閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

小判草

2013-05-14 11:54:14 | 日々


イネ科のコバンソウ。
日に透けると金色で、小判がじゃらじゃら。
とてもリッチな気分になれる植物。
いまはまだちょっと緑です。

 

この小判、ほっとくと、やがて手が出る足が出る・・

というわけではなく(笑)
これは花が何段にも重なっている「穂」なのですね。
小さいおててのようなのは、おしべ。

 


 

こちらはお仲間のヒメコバンソウ。

5ミリくらいの小さい三角で、しゃらしゃら揺れます。

 

しかし、こういう「小さい・たくさん・揺れる」ものは
大の苦手のりこちゃん。
「疲れた・・頭いたい・・充電・・おうちかえる・・」と。
(デジタルカメラも持ち主に似るんですかね)

 

お? さんちゃん来た。

 

ほれ。猫に小判草だよ。ほれほれ。

 

無視された・・^^;

 

 

本日の水玉。

別に何でもありませんが・・
意図しない構図が面白く思えたので。

 

 

おまけ・・本日のゲスト。
(虫コワイ姫はクリックしないでね!)


 

生まれたての蟷螂の子。
何も何も、小さきものは、みなうつくし。(枕草子)

(上の写真、もっと見たい方は→こちら

 

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5月の色とりどり

2013-05-12 22:01:26 | 日々


ヒューケラ・ハリウッド、水玉つき。
(「ハルディン」をずーっと「じゃるだん」と読んでいました。
まさかスペイン語だとは・・笑)

 

オニタビラコ。

 

 

タニウツギ・・かな。今年はあまり元気がなかった。

 

 

ウェストリンギア。
オーストラリアン・ローズマリーという長い別名のほうが
はるかに覚えやすい。

 

イキシア。槍水仙。
花は朝ひらき、夕方とじる。

 

えーと・・キミは誰? カミナリハムシ君?
葉っぱの上でくるくるしていた子。

 

 

カラタネオガタマのつぼみ、水玉つき。
写真では大きく見えますが、長さ3センチくらい。
今年も甘い香りの季節がやってきます。

 

草苺。今年の初物。

 

 

母の日ということで、プレゼントもらいました。
キャンドルスタンドですが、昼間でもきれい。
ありがと呼夜くん。

きょうはMがお昼に大きいホットケーキを焼いてくれました。
「母の日なので・・きなこちゃんに代わって」とのこと。
えー、わたしはいつ「きなこの母」になったんだ?

 

本日のにゃんこ。

いーえ、きなこちゃんの母は、このボクですから。
きなこちゃんはぜったいぜったい誰にも渡しませんっ。

(なぁんて言ってるけど、夜中に寒いと、きななをほったらかして、
2階のわたしの布団で寝てるでしょ、マドリは)

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透ける・草花

2013-05-11 09:22:42 | 日々


ミヤコワスレ。
これも今年は長く咲いていました。

 


ドクダミ。
葉の模様はウェストリンギア。(←ってなかなか覚えられない)

 

シランの影絵。

 

 

シラン。花はこんなです。

 

 

透けそうで透けない・・グリンピース。

 

 

ヤマユリ。

 

イングリッシュ・デイジー。みんなお日さまのほうを向いて。

 

バビアナ。和名ホザキアヤメ。
(ということがやっと判明)
植えっぱなしで毎年咲いて、じつに手のかからない子。

 

ところで、
ここしばらく面白物件が乏しかった地元不動産広告。
今朝ふと見た新聞に、こんなのが。

100万円
内外装リフォーム済
心臓の強い方向き
詳細な説明は電話では出来かねます

切手大のモノクロ写真にうつっているのは木造2階建
こじんまりした普通の住宅、のようですが。
「新緑の山の景色」「海一望」「日当たり見晴し良好」
「癒しのホッコリ温泉付」などなどが並ぶ中で、
なぜかこれだけ異彩を放っております。
オカルト物件・・?

 

桜は実がたくさんついた。
黒く熟したのをヒヨドリが食べに来ている。

 

本日のにゃんこ。

なんとなく、どことなく、鯉かナマズに似ているマドリ。
池の底のような地面を、ゆるゆると音もなく横切っていく。
(そういえば、ナマズの英名はCatfishっていうんですよね・・)

  

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透ける・木々

2013-05-10 13:53:23 | 日々


どちらを向いても眩しいものばかり。
上見て歩くのですぐ日に焼けてしまう。


 

柿。後ろはアカメガシワ。 他にも3種くらい。

 

キンモクセイも若葉は明るい。

 

イチョウの葉っぱに「鳥」発見。

 

メタセコイアの目もさめるような黄緑色。

 

