湾岸の平らな埋め立て地に立つガラスの建物、日本科学未来館です。
「波瀾万丈!おかね道」
先日の国立科学博物館でのチョコレート展といい、
公共施設が奇想天外な企画をしてくれます。
この展示、ことのほか彼女が楽しみにしていました。
タイトルも、デザインも気合いが入って、考えまくった感じ。
面白いのは、写真の青い帳面。ミライ銀行発行の「おかね道手帳」を渡されて、
10の実験を重ねていきます。
最初の実験に入るまで60分待ちという人気ぶりから、
この企画がヒットしている予感がありました。
実験①「人間とは、不合理な生き物だ!」
のっけですが、60分が待てず、いきなり飛ばしまして第二実験に進んだので
どんな内容かがわかりません。手帳によれば、「おかねをもらえるなら、多ければおおいほどいい」と思うのは当たり前?
いいえ、ときには、せっかくもらえるお金を断ってしまう人もいる。
人間はすじの通らない判断をする生き物だ、ということが分かるらしい。
ちなみに手帳には、一つの実験で得られる教訓を、手書きで記入する、という記憶にすり込ませる経験も備えられています。
「人間とは、不合理な生き物だ!」
実験②「人間とは考えたくない生き物だ!」
4つのクイズがあります。
例えば、”1万分の1の確率で当たるくじを一枚もらうのと、
10万分の1の確率で当たるくじを五枚もらうのと、どっちを選ぶ?」
深く考えずに答えなさい、と注釈がありますが、
日経新聞読む人に、これを直感で”五枚”と答える人がいると思うのでしょうか、
特別後援の日本経済新聞社さん。
説明書きによれば、人は往々にして、枚数が多い方が当たると思って五枚もらいたくなる、
と書いてあるのですが・・・う~ん。
実験③「人間とは他人に流される生き物だ!」
噴水広場があって、そこにミライ銀行券を投げ入れるかどうか?
神を恐れぬ実験か?
実験④「人間とはつじつまを合わせる生き物だ!」
今回いちばn、そうそう!と笑わせてもらった実験です。
”あなたがお気に入りのショルダーバック。街を歩いていると
同じものを肩にかけている人を発見。誰かな?と顔を見ると、
天敵で大嫌いなあいつじゃないか。くそー、このカバンも嫌いになってきた!」
これに思い当たれば、認知的不協和がある、ということになるそうです。
若干強引な解説のような気もしますが、心の中のつじつま合わせということになります。
逆のパターンの方がわかりやすいかな。
”オオカミが木の高いところにある、熟した果物を見つけました。大好物です。
ジャンプ一番、でも届きません。石を投げてみました。でも外れ。落ちてきません。
じゃあ登ってみよう!と思い立ちますが、オオカミには木登り技術がありません”
オオカミは途方に暮れると同時に、「あんな果物、べつに好きじゃないもん」と
思うようになりました、とさ。
実験⑤人間とはご褒美に弱い生き物だ!」
テストで良い点だとお金をもらえるのと、
悪い点だとお金を取られるのと、どちらが勉強のやる気がでる?
実験⑥「人間とは目先の誘惑に負ける生き物だ!」
甘いおやつ、はまるゲーム、たばこにお酒。我慢した方が将来の自分のためになると分かっていても、
目の前にあるとついつい手を出してしまう。
って・・・目先の誘惑を我慢できるような目標に出会えれば、幸せだよね。
実験⑦「人間とは一か八かに賭ける生き物だ!」
なんと展示場にディーリングルーム?
賭場台の前のディーラーは、縦長ハイビジョン画像で映し出される凝りよう。
でも、”一万円を出して、一万円の利益もしくは全てパーになる投資”と
”一万円出して、千円の利益もしくは利益ゼロだけど損失もなしの投資”
どちらを選びますか?というような問い2つ出されて、リスク回避の傾向を知ろうという実験だそうですが・・
私、判定不能と言われました。
実験⑧「人間とは・・・の生き物だ!」
格言が見つかりませんでした。
説明を聞いても内容が分からない高度な実験・・・
べき分布の実験というそうなんですが、ごめんなさい。
実験⑨「人間とは不公平を嫌う生き物だ!」
あ、NHKスペシャル”ヒューマン”でやってた実験だ。
例えば、2万円を知らない人と2人で分けるとき、相手にいくら渡しますか?
(A)自分1万円 相手1万円 (B)自分1万5千円 相手5千円 (C)自分2万円 相手0円
世界各国(A)が多いということ。
実験⑩「人間とはタダ乗りする生き物だ」
前の実験の舌の根も乾かぬうちに・・というジギルとハイド。
”自分がお金を出さなくてももうかるなら、出さないでおこう”
以上10の実験で身に染みたのは、デザインに追いつく内容に説得力がないと、
結構人は自分で考え始めるという発見です。
実験をする仮説の説明が難しい、ということもあるのでしょうか、
つっこみどころ満載で、けっこう話に花が咲きました。
もっと色々複雑な条件があるだろうとか、その先にどうするかが問題だろうとか。
春休みの親子が、お金を巡る個人の経済行動や、個人の想念がマスをどう動かすかについて
話し合うための企画だったようです。