水面を破壊せよ、上へ昇って

勢いよく水面を破壊する気概で、海面に湧く言葉たちであれ。

青い生命の火

2017年03月10日 15時02分15秒 | 震災詩篇
 それは  ある薄曇りの寒い日のことでした  人に見られるか、見られないかの  狭間でさまよう旅人がおりました  事件は何の前触れもなく起きました  彼の腕に嵌めていた時計は2時46分で止まりました  なんで思考が進まないんだろう  カレンダーを毎日めくっているのに    僕と時はいつからこんな縁遠い関係に、なってしまったんだろう  白い雪が落ちてくるその光景は、時の過ぎゆく外界の移ろい . . . 本文を読む

永久の子守歌

2017年02月24日 09時53分39秒 | 震災詩篇
 あなたは  遠くの街へ行ったのでしょう  溶け去ってしまうほどの  魂一つで  螺旋状に巡りめぐる  僕らの夢の傍らでは  オルゴールが  無辺際に  音色を響かせていて  形のない  想いで  この胸が占められては  3月11日は失踪し  あるはずの胸の痛みも  宇宙の闇へ飲み込まれていくように  儚い結末だけを残して遠く未来へ  走り去っていくのでした . . . 本文を読む

星泣く世

2017年02月08日 01時07分37秒 | 震災詩篇
 時を選ばずして   熱いものが    目から溢れ出る  海は   かつて    あの堤防を越えてきた  ああ!  それらは全く同じことだ   僕らを載せて廻るあの青い星も  耐えがたきを耐えて、叫んだんだよ きっと  星だって 泣くのに  僕ひとりで泣いてるように思ってたなんて    僕はとんだバカだよね… . . . 本文を読む

暗中夢流の疾走画

2016年08月26日 17時11分22秒 | 震災詩篇
 祈りを繋げる青空を横断するしなやかなその電線の  遥か遠く伝達される僕らの名を持たぬ欲望の流れを  そのまま空へぶちまけたなら    うら若いその青も  波のように揺れ出す夏が来る  踊り狂うような夜を  艶やかに何度も越えてゆけば  ゆっくりと僕らのモーターが  回転し始めるのが分かるだろう  悲しみを纏った風が  今年も3月11日のホームタウンの街角を  駆け抜けていくのなら  眼を閉 . . . 本文を読む

降雪ハードディスク哀歌

2016年06月20日 22時36分37秒 | 震災詩篇
 あの日、僕の脳内のハードディスクに  終生忘れることのないだろう光景が  しかと焼き付けられた  小高い丘に立って  僕は歴史の動く瞬間を目の当たりにして  あっけに取られていた  我が家の目の前には  いつもはとても穏やかに流れる  「大川」と呼ばれる河があった  だがその日は  いつもと変わらぬ  何気ない光景が  そこには  なかった  歴史の大きな歯車が  動き出していくのを   . . . 本文を読む

雪灯り

2016年02月14日 20時09分08秒 | 震災詩篇
 春が来るので  いつとも知れず  白い影は泣いている  そっと手で  拭い去られるように  空は真っ新になって  泣き顔の名残は香り  一連の芝居は終わる  君が駆けていく  その歩幅も  宇宙の端から端へと  跨いでいくみたいな  大きさだ   雪の  燃えるような熱さを  冷えた口に放り込んで  僕は  魂に  精神という炎を灯した    あなたの祈りが  僕の心の中で生きるように   . . . 本文を読む