遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

十六ササギが満作、庄屋大長ナスはピンチ

2023年07月31日 | ものぐさ有機農業

猛暑の中、野菜たちも悲喜こごもご。

5月30日のブログで報告した、当地域の夏の必須豆、十六ササギ(訛りがなければササゲ)が本番を迎えました。

5月30日の畑です。

エンドウが終わった所に種をまき、芽が出そろいました。

それが、今日、7月31日には・・・・

大棚も耐えきれないほど繁っています。

ササギの花は万に一つの間違いもありません。すべて実になります。

ご覧の通り、細長い豆が垂れ下がっています。

類似種で「けごん」というのがありますが、華厳の滝からのネーミングでしょう。

今朝の収穫です。しばらくは、このペースでなり続けます。

この品種は30㎝弱の長さです。

煮て良し、お浸しで良しですが、私は、さっと茹でて、何もつけずにサラダ感覚でパクパク食べるのが好きです。

時には60㎝ほどの物も。ちょっとギョッとしますね(^^;

生育のスピードが非常に速いので、毎日収穫する必要があります。

どうしても取り遅れる豆(右側)がでてきます。食べごろの物(左側)にくらべて、ひどく食感が落ちます。

この時期、虫が入っている物があります。

大丈夫、少し水に浸しておけば、苦しくなって這い出てきます。でも、考えようによっては、このまま調理して食べれば、栄養バランスの良い昆虫食となりますね。巷で喧伝されているゴキブリやコオロギなどに較べればよほどマシ(^.^)

取り遅れたササギを剥いてみました。

立派な種が16個。

十六ササギとはよく言ったものです(^.^)

 

ササギの少し横は、庄屋大長ナスの畝です。

あれほど生り盛っていた大長ナスも、大分ヘタってきました。

例年、梅雨があけてしばらくすると、この状態になります。夏バテですね。

ところが、今年はバテる程度が酷い。

その理由は、害虫です。

テントウムシダマシが大発生。このところ、毎日、捕獲に明け暮れています。

使うのはこれ。

ペットボトルの肩から上を切り、内側へ付けた物です。元々、カメムシ捕獲用なのですが、テントウムシダマシもとれるはず。

とれ過ぎて、不気味(^^;

これまでに、数百匹、捕獲しました(^.^)

とにかく、ナスにとっては、一休みの時期。枝を大きく剪定すれば、やがて、新枝、新芽が出てきます。秋ナスの収穫を待ちましょう。

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面白古文書『吾妻美屋稀』9.「いろはうたつヾきもんく酒ろん餅ろん前編」

2023年07月29日 | 面白古文書

今回と次回は、「いろはうた続き文句酒論餅論」の前編、後編です。下戸から上戸へ、上戸から下戸へ、それぞれ、いろは64文字のいろは歌で意見をするというものです。今回は、「前編 下戸から上戸への意見」です。

いつの時代も、酒にまつわる話は尽きませんね。

 

 いろはうたつヾきもんく酒ろん餅ろん前編
(いろはうた続き文句酒論餅論前編)

○下戸より上戸のかたへゐけんくさ(下戸より上戸の方へ意見草)

い いかに上戸衆ききたまえ(いかに上戸衆聞きたまえ)

ろ ろんハむやくのことなれバ(論は無役の事なれば)

は はやへもがつてんいたされよ(はやへも合点致されよ)

に にが/\しくハさけのくせ(苦々しくは酒の癖)

ほ ほんらやうまでもとりちらし(本領までも取り散らし)

へ へいぜいよろしきひとがらも(平生よろしき人柄も)

と とほうもなきハなまゑひぞ(途方も無きは生酔いぞ)

ち ちへふんべつもかきくもり(知恵分別もかき曇り)

り りはつな人もどんになり(利発な人も鈍になり)

ぬ ぬきミくるひのあぶなさよ(抜き身狂いの危なさよ)

る るいをもとめてよをわかし(類を求めて夜を明し)

を をさへつしいつ日をくらし(抑えつ強いつ日を暮らし)

わ われをあしきとおもへども(我を悪しきと思えども)

か かんにんならずよひつぶれ(堪忍ならず酔いつぶれ)

よ よいとししてもつくさるヽ(よい年しても尽くさるる)

た たわいせうねもあらばこそ(たわい性根もあらばこそ)
【たわい】正体なく酒に酔うこと。

れ れいぎさほうもとりおいて(礼儀作法も取り置いて)

