遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

高麗青磁油壷

2020年02月28日 | 古陶磁ー全般

日本の青磁が見当たらないので、朝鮮半島の青磁を紹介します。

高麗青磁の油壷です。

 

                        径 6.8㎝、 高 6.2㎝

 

時代は不明です。高麗期(10-14世紀)ほどの時代はないでしょう。

油壷は、女性の化粧用油をいれる容器です。

日本でも、古くから、各地の窯で作られました。色、模様、形が様々、大きさも手頃なので、そば猪口のように、油壷を専門に蒐めるコレクターもいます。

 

非常に透明度の高い、灰青色です。

青磁釉には、ジカンが多く入っています。

 

青磁釉は、全面に施されています。

底には、石目跡が3つあります。

 

高麗青磁の大きな特徴は、高い透明度です。

表面を拡大して見ると、ジカンの間に気泡がまばらに浮かんでいます。気泡がぎっしりと詰まっていたこれまでの青磁器とは、対照的です。やはり、気泡の少なさが、透明度の高さの一因であるようです。

 

たなごころにフィットする可愛さが身上。

 

今の季節、これといった花が咲いていないのですが、挿してみるとあんがい具合が良いようです。

 

今度は、野の花を入れてみようかな。

 

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長崎螺鈿広蓋

2020年02月26日 | 漆器・木製品

以前のブログで、長崎螺鈿手元箪笥長崎螺鈿菓子箪笥を紹介しました。

今回は、長崎螺鈿の広蓋です。

広蓋とは、文字通り、大きな蓋です。贈り物をするとき、衣装箱の蓋にのせて相手にさし出したのが始まりと言われています。その後、縁のある大きな漆盆が専用に作られるようになりました。今回の品は、さらに4本の足をつけて、格式を高めています。

なお、今でも、地域によっては、結納に広蓋を用いるそうです。

      幅 41.7㎝ x 長 60.1㎝ x 高 13.2㎝

 

うーん、一体、何をのせて、誰に贈り物をさし出す?入れ物が立派すぎるのも考えものですね(^^;)

 

漆黒の漆面の上に、彩色した薄青貝を貼り付けて、花鳥図を描いています。

そこはかとした、か細いタッチです。

 

 

鳥は、かなり力作です。

が、長崎螺鈿の場合、螺鈿の剥がれはどうしてもさけられません。

 

 

 

 

 

 

裏側です。

裏面は梨地です。

 

漆面の劣化がすすんでいます。

やはり、長崎螺鈿の堅牢度は、低いと言わざるをえません。

 

実は、この長崎螺鈿広蓋、もっと早くブログにのせるつもりだったのですが、箱が見つからないのです。

広蓋が入っていたのですから、かなり大きな箱です。故玩館以外の場所も探したのですが、行方が知れません。で、やむを得ず箱無しでアップした次第です。

長崎螺鈿は、江戸後期から明治初期にかけて作られました。故玩では、オリジナルの箱は貴重です。製作年を特定できるからです。おぼろげな記憶をたどると、嘉永〇年と書かれていたように思います。ペリー提督が日本へ来た頃ですね。

静閑な花鳥図螺鈿と黒船、幕末を象徴するかのようです。

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初代諏訪蘇山『鉄鉢型菓子器』

2020年02月24日 | 古陶磁ー全般

このところブログは、酒田の人さんと青磁合戦の様相を呈してきました。しかし、伊万里素人の私には品物が手薄、もう少し探してみなければなりません。もしくは、他へ転戦。いずれにせよ、しばし、青磁休戦(^^;)

 

すると、先の初代蘇山「青磁天目茶碗」の隣に転がっていた、もう一品を見つけました。

初代諏訪蘇山の鉄鉢形菓子器です。

鉄鉢とは、僧が托鉢で食べ物などを受け取って入れる容器です。

 

 

 

壬戌(大正(1922)11年)仲秋、臨済宗妙興寺喝山の箱書きがあります。

 

               径 16.8㎝、高 8.7㎝

側面に桜の花が描かれています。

 

内側の下部は、薄桃色で、雨漏りのような模様があります。

 

 

 

 

 

 

 

鉄鉢形ですから、高台はありません。

 

なかなか趣があります。

外側下部も薄桃色、そして、雨漏り状の模様があります。

萩焼に似ていますが、蘇山独自の物でしょう。

 

蘇山の印があります。

これなら、唐物に化けることはありませんね(^^;)

 

 

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伊万里青磁小皿2種

2020年02月22日 | 古陶磁ー全般

先に、鍋島青磁五寸皿のブログで、1枚だけ伊万里青磁の小皿を紹介しました。5枚組でしたので、残りの4枚も含め、再度アップします。

 

         径 10.9㎝、高 2.6㎝、高台径 6.0㎝

すべて、高台内に、大明成化年製の銘が書かれています。その上には、青磁釉ではなく、透明釉がかかっています。分厚い造りです。特に、中心部が分厚く、表側も裏側も少し盛り上がっています。

 

青磁色は、薄いく青色、くすんでいます。真ん中に盛り上がりがみられます。

 

中心部が盛り上がり、兜巾のようになっています。

 

 

さて、まだどこかに伊万里青磁はあったはず?