 

 

 

 

録画してあったTVドラマを見る。
場所はどこか山の中の自然体験施設みたいなところ。
無農薬野菜など作って自給自足の集団生活をしている人々・・という設定。
畑が映る。働いている人がいる。何作ってるのかなあ、と思わず目をこらす。
うちは農家じゃないけれど、自分でちょこっとでもやっていると、
よその畑が気になるようになるんです。

なんだか奇妙な畑だ。畑に見えない。
そもそも畑の土の色ではないし、畝立てもしていない。
子どもの砂場みたいなところに、植物らしきものが並んで植わっている。
けれど、それが何なのか、見てもさっぱりわからない。
色だけみょうに鮮やかな緑色で、形があいまいだ。

これは、きっと、あれですね。
おそらく、ロケ地に、もともと畑はなかったのでしょう。
広場みたいなところに土を盛って、急遽それらしくこしらえた。
花壇なら、鉢植えでも買ってきて植えればすむ。
野菜はそうはいかない。
大根やじゃがいもを買ってきて、ちょいちょいと土に埋めたって、
畑には見えないでしょ?
根菜はだめだ。実もの、葉ものでなくちゃ。
だけど、スーパーでキャベツやレタスを買ってきて並べても、
やっぱりぜんぜん畑には見えない、でしょ?

春に放映されるドラマなら、たぶんロケはまだ寒い時期。
温室育ちのナスやピーマンなんか、わざわざ持ってきても
しおれてしまう可能性が高い。
時間も限られてるし、予算も足りないし。
いいんじゃない、フェイクグリーンで。
大丈夫だよォ、どうせそんなとこ誰も見てないんだから。

・・と、ディレクターさんが言ったかどうかは知らない。
例によって本筋と関係ないとこを見ていた閑猫は、
どうやったらもう少し畑らしく見せることができたか、ということを
いつまでもいつまでも考えている。

そうだ、下手に物を植えたのがいけない。
何も植えないで、耕すふりしてればよかったんじゃない。
そのへんの林に入れば腐葉土がいくらでもあるでしょう。
何袋か持ってきて、ばらまく。鍬の入るとこだけちょっと深くして。
長靴に軍手。一輪車に肥料の袋。ホースも要るかな。
あとは、種まきでもしている格好で、どうかしら?

こういうことを考えるのは、じつに面白い。
次回も録画しておこうっと。


 

以下ほとんど私信 >時鳥さん

月光を浴びて守宮の影冷えぬ
月を待つ壁ちょろ「下戸」と呟けり

う~~む、
どうしても「月」も入れたい季重なり(爆)

(注)
守宮は爬虫類のヤモリで、夏の季語。
壁ちょろは、地方名(たぶん九州)。
英名をGecko(ゲッコー)と言うそうなので、遊んでみたところ。
文語はよくわかんない閑猫。

 

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「かぜとわたし」韓国版

2013-05-09 11:37:59 | お知らせ(海外版)

韓国版ができました。
タイトルのハングル文字がかわいらしいでしょう。

絵は松永禎郎さん。
右が日本版。
古いので(1982年キンダーおはなしえほん2月号)
色が黄ばんでしまっています。
韓国版では文字が横組みになっています。

原本は「わたし」という一人称で書いていますが、
翻訳では、女の子に名前がついて三人称になっている・・
ような気がします。読めないけど、たぶん。
いま、あらためて見ると、それもいいかな、と思います。

(追記)
みゆきさんに教えていただきました。
韓国版タイトルは「風とトト」と書いてあるそうです。
トトちゃんかあ。かわいいな。

子どもの絵本でこういう絵を描ける人は、
よしろうさんしかいない。
こういう絵本をつくらせてもらえた、良き時代でもありました。


そういえば、よしろうさんが
「バスを逆向きに描いちゃった」と言っておられたのを思い出します。
バスって、左側通行だから、進行方向左側に出入り口があるんですが、
絵をみると、右側についてるの。
うふふ。バスにはあまり乗られなかったのかな。

 

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透ける

2013-05-09 08:57:06 | 日々

モクレンの葉。
光と色の重なり具合が美しい。

 

これはカシワの葉。
風が吹くたび不規則な模様ができる。

 

 

葉はヌルデ。影は隣のウツギだろうか。

 

 

アジサイ。

 

サルトリイバラ。

 

栗の葉。影が作るかたちは思いがけないほど楽しい。

 

 

ハナズオウ。
花の印象が強すぎるためか、葉だけになると
「あれ? なんだっけ、これ」と思う。

 

 

カエデ・・モミジ?
種類の見分け方はなかなかむずかしい。→こちら

 

