遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

源内焼竹林七賢人図大鉢

2019年05月29日 | 古陶磁ー大皿・大鉢・壷
確か、あったはず・・・・・・・・
ごそごそ捜していたら、出てきました。

源内焼の大鉢です。
今回、初めてじっくり見ました(笑)。

全く使用した形跡がありません。
昨日、窯から出たばかりかのようにピカピカです。



胎はもろい軟陶、色釉薬も非常に薄くかかっているだけです。使用を目的に作られてはいないのでしょうか。



人物の陽刻は、比較的簡素。
衣服には、薄く色釉が施してあり、顔や手は白釉です。



周縁部の装飾模様は、非常に緻密。
彩色は、緑単色。




表面をよーく観察すると、団扇の部分に小さな疵が  ・・・・・  どうも、目跡のようです。
2mmもない極小の円形。



ずーっと捜していくと、帽子をかぶった緑服の人物の裾の横にも同じ大きさの目跡が。


さらに、上部の雲の真ん中にも。

極小目跡は合計3個あります。
ほぼ、正三角形の配置。



高台を見てみると、露胎部に、窯道具跡がやはり3つ、正三角形状についています(写真では分かり難いです)。
こちらの方の大きさは2cm弱あります。

どうやら、円錐形の窯道具で、重ね焼きをしたようです。

この大鉢、一個の重さ、1.4kgあります。
針先のような細いピン3個で、一体、何枚の大皿鉢を重ねたのでしょうか。




もう一つ不思議な点は、大きさです。
この大鉢は、ずいぶん昔、骨董屋の店先に並んでいた品です。
値段を聞いてビックリ。
「そんなにする?」といぶかる私に、
「尺あるから」と、骨董屋のオヤジ。
「そんなにあるはずがない」と私。
で、巻き尺をあて、どうだといわんばかりのオヤジ。

この手の皿。実物を見ても大きさがピンときません。
図録でも、源内焼は、どれも同じ大きさに見えます。
どうも、こまかな陽刻模様の品は目の錯覚をうむような気がします。

同じ事は、他の品でも、大なり小なり起こりえます。
特に、写真だけが頼りのネットオークションでは、イメージと現物の差が問題です。
品物が届いてから、こんなはずではなかったのに、と嘆いても後の祭り。
痛い経験を何度もしたので、今は、適当な尺皿を手許に置いて、ディスプレイに向かいます。
手取りも分かればいいんですが・・・・・・無理か。


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ものぐさ有機農業・思わぬ所にムカデ

2019年05月25日 | ものぐさ有機農業
ソラマメ、どうやら連作障害です。
調子よく育っていたのが、いつのまにか、全員が黄色。
サヤはまだ小さいのに。

意を決してバッと抜きました
           ・・・・・半分だけ(全く、優柔不断です)

空いた場所に畝をたてました・・・・さて、何を植えるか?

そうだ、サツマイモ。
特に、ムラサキ芋。
これを入れた紫餅は、皆に好評。
サツマイモに決定しました。

日中はもう酷暑なので、早朝5時起床。
苗を持って、いざ出陣・・・・・・


激痛です!
右手の小指が痺れています。


犯人は、この中に潜んでいました。
ムカデです。
あまりの激痛に、取り逃がしてしまいました。



激痛は、3時間ほどつづきました。




左手と較べてみると、右手は肥満体。

痛みが引いたあとは、痒みが襲ってきます。

この感覚、去年、スズメバチに刺された時とよく似ています。
調べてみると、毒素成分もよく似ているとのこと。

アナフィラキシーには注意が必要です。

私自身は、子供の頃から勘定すると、蜂には何十発も刺されてきた(ムカデは2回目)ので、多分大丈夫でしょう。

しかし、大丈夫でない人もいます。

私の友人(都会育ち)、一昨年、アシナガバチに刺されました。
なんと、生まれて初めて。それも、古稀過ぎてから。

それからが大変。顔は青ざめ、全身がけいれん。
あわてて、救急車を呼び、一週間、入院しました。
今度、刺されたら、アブナイそうです。

でも、良いこともあるのです。
彼は、かなりの高血圧で、血圧降下剤をたくさん飲んでいました。
この時のショックで、友人の体質は変わったそうです。
友人曰く。
もう、血圧の薬をもらいに、医者へ通う必要はなくなった(笑)。

