遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

能管、『鞨鼓』が上がりました。

2020年01月28日 | 能楽ー実技

能管、「鞨鼓」が上がりました。

「鞨鼓」自体は、かなり前に練習が済んでいたのですが、上級編として、差し指を駆使した修飾バージョンに挑んだわけです。

やはり、相当難しく、細かな点はクリアーできていませんが、一応合格という事になりました(^^;)

 

鞨鼓は、能で用いられる舞いの一種です。主に、能管、小鼓、大鼓で演奏される軽快な曲です。旅芸人などが、鞨鼓とよばれる小さな太鼓を腰につけ、両手にバチを持って、舞い、踊る時に演奏されます。能の演目では、放下僧、自然居士、花月、望月などです。

 

               能 『放下僧』 河鍋暁翠筆

下野国の小次郎と兄は、父の仇、信俊を打つため、放下に身をやつして旅に出て、瀬戸、三島明神で敵に遭遇した。兄は、はやる弟を抑えて、鞨鼓を舞い、相手の油断に乗じて本懐をとげる。

放下とは、当時流行していた大道芸で、鞨鼓を打ちながら、軽業的な曲芸などを披露して、人々の人気を得ていたといわれています。

ちなみに、小鼓は、左手で右肩に掛け(正確には右鎖骨付近にあてがい)、右手で下から上へ打つという楽器です。重力に逆らって打つ、世界で唯一の打楽器なのです。この異例の打法がどのようにして誕生したかは定かではありません。放下のような中世の大道芸人が鞨鼓を曲芸の様に打っていて、そこから下から上へ向かって打つ小鼓の様式がうまれたのではないか、ともいわれています。

 

楽器【鞨鼓】

現在、鞨鼓と呼ばれる唯一の楽器は、雅楽で用いられる打楽器です。

             鞨鼓(雅楽用、故玩館蔵)

二本のバチで、雅楽の基本リズムを打ちます。非常に重く、手で持って演奏することはできません。華麗な装飾が施されています。大きな音は出ません。

能の鞨鼓が舞われる時の鞨鼓は、雅楽の鞨鼓よりはるかに小型で軽量の鼓です。角兵衛獅子、越後獅子で使われる小さな鼓に近い物です。能の舞台では、演者が腰につける鞨鼓は、小さな軽い作り物(下図)で、音はでません。

 

ps.素人の能管、『鞨鼓』(6分)です。
   よかったら、聞いてみてください。
 
 
 
 
    
    

 

 

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季節外れのエンドウ植え

2020年01月26日 | ものぐさ有機農業

今年は、異常暖冬です。

値崩れで採算が合わず、せっかくの野菜を廃棄する生産農家も出てきているそうです。

故玩館向いの畑、すべての野菜が、一月に入っても、まだぐんぐん成長を続けています。大根や白菜は、もうこの時期、成長が止まるはずなのですが。冬野菜とはいっても、やはり気温が高い方が、成長するのですね。

どんどん採れる野菜を大量に消費するには、鍋に限ります。というわけで、年明けからほとんど鍋、なべ、ナベ(^^;)

でも、不思議と飽きませんね。油を使わないからでしょうか。

 

畑の真ん中に。春物の代表、スナップエンドウの種を、10月の中旬に蒔きました。

順調に大きくなっています。

この調子で行くと、5月は毎日、エンドウ尽くしか?

しかし、そうは、問屋がおろしませんでした。

 

立派な蔓が伸び始めた株の横を見ると・・・・

よく見ると、あちこちがこんな状態。見事な歯抜けです。

種を蒔いたら、全部きれいに発芽して、順調に育っていたのです。ところが、しばらくして、一部の葉が虫に喰われました。そのうちに、ツルまでなくなっていくではありませんか。あれよあれよという間に、何もなくなってしまいました。

こんなに旺盛に食べまくるのは、ヨトウムシでしょう。夜盗虫と言われるように、昼間は姿をみせず、夜に食べまくるので始末が悪い。昼間は、土中やマルチの陰に隠れているので、退治は難しい。真冬にヨトウムシ、これも暖冬異変の落とし子でしょう(^^;)

