月遅れのお盆を迎えています。
チエちゃん家でも、13日には先祖の霊を迎える迎え火を、おじいちゃんが庭先で焚いたものでした。
12日か13日に、おじいちゃんとお父さんは先祖の霊を迎えるための盆棚を作ります。チエちゃん家では、仏壇のある真中の座敷に作っていました。
盆棚の周りには、縄を張って、ヒバ(?)の葉とほおずきを交互に挟んで、飾ります。棚の中央奥には仏壇からお位牌を移して、安置します。
それから、家で採れた桃や蓮の花の落雁、水などをお供えします。
また、お盆には特別のお供えもします。
なすときゅうりを賽の目に刻んだものを本当は蓮の葉ですが、代用のふきの葉に載せてお供えします。
合わせて、きゅうり、なすに割り箸などを刺して、足をつけ、馬と牛を作り、これもお供えします。
これは、先祖の霊がこの世に帰る時は「きゅうりの馬」に乗って、一刻も早く来れるように、また、あの世に戻っていくときは「なすの牛」でゆっくり戻れるようにという意味があるのだそうです。
ろうそくやお線香、線香立ても準備し、花瓶に花を挿します。
最後に、盆棚の前に、盆提灯を下げます。
こうして、迎えた先祖の霊、亡くなった人の魂は三日三晩、その家に留まるのだそうです。
あの頃、チエちゃんの家のお位牌は、幼くして亡くなったお父さんの兄妹でした。
この人たちにチエちゃんは実際に会ったことはなく、いまひとつピンと来るものがなかったのですが、おじいちゃんとおばあちゃんが亡くなってからは、お盆が、故人を懐かしみ、生きている私たちの魂を癒してくれる大切な行事となっています。
16日の夕刻には、賽の目に切ったなすときゅうりを葉っぱで包み、お米、そうめんなども包んで、お供えしていたなすの牛に括り付けます。あの世へのお土産です。
それを
サラシ川に納めに行くのです。
その後、庭先で送り火を焚いて、お盆の行事は終わりを告げるのでした。
追記:次のページに
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