遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

染付磁胎七宝草花鳥紋鉢

2024年12月18日 | 陶磁胎七宝

磁胎七宝の鉢です。

口径 16.1㎝、高台径 6.8㎝、高 8.1㎝。重 467g。明治。

平凡な器形の磁器鉢に、泥七宝が施された品です。

ウッカリすると、清あたりの中国製磁器かと、素通りしそうな品です(^^;

緑青色の地は、これまで紹介してきた陶磁胎七宝に多く見られたハート形ではなく、丸い植線で埋め尽くされています。

扇形の大きな窓には、牡丹の花。

反対側の窓は、ツバメに柳があしらわれています。

二つの窓の間は、花幾何学紋が散りばめられています。

これまで紹介してきたほとんどの陶磁胎七宝と違って、器形に凝っていなので、平凡な感じがする作品です。

けれども、見込みには、いっぱしの絵付けが・・・

楼閣紋ですね。

磁器の特性を生かして、しっかりと、染付けが併用されています。

おまけに、底にはおなじみの「大明成化年製」の銘が。

平凡な鉢が、一気に、レアものの仲間入りを果たしました(^.^)

 

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

磁胎七宝草花鳥蝶紋ミルクポット

2024年12月10日 | 陶磁胎七宝

ここ数回のブログで紹介している磁胎七宝の茶器ですが、さらにもう一個、似たような器が、別の業者から、バラで出ました。

幅 10.8㎝、底径 6.1㎝、高 8.7㎝。重 192g。

少しぶ厚い器体に、泥七宝で草花紋と鳥が描かれています。秋草と雀です。

竹様の把手には節があり、鉄釉と緑釉で彩色されています。

やはり、「松岡製」です。

先回のシュガーポットと並べると、器の造形、模様の描き方などがピッタリと一致し、この二つはセットであることがわかります。

以前紹介した大急須を加えてみました。

色模様は異なりますが、これらは同じ所で作られた2組のティーセットのはぐれ品であると思われます。

ですから、以前紹介した磁胎七宝大急須は、磁胎七宝草花蝶鳥紋ティーポットに、名称変更をします。

あとは、ティーカップを探し出せば、明治の輸出ティーセットがまがりなりにも完成。

これでアーフタヌーンティーを楽しめば、気分はもはや、ヨーロッパの上流階級(^.^)

しかし、目玉の黒いうちに揃えるのはかなり難しそう(^^;

 

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

磁胎七宝草花鳥蝶紋シュガーポット

2024年12月08日 | 陶磁胎七宝

先に磁胎七宝の大急須を紹介しました。

この品を入手後、しばらくして、同じような品を見つけました。別の業者の品です。

最大幅 12.4㎝、口径 8.2㎝、底径 6.9㎝。重 265g。明治初期。

磁器に泥七宝で植物、蝶、鳥が描かれています。

二つの把手がついています。この器形は、ティーセットのシュガーポットですね。

把手の竹様の節は、鉄釉と緑釉で彩色されています。

胴には、絵画的表現で、草花紋が大きく描かれています。

臙色の地は無紋で、一面にジカンがみられます。

反対側にも大きな草花、そして蝶。

蓋は草花に雀。

先に紹介した磁胎七宝草花蝶鳥紋大急須(写真右)と、造形、模様が非常によく似ています。

いずれも「松岡製」ですから、似ているのは当然。

こうなってくると、先に紹介した磁胎七宝草花蝶鳥紋大急須も、急須ではなく、ティーセットの一部ではないかと思えてきました(^.^)

 

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

磁胎七宝花蝶鳥紋ティーポット

2024年12月03日 | 陶磁胎七宝

磁胎七宝の急須ティーポットです。

最大幅 14.3㎝、最大径 9.8㎝、底径 7.6㎝、高 10.9㎝。重 432g。明治初期。

側面、蓋に泥七宝が施された、少し大型の器です。

先に紹介した磁胎草花蝶紋小急須(写真左)に較べると、

親子以上異なります(^^;

今回は、洒落た趣きの品ながら、手取りは重く、よく言えば頑丈、悪い言えば武骨な造りです(^^;

注ぎ口、把手、蓋摘みなどの造形は、中国風のデザインです。また、竹を模したのでしょうか、これらには、緑釉と褐釉で輪状に節が描かれています。この部分は、形も少し凸になっています。

漉し穴の位置が底近く、非常に低い位置にあります。一方、注口はかなり高い位置にあり、西洋風の銅水注のようなデザインです。全体としては、かなりオシャレです。

では、使い勝手はどうなのでしょう。水を入れて注いでみると、思ったほど激しくは出ません。うまく茶を注げそうです。長い注口のせいでしょうか。この点も、西洋の銅水注と似てますね。

今回の品には、非常に華やかな七宝絵付けがなされています。

色とりどりの草花に加えて、

鳥もいます。

蓋には、蝶が飛んでいます。

この磁胎七宝の絵付けは、これまで紹介してきた十数個の陶胎七宝や磁胎七宝とは大きく異なっています。泥七宝を使った陶胎七宝、磁胎七宝の宿命でしょうか、ほとんどの場合、金属植線で囲われた内側は、単色の色釉が使われています。

ところが、今回の品では、複数の色釉を駆使したり、ボカシの技法が使われたりしています。これは、明治以降、近代七宝釉薬を用いた日本の七宝細工の基本的なスタイルです。これによって、七宝で複雑な絵画表現が可能となりました。

その様式を、今回の品は、泥七宝で試みているわけです。

底銘には見覚えが・・・

中国製として売られていたあの巨大な茶壷(写真左)の底銘です、

同一の「松岡」です。

そういえば、桔梗の描き方などは、両者、似ています。蓋に蝶を配する点も共通。

また、地の部分をハート形の細かな植線で埋めずに、そのまま青釉をベッタリと塗っている事も共通です。そのため、両者の地の部分には、ジカン(細かなヒビ)がびっしりとできています。

それに、重く、武骨な点も共通(^^;

 

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

磁胎七宝花蝶紋急須(2個)

2024年11月23日 | 陶磁胎七宝

先回に引き続き、磁胎七宝です。

今回の品は、小さな煎茶急須2個です。

 

最大幅 10.3㎝、胴最大径 7.1㎝、底径 5.0㎝、高 5.7㎝。重 101g。明治時代。

胴や蓋には、全面に蝶と花模様が、泥七宝で施されています。

地は、小さなハートで埋め尽くされています。

もう一つの急須も、蝶と花の模様、地はハートです。模様のパターンは、両者でわずかに違います。

2個の急須の表面は、陶磁胎七宝に較べれば滑らかです。

では、今回の品と先回の磁胎七宝目出度尽紋煎茶碗(写真右)とはどうでしょうか。

両方と小さな磁胎七宝で、地模様は同じ、主模様は花蝶と宝物の違いはありますが、全体の雰囲気はよく似ています。

しかし、詳細に観察すると、先回の品(写真右)の方が地模様のハートが小さく、また、表面もより滑らかです。

また、磁器の生地を比較すると、先回の品の方が、精製度の高い陶土を使っていることがわかります。

同じような品ですが、やはり、名工、幹山伝七の作品は精作のようです。

でも、回復途上の左手には、少し粗い今回の品が合う?(^^;

 

コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする