遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

巣籠りの効用9 故玩館の黒塗り

2020年12月12日 | コロナに負けるな

故玩館の維持は、なかなか大変です。

特別の予算はなく、大蔵省殿からは自助努力を求められています。

これでは、あの冷酷な政府と同じではありませんか(^^;

まあ、どのみち、何がしかの余裕ができたとしても、つい、新たな一品を求める方へ向かってしまいますから(^.^)

結局は、時間と体力を使って、できる限りがんばるしかありません。

 

遅生は、故玩館の館主、キュレーター、小使いを兼ねていますが、実際には、小使いの仕事がほとんどなのです(^_^)

 

今の季節、草との戦いは、しばし休戦です。

 

除草も含め、外回りの管理の中で、時間と体力を一番必用とするのは、実は、木部のメンテナンスです。

特に、黒ペイント塗りが難物です。

 

 

 

まるで、黒の館ですね(^.^)

 

横の塀も半端でない長さです。

 

おまけに、塀は、外だけでなく、内側も黒塗り。

 

故玩館本体も、漆喰を除けば、外側はすべて黒。

外壁だけでなく、防犯・雨戸も木製黒塗り。

 

正面玄関。

 

 

家の両側面も。

 

庇の柱まで黒。

気が遠くなるほどの面積です。

 

しかし、数年たつと・・・

日光が当たる所は、劣化します。

 

陰になった部分は、カタツムリが舐めます。好きな成分が含まれているのか、齧り取っているようです。

 

そういう訳で、ものすごい面積の木部を、一人の小使いさんが塗ることになります(^^;

 

使うのは、この塗料。

刷毛一本で勝負です。

普通に塗っただけでは、長くもちません。

数回塗るか、飽和量までじっくりと木部に塗料を吸わせていくかです。いずれにしても、大量の塗料と時間、手間が要ります。

塗り終えると、一缶25kgがなくなります(^^;

 

 

おっと、上の東西両側面がまだ残っていました。

以前は、中屋根、大屋根の上で命綱をつけ、不安定な足場で頑張りましたが・・・・

それから3年後の今、

「その歳になって落ちたらもう終わり」

と周りから、心配とも脅しともつかないお言葉を沢山いただいていますので、パスせざるをえません。

業者に依頼する日のために、爪に灯をともす毎日を続けることになりそうです(^.^)

 

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巣籠りの効用8 パチンコで鳥追い

2020年12月04日 | コロナに負けるな

今年は、なぜか里芋が全滅してしまいました。理由は不明。

例年は、堀上げた大量の芋を捌くのに一苦労だったのですが、これでは種芋の確保もおぼつきません。

その代わりかどうかわかりませんが、中山道沿いの畑の方は冬野菜が爆出来。こちらの野菜は捌き先を捜さねばなりません(^.^)。

無農薬で野菜を育てているので、冬野菜の場合は虫害を避けるため、種撒き、植え付けの時期を、ギリギリまで遅くしています。気温や日照の関係で、その分、生育が遅くなり、今の時期、まだ野菜は小さいのです。

ところが、今年は気温が高い日が続くせいか、例年になく生育がはやく、畑中、緑が沸き立っています。

 

 

しかし、ここへきて問題が・・・

視線を上げると・・・

南側の耕作放棄地に生えていた自然木が、急に大きくなり出したのです。人が踏み込まないので、野生動物の格好の棲み家。もうすぐ餌がなくなる冬なので、畑全体を網でぐるっと囲わねばなりません。これは例年のことですから仕方ありません。

 

問題は、この小さな森が、大量の鳥の棲み家になりつつあることです。

鳥から野菜を守るのは大変です。

特に、大食のムクドリは利口で、少々の鳥よけでは歯が立ちません。

 

そうだ、パチンコ!

