遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

絵瀬戸呉須紅葉紋皿

2020年07月31日 | 古陶磁ー大皿・大鉢・壷

やや小型の絵瀬戸皿です。

呉須で紅葉が描かれています。

径 18.6㎝、高 2.3㎝、高台径 7.9㎝。 江戸後期~明治。

 

器形は普通の絵瀬戸皿ですが、小型で上品な作振りです。

 

紅葉が4枚、散らされています。

絵瀬戸皿は鉄釉の使用がほとんどなので、呉須のみを使用した絵付けは珍しいです。

外周も呉須で塗られています。

 

端反りが小さくやや円盤型で、低い高台です。

初期伊万里のように、皿の真ん中が分厚く、端にいくにつれて薄くなっています。

高台に重ね焼きの跡がありますが、表側には目跡がありません。焼成時、一番上に置かれたのでしょう。

絵瀬戸皿の中では、少し高級品であったのかもしれません。

 

 

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吹墨更紗紋絵瀬戸皿

2020年07月29日 | 古陶磁ー大皿・大鉢・壷

また、江戸後期の瀬戸雑器に戻ってきました(^^;

今回は、吹墨の絵瀬戸皿です。

径 24.9㎝、高 4.4㎝、高台径 10.3㎝。  江戸後期。

 

絵瀬戸皿として、オーソドックスな器形です。使い勝手は、よさそうです。

 

見込みには、鉄釉の吹墨で、更紗紋が描かれています。

 

泥臭い絵付けの多い江戸後期の瀬戸皿ですが、粋な柄もあるのですね(^.^)

 

ジカンにシミが入って、行燈皿のような趣があります。

 

裏側は、相当の年季が感じられます。

 

使用痕は、この手の皿の勲章(^^;

 

 

 

 

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おもしろ古文書 『天候五穀作柄百撰』(3)

2020年07月27日 | おもしろ古文書

おもしろ古文書『天候五穀作柄百撰』の3回目、最終回です。

今回は、主に、太陽、月、星、雲など、身近なものと天気との関係を扱っています。

太陽、月、星、雲などの様子から天候を予測することは、相当昔からなされてきたに違いありません。

今回の予知法は、今の私たちにも思い当たるものがいくつかあります。

61年前の朝、燃えるような朱に染まっていた東の空が、今でも目に焼きついています。虫や鳥の音も聞こえず、シーンと異様に静まったなかに、東空だけが赤く輝いていました。そして、真夜中、伊勢湾台風が来襲しました。超大型台風の猛威は、想像を絶するものでした。

 

一.朝日の出る時、其色青く見ゆるは、大風大雨のしるし也。

一.朝日の出る時、日の両脇に雲あらバ、大風なり。

一.朝日、天を焦すごとく赤けれバ、風のきさしなり。

一.朝日、あかく地をやくごとく成ハ、雨ふるなり。

一.朝日、黄に見へて雲其下にたな引時ハ、北風吹也。

一.朝日、常より大きく、明らかに雲黄色に見ゆるハ、雷雨大風のしるし也。亦、日に雲まとひたるごとく輪光あらバ、大風大雨のきざしなり。

 

一.日出る前に、村雲、南北の方へちるならバ、風吹雨降なり。

一.日の出入に、其色青く見へて雲多くかさならバ、はげしき大風吹なり。

一.入日に、雲おほひたる中より、白気直ニ立のぼりて頭上を越る時ハ、期せずして大風大雨あるなり。

一.入日に、その色べにのごとく紅なるハ、雨なく風吹なり。

一.申ノ時より後、日の両脇に雲あらバ、大風のきざしなり。

一.日出る時、暈ある時ハ雨なり、亦、風吹きざしなり。

一.日暈、朝白く夕に赤きハ、大風石をうごかすなり。

一.暈赤きハ旱、青黄ハ大風、しろきハ風雨、黒きハ大水、紫ハ大ひでりとしるべし。

一.日暈、午ノ時より前に有バ、北風吹なり。午ノ時より後ハ、風しづかなり。

 