そ そでないことをこねまハし(然で無い事をこね回し)
【然で無い】そでもない。然るべきでない。悪い。不都合な。

つ つねのこヽろハ入レかわり(常の心は入れ替わり)

ね ねしつこじつのむりやりに(捻付故実の無理やりに)
【捻付】<= 捻付ける
【故実】<= 故事付ける

な ないつわらひつくだをまき(泣いつ笑いつクダをまき)

ら らんしゆのはてハけんくわする(乱酒のはては喧嘩する)

む むようのつひへおほきゆへ(無用の費え多きゆえ)

う うとくな人もひんになる(有徳な人も貧になる)

ゐ ゐるいきるいもなくなれば(衣類着類も無くなれば)

の のみたをれとハもふすなり(飲み倒れとは申すなり)

於 おんなハことにミくるしや(女は殊に見苦しや)

く くちはしたなくしやべりつヽ(口はしたなく喋りつつ)

や やさしきこへもたかくなり(優しき声も高くなり)

ま まていな人もどんになる(まていな人も鈍になる)
【まてい】丁寧な、礼儀正しい

け けしからざりし大わらひ(けしからざりし大笑い)

ふ ふぎなる事のいでくるも(不義なる事の出来るも)

こ これミなさけのしわざなり(これみな酒の仕業なり)

江 えひてよろめきかへるさハ(酔いてよろめき帰るさえ)

て てあしを人にひつぱられ(手足を人に引っ張られ)

あ あさましかりしていたらく(浅ましかりし体たらく)

さ ざしきの内乃ありさまハ(座敷の内の有様は)

き きたなしむさやとひと"/\に(汚しむさ宿人々に)
【むさい】不潔な

ゆ    ゆびさしそしりにくまれて(指さし誹り憎まれて) 
め めひきはな引きらわれる(目引き鼻引き笑われる)
【目引き鼻引き】声を出さずに、目や鼻でで合図して、相手に自分の意志を知らせるさま。

み みハやまひつき内そんじ(身は病付き内損じ)

志 志するときにハこうくわいす(死するときには後悔す)

ゑ ゑきハすこしもなかるべき(益は少しも無かるベキ)

ひ びんぼうするもこれゆへぞ(貧乏するもこれゆえぞ)

も もはやこれからきんしゆして(最早これから禁酒して)

せ せいもんたてヽさかづきを(誓文たてて盃を)

す すきと手にハとるまいと(すきと手には取るまいと)
【すきと】全く(・・・ない)

京 京からつヽしミたもふべし(今日から慎み給うべし)

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面白古文書『吾妻美屋稀』8.「浮世たくさんな人すくない人の見立角力」

2023年07月27日 | 面白古文書

今回は、面白古文書『吾妻美屋稀』の8回目、「浮世たくさんな人すくない人の見立角力」です。世の中で、たくさんな人とすくない人をそれぞれ23人ずつあげて競う、見立相撲です。

いつものように、全体を4分割して、右上から。

浮世たくさんな人すくない人の見立て角力

たくさんな方 

大関 金もちのしハんぼう(金持ちのしはん坊)
【しはん坊】ケチな者

関脇 むすめのしばゐずき(娘の芝居好き)

小結 よめいじりのばゝさん(嫁いじりの婆さん)

前頭 後家のせわやき(後家の世話焼き)

同  上ざいくしののら(上細工師ののら)
【のら】なまけ人

同  としよりのじんばり(年寄りの腎張)
【腎張】精力絶倫なこと

同  げい子のつめなが(芸子の爪長)
【爪長】非常にけちな人

同  びんぼう人のとし子(貧乏人の年子)

同  すれがらしのおなごし(擦れからしの女子)

同  かヽにまかれるていしゆ(かかに巻かれる亭主)

 

同  おなごのあんま(女子の按摩)

同  気のきいた風のあほう(気の利いた風の阿呆)

同  なりあがり者のぎり知らず(成り上がり者の義理知らず)

同  かゝけつのぜいもの(空穴の贅者)
【空穴】一文無し
【贅者】見栄っ張り

同  わかい人のしつやミ(若い人の疾病)

同  やまめのしらミ(やまめの虱)
【やまめ】一人暮らしの男

同  すゞミのあんま(涼みの按摩)

同  おなごのいもずき(女子の芋好き)

同  はなしずきのながじり(話好きの長尻)
【長尻】人の家に座り込んでなかなか帰らないこと。

同  へたのしやうぎずき(下手の将棋好き)

