クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

『猫を棄てる』村上春樹のファミリーヒストリー・感想

2020-10-30 | 本と雑誌

「ファミリーヒストリー

で 思い出しましたが、


先日、

村上春樹版ファミリー・ヒストリー」

を 読みました。

 

『猫を棄てる』(っていう本です)



作家の

村上はるきの お父さん

数年前に お亡りになったそうですが、

 そのお父さんと、現在96さいのお母さんが

いかに出会い

村上春樹が 生まれるに至ったか

息子はるきが記した、

家族の歴史です。



 ご本人いわく・・


‟家族のことをかいてみたいという気があったけど、どこから書いていいかわからなくて、
昔、父と猫を棄てに行った時のことから書いたら思いの外すらすら書けた″


とのことで、


「棄てられた猫ちゃん」は いんゆ(隠喩)となっています

 

(※猫好きにケンカを売ってるのかと思いきや、ネコちゃんはその後も村上家で飼われてました!ご安心を

 


読んだ感想としては ・・


日経新聞の名物コーナーである

「私の履歴書」

に 近い語り口。



つまり、

淡々としてます



しかも、

息子ハルキによる・聞き書きだから、

あやふやなところも あります。



 でも、そこは、「職業作家」

父が 

日中戦争に じゅうぐん(従軍)させられていた

若いころに

しょう(焦)点を あて

 

かれつ(苛烈)な時代を 切り取って

あざやかに、

スパークさせています

 ・・今回、村上ファミリーのことで わかったのは、

父→激動のなか、専門的学業をあきらめて高校の国語教師になる

母→高校の国語教師



 つまり 村上さんの「言語能力の高さ」

生まれつきだった

と いうことと、


 お父さんと ハルキは、

長い間

そえん(疎遠)だった

と いうこと。。

 父のきたい(期待)にそわず、

父から はなれていた

ハルキは、


 自分は父と違って、感情とかを重視する人間だから~」

なんて、

い・ま・だに

ひねていますが、

 

 そう ご本人が語る、

「感情を重視する自分の気質

というのは、

戦争末期の1944年に、京大で俳句を詠んでいた父から受け継いだ気質

である。

と、

本人・・

ぜったい わかっているはず

 これは、「逆説的な強調」

クリンでも 気がつきました


また・・

「こういう個人的な文章がどれだけ一般読者の

関心を惹くものなのか、僕にはわからない。」


いつものちょうし(調子)で 

とぼけていますが、

 

 これだって反響は大きい)

かくしん(確信)をもった上での

「ハルキの常套句」であることは、

 

ファン全員に バレています



 どうせなら、「村上春樹のファミリーヒストリー」

NHKの 番組に任せて、

てってい(徹底)的に 掘り下げてもらってほしい

 

そう、

どんよく(貪欲)な 村上ファンは 

欲するのでした・・

 

 

(ってか、このさい、村上さんには 思い切り、「うちのお父さん知識人」ってなかんじで

具体的な長い話をして欲しかったのですが・・

何しろ、そういうのカッコ悪いと思ってる村上さんに、そんなこと要求するほうが まちがいで、

「村上春樹の父親エッセイ」は、

やはり、さりげなさをきちょう(基調)として オブラートにつつまれていたのでした~

 

 

次回、もうひとつ「村上春樹書評」を 書かせていただきます(つづく)

 

コメント (12)
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