チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第104話 すいか

2007年08月27日 | チエちゃん
 チエちゃんの家では自家用に西瓜を栽培していました。

今でこそ、スーパーに並ぶ西瓜に当たり外れはなく、どれを割ってみても、中味は甘く真っ赤に熟れています。

 あの頃、チエちゃん家で採れた西瓜は当たり外れが激しく、大きな玉にお母さんが包丁を入れるその脇で、期待を持って見守っていると、パリンと割れたその西瓜は、以外にも中身は真っ白、或いはほんのり赤味が付いただけというようなことがありました。味はむろん、大根をかじる方がマシというものでした。

 西瓜は瓜の仲間ですから、きゅうり、かぼちゃに似た黄色の花を咲かせます。
つる性で、一本の茎に雌雄別々の花をつけます。
雌花は額の下が膨らんでいるので分かります。受粉すると、小さな西瓜玉ができ、どんどん大きくなっていきます。

 時々、畑に西瓜を見に行っては、いつになったら食べられるのかとおばあちゃんに聞くのですが、「先のつるが枯れないうちは、まだ熟していない」と教えられ、今度はつるが枯れたかどうかを見に行くのです。
 おばあちゃんは西瓜をポンポンとたたいて音を聞き、「まだのようだ」と言います。
チエちゃんも真似してポンポンとたたいてみますが、熟れた西瓜の音など判るはずがありません。

 そんなこんなで、7月下旬から8月中旬の夏真っ盛りに熟れる西瓜はわずかで、お盆過ぎの涼風が吹く頃になって、ようやく食べられるようになったのです。
それでも、日中はまだまだ残暑が厳しく、井戸の脇の池に入れて冷した西瓜は、お昼寝の後の楽しみなおやつでした。


 ですから、チエちゃんにとって西瓜は夏の終わりを告げるくだものなのです。