同  しやうだんするでつち(商談する丁稚)

同  ふろやでやたら二しやべる人(風呂屋でやたらにしゃべる人)

同  かヽをねさして朝おきする人(かかを寝させて朝起きする人)

行司 節季のつまらん人(節季の詰まらん人)
【節季】年二回の掛売支払い
【詰まらん】やり繰りがつかない

 

少ない方

大関 いろけはなれた出家(色気離れた出家)

関脇 太夫になるかむろ(太夫になる禿)
【禿(かむろ)】太夫などの遊女に仕えて、見習いをする少女

小結 しうとめにかう/\な嫁(姑に孝行な嫁)

前頭 白ねづミのばんとう(白鼠の番頭)
【白鼠】主家に忠実な番頭や雇人。

同  役しやのめいじん(役者の名人)

同  やうし婿のとくじつ(養子婿の篤実)

同  おやまのはらぼて(女形の腹ぼて)

同  しやうたくの子もち(妾宅の子持ち)

同  十年もつヾく薬やの客(十年も続く薬屋の客)

同  お家さまになるおやま(お家さまになる女形)
【お家さま】上方で、中流以上の商家の主婦を敬っていう語。

 

同  おとなしいおうば(おとなしい御乳母)

同  商売にせいだす息子(商売に精出す息子)

同  ぶぜにかしの泪もろいの(夫銭貸しの泪もろいの)
【夫銭】年貢以外に、使役やその代わりに納めさせた金銭

同  しろいもじの本むく(白い綟の本無垢)
【綟】麻糸で織った目の粗い布

同  やまひあがりのかミのけ(病上がりの髪の毛)

同  しつやミのむきず(疾病みの無傷)

同  仕にせの常店(老舗の常店)

同  おたふくのはなばしら(お多福の鼻柱)

同  素人浄るりの玉かぶ(素人浄瑠璃の玉歌舞)

同  二十五六のあらばち(二十五、六の新鉢)
【新鉢】処女

同  そうバはりのかねもち(相場張りの金持ち)

同  金もちでひげする人(金持ちで卑下する人)

同  江戸へ欠落して尻据る人(江戸へ欠落して尻据える人)
【欠落】駆け落ち

行司 せつきの払に仕かけせぬ人(節季の払いに仕掛けせぬ人) 
【仕掛け】だまし。ごまかし。

 

 

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猛暑で育つ夏野菜

2023年07月25日 | ものぐさ有機農業

大変な暑さが続いています。

日中の外出はほとんど不可能。

日課となっていた、朝5時からの草刈り機作業もしばし休止です。

この暑さの中で、野菜たちは大丈夫でしょうか?

中山道脇の畑をのぞいてみると・・・

夏野菜たちが、これでもかと繁っています。

蜂さされ用の朝顔も、負けじと蔓を伸ばしています。幸いにも、今年はまだ出番がありません(^.^)

今シーズンの夏野菜栽培の課題(自分に勝手に設定してる(^^;)は二つです。

①屋根無しで大玉トマトを作る。

②ピーマン、シシトウ類の青枯れ病を克服する。

トマトの畝です。手前の4株が大玉、残り10株は、中玉とミニトマトです。

ご覧の様に、十二分に繁茂。

ほとんどは教科書通りの脇芽欠き、一本育て、よくできています。

問題は大玉。例年、あと少しという所で病気になり、納得のいく生育をしたためしがありません。せっかく苦労して屋根をつけても水の泡(^^;  ならば、いっそ何も無しで行こうと決めたのです。その代わり、今年は苗の姿勢をこまめに正して、まっすぐに生育するようにしました。特に、大玉株は、徹底的に縛って垂直栽培。脇芽欠きは最小限に止めました。

その結果はご覧の通り。ものすごい茂り様です。どこに玉があるのかよくわからない状態です。しかし、側枝にもどんどん実がつき、一本の株に30個ほど生っています。

しかも病気にもならず、次々と完熟した大玉トマトが出来ています。どうやら①はクリアー(^.^)

次は、②の青枯れ病です。

ここ10年ほど、ピーマン類に青枯れ病が蔓延し、四苦八苦してきました。不治の病といわれる青枯れ病ですが、なんとかできないかと、これまでいろいろ手を尽くしてきました。そして、満を持して臨んだのが今年なのです(相変わらず大げさ(^^;)

結果は、

現在の所、12本中、3本がやられました。残りの9本は元気そのもの。②もなんとかいけるか?

