遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

生活笑百智 『萬法秘術集』(5)

2021年03月31日 | おもしろ古文書

江戸時代の面白古文書『萬法秘術集』の5回目です。

     とうふ なす 大こん
       とうくわ 人じん
         是をむすふ傳
とうふを弐分位ニ切り鍋へ少し水を入レ
とうふ壱丁ニ椿之葉四五拾枚切り袋へ入レ
一諸ニ宇でるゆてゝ夫よりむすふべし

         豆腐 茄子 大根
           冬瓜 人参
          これを結ぶ言伝
豆腐をニ分くらいに切り、鍋へ少し水を入れ、
豆腐一丁に椿の葉4,50枚を切って袋へ入れ、
一緒にゆでる。ゆでて、それから結ぶと良い。

 

   長いもむすふ硯蓋吸物之傳
永皮をむき永立わり塩水をきつくして          
一日二日つけ置へししゆうニなるへし          

   長芋結ぶ硯蓋吸い物の言伝
長芋の皮をむき、芋を立ち割り、強めに塩をふって
1、2日浸けおく。すると自由に結べるようになる。

 

   梅干 かたきかつぶし
    是ヲわ切ニ切でん
包丁を能とき燈心を少し法まて
包丁のはを能すりきるへしはさきを付
えをあげておし切へし

       梅干し 堅い鰹節
    これを輪切りに切る言伝
包丁をよく研ぎ、燈心を少しさまして(?)
包丁の刃をよくすり切る。(梅干しに)葉先を付け、
柄を上げて押し切るようにする。

 

  なまいかをとかしつゝいれの傳
すりはちへいかを入大根壱本すりこきニ
してするへしいかとけるなり 

      生イカを溶かしつつ入れる言伝
摺鉢へ イカを入れ、大根一本をすりこ木に
して摺るとよい。イカは溶ける。

 

   かまほこまがいの傳
すりはちへいもとわさびをろしニて
おろし是をつぎにつゝみ能しめ
うでるいもかたまる也丸さいらみそ
をつけてわ切して出すへし

   蒲鉾まがいの言伝
摺鉢へ、芋とわさびを、おろしで
おろす。これを布に包み、よく締めて
ゆでる。芋は固まる。さいら味噌を
つけて、輪切りにして出す。

 

   たまり味かわりたるを十日ニ直傳
四斗之積ニ印能かきまわし白大豆壱升
能いり二ツ三ツニこなし弐升袋ニ入たまりの
まん中へ入まつ香を少しふりかけ置へし 十日に直ル

    味が変わったタマリを10日で直す言伝
四斗の所に印をつけ、よくかき回し、白大豆1升を
よく炒り、2つ、3つに砕き、2升袋に入れ、タマリの
真中へ入れ、抹香を少しふりかけておく。10日で味が戻る。                                     

  味噌味あしきを廿日ニ直傳
豆四斗の積印能かきまわし酒
弐升入能かきまわし青木の葉四斗ニ竹葉
をそへ味噌のまん中へさかさまニ差こミ
胡麻之油壱合入置バ廿日直るなり

      悪くなった味噌を20日で直す言伝
豆四斗の所に印をつけ、よくかき回し、酒
2升を入れ、よくかき回し、青木の葉四斗に竹葉
を添えて、味噌のまん中へ逆さまに差し込み、
胡麻の油1合を入れおけば、20日で味が戻る。

 

     たむしどもなます
      是を三日ニ直ス傳
茶碗ニ水を入南と云字を三ツ書
其水を付る三日之内ニ直ル也 度々に水を付る也

    田虫類や癜(なまず)
      これを3日で治す言伝
茶碗に水を入れ、南という字を3つ書き、
その水を付ける。3日の内に治る。度々、水を付ける。

 

  はなじを即座ニとめる傳
なニわすみさくや此花冬こもり
心の内ニていふへし

  鼻血を即座に止める言伝
難波住み 咲くや此花 冬籠り
心の内で言うとよい。

 

   針うせたるを其座ニいたす傳
おとわの瀧のひめこ松うせたる針の見へぬ
事なし    心の内ニて 三度云へし

  見失った針を即座に見つける言伝
音羽の瀧の姫子松 失せたる針の見えぬ事なし
心の中で、3回言うべし。

 