一.月暈、半邊にて、東方に向へバ風あり、西にむかへバ風雨あり、北に向バ風なり旱なり。月暈二重ハ大風、亦、黒く見ゆるハ雨なり。

 一.月の暈、少かたすみにかかり消るハ風也。亦、皆掛りて直に消るハ晴也。二重三重、重り多きほどしるし違ハず。

一.三日月の下に横雲あれバ、四日の内に雨ふるなり。

一.四日月、常よりふとく見へて、亦、うごく様に見ゆるハ、大風大雨のきざしなり。

一.四日月、栗色の輪あらバ風吹なり。

一.月の暈の内にほしあれバ雨降す。

一.月に輪ありて、その中に雲少しあらハ、大風吹なり。

一.月、四星の中に入れバ、大凶作なり。

一.十四日、十五日の満ざるハ、ひてりなり。

 

一.十五日前に満月なるハ、大に凶事あり。

一.十五日より後にかげずして満月なるハ、わざハひあるべし。

 一.暈、常より大に見へて光りかゝやき、又、うごくやうに見ゆるハ、三日の内きびしき大風吹なり。

一.星に赤き輪あらバ、風吹しるしなり。

一.暈の光、びか/\として定らざるハ、明日風吹なり。

一.暈、月をつらぬけバ、旱りなり。

一.天漢の中に、暈少なき時ハ、大ニ旱りなり。

一.八月に、甲寅日、巳丑日有バ、必、風吹なり。
                  
一.大風、一日一夜ふかバ、百里の風也。二日二夜吹バ、四海半分也。三日三夜吹ハ、四海皆風也。

一.雲きれ/\に成てはやき時ハ、大風のきさしなり。

一.雲形、輪のごとくなるハ、大風のしるし也。其くも遅く消れバ、風少し吹也。

 

一.大風、吹んとする時、前日よりかならず水ぬるむなり。又、潮汐(しほ)も同然なり。

 一.七月七日ハ、大風を生る日也。

一.毎月四日、十四日、亦、四日、二八日、此四ヶ日を番の風といふなり。此日、子丑に当れバ、雨ふり、亦、卯辰に当れバ風雨也。

一.大風、忽に吹止時ハ、必、返しの風吹也。亦、大風おのからやむ時ハ、返しの風吹さるなり。

一.獣の皮をたたきて、其おと常より酷なる時ハ、大風の印也。

一.一天に雲なるニ晴て青けれバ、二日のうち雨なり。

一.亥卯ノ時に雨はら/\とふりて、軈(やが)て晴る時、卯の時ならバ、其夜又大風大雨あるべし。又、亥の時ならバ、翌日、大風大雨あるなり。

 

一.雨、久しく降て晴されバ、丙丁の日かならずはれるなり。

一.久しく晴て雨ふらされバ、戌の日にかならず雨ふるなり。

一.甲申の日に雨降るハ米安し。

一.子辰申ノ時に降出す雨ハ長し。

一.寅卯未戌亥の時にふり出す雨は、ふりふらざるなり。

一.丑巳酉の時に降出す雨は、間なく晴るゝなり。

一.雲の色、火の光のごとく成ハ、大ひてりなり。

一.雷声、先に發して後に雨降ハ、その雨少しなり。

一.雨ふりて後に雷なるハ、雨並び大にふるなり。

一.正月に雷なれバ、大不作にして米大に高し。

一.二月に雷の聲をはつする時、其聲和らかなれバ豊年也。

 

一.二月に、雷、丑寅方又ハ東方より起これバ、米安く、其年豊なり。

一.二月に、雷、南方より起れバ、其年ひでりなり。

一.二月、雷、北方より起これバ、其年雨ふる事しげし。

一.春の甲子の日に、雷なれバ豊年也。

一.三月朔日に、雷なれバ豊年なり。

一.三月四日に、雷なれバ大豊年なり。

 

 

注:

⑫四星:北斗七星の柄杓の部分?

⑬天漢:天の川

⑯丑寅方;北東方

干支は、年、月、日、時刻、だけでなく、方位などを示すためにも使われました。方位は北から時計回りに、子、丑、寅…で12等分し、北、東、南、西は、子、卯、午、酉、その中間、北東は丑寅、東南は辰巳、南西は未申、西北は戌亥となります。

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おもしろ古文書 『天候五穀作柄予知百撰』(2)

2020年07月25日 | おもしろ古文書

先回のブログの続き、おもしろ古文書 『天候五穀作柄予知百撰』の2回目です。今回は、各月、季節、節句などにおける天候と農作物の作柄予知です。写真の番号は、最初からの通し番号です。

一.二月二〇日天晴れバ米安し

一.三月に三ツ卯の日あれバ其年凶にして米大に高し

一.春分の日に東風吹バ麦安し
  其年豊なり又南風吹バ五月に大水出る也又後々ひでりなり
  亦西風吹バ麦高し又北風吹バ米大に高し

一.春の甲子の日に雨降バ其年大にひでりなり

 