詳細レポートはいずれブログで。

欠損株の所へは、ローゼルを植えました。ヨーグルト用ジャムの算段です(^.^)

瓜については、いつもの苗が入手できず、例年ほどの収穫(100個)は無理でしょう。

カボチャも当初は好調だったのですが、うどん粉病が出てからはさっぱり実がつきません。あわてて石灰を撒きましたが、回復は難しそう。

わずかの飛騨カボチャに期待するのみ。

で、今朝の畑の収穫です。

夏野菜とはいえ、この暑さのなかで、よくこれだけのみずみずしさを保てるものですね。

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面白古文書『吾妻美屋稀』7.「かねもち、びんぼう人せりあい問答」

2023年07月22日 | 面白古文書

今回は、金持ちと貧乏人が、お互いに相手をやり込める問答です。

問答なので、金持ち(上欄)、貧乏人(下欄)でやりとりになっているはずですが、はっきりしないのも多いです。番号をふっておきましたので、金7vs.貧7のように対応しているものを突き合わせてみてください。

いつものように四分割して、右上から順に。

かねもち
びんぼう人   せりあい問答

◎かねもちの太平楽
金1・きん"/\ハせかいのまわりものじやとへらず口いふびんぼうにんのくせ
(金銀は世界の回りものじゃと減らず口言う、貧乏人のくせに)

金2・かねしだいのよのなかてかけめかけハじゆうじざい此世からのごくらくじや
(金次第の世の中、手掛け妾は自由自在、此の世からの極楽じゃ)

金3・しよく人やはたらきどハ年中くハず二はたらいたところが高が一文目しや
(職人や働き奴は年中喰わずに働いたところで高が一文目じゃ)

金4・なんぼへんねしおこしてもちゑやさいかくでかねハできぬものじや
(なんぼへんねし起こしても、知恵や才覚で金はできぬもんじゃ)
【へんねし】ねたみ

金5・からだがたつしやでもかねがなけねばいきているかひがないわい
(体が達者でも、金がなけね(れ)ば生きている甲斐がない)

金6・まへ/\ハ人もいか?ふたがじせいがわるいゆえなんぎするといふかいしよなし
(前々は人もいかふたが、時世が悪いゆえ難義するという甲斐性なし)

金7・よあそびやあさねばかりしてゐるのがびんぼうにんのこうふつじや
(夜遊びや朝寝ばかいしているのが貧乏人のこうふつじゃ)

金8・しやくせんのことハりのくふうに日をくらしめうとけんくわハかりするのらつぼ
(借銭の断りの工夫に日を暮らし、夫婦喧嘩ばかりする野良壷)

金9・人にそんかけぬらくヽいふてゐるびんぼうにんぜにはらわぬを手がらにするのか
(人に損かけぬらくら言うている貧乏人銭払わぬを手柄にするのか)
【ぬらくら】のらりくらり

金10・子どもばつかりたくさんで一生じゆつないめをして居るびんぼうにんめ
(子供ばっかりたくさんで、一生術無いめをしている貧乏人め)
【術無い】なすすべがなく困り果てている

金11・ねんちうしちおいてぎちくしてゐるのハこのよからのがきどうじや
(年中質置いて偽蓄?しているのは、この世からの餓鬼道じゃ)

金12・かねかつて人をたをすものハかほハ人でもこヽろハちくしやうどうせん
(金借って人を倒す者は、顔は人でも心は畜生同然)

金13・もめんのせんだくものでいつしやうくらすもほめられたことでも有まい
(木綿の洗濯物で一生暮らすも誉められた事でも有るまい)

金14・なんぼながいきしてもくふやくわすでハやつとうんのよいのでもあるまい
(なんぼ長生きしても、食うや食わずでは、やっと運の良いのでもあるまい)

金15・びんほうにんハきらくなといふハまけおしミのへらずぐちじや
(貧乏人は気楽なと言うは、負け惜しみのへらず口じゃ)

金16・びんほうにんのひずんかきいたいのハみるのもなか/\ゐじましい
(貧乏人の疥癬患痛いの見るのもなかなかいじましい)

金17・一文や弐文のぜににつまつてうろ/\するのハこのよにすんでゐるかひかあるか
(一文や弐文の銭につまってうろうろするのは、この世に住んでいる甲斐があるか)

金18・わずかなぜにもふけによるひるはたらいてゐるのハさながらちゑがなさそふな
(わずかな銭儲けに、夜昼働いているのはさながら知恵がなさそうな)