こうなったら、種の蒔き直ししかありません。

でも、蒔き時(11月初旬まで)は、とうに過ぎています。暖冬とはいえ、秋ではなく冬。

12月31日、ダメもとで、ポットに残りの種を蒔きました。

1週間ほどで、芽が出てきました。

夜は家の中へ入れ、昼は外で日光にあてて、大切に育てました。

20日後には、ここまで成長。

 

歯抜けの所に、ポットの苗を入れました。

後は、無事に大きくなってくれるのを祈るのみです。

 

春収穫の豆類は、秋に蒔種する。豆の栽培には、「春に多くの花が咲き、立派な豆が実るためには、幼株で冬をすごし、寒さにあてる必要がある」と説かれています。ふーむ、ナルホド。なにやら、人生訓を聞かされているような(^.^)

ところが、よく調べてみると、厳寒の地では、晩春収穫の豆を、初春に蒔くというではありませんか。寒さにあたるのはせいぜい種だけ。良い気候の時だけの成長で、実がなるとのことです。

それなら、わざわざ苦労して冬越しをする必要もない訳です。

 

今回、結果として、秋蒔きと冬蒔きをしたことになります。幸い、まだ豆の種が残っています。こうなったら、2月末に春蒔きをしましょう。そして、秋、冬、春と蒔き時が異なる3種類の株が、それぞれどう実をつけるかを比べてみたいと思います。

「何事も、やってみないとわからない」・・・・・・人生訓(^^;)

 

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江戸のことば遊び 『どん字づくし』(8)

2020年01月24日 | 面白古文書

『大志んぱん どん字づくし』も、最終回です。

最後の気力を振り絞って、謎解きを考えてみます。

 

【次】という字です。

読みは、「男ぜたひ」。

そのココロは、「女の姿が見へん」。

男が一人で台所仕事をしています。竈(かまど)でご飯を炊きながら、桶の中の物を「ぐわし/\(ゴシゴシ)」と洗っています。男世帯のさびしい様子が伝わってきます。

 

【火】の文字。

読みは、「大文字山」(誰でも読めます(^^;)

では、なぜ【火】が「大文字山」と読めるのか?

そのココロは、「そバへ〇つて ☐」。

うーん、〇と☐が全く見当がつきません。

これはー・・・・・初のギブアップか

  あと少しなのに!

 

気を取り直して、絵をじっと観察。

男たちが、薪を抱え、松明をもって歩いています。

これは、明らかに、大文字焼の準備のため、山にのぼっていくところです・・・・・・ん・・・のぼる!・・・・登!!

そうだ、火と登をくっつければ、【燈】。

〇は燈、☐は登!!

そのココロは、「そバへ登つて 燈(ともす)」

大文字焼では、あらかじめ、薪を井口形に組んだ物を用意しておき、それに一斉に火をつけて、大の字形の燈をつくりだします。

崩し辞典を参照してみると、かろうじてですが、〇は燈、☐は登と読めます。

 

【止】のトを除いた字。

 

読みは、「かぜふき(風吹き)」。

そのココロは、「ト(戸)をた(立)てると止(やむ)」。

絵では、女性が雨戸を立てています。隙間から吹き込んでくる風に、ロウソクの炎が消えそうなほどなびいています。芸がこまかい(^^;)

 

【荷】の亻を欠いた字。

読みは、「おもとふて どふもならぬ」。

そのココロは、「荷(になふ)に人がたらん」。

絵では、大きな荷物の向こうに、人が二人、バンザイをしています。

 

軽い気持ちで始めたどん字の解読ですが、なかなか難物ぞろいでした。

『大志んぱん どん字づくし』32文字の解読、完全制覇とまでは行きませんでしたが、自分では満足です。何よりも、江戸時代後期の風俗を知ることができましたし、人々のフィーリングもそれなりに感じることができました。マンガチックな絵も、どん字の謎解きにピッタリとはまっています。

江戸の人たちは、この瓦版を手にして、家族や近所の人たちとワイワイやっていたのでしょうか、それとも一人ニンマリしながら謎解きをしていたのでしょうか。

遊びごころあふれた浪速の町人文化は、当時の人々の豊かさと逞しさをよく表していると思いました。

 

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江戸の駄洒落 『どん字づくし』(7)

2020年01月22日 | 面白古文書

『大志んぱん どん字づくし』の7回目です。

今回を含めて残りは2回、頑張ります。

 

