遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

北大路魯山人『静観』

2021年11月29日 | 文人書画

漆器などの木物のブログが続きましたので、漆器はいったん中断して、書を紹介していきたいと思います。

まず今回は、北大路魯山人の書『静観』です。

本紙:30.4㎝x41.5㎝。戦前(?)。

 

 

【北大路魯山人】明治16年(1883)~昭和34年(1959)。本名、房次郎。号に、無境・夢境・魯卿など。

書家、篆刻家、陶芸家、画家、料理家、美食家など、様々な貌をもっていますが、いずれもが、魯山人独特の世界を造り出しています。

一般には、多種多彩な陶磁器や数多くのエピソードで語られる陶芸家、美食家・料理家として有名ですが、初期にめざめた書や篆刻に魯山人芸術の神髄を見ることができると思います。

「心静かに物事を見守り、その奥に隠された真実を見出すこと」を理想としていたのでしょう。でも、結局その理想は、追えば追うほど遠ざかっていくものであったに違いありません。 

故玩館の玄関を入ったところに、この『静観』は掛かっています。

しかし、故玩館主人も、「静観」の境地とは程遠いところをウロウロしていて、理想は遠ざかっていくばかりであります(^.^)

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面白古文書 『大きな物見立てくらべ』(下)

2021年11月28日 | おもしろ古文書

面白古文書 『大きな物見立てくらべ』の後半(下段、にしのかた)です。

やはり、意味のとれない部分があります。赤字でマークしました。わかる方、教えていただければ幸いです。

下段(にしのかた):

 

にしのかた
差添 能書乃一のじ
     (能書の一の字)
大関 やましのもふけばなし
      (山師の儲け話)
関脇 あめ屋乃からかさ
      (飴屋の唐傘)
小結  女郎屋ですくおんな
    (女郎屋ですぐ?女)
前頭  くも助乃まごうた
      (雲助の馬子唄)
前頭  小おとこ乃かり若
     (小男の雁若)
前頭  つうじん乃ふところ
      (通人の懐)
前頭  ゐあひぬき乃刀
     (居合抜きの刀)
前頭  てんぐさま乃はな
      (天狗様の鼻)
前頭  とうぞくのきもたま
      (盗賊の胆玉)

 

前頭  おたふくのひたい
      (お多福の額)
前頭  つんほのないしよばなし
      (つんぼの内緒話)
前頭  おいらん乃道中
      (花魁の道中)
前頭  すまふとり乃うらつけ
     (相撲取りのうらつけ)
前頭  関とり乃めしたき
     (関取の飯炊き)
前頭  うミ月乃はら
      (産み月の腹)
前頭  ひなしかし乃いひかゝり
      (日無し貸の言いがかり)
前頭  おびとき乃ふりそで
      (帯ときの振袖)
前頭  日一ばい乃晦日勘定
     (日一倍の晦日勘定)
前頭  ほていゑ乃ふくろ
      (布袋絵の袋)
前頭  やぶいしゃのふところ
      (藪医者の懐)
前頭  はつぴ乃もんどころ
      (法被の紋所)
行司 女客ニ出すかげま
     (女客に出す陰間)


【通人(つうじん)】 花柳界の事情に通じている人。粋人。
【日済し貸(ひなしがし)】毎日少しずつ返す約束で金を貸す商人。
【帯解き(おびとき)】着物の付けひもをとって、初めて普通の帯を締める祝い。江戸中期ごろからは、七五三に行われた。ひもとき。おびなおし。
【陰間(かげま)】江戸時代に茶屋で客をとった男娼。歌舞伎役者が兼ねていたが、後に20才以下の美少年。女性客の場合は、もう少し年をとった男が相手をした。
【晦日勘定(みそかかんじょう)】 月末に支払いをすること。

 

 

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面白古文書 『大きな物見立てくらべ』(上)

2021年11月27日 | おもしろ古文書

面白古文書『大きな物見立てくらべ』です。

36.2㎝x 49.3㎝。江戸時代後期。

相撲の番付表を模した比べ物です。瓦版のような刷りです。

江戸後期には、東西対抗の形式で、いろいろな番付表が、数多く出されました。その中で、風刺やパロディに満ちた一群の番付表があります。

以前のブログでは、『嘘くらべ見立て評判』を紹介しました。

今回の品は、先回よりも数段大きく、良質の紙に刷られています。

相撲番付を模した『大きな物見立てくらべ』です。東の方(上段)と西の方(下段)とに分けて書かれています。上段と下段を、2回にわけてブログアップします。

意味がわからないものがいくつかあります。赤色でマークしてありますので、ブログ読者諸氏の御教示をお願いします(^.^)

上段:

 

  大きな物見立てくらべ

ひがしのかた
勧進元 学者の胸のうち
        (学者の胸の内)
大関 ゑびすかうのうりかひ
      (戎講の売り買い)
関脇 おいらんの箱でうちん
  (花魁の箱提灯)
小結 ゆやでひやうばんの男
    (湯屋で評判の男)
前頭 やどなし乃うち
    (宿無しの家)
前頭 よくどうしいぬひあげ
    (◯◯・・・・・・・◯◯)
前頭  にくまれものゝかほ
    (憎まれ者の顔)
前頭  いなかものゝきものゝもん所
    (田舎者の着物の紋所)
前頭  さいじやう寺のいんぎゃう
    (西上寺の印形)
前頭  ぶしやうものゝしらミ
    (無精者の虱)

