最近寄席に行くと、枕は大体、緊急事態宣言とその後の経過観察からあけて、
立派なネギも香る。
少しずつ日常に戻ってきましたね、という話しになります。
総じて世の中は慎重で、でもどこかで弾ける人も出てきた、という感じでしょうか。
遅く起きた日曜の朝、映画でも行こうか、走りに行こうか、お買い物はそれほど気にならないけど、このまま家でWOWOWを見てるのもいいと思ったりしていたら、
彼女が小旅行の提案です。
湘南新宿ラインで北に向かい籠原で乗り換えて一駅行けば、ほらあそこが見れますよ、という思い出しのイベントです。
慌てて着替える私が出したアイディアは、出かけた土地で、施設の間を走って移動しようという、旅先ランニングだけ。
煉瓦の町でもあり、
藍玉を作った染め物の町でもある。
走って回ると
立派なネギも香る。
盛り上げた土の下に茎を長く伸ばしたネギは、
深谷ネギです。
澁澤栄一の故郷である、埼玉県深谷市への日帰り旅に来たのです。
大河ドラマ館は人数制限もなく、すぐに入館できました。ドラマのセットや撮影に使った衣装も展示してあります。
スタッフの裏話映像もあって、盛り沢山の内容になっています。
パリ博覧会のシーンで使ったゴツいエレベーターのセットの前で、五代様と記念撮影です。
こちらは、旧澁澤邸「中の家」です。
瓦屋根の高いところに薄い層が一つあるのは、蚕場があったのでしょう。
かつての日本を作り、支えた人々の存在を少しだけ身近に感じることができました。
駅から少し離れた洋食屋さんは、ステーキやコロッケも美味しいと評判です。
彼女は牛カツ、私は地元の名物「煮ほうとう」いただきました。
鰹出汁のきいた醤油ベースのスープにたっぷりと浸された麺は、小麦の産地らしくもっちりとした歯応えが、野菜の滋味に出会って嬉しい食の時間をもたらしてくれます。
一通り周り終えると日も沈む秋の夕べ。
広い関東平野の空間に幕末明治の歴史を感じ、少しは走って過ごした休日も終わり、新宿に戻ります。
深谷ネギを買えばよかった。