一.夏の甲子日に雨降れバ其秋洪水有

一.春夏秋冬の甲申の日に風雨有バ米穀暴(にわか)に高し又小雨なれバ高し大雨ならバ大に高し

一.春の巳丑日に雨ふれバ米穀高し
  
一.五月朔日に風雨あれバ其年五穀実らず米大に高し

一.春の甲寅日乙卯の日雨ふれバ夏に至りて五穀高し

 

一.春の庚寅の日あり癸巳日に至りて雨ふれバ米高し

一.夏丙寅の日丁卯日に雨ふれバ秋に至りて米穀大に高し

一.夏の庚寅の日辛卯の日に雨ふれバ麦安し

一.秋の庚寅の日辛卯の日に雨降は其冬に至て米穀大に高し

一.冬の壬寅の日癸卯日雨ふれは来春に至て米穀高し

 

一.冬庚寅日癸巳日雨降バ米高し

一.六夏の日巳時東南に青雲あらバ大豊年也青雲なけれバ大凶なり

一.夏至の日午時南方に赤雲気有バ百穀大に宜し又赤雲なく日月光薄けれバ五穀みのらず
                                     
一.夏至の日に北風吹バ米穀豊なり

一.夏至五月三日に当れば米高し亦夏至上旬にあれバ米安し

一.夏至に南風吹ば秋に至り米穀大に熟す之また西風吹バ秋に至りて大雨ふるなりまた北風吹バ山より大水出る之

 

一.立秋の日申の時に西南の方に赤き雲あらば其秋よろしからず亦来年正月に地震有べし

一.七月七日の夜天の河の中に白気光曜の五色あり是を徹應とす見る者則拜して富貴を祈り亦壽命を祈り亦子なきものバ子を祈るなり只一をねがへば三年の内かならず其願成就するなり

 一.七月十五日二七日午刻に風を到るなり風吹ざれバ必す雨降るなり

一.八月二日八日十七日十九日は皆風をつかさどるなり風吹ざれバかならす雨降也

一.八月三日十六日二三日二七日皆辰の刻に大風を出る也

 

一.八月に甲寅日巳丑日有は其日かならず風吹なり

一.八月社日に雨ふれバ来年に至り五穀豊にみのる之

一.八月社日の前に秋分の日あらバ米大高し

一.亦社日の後に秋分の日あらバ米安し大豆高し

一.秋分の日に東風吹バ万物みのらず又五穀高し亦南風吹バ凶なり又西風吹バ豊年なり亦北風吹バ冬に至り寒風をつかさどる之

一.冬至の日に天晴て温なれバ来年麦豊作なり

一.冬至の後一日に壬の日有は旱りする事千里之二日に有バ旱無数亦四日にあれバ五穀豊年なり亦六日にあれバ大水出る也
亦八日にあれバ海ひるがへるなり又九日に有バ麦作よし又十日あれバ五穀よし

 

注:

何年何月何日が、60干支のどれに当るかは、干支カレンダーなどを参照すればわかります。

⑤ 朔日;1日

⑦六夏;旧暦の夏は、4,5,6月でしたから、6月のことだと思われます。

⑧の2つ目の項目

一.七月七日の夜天の河の中に白気光曜の五色あり是を徹應とす見る者則拜して富貴を祈り亦壽命を祈り亦子なきものバ子を祈るなり只一をねがへば三年の内かならず其願成就するなり

光曜;光輝くこと

則拜;即拜の当て字と思われます。

後漢の崔寔の『四民月令』に次のようにあります。上の天の川についての記述は、これに依ったのでしょう。
七月七日.曝經書.設酒脯時果.散香粉
於筵上.祈請於河鼓織女.言此二星神當
會.守夜者咸懷私願.或云.見天漢中.
有奕奕正白氣.如地河之波.輝輝有光曜
五色.以此為徵應.見者便拜乞願.三年乃得.」

⑨社日;社日(しゃにち)とは、土地の神様(産土神)を祀る日で、秋、冬の2回あります。春分と秋分に最も近い戊 (つちのえ) の日に、春には五穀豊穣を祈り、秋には収穫に感謝します。

 

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おもしろ古文書 『天候作柄予知百撰』(1)