【温】の字の日が無い文字です。

読みは、「ちと(また?)くもつて あつ(?)てさむい」。

そのココロは、「日がでると温(あたたかい)」。

「少し曇ってきて、火鉢の近くは熱いが、寒い。日が照ってきたら暖かくなる。」ということでしょうか。

 

【お】の点を欠いた字です。

読みは、「びんぼう〇や」。

刷りが潰れて読めません。うーん困った。

ヒントは、ココロにありました。

そのココロは、「おちよぼがない」。

おちょぼとは、置屋、茶屋に住み込んで、将来、舞妓になるための見習いをする少女のことです。貧乏な置屋では、おちょぼをまかなう余裕がない。

読みは、「びんぼう置や」。

絵には、大きな火鉢と鉄瓶の傍に、玄人女性が座っています。置屋の一室ですね。

 

【合】の一を欠いた字。

読みは、「いれば」。

そのココロは、「入口を一ツ入ると合(あふ)」。

絵には、男が口を開け、もう一人がそこへ物(入歯)を入れている様子が描かれています。

絵の中の言葉は、「コレ一ツ入レ〇と はニ合〇」。

〇はよくわかりません。餘(よ)?

・・・・匙を投げ、これ以上は目をつむってブログ投稿しました。

 

すると、すぐに、ブロ友、Dr.Kさんから、コメントがありました。

〇は、「升」ではないか・・・・・・・

絵の中の言葉は、「コレ一ツ入レ升と はニ合升」

    「これ一つ入れますと 歯に合います」となります。

まさにピッタリはまりマス。絵の中の〇の字も、升を崩したもの。

私のどん詰まり思考を解いていただいたDr.Kさんに感謝し、訂正ブログをアップさせていただきました(^.^)

 

【林】という字です。

絵には、松のような木と飛んでいく鳥が描かれています。

読みは、「森にしては 木がたらんから  から寿がとまらん」。

木が足りないので、カラスがとまらない!?

カラスも唐突だし、これくらい木があれば、カラスがとまるに十分だと思うのですが・・・・・・

結構苦しいですね。無理やりこじつけの感あり(^^;)

 

どん字の解読は苦しいですが、どん字を作る方もネタ切れで苦しまぎれのこじつけでしょうか(笑)

 

次回は、いよいよ最後の4字です。

 

 

 

 

 

 

 

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江戸の嘘字 『どん字づくし』(6)

2020年01月19日 | 面白古文書

『大志んぱん どん字づくし』も、はや6回目です。毎回、4字ずつのどん字を読んでいくのですが、息切れ模様です。特に今回は難しい。刷りも悪いし・・・・(^^;)

 

【定】の縦棒、横棒がありません。

読みは、「づかと だいどこ(台所)まではいる」。

最初、そのココロは、「お?つト(夫)がなくては定まらん」と読んで、未亡人の家の話かと思いました(^^;)が、そこまでは深読みしすぎでしょう(笑)

で、再度、しあん、思案、試案、私案!(^.^)

そのココロは、「なかト(中戸)がなくては定まらん」におさまりました。

絵には、家の中ほどまで入っていく角兵衛獅子の親方と少年が描かれています。旅回りの芸人は、各家を訪れて、庭先や土間で踊ったのでしょう。ところが、貧しい家で中戸がなく、奥まで入っていいってしまい、戸惑っている二人なのではないでしょうか。

 

【内】の人を欠いた字。

読みは、「るす」。

そのココロは、「うち(内)に人がない」。

男が、「トントン」と戸を叩き、「モウ おいでたる」と言っています。

 

【十】の縦棒が右に寄った字です。

読みは、「奉公人があまって」。

そのココロは、「(働き)口がなふて叶わん」。

これもキレイですね、座布団一枚。

 

次は難しい。これまでで一番の難問です。

【氷】の字の点が薄くなっている。

読みは、「ひ(ち?)とひへがやハ〇な」???

よくわかりません。

そのココロは、「氷がとけかゝつてる」。

女性が、「大かた水ニなつた」といいながら、鉢から水をすくっています。

「氷がとけかかっているので、あまり冷えない」ということでしょう。

そこでもうひと踏ん張りして考えてみました。

読みは、「ひとひへがやハイかな(ひと冷えが弱いかな)」。

 

次回は、次の4字です。

 

 

 

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