り幅跳び、プログラムを見ると なんと45歳の昨年全日本王者のNさんが参加、がぜ戦闘モードですっかり火傷を忘れます。中略、結果は2位 5M61でした。修整ポイントを大発見できたので、関東大会が楽しみです。あ、甲府に里帰りしていたKくん夫妻とお嬢様が応援してくれて 選手気分も満喫し、心から大感謝です。