2020年07月23日 | おもしろ古文書

今年の梅雨は、各地で大雨となっています。洪水、土砂崩れで多くの人命が失われ、田畑の作物に大きな被害が出ています。

世の中が便利になり、普段、天候に気を配ることが少なくなりましたが、こういう大災害をまのあたりすると、人間は自然の中に生きていることを改めて思い知らされます。

ところで、現在のように気象予報がなかった江戸時代、人々はどのようにして天候や農作物の作柄を知ったのでしょうか。

手持ちの古文書類を探してみたら、面白いものが見つかりました。

手書きの簡易綴じの文書です。15丁の文書の中に、天候の予報と農作物作柄の予知法が、100項目以上にわたって書かれています。

題がついていないので、私が勝手に、『天候作柄予知百撰』とつけました(^^;        3回に分けて紹介します。

一.大豊年にハ五日一度風吹十日一度雨降るに塊を破らすかならす夜降るなり

一.立春の日甲乙にあたれバ豊年また壬癸に当れバ洪水あり

 

一.正月朔日に四方に黄なる雲気あらバ大豊年なり

一.正月朔日に天晴れて温に風吹されバ五穀熟して米大ニ安し

一.正月朔日に天日曇りて重風吹バ其年五穀みのらず米高し

一.正月朔日に風雨あらバ凶年にして米高し

一.正月朔日東風吹バ夏にいたりて米安し
  南風吹バ夏に至りて米安く亦ひ

てりするなり西風吹ハ米高し又豆類ハ実なり北風吹は水災あるなり

一.正月に三ツ卯の日あれバ其年豆満作にして大に安し

一.正月に三ツ午の日あれバ其年大にひでりなり

一.正月に三ツ亥の日有バ其年大水出るなり

一.正月に三ツ巳の日あれバ其年大にひてりなり

 

注:

①塊を破らす;「雨塊を破らず、風枝を鳴らさず」;雨は静かに降って土のかたまりを壊さず、風は木の枝も動かないように静かに吹いたという中国の故事。

②朔日;1日

 

江戸時代の年月日と時刻:

年月日:年月日、いずれにも六十干支が割り振られています。十干(甲乙丙丁・・・)と十二支(子丑寅卯・・・)を組み合わせた六十干支(甲子・乙丑・丙寅・丁卯・・・)は、ある基点から年や日に割り振られ、60周期で繰り返します。

1甲子 2乙丑 3丙寅 4丁卯 5戊辰 6己巳  7庚午  8辛未  9壬申 10癸酉 11甲戌 12乙亥 13丙子 14丁丑 15戊寅 16己卯 17庚辰 18辛巳 19壬午 20癸未 21甲申 22乙酉 23丙戌 24丁亥 25戊子  26己丑   27庚寅  28辛卯  29壬辰  30癸巳 31甲午   32乙未  33丙申  34丁酉  3 5戊戌  36己亥 37庚子 38辛丑 39壬寅 40癸卯 41甲辰 42乙巳 43丙午 44丁未 45戊申 46己酉 47庚戌 48辛亥 49壬子 50癸丑 51甲寅 52乙卯 53丙辰 54丁巳 55戊午 56己未 57庚申 58辛酉 59壬戌 60癸亥

十干; 甲(こう)、乙(おつ)、丙(へい)、丁(てい)、戊(ぼ)、己(き)、庚(こう)、辛(しん)、壬(じん)、癸(き)

日本の読み;甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)、丁(ひのと)、戊(つちのえ)、己(つちのと)、庚(かのえ)、辛(かのと)、壬(みずのえ)、癸(みずのと)

十二支:子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥

時刻:江戸時代の日本の時刻は、日の出と日没の時間を基準に一日を12刻に分けた不定時法によっています。およそ現在の二時間を一刻としており、明け六ツから一日が始まり、暮れ六ツで日が暮れます。各時刻には、十二支が割り振られています。

暁9つ  子の刻   0時ごろ 
暁8つ  丑の刻   2時ごろ
暁7つ  寅の刻   4時ごろ
明6つ  卯の刻   6時ごろ
朝5つ  辰の刻   8時ごろ
朝4つ  巳の刻   10時ごろ
昼9つ  午の刻   12時ごろ
昼8つ  未の刻   14時ごろ
昼7つ  申の刻   16時ごろ
暮6つ  酉の刻   18時ごろ
夜5つ  戌の刻   20時ごろ
夜4つ  亥の刻   22時ごろ

 

 

 

 

 

 

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