雲釣り師は、樹木を助手として雇うことにした。
ほらほら、きみたち、しっかり見張って、つかまえてくれたまえ。
あ、高すぎて届かないか。
低いところでのろのろしている雲は格好の獲物。
どっちを向いても稜線にアンテナが見える。
針のようにまっすぐなアンテナは、どんなに遠くて小さくても、
風景の中で異質なのでよく目立つ。
ここ数年で、急にその数が増えた。
BSとか、地上デジタルとか、その他いろいろ。
アンテナ以外に、大きな金属の楯のようなものもある。
電波を反射させて山のむこうに送るためだろうか。
携帯電話のアンテナ塔もやたらと多い。
山の上でなく道路や人家の近くに立っているからよけい目につく。
必要なことはわかっているから、文句は言えない。
うちだって、5年くらい前までは「圏外」で、
早くアンテナ立ててくださいと要望を出していたのだ。
しかし、会社ごとに別々に立てるものだとは知らなかった。
これ、共用にはできないんだろうか。
ちょっとまとめてもらえたら、ずいぶん風景がすっきりするのに。
・・なんてことが気になるのは、たぶん、少数の雲釣り師だけ。
たいていの人は、ぽかんと空など見ていない。
一見なんでもないようだが、難易度の高い編み込み模様。
じつは一面にうすく斜めの地模様も入っている。
本日の水玉。
身長約2センチ、宇宙から来た苔星人の兄弟。
コンニチワ。
頭の大きいほうが弟だそうです。