 

時間や角度でこんなに違う表情。
(というか、意図したように写すという技術が皆無のため、
偶然いろんなのができちゃうんですね・・)

 

 

シダのなかま。
(もう調べる気がなくなったらしい・・笑)

 

 

本日の鳥さん。

シジュウカラがナニカくわえていました。
ひなが生まれたようです。
さあ、忙しいぞー。 

 

そして、本日のにゃんこ。

シジュウカラの奥様、大変ですわねー。
ウチはまだ卵なんですのよ。

 

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苔水玉など

2013-05-08 10:19:26 | 日々


こまかい分類は、まあ、いいや、ということで(・・笑)

おなじみヒョウタンゴケの水玉。
裏の物置の屋根の上に生えているため、
脚立にのって・・おっとっと。

とってもいいお顔!

 

 

ユキヤナギ。
花が終わって実になる頃は、知られざる水玉の宝庫。

 

ほらほら、まーんまる。

 

 

極上の植物レンズ発見。うつっているのは・・

 

 

コメツブツメクサですね。

 

 

コバンソウ。一粒でも・・

 

三粒でも・・

 

みんないっしょでも。

 

 

アサツキの・・ひじ、ですか? ひざ?

 

 

苺の花びらが落ちたあと。これから赤い実になるところ。

 

このごろの、あれこれ。


MのところにTVの取材。
制作会社の男の人、ひとりで大きなカメラかついで、電車で。
20年くらい前は、撮影というとカメラと照明と音響と3人4人がかりで、
何メートルものケーブルに小型発電機まで持参だったのを覚えている。
機材はどんどん高性能にコンパクトになり、扱いも簡単になったため、
もう交通費もひとりぶんしか出なくなったのだそうだ。
そのうち、取材はスカイプで、とかいうことに、なるかしら。
とっくに、なっているのかな?

☆ 
何度か利用したことのある某通販サイトに
IDとパスワードを(やっと思い出し)入力してログインしたら、
「おかえりなさい!」という文字が出た。
言われることを予期していなかった言葉に、一瞬たじろぐ。
すみません、半年も留守にして。


買物をして、お昼に間に合うようにと、時速70キロで帰る途中。
人家の屋根をかすめるように、1羽のトビが旋回している。
ずいぶん低いなあ、と思ったら、その輪がすうっと縮まり、
いきなり翼をすぼめ、垂直に急降下した。
路上の何かを片足の爪でつかみ、素早く浮上。
直後を、車のタイヤが通過する。
「うわぁ・・」と声が出たのは、そのあとだ。
降下直前の、みごとにそろって光に透けた翼の羽と、
一転して手裏剣のようにひらたく尖った姿。
何度も思い返しては、どきどきする。
トビ、すごい。


 

本日のゲスト。

茶々さんがくわえてきちゃったのをMが救出。
「たすけてくれてアリガトウ」と言ってます。
(なぜか、こういう生物は、ひらがなカタカナ混じりで
しゃべってる感じがする) 

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水玉以前

2013-05-07 12:51:54 | 日々


(最近ますます何のブログだかわからなくなってますが・・笑)

「水玉学入門・その4」からのつづき。
水孔(ウォーターポア)のことを知ったので、
いろんな葉っぱが気になる。
あれもこれもみんな気になる。

雨の降らなかった翌朝。
当然、しずく水玉は見当たらない。
しかし、よーく見ると・・

アシタバの葉に水滴がついている。
ぎざぎざのふちにそって、点々と。
あ、これがつまり、ウォーターポアということ?

 

ツリフネソウの芽。ここにも水玉以前の水滴がいっぱい。

 

ほうほう。
拡大してみるとよくわかります。
縁のとがったところに、きちんと1滴ずつのっている。
ウォーターポアって「穴」だから、ペタル効果と同じで、
にじみ出てきた水滴がはまりこんで落ちにくい。
さらに、とがった先っぽに支えられて、表面張力が高まる
(・・のかな? またいい加減なことを言ってるぞ?)

 

ミツバの葉。

 

オレガノ。まばらだけれど、やはり葉の縁に一定間隔で。

 

アジサイ。あるある。
(葉の縁=葉脈の行き止まり付近にあるわけですね?)

