裏の花桃の枝で、何かキラキラ光っている。
水玉ではないようだし・・と気になって見に行った。
幹や枝からにじみ出た樹脂がかたまったものだ。
透明なのと、琥珀色のがある。
さわると、ぷにゅっと柔らかく、表面は軽く乾いているけれど、
中は煮詰めた飴のようにねっとりしている。
匂いなどは特にない。
ロジン(松脂)も、天然ゴムも、日本の漆も樹脂の一種で、
昔からいろんなことに利用されているけれど、
桜や桃の樹脂は、使いみちはないのかな。
花桃が植わっているのは、じつはわが家の庭ではない。
園芸好きだった隣家のご主人が、うちの窓から楽しめるようにと、
わざわざ境界ぎりぎりの場所に、ナンキンハゼと共に植えてくださったものだ。
そのご主人も亡くなられて8年。
こんなにあちこちに樹脂が出ているのは初めて見た。
木にとってはあまり良い状態ではない気がする。
毎年あふれるように咲く花が、今年はほんの少ししか咲かなかった。
ウソが花芽を食べてしまったせいかと思っていたけれど、
そういえば幹の色が黒ずんで、枯れた枝も目につく。
桃の木の寿命はあまり長いものではないらしい。
今年の猛暑で急に弱ったのかもしれない。
だけど、光に透けて輝く樹脂は宝石のように美しい。
それもまた木の言葉のように思える。