今回は、根来塗りの小箱です。
14.2㎝x10.7㎝、高4.9㎝。江戸後期。
これまで紹介してきた根来段重に較べて、ずっと小さく、華奢です。薄い木でできていて、軽いです。
用途もはっきりしません。いずれにしろ、小物入れです(^^;
只・・・
湾曲した器形や脚などは、上手の品を思わせます。
まさか、室町~江戸初ということはないでしょうが(^^;
手に取ってみると、いかにも可憐。
故玩館来訪時、口うるさいオバサマ方も、「あら、カワイイわね」とおっしゃって下さいます(^.^)
ならばもうひと踏ん張りして、中に収める物をさがさねばなりません。
かといって、探せども探せども、武骨なガラクタの山また山・・・そして・・・・
おおこれなら、と見つけたのが、
美江寺土鈴。2.5ー3.7㎝。戦前。
大黒さん。
独楽。
これなら、文句なく、オバサマ方に「カワユイ」と言っていただけるでしょう(^.^)
美女と野獣ならぬ、熟女と土鈴(^.^)
ところで、この小箱、形は古風ですが、塗りはどうなのでしょうか。
例によって、顕微観察をしました。
驚いたことに、朱漆を擦った痕が全くありません。
以前紹介した根来塗堤重では、このように、朱漆層を擦り取った痕が歴然としていました。
今回も当然、擦った痕が見えるだろうと思っていたのですが、見事にハズレ。これは一体??? ひょっとして、本物の根来塗!?????!
ま、それはないとして、考えられるのは、擦るのではなく、塗る方法です。まず、黒漆を全面に塗り、その上へ朱漆を塗ります。この時に、塗り残した部分が黒模様となるわけです。ただ、単純に塗り残しただけではミエミエです。自然に見えるよう、うまく暈しを入れてあります。
しかし!!!!!
正面:
背面:
両側面:
箱の正面と背面、二つの側面、ともに、模様のパターンが似すぎてませんか!!
いくら何でも、自然の模様がこんな風にステレオタイプのはずはありません。
簡単に塗り残しの黒模様は出せるのですから、もう少し自由にキャンバスを使って欲しかった(^.^)
この根来塗小箱を見ていて、なぜかオバサマ方の化粧を思い出してしまう遅生でありました(^^;