あちこち探すうちに、同じような小皿が、さらに5枚見つかりました。まるで、在庫整理しているかのような(^^;)

         径 11.0㎝、高 1.8㎝、高台径 6.0㎝

 

大きさ、形は、先の5枚とほとんど同じですが、高台内には銘が書かれていません。また。外周が玉縁になっているのも、先の5枚と違います。さらに、薄造りで、かざすと透けて見えます。

 

最も大きな違いは、青磁の色です。

写真ではわかりずらいですが、こちらの5枚は、緑がかった明るい青磁です。

また、よく見ると、青磁釉に非常に小さな黒点が多数入っています。

高台内は、薄く平です。

 

2枚を比較します。右が先の青磁小皿、左が後の青磁小皿です。

かなり色調が違います。

 

 

左の緑がかった青磁小皿には、5枚とも、青磁釉中に微細な黒点があります。

拡大して見ました。

なぜ、こんな黒点があるのでしょうか。原因としては、青磁を焼く時、最後に還元雰囲気で加熱するのですが、原料の弁柄が多すぎて還元されずに残ったか、逆に、鉄の還元が進み過ぎて金属鉄が生成した、の2つが考えられます。現時点では、どちらかわかりません。

このような青磁を見るのは今回の緑がかった伊万里青磁小皿が初めてです。他の青磁の器も、しっかり観察すれば、このような黒点が見つかるかもしれません。

 

また、先のブログで紹介した青磁小皿(今回の右の青磁皿)には、高台脇の青磁釉と露胎部との境に、錆色の帯は見られないと述べましたが、これは誤りでした。詳細に観察すると、非常に薄くて細いですが、この錆色帯はみられます。

 

もう一種類の緑がかった青磁小皿にも、同じように非常に薄く細い錆色が高台と青磁釉の境にあり、高台脇をぐるっとめぐっています。

この錆色帯が生成する理由については、後のブログで考えたいと思います。

今回は、先回の伊万里青磁小鉢に続いて、またもや、ダダクサな扱い(^^;)を受けている伊万里青磁小皿でした。

中国で生まれた青磁は、朝鮮半島、日本、東南アジア各国でも各種の品が作られましたが、今回のような小皿はほとんど例がありません。高級品であった青磁を、一般の人々が使う日用食器にまで広めた伊万里焼は、やはり、世界の陶磁器のなかでも特別の位置にあるのではないでしょうか。

この小皿たち、手になじんでなかなかカワイイです。これを機に、いろいろと使ってみることにしましょう(^.^)

 

 

 

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見直した、伊万里青磁小鉢

2020年02月19日 | 古陶磁ー全般

ここしばらく、青磁の器を紹介してきました。ちょっと気張った物が多かったのですが、日用の器にも青磁はあります。

数日前、酒田の人さんが、青磁釉の上に色絵を施した古伊万里木瓜形皿を紹介されました。

そこで、私の所にも何かないかと探したところ、見おぼえのない青磁小鉢が、ほこりをかぶって隅に転がっていました(^^;)

普通なら、「こんなダダクサなもん、ブログには出せんワ」という品ですが、青磁にかこつけてアップします(笑)             【ダダクサ】(岐阜弁);ありふれた、たいしたことのない、ぞんざい(に扱う)。

 

江戸後期の古伊万里青磁染付小鉢です。                        

    径 14.0㎝、 高 6.1㎝、 高台径 7.3㎝

内側の青磁釉は濃く見えますが、実際は薄い色です。

 

見込みには、染付で、鯉の滝登りが描かれています。

染付部分には透明釉がかけられています。

 

ひょうきんな鯉の顔が面白い。

 

江戸後期に典型的な蛇の目高台です。数物の日用食器によくみられます。銘は渦福。

 

側面には、染付で唐草模様が描かれています。あまり丁寧な描き方ではありません。

青磁色は内側よりもさらに薄く、ほんのわずかに青みがかっています。

 

江戸後期になると、青磁釉と露胎部との境に見られる帯状の錆色はほとんど見られなくなります。

が、目をグッと凝らすと、ほんのわずかに錆色が出ていることがわかります。やはり、青磁が薄いと錆色も薄いようです。

 

中国では、青銅器の形を模した磁器に青磁釉を施し、玉器の美しさを表そうとしたと言われています。

ですから、尊式花瓶など磁器全体に青磁釉をかけ、独特の色合いの器を愛でるのが基本です。変化をつける場合も、ボディに陽刻、陰刻を施し、青磁釉を通してぼんやりとした模様を愉しみます。

伊万里焼では、早期には、このような青磁の特徴を生かした器を焼いていたのですが、次第に、独自の工夫をするようになりました。青磁釉に染付や色絵を組み合わせるのです。これは日本独特の技法です。

今回の品も、染付と青磁釉の組み合わせです。しかも、内側には濃いめの(といっても薄い)青磁釉、鯉の図には透明釉、外側には極薄の青磁釉という具合に、3種の釉薬を使い分けています。

このように、日用の器にも、創意工夫をこらそうとした伊万里陶工の心意気を感じます。

 

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