   くさを直す傳
茶碗ニ水を入馬と云字を三ツ書其
水を付る三日ノ内ニ直ル也

       くさを治す言伝
茶碗に水を入れ、馬という字を3つ書き、
その水を付ける。3日の内に治る。   くさ:湿疹。

 

   きりきす其座ニてとめる傳
きりきすニ手あてて
血の道ハ父と母との道なれバ血の道となる
父の血の道   心の内ニて一度申
へし血とまるなり

        切り傷(の血を)を即座にとめる言伝
切り傷に手を当てて、
血の道は 父と母との道なれば 血の道となる父の血の道
心の中で、1回言う。血はとまる。

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生活笑百智 『萬法秘術集』(4)

2021年03月29日 | おもしろ古文書

江戸時代の面白百科『萬法秘術集』の4回目です。

 

   山のいも結ふ法
塩のにかりニて積て半時置後に結ふ
へし心のまゝにむすへるなり

   山芋を結ぶ方法
塩のにがりをふって半時ほどおいた後に結ぶ。
思い通りに結べる。

 

   物の香りを去ル法
ひともじをくひて口の奥ニハ酢ニて
口を洗て呑へし

   物の香りを取りさる方法
人という字を食べ(?)、口の奥には酢で
口を洗って呑む。

 

   弘法おこり落シ法
○○○○急如律令  右の通り
盃の中は二行に書その朝呑へし

   弘法瘧(おこり)の直し方
◯◯・・・急如律令  このように
盃の中に2行に書いて、朝呑む。  瘧(おこり):マラリア熱。

 

   歯を虫くひうつくを留る法       
そらばんニ二百四十八ト置六の位ニて割
末の玉ニ灸三ツすゆると直に留る也          

   虫歯が疼くのをとめる方法
ソロバンに二百四十八と置き、六の位で割り、
最後の玉に灸を3個すえるとたちまち止まる。 うつく:疼く

 

   魚の骨喉にたつを取法
九竜化骨神護身 
是を三度ヅゝ唱ふべし

   喉に刺さった魚の骨を取る方法
九竜化骨神護身
これを三回ずつ唱えなさい。

 

 

   夜道によタものに逢ぬ法
ランラン。ラエシリント二十度唱て出べし

       夜道で与太者に逢わない方法
ランラン、ラエシリンと20回唱えなさい
  

   酒久しく貯法
菽(しゅく)の実松の葉二品入置バ何年ニても
くさらぬなり

    酒を長くもたす方法
菽(しゅく)の実と松の葉、この2品を入れておけば、
何年たっても腐らない。

 

   水に繪を書法
小豆の粉木わだの粉等分きぬニつゝみ
よくしぼり紙にぬりうゑに繪を書
水中に入箸にて紙を沈へし
繪うくなり

    水に絵を描く方法
小豆の粉、キハダの粉を同量、布に包み、
よく絞って紙に塗り、上に絵を描く。
水の中に入れ、箸で紙を沈める。
絵が浮き出てくる。

 

   鼡道◯二かゝらぬ法
菌弱(蒟蒻?)玉を摺つぶし付れバよし

    鼡道◯ニかゝらない方法
コンニャク玉を摺りつぶし、付ければよい。

 

 旅ニてのみしらミうつら(ぬ)法
朝顔の種を袋に入懐中すれば
のミしらみうつらぬる妙なり

   旅で蚤や虱がうつらない方法
朝顔のタネを袋に入れ、懐へ入れておけば、
蚤や虱がうつらない、不思議だ。

 

   色白くなる法
白大角豆白小豆牽牛子
三品粉にしてあらふべし則色白く
なる事雪の如し

    色が白くなる方法
白大角豆、白小豆、牽牛子
この三品を粉にして洗うとよい。すぐに
雪のように色が白くなる。

 

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生活笑百智 『萬法秘術集』(3)

2021年03月27日 | おもしろ古文書

生活笑百智 『萬法秘術集』の3回目です。

 