ps.
  気がついたら、激痛のなかで、サツマイモの苗、植え終えていました。


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落札初体験の皿

2019年05月23日 | 古陶磁ー中国
今では、すっかり定着したネットオークション。
もう、20年位になりますね、日本で本格的に始まってから。

しばらくは、出品者、落札者ともに少なく、ほとんど毎夜、なじみの出品者の品を、いつもの相手(当然、顔は知りません)と入札合戦でした。

当時の出品者、数は少ないですがまだ出品を続けています。IDの変更が多いです(税金対策?)が、写真の取り方や品物の説明の仕方ですぐにわかります(^^;)。


私のヤフオク落札、第1号。
思い出深い皿です。

入札ボタンを押してから落札がきまるまでの、胸が締め付けられるような時間の長かったこと・・・・・・・ウブでした(笑)。

で、三彩風軟陶のこの皿ですが、何者でしょうか?
径23cm。無名。

落札の少し前、骨董屋に同じ手の皿がありました。
オヤジの言では、交趾焼とのことでした。
価格は、落札品の10倍。
まあ、昔は何でもかんでもコーチ焼でよかったんでしょうけど・・・・

陽刻の細かさからすれば、源内焼? 
でも、四国瀬戸内方面には、よく似た焼物、他にもいっぱいあるし・・・・

どなたか御教示を!






















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人よんで能管道楽

2019年05月21日 | 能楽ー実技
能管と龍笛

今使っている笛のいろいろです。
全部同じように見えますが、この内、能管ではない物があります。
さあ、どれでしょうか?


                  笛、 笛、 笛



正解は、写真の下部の2本です。


                     龍 笛

この2本は、龍笛です。
龍笛は、能ではなく、雅楽で使われる笛です。
姿形は能管と区別しがたいですが、似て非なる物です。
音程が違います。
吹き方も異なります。
能管では、笛に体をぶつけるようにして吹くのに対して、龍笛の方はずいぶん上品です。



能管とは


                   能管の構造

能管が、龍笛など通常の横笛と異なる理由は、能管の構造にあります。

能管の内には、上図にあるような大きさの竹筒(ノド)が入っています。煤竹をわざわざ切断し、内側にノドを挿入した後、元に戻し、樺を巻いて補強します。大変手間のかかる作業です。
その結果、歌口(吹き穴)から入った息は、筒の中で一度圧縮されます。

結果として、龍笛(リコーダーと同じ西洋音階)とは異なる音程になります。
また、能管特有の大きく、鋭い音が得られます。


龍笛2本をのぞいた残りの5本が能管です。


                     能  管

こんなにあって、どーする?

そこは、コレクター魂、と言いたいところですが、
蒐集癖がしみついてしまった人間の哀しい性。
あれも、これも、となってしまうのです。

能管には、一本一本に個性があります。
簡単に音がでるけれど音色がもう一つ、手強い品だがはまれば凄い、高音はいいが低音がイマイチ、季節や天候で気まぐれ、などなど。
また、自分の技量がすすんでくると、ワンランク上の品が無性に欲しくなります。
そんなわけで、こんなに集まってしまいました(だいぶ整理しましたが)。


私のイッピン

では、これらの中でよりすぐりは?


                                私のイッピン

上の写真の一番下の品、これが私のイッピンです。

前述のように、能管の製作は大変手間がかかるので、龍笛より高価です。
財布の軽さを考えると、由緒正しい品など望むべくもありません(能管に限らず、あらゆる故玩がそうですが)。
そこで、ジャンクすれすれの品に手を出すのです。
一種の賭です。

この品も、何十年と埃をかぶり、ボロボロでした。吹くとかすかに音が。
そこで意を決して、当代一の笛師、田中敏長氏に修復を依頼して、できあがったのがこの能管なのです。

で、具合は?
柔らかいなかに奥深い響きを秘めた、得も言われぬ音色!
しかし、この極太能管、哀しいかな息が続かない。

古稀過ぎの呼気にはキツイ(^^;)。



実際に使用する時は、能管筒とセットで。



能楽笛方は、この状態で、胸元に挿して舞台に立ちます。



また、能管の左端には、頭金と呼ばれる金具(龍笛の場合は、錦布)が、装飾されています。

                              頭 金


        

八割り返し能管

先のイッピンは、私には手ごわすぎるので、今使っているのは、次の品です。




少し、細め。
断面に特徴があります。

いくつかに割れたものを接合してあるように見えます。



これは、八つ割り返しという特殊な製法の能管なのです。

八つに割った竹筒(この場合は九つ)を、裏表ひっくり返して、再度、筒形にしたものを素材にします。
結果として、竹の表面の堅い部分が、能管の内側に来ます。
そのため、能管特有の鋭い音色がさらに増すと言われています。