巣籠りで時間は十分あります。遠い記憶をたどりながら、工作をしてみようと思い立ちました。

少年の日よ、もう一度、です(^.^)

 

まず、材料を揃えました。

Y字型の木、ゴム紐、人工皮革。

ゴム紐(ホームセンターで220円/m)以外は、自己調達ですからタダ(^.^)

 

試行錯誤の末、このやり方に落ち着きました。

タコ糸でしっかり縛るのがコツです。

 

できあがりました。

はたして、効果は如何?

 

 

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巣籠りの効用7 青春グラフィティ2.女性シンガー再び

2020年12月02日 | コロナに負けるな

巣籠りで、家のあちらこちらに探りを入れると、思わぬ物が出てきます。以前のレコードの他に、LPがまだ残っていました。

60、70年代、女性シンガーのLPです。

 

 

中山ラビは、日本の女性シンガーソングライターの草分けで、女ボブディランともよばれました。

サブカルの拠点、京都喫茶ほんやら堂が、謎の火事で焼失した後、国分寺ほんやら堂を運営しています。

70才の今も現役で、毎日店に立つ傍ら、ライブ活動を続けています。

乾いた寂寥感が漂う歌の世界が独特です。

 

 

 

 

 

 

 

映画『The Rose』のサウンドトラック盤と伝説のシンガー、ジャニス・ジョプリンのLPです。

 

『The Rose』は、ロックの女王、ジャニス・ジョプリンをモデルにした映画で、1979年に上映されました。

彼女は、人気絶頂期、1969年のウッドストック・フェスティバルの翌年に急死しました。この映画は、その10年後に作られました。当時、私はアメリカにいたのですが、同世代のアメリカ人たちには、60年代後半の熱気とともに、ジャニスが記憶の中に残っていることを強く感じていました。

映画は、一人の女性シンガーが、熱狂的支持をえながらも、人生に疲れ、破滅に向かっていく様を描いています。

「数多くのヒット曲を世に出してきたローズですが、人気とはうらはらに、愛に疲れ、孤独と自責に苛まれて、アルコールとドラッグに浸り、心身ともに極限に追いこまれいきます。故郷メンフィスでの大コンサートが迫っても出かけることができません。ヘリコプターでようやく会場に到着した彼女は、大観衆に語りかけます「I didn't mean to be late.」・・「Do you forgive me?」・・・「Well, I forgive you, too」・・・最後の曲「Stay wirh Me」を熱唱した後・・・・「where are you going ?」「Where's everybody going?」と消え入るようにつぶやきながら倒れるローズ。

そして流れるのが、テーマ曲「The rose」です。

この世の重荷を一身に背負って逝ったローズへの鎮魂歌であるとともに、再生を予感させる曲です。

私は、米東部の小さな町の映画館で、この映画を観ましたが、あふれでるものをこらえることができませんでした。

主演女優ベット・ミドラーは、ジャニスより2歳年下、75才の現在も現役です。

 

Bette Midler  「Whose Side Are You On」

 

Bette Midler  「When a Man Loves a Woman」

 

Bette Midler  「Stay with Me」

 

Bette Midler  「The Rose」

 

 

Janis Joplin「Maybe」

 

 

 

 

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巣籠りの効用6 書画落款印譜集の整理

2020年11月29日 | コロナに負けるな

先回に続いて、骨董関係資料の整理です。

作者の落款や印譜を集めたもので、古い書画などを鑑定するとき、ぜひとも必要となります。

 

新旧とりまぜて、いろいろあります。

 

巷の骨董屋さんの店先に置いてあるのが、このタイプ。

荒木矩編『大日本書画名家大鑑』昭和50年、第一書房

ものすごく分厚い本が3巻。

多数の作者の落款、花押、印譜などが載っています。

問題は、印譜などが必ずしも正確でないことです(^^;

 

上の写真のなかでは、一番古い本で、祖父の使っていた物。

古筆了悦、狩野素川『本朝 画家落款印譜』大倉書店、明治27年

 

和紙に木版印刷です。

個々の作者の印譜の種類が少なすぎます。

が、メジャーでない人の印譜もあるので、役に立つこともあります。

 

次も祖父の物です。

杉原子幸『日本 書画落款印譜』松山堂書店、大正4年

 

上の物と同様の印譜集ですが5巻ですから、かなりの数の印譜が載っています。

これは、時々使います。

 

この様に、落款印譜集は様々ですが、

私がもっぱら使っているのは、これ。

井上方外、狩野亮吉『書画 落款印譜大全』武侠社、昭和6年

 

外箱から取り出すと、

使い過ぎて、ボロボロです。

表紙はどこかへ行ってしまいました。

 

 

 

池大雅の妻、玉瀾も載っています。

 

この本の最大の特徴は、落款や印譜が、すべて現物からの写真だということです。

この手の本に載っている落款や印譜は、現在でも印刷が普通ですから、この本は、画期的なものです。

膨大な資料を収集し、写真にとるのは大変な仕事です。

 

ただ、これほどの本でも、うーんと首を傾げる点があります。

現在、人気沸騰中の伊藤若冲ですが、彼の墨絵に最も一般的な藤汝鈞印と若冲居士印が載っていません。

特に、若冲居士の丸印は、3時、9時過ぎの位置に欠けがあり、後期若冲の水墨画鑑定の際に有力な手がかりとなります。どうして載っていないのか、わかりません。

いくつかの要望点はあるのですが、今の所、これ以上の落款、印譜集はないと思います。

昨今、各地の美術館で企画展がもたれると、たいてい、図録が編まれ発行されます。図録に落款や印譜が収録されている場合、出展品の写真によることが普通になっています。

このように、井上方外、狩野亮吉『書画 落款印譜大全』は、現在の美術展資料の方向性を先取りした、画期的な物であったのです。

 

なお、狩野亮吉は、江戸の思想家、安藤昌益を発掘した明治の学者として知られています。京都帝国大学総長を退いた後は、東北帝国大学総長に推されたり、皇太子(後の昭和天皇)の教育掛に推されたりしましたが、自分は危険人物であるとして、頑なに固辞しました。漱石の友人でありながら、「書画鑑定並びに著述業」により生計をたて、毎日、自分の性器をながめながら、春画研究に没頭したといいます。

京大変人列伝を書くならば、まず最初に来るべき人物だと思います。

明治の学者は偉大ですね(^.^)

 

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巣籠りの効用5 鑑定本の整理

2020年11月27日 | コロナに負けるな

ガラクタ骨董の整理の前に、何とかしろと迫られているのが骨董関係の本の処分です。

言い訳になりますが、こういう本は隅から隅までじっくりと読むものはすくなく、必要に応じてパラパラとめくるものがほとんどです。

ですから、しっかりと読んで読後感想などという事にはならないのです。

でも、そうも言っておれないので、さしあたって、似たような本を集めてみることにしました。

 

古美術の真贋や鑑定に関する本です。

幅の非常に広い世界ですから、本当は、多ジャンルの中のある分野や品に限った本や図録の方が、鑑定眼を養うにはよいのですが、上のような本も、それなりに面白いです。

結構たくさんあります。

 

これはご愛嬌。

今までに、一個だけ硯を買ったことがありますが、この世界は深すぎます(^^;

 

別の本の拍子です。

下から上へ見ていくと・・

 

富岡鉄斎、左が真、右が贋でした。

 

雑誌『太陽』N0.191、1979年2月号

 

 

さすがに『太陽』、執筆陣がはんぱでない(^.^)

 

いくつかの名品の真物、贋物が出てきます。

長澤芦雪「エビの図」、左が真。

 

富岡鉄斎「竹林銷夏図」、左が真。

 

竹久夢二、「青春譜」、下が真。

こういうのを見ていると、わずかな自信もガラガラと崩れてゆきますね(^.^)

 

私の持っている鑑定本の中で、一番古いのがこれ。

明治28年の本です。陶磁器、古銅、彫刻の鑑定が載っています。

 

当時でも、肥前伊万里が最初に来ていますね(^.^)

 

他の本も、もう少し詳しく読んで、適宜ブログで報告します。

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