   女の月水をのばす法
十日廿日ニてものべたく思ふ時此歌の
上の句を書て丸メ針をさして置也
難波津に咲や此花冬籠り

   女の月経をのばす方法
10日、20日でものばしたく思う時は、この歌の
上の句を書いて丸め、針を刺しておく。
難波津に 咲くやこの花 冬籠り

 

   冬油や硯の水氷らぬ法
胡椒を四五粒入置ば必こほる事なし

  冬に油や硯の水が凍らない方法
胡椒を4,5粒入れておけば、凍る事はない。

 

   百日の内に我思ふ事叶法
百日之間毎朝此歌を百度ツゝとなふ
べし必しやう就すべし 歌に
宵の間や都の空ニ住もせで心盡に有日(明?)の月

   百日のうちに、自分が思う事が叶う方法
100日の間、毎朝、この歌を100回唱えるべし。
必ず成就する。歌に、
宵の間や 都の空に住みもせで 心のままに有明の月

 

   茄子竹子を久しく貯法
桶に入ふたをして川の瀬のはやき所ニ
しづめ置へしいつまても生ニてある事
奇妙ふしきなり

   茄子、筍を長く貯える方法
桶に入れ、蓋をして、川の瀬の早い所に
沈め置くのが良い。いつまでも生のままに保たれる。
奇妙で不思議だ。

 

   玉子ニ字をあらわす法
びん付油ニて字を書酢の中へ半時斗
漬置バ則字あらわるゝなり

   卵に字を表す方法
鬢付け油で字を書き、酢の中へ半時ほど
漬けおけば、すぐに字があらわれる。

 

  のとに魚のほね立おぬく法
茶碗に水を入指ニて三へん書又唱なり
鳥飛龍魚作丹丘 則ぬける事妙也

   喉に刺さった魚の骨を抜く方法
茶碗に水を入れ、指で3遍書く、又は、唱える。
鳥飛龍魚作丹丘(ちょう・ひ・りゅう・ぎょ・さく・たん・きゅう)  
すぐに抜ける事、不思議だ。

 

   玉子を天につる法
かたきびん付油ニて付也奇妙なり

  卵を天に吊る方法
堅い鬢付け油で付き、持ち上げられる。奇妙だ。

 

  玉子を逆に立る法
塩を少し付れバ立へし

   卵を逆に立てる方法
塩を少し付ければ立つ。

 

   玉子を心のまゝに切法
酢にて暫く煎てさめぬ内に切バ思ふ
まゝにきれるなり

  卵を心のままに切る方法
酢でしばらく煮て、冷めないうちに切れば、
思うままに切れる。

 

   血を留る法
はな紙を八ツに折疵口へあて真言ヲ
三度とゞまり。きゃてい。そわか。

      血を止める方法
鼻紙を八つに折り、口へ当てて真言を
三回唱えれば、止まる。
きゃてい、そわか。

 

   しやくり留る法
如是空の三字を指ニて舌のうへ書まね
すへし則やむなり

  シャックリを止める方法
如是空の3字を、指で舌の上に書く
まねをする。すぐに止む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生活笑百智 『萬法秘術集』(2)

2021年03月25日 | おもしろ古文書

『萬法秘術集』の2回目です。

  鼡をきと庭に集る法                   
かにのはさミを烟(けむり)に焼バをのすから鼡あつ
まる事妙なり    きと=急度:必ず、確かに

    鼡を確実に庭に集める方法
蟹のハサミを焼いて煙を出せば、自然と集まる事、不思議だ。

 

  大風のふくを留る法
くろ犬の皮毛を焼て灰として風に随(したが)ふて
ちらせバ風やむなり          皮毛(ひもう):皮と毛

  大風が吹くのを止める方法
黒犬の皮毛を焼いて灰にして、風にのせて散らせば風は止む。

 

  人の顔白くする法
白瓜仁五兩白揚皮弐匁桃人四兩
右の品細末して食後に一さじツゝ
喰べし十日ニして手足いろ白石の如し
奇妙なり   両:重さの単位。約38.5g、10匁
 

                人の顔を白くする方法
白瓜仁5両 白揚皮2匁 桃人4両
これらの品を粉末にして、食後に一匙ずつ
食べるべし。10日で手足の色が石のように白くなる。
不思議だ。

 