                  八つ割り返し能管の作り方

能管吹きなら、一度は手にしたい八つ割り返し能管。

使い始めて、半年ほどです。
八割能管の調子も大分上がってきました。

能管道楽も、かなり終盤にさしかかって来たようです。




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ようやく、能管、急之舞があがりました

2019年05月19日 | 能楽ー実技
バイカウツギの花が咲きました。




さて、能管の練習ですが、急之舞がやっと終わりました(まだまだ、不十分ですが)。
なんと、二年半。
一曲にこんなに長くかかってしまうとは
自分でも、よく続いたもんだという気がします。

その理由は、指し指です。
指し指とは、能管のメロディー(唱歌)に細かな修飾を施す技法です。

プロの方は、それぞれのやり方で指し指を駆使して、独自の能管演奏をしているのです。
私ごとき素人が恐れ多いのですが、師匠にすすめられ、せっかくの機会ですから、挑戦しました。

もう一つの難題は、急之舞です。
急之舞は、能の舞の中で、最もテンポの速い曲です。
ものすごいスピードで指を動かさねばなりません。
そこへ、さらに、指し指が加わるのですから、もう、人間ワザとはとても思えません。


能と急之舞

急之舞が用いられるのは、主として、道成寺と紅葉狩りです。
どちらも、前場の美しいシテは、後場では、般若の面をつけた鬼女となります。
急之舞は、変身の象徴でもあるのです。


能・道成寺


                門水筆 「道成寺」(前場)
           伊勢門水:1859-1932、狂言師、日本画家。

能・道成寺は、道成寺縁起に書かれた事件から、400年以上後の道成寺が舞台です。
(前場)
いわくありげな白拍子が、女人禁制の道成寺を訪れ、鐘の供養のためといって、舞います。
白眉は乱拍子。
シテの緊張した静寂。長ーい間合いを破る小鼓方の掛け声と鼓の音。そして、さらに続く、異様な緊張と静寂・・・・小鼓とシテとの息詰まるような緊張感の後、突然、急之舞となり、激しいテンポのリズムに変わります。

「♪山寺のや 春の夕暮 来てみれば 入相の鐘に花ぞ散りける  ・・・・・・・・ 思へばこの鐘恨めしやとて  竜頭に手を掛け飛ぶとぞ見えし 引きかづきてぞ失せにける♪」

シテは鐘の中に飛び込む ・・・・・・ 能・道成寺の最大の見せ場です。




         河鍋暁翠画(木版) 「道成寺」(後場)

(後場)
鐘が上がって現れ出でた女は、蛇に変身。
付けているのは般若の面。能装束は、蛇の鱗を象徴する△ウロコ模様。
蛇鬼は、僧たちを打とうとするが、逆に祈り伏せられてしまいます。そして、自身の炎で身を焼き、日高川の深淵へと身を躍らせ、消え入るのでした。


能・紅葉狩り

もう一つの急之舞の能は、紅葉狩りです。
紅葉の山奥、鹿狩りに来た平惟茂一行が通りかかると、紅葉の下で美女たちが酒盛りをしていて、酒宴に誘われます。思わず盃を重ねるうちに、舞を見ながら惟茂は眠ってしまいます。
優雅な中之舞は、突如、激しい急之舞に変わり、女は山中へ消えます(前場)。
後場では、惟茂が目をさますと、鬼神となった女が惟茂を襲います。激しい立ち回りの後、惟茂はこれを打ち据え、退治します。



      河鍋暁翠画(木版) 「紅葉狩り」(前場)



                これは、トランプ。


道成寺では、女の怨みがつのって、蛇になる、鬼になる。この時に、急之舞が舞われます。
紅葉狩りでは、急之舞が美女の本性を暗示しています。紅葉狩りの美女も、源経基の寵愛を受けた後、追放された女(紅葉)が、怨みをつのらせて鬼女となったという紅葉伝説に由来します。
したがって、いずれの能でも、怨念と妄執から鬼となった女を表す般若面が用いられます。



ps. 素人の能管、急之舞です。
    紅葉狩りの急之舞(中之舞から急之舞へ)です。
    よかったら、聞いてみてください。
             https://yahoo.jp/box/dedrvj





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