遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

面白古文書『金玉尽・鳥尽5』

2022年11月19日 | 面白古文書

先回は、鳥尽くしの番付上位陣でした。珍しくギブアップ無しのブログで気分が爽快でした。

が、今回は下っ端、前頭。難問奇問の嵐に、またまたの連続です(^^;

左側(とり尽くし)の中段:

前頭 御関所で笠とり
    (御関所で笠取り) 
前頭 禅宗ハさとり
   (禅宗は悟り) 
前頭 うち掛ハかいとり
  (打掛は買取り)
前頭 店向の判とり
  (店向の判取り)
前頭 雀のおどり
   (雀の踊り)
前頭 少しのゆとり
  (少しのゆとり)
前頭 行當れハもどり
  (行き当れば戻り)
前頭 鴨は水とり
   (鴨は水鳥)
前頭 夏ノ虫ハ火とり
  (夏の虫は火取り)
前頭 煙草ハはつとり
  (煙草は服部)
前頭 松にハみどり
    (松には緑)
前頭 虎の杖いたどり
  (虎の杖イタドリ)
前頭 ねつのほとり=>ねつのほとり
    (根津の畔?)=>(熱の熱り)  or (熱の火照り)      (クボニワさんからの御教示によるものです)

前頭 夜はひハ寝とり
  (夜這いは寝取り)
前頭 くもにハはいとり
  (蜘蛛には蝿取り)
前頭 高利ハおどり
  (高利は踊り)
前頭 そうじにちりとり
   (掃除に塵取り)
前頭 十九文の寄どり
  (十九文の寄取り)
前頭 葛西の犯?とり
前頭 近在の小便とり
    (近在の小便取り)
前頭 せ◯きの〇けとり
前頭 むじんハ鬮とり
     (無尽は鬮取り)
前頭 麻しまに香どり
前頭 くもつた空はどんどり
   (曇った空はどんどり)

【笠取り(かさとり)】関所通過の際,一般に通行者は笠・頭巾をとった。
【店向(みせさき)】店頭。
【判取り(はんどり)】代金を授受した証として相手方の判をもらうこと、またはその任にあたる店員を指す。江戸時代、通常は、店頭で下っ端の店員が行った。
【火取り(ひどり)】火取り虫。夏の夜、灯火に集まってくる虫。
【堀部(はっとり)】江戸時代、 摂津国島上郡服部村(大阪府高槻市)付近で産出された、香りの良い上質のタバコ。
【虎杖(いたどり)】イタドリ。山野に自生するタデ科の多年草。
【寝取り(ねとり)】他人の配偶者や恋人と性的関係を持つこと。
【蝿取り(はい(え)とり)】蝿取り蜘蛛。座敷鷹。江戸時代には、鷹狩になぞらえ、ハエトリグモを座敷鷹と呼んで、蝿を捕らせる遊びが流行した。これは、翅を切ったハエを、複数のハエトリグモに狩り競わせるというもので、クモを売る商売やクモを飼い置くための高価な容器まで出現した。強いクモは非常に高価であった。)
【踊り(おどり)】(江戸時代、高利貸しが返済期日を月末とせずに25日限りとし、これに遅れた場合は以後の4、5日でさらに1か月分の利子を取った(踊り歩(ぶ) )。
【十九文、寄り取り】十九文屋:江戸時代、小間物や雑貨を19文(400円弱)均一で売った安物店。櫛や剃刀、鏡、盃、筆、墨、糸などの日用品や生活雑貨を始め、人形や煙管、将棋の駒などの嗜好品に至るまで、幅広く売っていた。四文(約80円)屋もあった。現代の百均ショップのルーツ。
【近在(きんざい)】都市の近くの村。
【小便取り(しょうべんとり)】江戸時代、溜めおかれた都市家庭の糞尿を、小便取り(小便買)が集めてまわった。このようにして循環型社会が成立し、その結果、江戸などは、当時、世界でまれな清潔都市であったといわれている。
【無尽(むじん)】無尽講。世話人が講の成員を募集して、掛け金を集め、定期的に催される集会で、クジや入札などにより給付を受けた江戸庶民の金融組織。なお、大塩平八郎の乱は、天保時代、無尽講で不正に私服をこやす田沼意次配下の幕府要人たちへの怒りに端を発している。
【鬮取り(くじとり)】クジ引き。
【どんどり】重く、濁っているさま。

 

コメント (4)
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