面白古文書『ばかとりかうの取組』の後半(下段、馬鹿)です。
下段:
馬鹿の方
大関 おきていなからよしあしをしらぬ人
(起きていながら良し悪しを知らぬ人)
関脇 心よしのひなしかし
(心良しの日無し貸し)
小結 おやのいけんをきかぬむすめ
(親の意見を聞かぬ娘)
前頭 しんぞうにだまされるおやじ
(新造に騙される親爺)
前頭 ちか道をゆく迚ふみまよふ人
(近道を行くとて踏み迷う人)
前頭 ほれれたとおもふて金をつこふむすこ
(惚れられたと思うて金を使う息子)
前頭 おんなゆをそとからのぞいてミているおとこ
(女湯を外から覗いて見ている男)
前頭 にさいずきなごけいんきよ
(二才好きな後家隠居)
前頭 人のお先につかハれるおとこ
(人のお先に使われる男)
前頭 人の女房と色事のふりをするおとこ
(人の女房と色事のふりをする男)
前頭 江戸で生れて宿なしになる者
(江戸で生れて宿無しになる者)
前頭 子ともどうしのけんくわにあつくなるおや
(子供同士の喧嘩に熱くなる親)
前頭 かけぐいにはらをそこのふひと
(掛け食いに腹を損なう人)
前頭 車ひきをてつどうてやる人
(車引きを手伝ってやる人)
前頭 我女房をほめてあるくていし
(我女房を誉めて歩く亭主)
前頭 きゃくをかつてはたかになる女房衆
(客を買って裸になる女房衆)
前頭 年あけ女郎のおやもとをたづねて行
(年明け女郎の親元を尋ねて行く客人)
前頭 ぼう様にだまされるばアああま
(坊様に騙される婆様)
前頭 まつりに出てせたいをしもふおとこ
(祭りに出て世帯を終う男)
前頭 知たふりで物ことをしそこのふ男
(知った振りで物事をし損なう男)
勧進元 くるしミをして金をなくす人
(苦しみをして金をなくす人)
【新造】:若い見習い女郎
【二才】:青二才