遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

トイレ美術館16 野原鳥聖『深山展望(仮題)』(日本画、12号)

2023年11月29日 | 絵画

これまで、油絵を紹介してきましたが、今回は日本画です。

野原鳥聖『深山展望』日本画、12号。絹本。昭和。

野原鳥聖(のはらちょうせい、明治30(1897)年ー昭和46(1971)年): 岐阜県生れ。西山翠嶂に師事。帝展などの官展で活躍。日本南画院評議員。

岩絵具のマチエールが、荒れた山々のざらついた山肌の質感を絶妙に醸し出しています。

この絵は、元々は掛軸だったかも知れません。

描いた場所について、手掛かりになるものは何もありません。岐阜の山だとは思うのですが、京都の北山にも似ているし・・・・まあ、全国に多くある風景でしょう。

やむなく、『深山展望』と、どこの山にでも当てはまるタイトルをつけました(^^;

 

 

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トイレ美術館15 川合修二『奥美濃風景』(油彩、6号)

2023年11月27日 | 絵画

地元の洋画家、川合修二の油絵です。

『奥美濃風景』油彩、6号。キャンバス。

川合修二:1942年、岐阜生れ。 1972年 二紀出品、1983年飛騨高山展出品。

川合修二は、岐阜の風景画を多く残しています。

今回の品もそのうちの一枚。

雪を抱いた雄大な峰々、そして冬枯れの里山をバックにして、とうとうと川が流れています。

実は、私、この風景には見覚えがあります。

揖斐川とその支流、根尾川が合流する故玩館の辺から、根尾川を20㎞ほど遡った所がここです。

以前のブログで、日本の観測史上最大震度を記録したと言われている明治24年の濃尾大震災の震源地を紹介しました。

震源の根尾谷水鳥地区の山(右側)が崩れ落ちて島(左側)となり、根尾川の流れが変わった場所です。

そのすぐ下流は、川幅が広くゆったりとした流れとなり、河原が広がっています。

それがこの絵の場所なのです。

向こう側の広い河原はキャンプサイトになっていて、私も若い頃にテントを張った思い出があります。

この絵は、夏の鮎釣りや川遊びの喧騒が終わり、晩秋から初冬の静かな根尾川の風景を描いているのです。

ですから、毎年今頃、トイレ美術館に掛かります。

 

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トイレ美術館14 Werner Filipich『Gloucester』(油彩、4号)

2023年11月25日 | 絵画

オーストラリアの風景を描いた油絵です。

Werner filipich『Gloucester』油彩、4号。板。1982年。オーストラリア。

オーストラリア、グロスターを描いた油絵です。

山・・

森・・

そして、川。

これはもう、万国共通、風景画の王道ですね。

あの山口硯閑を想起させます。

絵の左下に「Gloucester」、

右下に「Werner Filipich 82」とサインがあります。

ところが、額裏には、

タイトル、作者サインともに間違って書かれています。店主さん、大丈夫か?(^^;

この品は、オーストラリア滞在時、ブリスベン(クイーンズランド州)の骨董屋で買いました(安かったので)。

どうということのない品ですが、案外このようなタイプの絵画が現代美術館にかかっています。イギリスへのノスタルジアが人々の心の底にあるのでしょうか。

作者Werner Filipichは、オーストラリアの現代画家です。山野、川、海などの風景画が主です。

タイトル「Gloucester」は、オーストラリアの地名です。同じ名の場所は数か所ありますが、おそらく南東部、ニューサウスウェールズ州のグロスターでしょう。ほとんどが乾燥地帯のオーストラリアでは、海岸沿いのわずかな緑地が憩いの場所であり、好んで描かれます。Werner Filipichは、グロスターを数多く描いています。このような絵が、一般には好まれるのですね。

ところでこの絵、

下部中央に、金属プレートが付いています。

「Presented by Joh Bjelke-Petersen, Pemier of Queensland, 8 June 1982」

1982年6月2日に、クィーンズランド州知事 Joh BJelke-Petersenが贈った、とあります。

調べてみると、Bjelke-Petersenは、クィーンズランド州知事を最も長くつとめた大物右派政治家であり、言論や社会活動を弾圧する一方で、数々のスキャンダルにまみれた腐敗政治家であったことがわかりました。

こりゃあ、豪州の安屁¨ですがな(^^;

けたくそ悪いので、この品も焼却処分ですね(^.^)

 

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トイレ美術館13 作者不詳『New England』(油彩、6号)

2023年11月23日 | 絵画

これまで、日本人洋画家の油絵を紹介してきました。

今回は、アメリカ人(多分。名前、読めません)画家の油彩画です。

N.S(?)〇〇k〇i『New England』油彩、6号。キャンバス。1977年。

アメリカ、ニューイングランド地方を描いた油絵です。

先回に引き続き、平面的な画法です。

アメリカの素朴派と言えば、グランマ・モーゼスが有名です。彼女は、70代になって突然絵筆を握り、アメリカ、ニューイングランド農村の日常風景を、素朴に描きました。

今回の絵は、同じように素朴なタッチで、アメリカ農村の秋のたたずまいを描いています。

アメリカ北東部のニューイングランド地方は、ヨーロッパからの移民が最初に入植した地です。市街域から少し離れると、このような場所にめぐり合うことができます。一番有名なのは、フィラデルフィア近郊のアーミッシュカントリーですが、北東部の小さな州にも、心にしみる風景が多くあります。

そんな場所にしばらく居たこともあり、地元の小さな教会のチャリティバザーでこの品を求めました。

絵の端に、サインがあります。

が、まったく読めません。

キャンバス裏側・・・

「N.S(?)〇〇k〇i 1977 New England」

やっぱり、わかりませんでした(^^;

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トイレ美術館12 y.morikawa『長良川の鵜飼』(油彩、9号)

2023年11月21日 | 絵画

長良川の鵜飼を描いた油絵です。

 

油彩『長良川の鵜飼』9号、1978年。

長良川では、5-10月に鵜飼が行われます。

長良川右岸の旅館街から東方を見た情景です。

星空をバックに、正面には金華山(稲葉山)、山頂に岐阜城、画面右端には長良橋が描かれています。

y.morikawa のサインがありますが、作者の詳細は不明です(裏側には製作年のみ記述有り)。

 

人物や船を平面的に貼り付けたように描かれています。

上手いのか下手なのか?

むしろ、素朴派といってよいでしょうか。

近くで見ると、これが鵜?という感じです。

それが、少し離れると・・・

いかにも、鵜舟の周りでかいがいしく鮎をとる鵜に見えてくるから不思議です。

1㎞ほど上流から鵜舟は順次出発し、鮎をとりながら下ってきます。絵の場所はその最終地点、川幅がひろく、深い瀞になっています。全部の鵜舟が集まり、一斉に漁をおこないます。鵜飼のクライマックス、総掛りです(午後8時半過)。

パチパチと篝火がはじけ、船子が船底を叩いて鮎を驚かせます。鵜がいない船は遊覧船。ふけていく夜の闇の中で、鵜飼のざわめきが聞こえてきそうです。

夏の間だけ、この絵を描けています。

 

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