金19・手のひらほどなうらがしやにすんでゐるのハ井のうちにゐるかいるどうぜん
(手の平ほどの裏貸し家に住んでいるのは、井の内にいる蛙同然)
【裏貸し家】裏通りや路地にある貸し家

金20・ひんすりゃとんすと弐百や三百の銭て五十両も百両もとりたがるさんやうなし
(貧すりゃ鈍すと弐百や三百の銭で、五十両も百両も取りたがる算用無し)

福の神 きん"/\がこころのままになるとてもみやうがをおもひあだにつかふな
(金銀が心のままになるとても、冥賀を思い徒に使うな)

 

◎びんぼう人のへらず口

貧1・がきどうぜんにしてかねのバしてもむすこのだいにハこじきするぞよ
(餓鬼同然にして金伸ばしても、息子の代には乞食するぞよ)

貧2・じひもなさけもしらずよくばつてかねためるハこのよからおにのきやうがいじや
(慈悲も情けも知らず欲張って金貯めたるはこの世から鬼の境涯じゃ)

貧3・たることをしつてきまヽにくらすがふくじんのおしゑじやわい
(足る事を知って気ままに暮らすが副神の教えじゃわい)

貧4・人ハいのちがものだねたつしやでさへゐれバかねハひとりできるわいやい
(人は命が物種、達者でさえいれば金はひとりできるわいやい)

貧5・なりあがりのくせにぼん/\いヽなまたなりさがるぞよ
(成り上がりのくせに、ぼんぼん言いな、また成り下がるぞよ)

貧6・いゑをたんともつて風のふくばんハあんじてながらのよよふねぬたわけ
(家をたんと持って、風の吹く晩は案じてながらの夜、よう寝ぬタワケ)

貧7・あさはやうおきてほうこう人をいぢりまわしてやつき/\いふがたのしミかい
(朝早う起きて奉公人を弄り回してやっきやっき言うが楽しみかい)

貧8・つかふたりへるハぜにかねとしれやいきよろ/\したらかミこ一まいニなるぞよ
(使うたり減るは銭金と知れや。きょろきょろしたら、紙衣一枚になるぞよ)
【紙衣(かみこ)】紙で作った衣服

貧9・せかひハいろとさけずぼらでくらすかといつしやうのとくをしらぬかいや
(世界は色と酒、ずぼらで暮らすかと一生の徳を知らぬかいや)

 

貧10・子もないのにむしやうにかねのばししんだあとたにんにしてやらるヽおおばか
(子も無いのに無性に金伸ばし、死んだあと他人にしてやらるる大馬鹿)

貧11・かねもつて人にそんかけられて青なつてゐるのがなんぼうもある
(金持って人に損かけられて青なっているのがなんぼうもある)

貧12・かねかしてびんぼうにんをゑじめるハこのよのおにじやぞ
(金貸して貧乏人をいじめるはこの世の鬼じゃぞ)

貧13・なんぼきぬずれでも一生かねにつかわれてゐるけすほうこう人じや
(なんぼ衣擦れでも一生金に使われている下司奉公人じゃ)

貧14・かねがあつてもきぐろふしてゑてとんしするハうんのわるい第一じや
(金があっても気苦労して、えて頓死するは運の悪い第一じゃ)

貧15・かねもちハくらひものがすぎるゆへわかじにしたりしつやミがおほひ
(金持ちは喰らい物が過ぎるゆえ、若死したり疾病みが多い)

貧16・とかくあほうやかたわものやまひものヽおほひかねもちのこせがれ
(とかく阿呆や片輪者病者の多い金持ちの小せがれ)

貧17・かうまんなおうへいづらハ人ににくまれてぼつらくのもとじやぞ
(高慢な横柄面は人に憎まれて没落の元じゃぞ)

貧18・はなみゆさんにのりがきてせつきばらひにあをいかほをするなよ
(花見遊山に乗りが来て、節季払いに青い顔をするなよ)
【乗りが来る】調子に乗る
【節季払い】盆や暮れなど年に2~3回、まとめて支払いをする方法。江戸時代、一般化した。

貧19・大きなうちにすんでもないしやうでからくりくめんハしゆらどううじや
(大きな家に住んでも、内緒でからくり工面は修羅道じゃ)
【からくり】やりくり

貧20・あるがうへにもほしがのてめるこんじやうとこヽろにおぼへがあろふかな

貧乏神 くハらくのたねぞとてちへ○・・・・○
(苦は楽の種ぞとて知恵○・・・・○

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