夏休みの楽しみの一つ、それは蛍狩り。
お風呂から上がって、パジャマに着替えたチエちゃんとたかひろ君は、団扇を片手に虫かごを首にぶら下げ、おばあちゃんと村道へ降りました。

ほ~ほ~ ほたるこい
あっちの水は にがいぞ
こっちの水は あまいぞ
ほ~ほ~ ほたるこい
ほ~ほ~ 山道こい
ほたるのおとさん 金持ちだ
どうりでおしりが ぴかぴかだ
ほ~ほ~ほたるこい 山道こい
昼間はくさばの つゆのかげ
夜はぼんぼん 高提灯
天ぢくあがりしたれば
つんばくらにさらわれべ
ほ~ほ~ ほたるこい
あっちのみずは にがいぞ
ほ~ほ~ ほたるこい
こっちのみずは あまいぞ
ほ~ほ~ ほたるこい
始めのうちは、蛍など何処にいるのかと思えるほどの暗闇です。
足元を照らしていた懐中電灯を消すと、田んぼの方で、明滅する光がフワフワと舞っていることに気が付きました。
すると、たちまち、チエちゃんたちの周りでも、光が舞い始めました。
田んぼ沿いの村道を歩いて、道端の草むらで光っている蛍を捕まえ虫かごに入れました。
露のついた草も合わせて虫かごに入れ、放つ光に蛍がそこにいることを確かめたものです。
時々、おまけの
コクワガタや
タマムシも捕まえることが出来ました。
こうして、数匹の蛍を捕まえ、満足したチエちゃんたちは家に戻ります。
虫かごを寝室に持ち込み、暗がりの中で、蛍を鑑賞したチエちゃんは、
「そうだ、いいことを思いついた。」
虫かごをそっと開け、蚊帳の中に蛍を放ちました。
蚊帳にとまった蛍の明滅をロマンチックな気分で、楽しみながら眠りについたのでした。