水面を破壊せよ、上へ昇って

勢いよく水面を破壊する気概で、海面に湧く言葉たちであれ。

春は遠くへ霞みけり

2015年09月14日 18時01分36秒 | 詩編
 たしかに  あの松の枝を揺らしたのは  あの日の春の風     かすかに  あの梔子に残っていたのは  かつて青かった頃の春の匂い  とうに過ぎ去った春は  視界の向こう側で霞み    咲き誇る麗しき花々は  神々しい暑熱を被り笑む  軽やかに陽光に踊るのは  僕の幼さを匿う他愛ない心  捨て切れない昔日の後悔と  特徴なき有り触れた感情が  この胸の奥を今でも占める   風に揺れる   . . . 本文を読む

氷の演舞

2015年09月14日 17時48分31秒 | 詩編
 氷が燃えている  貴女の目のなかの  湖の上一面で  どうしても避けられない  一抹の誤解を消し去るように    僕の  意識は  零度以下に冷めた  鮫の思考を  丁寧に模倣した    一寸も先の見えない夜のなかで  草臥れた白Tシャツと対峙して  徐ろに相槌を打った    一瞬  時が止まったような気がして  軽く顔を上げたが  何のことはない  僕は僕のままだった  変わりもしない睡眠と . . . 本文を読む