 

 

ヒューケラ。
ほんとに写真うつりのいい子。

 

 

カタバミ。あ、これはけっこう本格水玉だ。
非常に小さくてわかりにくいですが・・

 

縁にびーっしり並んでいます。


ということで、なるほど、なるほど。
水玉の中に「ポア水玉」という分類があらたに加わりました。

そこで次なる疑問は、

これまで閑猫が「露水玉」と思っていたのは、すべて「ポア水玉」なのか、
それとも、露水玉の中にポア水玉もあり、そうでないのもあるのか、

っていうことですね。
ポア水玉じゃない露水玉、つまり
「空気中の水分が葉に結露したもの」
・・というのが、存在するのか、しないのか。
そして、それを見分ける方法は?
さらに観察は続きます。

(W先生案の、「猫になめさせてみる」は、気まぐれすぎて不可。
そもそもヒトの指示に素直に従うようでは猫とはいえない)

しかしですね。
こんな「水玉以前」のものまで集めていたら、
時間とハードディスクがいくらあっても足りないのじゃないかしら。

 

まったくねえ、時間のムダよ、ムダ。
もっとさまざまな社会の問題に目を向けなくちゃ。

(だーかーらー、読めないんだってば、新聞!)

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グリンピース

2013-05-06 08:23:44 | 日々


昨秋にまいた豆がようやく収穫時期をむかえた。
スナップえんどうと、グリンピース。
猪鹿よけのワイヤーメッシュでがっちり囲んである畑。
今年は実のつきも良く、とても甘い。
摘んだらなるべく早く茹でたいので、しばらくは、うれしく忙しい日々。

 

グリンピースのさやをむく。
一方の側からむくと舟のかたちになるし、
反対からむくと、このように豆が一列に並ぶ。

豆御飯にしようか、たけのこ御飯にしようか、悩んだすえ、
どっちとも決められず、両方入れて塩味で炊くことにした。
たけのことグリンピースは、ふつうは時期がもっとずれるので、
これはめったにできないぜいたく。

今夜のお献立

鰹刺身(お酒飲む人だけ)
スナップえんどう(茹でただけ)
かます塩焼
あしたばとカニかまぼこの卵とじ
生ひじきの炒め煮(にんじん・しいたけ)
たけのこ豆御飯
麩と三つ葉のお吸い物

うちでとれた食材が5つ入りました。
たけのこ豆御飯は、どっちつかずになるかと思ったら、
両方混ざって美味しかったです。

 

シロバナハンショウヅル。もう咲き終わるころ。

図鑑をみると、名前の似ている「シロハンショウヅル」があり、
花の似ている「トリガタハンショウヅル」というのもあって、
とてもまぎらわしい。
(トリガタは西日本から四国に分布と書いてあるので、
たぶん違うんだろうと・・その程度しかわからないんですが)

 

山の藤の花が、今年はどこでも見事に咲いている。
斜面を眺めると、あっちにもこっちにも、薄紫の滝のように見える。
遠くからはよく見えるのだが、あそこだなと思って近づこうとすると、
木々にさえぎられて見えなくなってしまう。

遠目にめだつのは、高い木のてっぺんによじのぼっているからだ。
これ以上のぼれないので、行きつ戻りつぐるぐるしているうちに、
やがて巻きついた木を枯らしてしまう。
その先のことはまるで考えていないらしいのが困ったものだけれど、
じつは考えているとしたら、それはそれで怖いかも。

 

オキザリス(花かたばみ)。
もういつだったか忘れるほど前に植えて半野生化していた一族の
最後の最後の生き残り。

 

本日のゲスト。

旅の途中でひと休み。

 

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「ビリーのすてきなともだち」

2013-05-04 09:33:43 | お知らせ(新刊)

新刊翻訳絵本です。
『ビリーのすてきなともだち』(教育画劇 2013年4月刊)
ブランチ・ボウシンスキー/原作
竹下文子/文  山田花菜/絵 


『ビリーのすてきなともだち』(原題 Billy’s Amazing Collection )は、
いまから半世紀以上前にアメリカで書かれたおはなしです。

いろんなものをコレクションするのが大好きな男の子が、
「きょうは動物を集めるんだ」と宣言して出かけます。
行く先で出会うのは、トラに、ゾウに、キリン。
「ぼくのうちに来てくれる?」と誘うと、みんなついてくる!

ああ、これ、子どもにはうれしいでしょうね。自分ひとりで、
あこがれの大きな動物を3頭も連れて帰ってくるんですから。
トラの背中に乗ったビリーの得意そうなこと!
(そして、ビリーを乗せたトラもまた得意そうなこと!)