 

 

前頭  はんにやめん乃くち
    (般若面の口)
前頭  年男乃豆まきの聲
    (年男の豆まきの声)
前頭  しばらく乃出は
  (暫くの出端)  
前頭  にわうのわらじ
      (仁王の草鞋)
前頭  十五夜のおなら  
  ← 秋に収穫したさつまいもなどを入れたごはんがよく食べられる。
前頭  ろう月てう乃まんじう
      (露月町?の饅頭)
前頭  むすこをしかるおやじの目玉
    (息子を叱る親爺の目玉)
前頭 としま乃うれしがる物
    (年増の嬉しがる物)
前頭  ひつそくしたい人のしやつ金
     (逼塞したい人の借金)
前頭  どうらくものゝたばこ入
      (道楽者のたばこ入)
前頭  おうばどのゝねすがた
      (お姥殿の寝姿)
前頭  こぶなてうの大こんしめ
      (小船(鮒?)町の大根注連)
行司 わらひ本のおんこと
      (笑い本の御事)

【暫(しばらく)】歌舞伎十八番の一つ。11月の顔見世興行には必ず上演。
【出端(では)】歌舞伎の主役が舞台に登場すること。
【湯屋(ゆや)】銭湯。ふろ屋。湯女が接客をすることもあった。
【逼塞(ひっそく)】落ちぶれて世間から隠れ住むこと。
【笑い本(わらいほん)】春本。
【大根注連(だいこんしめ)】神棚などに飾る太めのしめ縄。
【御事(おんこと)】男女の交わり。

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オールドノリタケ 草花紋ティーカップ(4客)

2021年11月26日 | 古陶磁ー全般

今回は、オールドノリタケの国内向けティーセットの紹介です。

5客あったはずですが、1客、行方不明です。粗相をした記憶はないので、例によって、どなたかのもとへ行ったのですね(^^;

カップ:口径 9.1㎝、高台径 4.2㎝、高 5.3㎝。

ソーサー:径 13.9㎝、高台径 8.6㎝、高 1.9㎝。 戦前。

全体に薄造りです。

裏には、「日本陶器」の銘。これは、初期日陶印で、1932年から国内向け製品につけられたマークです。先日紹介した、オールドノリタケの朱菊紋茶器より少し古いです。造りも、この時代の陶磁器類の中では上手です。

この年、日本陶器会社は、ボーンチャイナの製造にはじめて成功したと社史にありますから、今回の品はボーンチャイナかもしれません。そういう目で見れば、同時代の同様な食器とは、白さが異なるようにも思えます(ボーンチャイナを見分けるほどの知識無し(^^;)。

 

昨日の「オールド東陶 桜紋朱ティーカップ」(右)と今回の「オールドノリタケ 草花紋ティーカップ」、両方とも、私の愛蔵品です。来客時には、その日の気分でどちらかを使います(^.^)

現代のノリタケ(右)の出番はほとんどありません(^.^)

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オールド東陶 桜紋朱ティーカップ(7客)

2021年11月25日 | 古陶磁ー全般

先日のブログで、オールドノリタケの朱菊紋茶器を紹介しました。今回は、オールド東陶の朱色ティーカップ、7客です。

このカップを使い始めて10年以上になりますが、今回、写真をとってみて初めて気がつきました。大きさの違う、2種類のカップが混ざっているのです(^^;

左側の小さいカップ、5客と右が側の大きいカップ、2客です。

小さい方:

カップ:口径 9.4㎝、高台径 5.2㎝、高 5.6㎝。

ソーサー:径 14.1㎝、高台径 8.7㎝。戦前。

大きい方:

カップ:口径 10.7㎝、高台径 4.4cm、高 5.0㎝。

ソーサー:径 14.9㎝、高台径 8.0cm。戦前。

 

二種類のカップ&ソーサーは、わずかの大きさと形の違いがあるだけで・・・

 

裏底の東陶マークや、桜の花びらの模様は同じです。

デザインの違いは、唯一、把手部の縦線です。

小さいカップの把手には1本の縦線しかないのい、大きい方は3本あります(^.^)

 

今回のカップ&ソーサーには、すべて同じマークがついています。

似たようなマークは、オールドノリタケの品でも見られます。また、今回のカップ&ソーサーの朱色は、先日紹介したオールドノリタケの朱菊茶器の色に酷似しています。

東陶(東洋陶器株式会社、Totoの前身)は、1917年(大正6年)、日本陶器合名会社(ノリタケ)の衛生陶器部門を分離して設立されました。ですから、両社は姉妹会社であり、オールドノリタケとオールド東陶が似ているのも頷けます。

しかし、オールドノリタケの朱色磁器製品は、ほとんど菊花紋であるのに対して、今回の品は桜の花です。

好みもありますが、稀少価値からすると桜に軍配が上がるでしょう。

しかも、花びらをよくみると、白ではなく、パールに輝いています(写真では分かり難い)。

いかにも女性好み。「あら、このカップいいわね」の言葉に、「よかったらどうぞ」となり、10客あったカップ&ソーサーは、7客になったという次第です(^^;

あらためて2種類のカップ&ソーサーを較べてみると、違いがわかりますね。大きい方が口が開いています。朱色が少しだけ薄い・・・・・10年以上たって明らかになった真実です(相変わらず、大げさ ^.^)

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