タデ科イヌタデ属の「イシミカワ(杠板帰・石見皮・石膠)」。日本全土の林縁や河原など陽当たりの良い場所に生育している。6~8月に薄緑色の小さな花を咲かせ、花後に藍色の鮮やかな姿を見せる。これは萼片が多肉化したもので実際の果実は直径3ミリほどの蒴果でこの中にある。
キク科コウヤボウキ属の「カシワバハグマ(柏葉白熊)」。草丈は50~60センチで秋に茎の上部に頭状花序を穂状に付ける。頭花は直径3~4センチで10個ほどの小花からなる。小花は筒状花で白い花冠が5深裂し裂片は細長く捩じれて先端はカールしている。これは長沼公園"栃本尾根”のもの。
下柚木の陽当たりの良い丘陵地に咲いている「アキノキリンソウ(秋の麒麟草)」。キク科アキノキリンソウ属の多年草で草丈は50~80センチで秋に茎の上部に直径1.5センチほどの頭花を多数咲かせる。頭花は中央に筒状花があり周囲に舌状花がある。多摩ニュータウンでは稀にしか見掛けず同属のセイタカアワダチソウが良く目立つ。
晩秋の野山や河川敷で良く見られる「セイタカアワダチソウ(背高泡立草)」。キク科アキノキリンソウ属の多年草で明治時代に園芸種として入ってきたが、その後各地に拡がりもはや手に負えない状態になっている。10~11月に茎の先端に円錐花序を出し直径5~6ミリの頭花を多数付ける。頭花は舌状花と筒状花から成り舌状花の花弁の長さは2~3ミリ。良く見るとなかなか美しい。
キク科ヒヨドリバナ属の「マルバフジバカマ(丸葉藤袴)」。北アメリカ原産の多年草で明治29年(1896年)に観賞用に日本に持ち込まれ、大正5年(1916年)に箱根強羅の植物園から逸出しているのが確認されその後各地に拡がっている。私は以前箱根山中を走っている際に道端で良く見掛けたが、多摩ニュータウンではなかなか見つからない。5年前に都立大学キャンパスの林縁で見たり昨年は長沼公園で見たがいずれも翌年には消滅した。『由木の植物目録2022』には"長池公園の一時的な発生が確認されたが、現在は消滅”と記載されている。多摩ニュータウンは相性が良くないようだ。この界隈では20キロ離れた深大寺付近の野川沿いなどで見られる。
由木西小学校付近の小道でヤダケに絡んでいる「ハンショウヅル(半鐘蔓)」。キンポウゲ科センニンソウ属のつる性落葉木本で5~6月に下向きに咲く花を"半鐘”に見立てている。果実は痩果で長さは6~7ミリ。花後に花柱が伸びて長さ3センチほどの羽毛状になる。
今年はカメムシが全国的に大発生しているようだ。農林水産省は9月13日に『令和5年度病害虫発生予報』を発表しており農作物への被害を注意喚起している。我が家でも洗濯物に付いたり雨戸の開け閉めの間に部屋に入り込んだりして虫嫌いのカミサンはそのたびに悲鳴を上げている。
写真はカメムシ科キンカメムシ属の「アカスジキンカメムシ(赤筋金亀虫)」の幼虫。カゴノキを観察しているとその葉に付いていた。頭部、胸部、腹部が黒褐色になり腹部の周辺部に環状の白い斑がある。これを見ると私は"ちびまる子ちゃん”が大笑いしている姿を思い浮かべてしまう。アカスジキンカメムシは成虫になるとその姿は一変。金属光沢のある緑色に赤い筋が入る美しい色彩になる。
先日、当地の森で2株の開花を確認したので、今度はもっと株数が多い高尾山系の自生地まで足を延ばした。「アケボノソウ(曙草)」はリンドウ科センブリ属の二年草で北海道~九州の山地の沢沿いなど湿った場所に生育する。この日は南高尾の細い登山道を進むと小さな沢沿いにたくさんの株が伸びていた。これを見ると山道を登ってきた疲れが吹き飛ぶ。
バラ科サクラ属の「バクチノキ(博打の木)」。関東以西に分布する常緑高木で絶えず古い樹皮が剥がれ落ちる様子を、博徒が負けて着ぐるみ剥がされた姿に見立てて名付けられている。9~10月に長さ3~4センチの花序を出し直径6~7ミリの小花を多数咲かせる。花の様子はイヌザクラやウマミズザクラに良く似ている。果実は翌年の5月頃に熟す。
キンポウゲ科トリカブト属の「ツクバトリカブト(筑波鳥兜)」。筑波山で最初に発見されたことで名付けられているが、東北地方南部から中国地方辺りまで分布している。同属のヤマトリカブトの葉が3~5中裂し切れ込みが浅いのに対して、本種の葉は3全裂している。これは小山内裏公園の林内に自生しているもの。