わたしがこのおはなしにひかれた理由は、
この「子どもの夢がかなう」ストーリーだけではありません。
花壇にトラが、壁にゾウが、木立にキリンが「見えた」のは、
自由な想像力を持つ子どもだから。
「いるといいなあ」と思い、「いるみたい」と思って見つめれば、
その子にとってはもう本当に「いる」のです。
ビリーの夢をかなえたのはビリー自身、と言ってもいいかもしれません。

ビリーのお父さんとお母さんが、また素敵です。
子どもの空想を丸ごと受けとめ、子どもと同じ気持ちで、
動物たちを温かく迎え入れてくれます。
わかってもらえる幸せ。
楽しいことを共有できる幸せ。
この絵本には、「ポジティブでハッピーな気持ち」がぎゅっと詰まっています。

原作は、1959年にアメリカで出版された
"First Stories To Read Aloud" という本の中でみつけました。
幼児向きの短いおはなしや詩が40篇ほど入った童話集で、
私が幼少の頃から家にありました。
私が底なしの本好きだったので、両親は洋書店で買ってきた本の中から
いくつかのおはなしを訳して、画用紙にさし絵もつけて、
自家製の絵本を何冊も作ってくれたのです。

大人になってから、当時訳してもらわなかった作品も読んでみた中で、
このおはなしがぴかりと光りました。
元の本にはモノクロのイラストが少しあるだけですが、
私はぜひ絵本にしてみたいと思うようになりました。
海外の絵本を翻訳出版するのはよくあることですが、
童話を日本で絵本化する(しかもこんな昔の作品を!)のは異例のことで、
元の出版社はすでになく、原作者の所在もわからなくなっており、
(かなり時間をかけて調査していただいたのですが、結局、
亡くなられたということまでしかわかりませんでした)
それでも、この愛すべき作品をどうしても日本の子どもたちに紹介したい、
埋もれたままではもったいなさすぎる!と、
数年がかりでようやく出版にこぎつけることができました。

画家の山田花菜さんは、ちょうどビリーくらいの男の子のお母さんでもあり、
空想が何倍にも広がるような明るくのびやかな絵を描いてくださいました。

ブランチ・ボウシンスキーさんは、日本ではこれまで
ほとんど知られていない作家です。
半世紀前の作品なのに、少しも古くなっていません。
時代をこえ、国や文化の違いをこえて、変わらない大切なものを、
このおはなしは伝えてくれます。
かつてアメリカの子どもたちがおやすみ前にベッドで
繰り返し読んでもらったように、現代の日本の子どもたちと、
お父さんお母さんたちにも楽しんでいただけますように。


・・以上は、いわゆる「プレス資料」として書いた文章です。
絵本自体には解説をつけませんでしたので、ここにのせておきます。


個人的に、すこし追加。

原文は読み聞かせ用のお話なので、言葉だけで成り立っています。
絵本化にあたって、一部重複する語句を省略させていただき、
(「牛乳のパック」を「はこ」として、絵で牛乳パックを描いてもらう、など)
現代の日本の子どもたちにわかりづらい表現を2か所手直ししました。
(モンキーパズルツリーという聞き慣れない木の名称を省いたことと、
お父さんが車の下にもぐっている場面を「のぞきこむ」に変えたことです)
それ以外、内容の改変は一切せず、原文にそった訳を心がけました。

原作者の方に、この絵本をお届けできなかったことが、唯一の心残りです。
半世紀以上たって日本で絵本になるなんて、きっと夢にも思わなかったのでは・・。
ご遺族の所在など、何か情報をお持ちの方がおられましたら、出版社に、
あるいは、このブログの左側の「お問合せ窓口」から直接わたくしに、
ぜひご一報くださいますよう、お願いいたします。

山田花菜さんとのお仕事は、2冊目です。
じつは前回の『クリスマスのかね』は、おなかの赤ちゃんと一緒に
描いてくださったのですが、そのときの坊やがもう3歳。
そして、今回・・なんとなんと、ふたりめちゃん! ということで、
赤ちゃんと同時進行で絵本も育つこととなりました。
またしても厳しいスケジュールにもかかわらず、
花菜さんは次々と素敵なアイデアを出してくださり、
「そうか! このおはなしって、そこが大事だったんだ」と、
こちらは目からウロコの連続でありました。
いやー、間に合ってよかったです!
まもなくお兄ちゃんになるAくんと、ブックデザイン担当のだんなさまにも、
心からの感謝を。

編集担当のCさんには、度重なるエージェントとのやりとりや、
度重なる文章変更や、度重なる勝手なあれこれあれこれ・・で、
たいへんご面倒をおかけしました。
わたしにとっても「夢がかなった」気がするこの1冊。
みなさま、どうもありがとうございました。

 

(追記)

山田花菜さんインタビュー
こちら↓です♪

http://ameblo.jp/bokurano-ehon/entry-11731573971.html


 

ビリーのすてきなともだち

ブランチ・ボウシンスキー 原作
竹下文子 文
山田花菜 絵

 

教育画劇 2013年
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