   又方
冬瓜一ツを竹へらにて皮をさり切
へきて酒壱升五合と水壱升加いて煎ほし
粉をさり又煎つめて粉となし是を
ぬるへし色白くなりつや出る事妙なり

     別法
冬瓜一つを竹のヘラで皮を剥き、切り、
薄く削って、酒1升5合と水1升を加え、煮て、粉を取り、さらに煮つめて粉にして、これを塗る。色が白くなりツヤが出る事、不思議だ。

 

 

 人の形をかくして他人にミせぬ法
青犬か白犬のきもを取て通草桂に
和し丸薬として服すれバ別姿にかくるゝ
奇妙〳〵

  人の形を隠して他人に見せない方法
青犬か白犬のキモを取って、通草桂(アケビ)を加えて丸薬にして服用すれば、別の姿になって隠れることが出来る。不思議、不思議。

 

  寒中雪中にこゝへぬ法
胡椒を二ツ割ほうろくニて能いりこがし
紙にてきのぬけぬやうにほそにあてゝ
居バ少もこゝへす   ほぞ:  臍、へそ                            

    寒中、雪の中で凍えぬ方法
胡椒を二つに割り、焙烙でよく煎り燋がし、
紙できがぬけないようにして臍に当てて
いれば、少しも凍えない。

 

  聲かれて出さるに直に出る法
大根のしぼり汁の中へ生姜を加へ
能ませてのむべし即座に聲出る也

  声がかれて出ない時にすぐに出る方法
大根のしぼり汁の中へ生姜を加え、
よく混ぜて飲むとよい。即座に声が出る。

 

 夜ル何時ニても目のあく法
手の平に指ひニて大の字を三字書
舌ニて是をなめるへし後にこの歌を

三度『うちとけて若もまとろむ
事あらは引をどろかせ我枕神』とよむへし

  夜にいつでも目があく方法
手のひらに、指で大の字を3字書き、
舌で是をなめる。そしてこの歌を3回読みなさい。
『うちとけて 若もまどろむ事あらば
       引きおどろかせ 我が枕神』

 

   石に墨の付たるを即座ニ落る法
大根を小口切ニして石にすれバ墨をちる事妙也

   石に墨が付いたのを即座に落とす方法
大根を小さく切り、石に擦れば墨が落ちる事、不思議だ。

 

   庭石に苔を付やう
牛房(ごぼう)を小口切ニして石にすり後に苔を付れバみな付なり

        庭石に苔を付ける方法 
ゴボウを小さく切って、石に擦る。その後、苔が付く。

   六月土用ニ氷を出す法
つぼに水を入口を堅くして釜に入て
湯玉の上る迄煎て取上井戸の中へ
暫く入後ニ取上てミれバ氷となるなり

    六月土用に氷を作る方法
壺に水を入れ、口を堅くして釜に入れて、
湯玉ののぼるまで煎じて取り出し、井戸の中へ
しばらくの間入れ、その後に取り上げてみれば氷となる。

 

   物の香をさる法
飴を食して即座ニさる也砂糖を
食してもよし紙をなめてもおなじ

   物の香りをなくす方法
飴を食べれば即座になくなる。砂糖を
食べても良い。紙を舐めても同じ。

 

   玉子をおどらす法
玉子に小キあなおあけ汁を出し後へ
酢を入れ暫して皮をとれバ中に白き皮
あり是をめしつふニてくものせなに
付る也

  卵を踊らす方法
卵に小さな穴をあけ、汁を出し、その後
酢を入れ、しばらくして皮をとれば、中に白い皮
がある。これを飯粒で蜘蛛の背中に
付けるのだ。

 

   ひたへのはげたるを髪はやす法
蛇の脂を求め是を髪はやそうと
思ふはばにしてうとん粉を水にてこね
右のきぬにぬりこうやくとしてはれバ
かみはへる也

 剥げた額に髪をはやす方法
蛇の油を手に入れて、これを髪をはやそうと
思う巾にしてうどん粉を水でこね、
右の絹(意味?)に塗り、膏薬として貼れば
髪が生えてくる。

 

 

 

 

 

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生活笑百智 『萬法秘術集』(1)

2021年03月23日 | おもしろ古文書

故玩館の蔵書(というほどの物でもないですが(^^;)には、いくつかのジャンルがあります。

私が気に入っているのは、昔のトンデモ本の類です。

なかでも、日常の色々な知恵、技術、言い伝え、まじないなど、生活笑百智とでもいうべき本が面白いです。

どさっとあるので、適宜、紹介していきます。

 

江戸時代には、様々な生活トリビアが集められ、出版もされています。

 

今回は、江戸時代、肉筆『萬法秘術集』です。

15.4x23.2㎝、27丁。嘉永2年。

 

この題名の版本は無いようです。

いくつかの生活の知恵を巷から集めて書き記した物だと思います。

このような書物も写本というのでしょうか?

何回かに分けて、ブログで内容を紹介していきます。

 

  文字石ニ入書様
墨に猿の膽をすりまぜて石に文字を書ば
二三分ばかりしみ入るなり

   石に文字を書き入れる方法
墨に猿の膽をすりまぜて、石に文字を書けば
2,3分ほど浸み入る。

分:長さの単位。約3mm。

 

  紙に判をおして数枚通る法
印肉の中へ亀の尿りを入て押ば一度ニ拾枚位通る事奇妙なり

   数枚の紙に一度に判を押す方法
印肉の中へ、亀の尿を入れて押せば、一度に
10枚位紙を貫いて押せる事、不思議だ。

 

  高地に池を堀水なきを出す法
井戸の中へ木綿を入焼てふたをして置バ
自から水生する事妙なり

 高い所に掘った池に、水が無くても出す方法
井戸の中へ木綿を入れ、焼いて蓋をしておけば、
自然に水が出てくる事、不思議だ。

 

  暑気の時食物の臭ぬ法
蕃椒(とうからし)を食物の上にのせて置バ夏ニくさ
らぬ事妙なり

    暑い時、食べ物が臭くならない方法
蕃椒(とうからし)を食べ物の上にのせておけば、夏に
腐らない事、不思議だ。

 

  焼物われたるをあとなく次法
汞粉(はらや)を小麦の粉にくわし玉子の白みを
入てねりまぜてつぐ也

   割れた焼物をあとかたなく継ぐ方法
汞粉(はらや)を小麦粉に加え、卵の白みを
入れて練り混ぜ、継ぐ。
汞粉(はらや):軽粉、伊勢白粉(いせおしろい)。水銀に明礬を加えて作った白粉。高級化粧品。明治初期に禁止。

 

  青梅を枝ともに貯へる法
枝折を葉ともにわらにてまき別に
梅をむきて水につけ酢を出して其
酢壱升ニ寒の水壱升入合て其中に
さし置バいろかわらす

  青梅を枝ともに蓄える方法
折った枝を葉と一緒に、藁で巻き、別に
梅を剥いて水に浸け、酢を出す。
その酢一升に寒の水一升を入れ合わせて、
その中に入れておけば、色が変わらない。

 

  水に消さる玉火の法
樟脳 小半 焔硝 五分 硫黄 三匁
右三品ふのりにてねり丸メてかわかし
串にさして火を燈し流せバ十町斗り
きへすして流るゝ事妙なり

  水で消えない玉火の方法
樟脳 小半 焔硝 5分 硫黄 3匁
この3品をふのりで練って、丸めて乾かし、
串にさし、火をつけて流せば、10町ほど
消えずに流れる事、不思議だ。
小半:重さの単位、一斤の四分の一。四半斤。約150g。
分:粉類に多く用いられる重さの単位。約0.375g。
匁:重さの単位、約3.75g。10分。

 

  一寸八里の松明の法  
くのきを百日程池水に付て置後にこまかに
たたき松明とすれバ一寸にて八里行るゝなり
但木の廻り四寸斗り

  一寸八里の松明の方法
クヌギの木を100日ほど池の水に浸けておき、
その後、叩いて細かくし、松明にすれば、1寸の長さで
八里も行くことができる。
但し、周囲が4寸ほどの木を用いること。

 

 

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする