先回のブログで、祖父の古い活花写真を紹介しました。
花器に注目して写真をチェックしたところ、おやっと思う物がありました。
当初、花器は月並みで、隣りの木彫達磨ばかりが目立っていました。
しかし、よく見てみると、この花器はどこかで見かけたような気がする・・・
もう一度、花道具類を探してみました。
おお、ありました。
平凡な筒型の銅器です。
口径 8.6㎝、最大径 10.4㎝、底径 7.8㎝、高 30.5㎝。明治ー大正。
内側の底に、水漏止め処理がなされています。
かなり使い込まれた品です。
以前、花器類を紹介した時、この品はあまりに平凡なのでブログに書くほどでもないだろうと、ボツにした品です(^^;
しかし今回、まじまじと眺めてみると・・・
陶磁器にあらわれる窯変のような色・模様が表面に見られるではないですか。
斑紫(むらし)銅の一種?
上から降ってきた青緑色の霰が、
どんどん積もってきたかのような景色です。
顕微拡大してみました。
銅の地に濃紺と緑の降り物が混然一体となっています。創生期の地球を思わせます。
白黒の写真からは、想像もつきません。
頭の中でカラー化して、この銅花瓶と椿との対比を味わってみます。
それにしても、達磨さんとの組み合わせは不思議ですね(^.^)
写真としても水墨画感出しているみたいですよ。
深みの窯変具合といい、すっきり感といい、美しさといい、かなり貴重なおしなだと思われます・・。
ああいうのは水漏れ止め処理だったのですか・銅にも呼び名があるんですね
(いまごろ勉強になってる私 ^^;)
それに気付いてくれ、この花器がゴミとして処分されないことになり、お祖父様も喜んでおられることでしょうね(^-^*)
やはり、花狂いのお祖父様が活け、写真に収めるほどの銅器ですから、タダ者の銅器ではなかったのですね(^_^)
それと組み合わせた達磨さんにも、何か意味がありそうですね、、、。
100年近く前であれば立派な骨董品なのではないでしょうか!?
それに年代特定もできる素晴らしい証拠写真がありますもんね!
恐縮ですがこの品は凡ではないのでは?と思いました(^^)
表面の色合いがとても良く素敵な品に見えます。
お祖父様に感謝ですね笑(^^)
私も詳しくは知りませんが、銅は処理によって、いろいろな色に変化するそうです。わりあい古くからあるのが斑紫銅です。
こういう容器の底は後からくっつけてあるらしくて、使っているうちに隙間があくのだと思います。だから水止めが必要なのですね。
銅器に焼きを入れると冷える時に紫色の模様が浮き出るのを利用した技法です。
佐渡の金工、本間琢斎が有名です。
他にもいろんな処理法があるようです。それぞれに呼び名があるかどうかわかりません。
達磨さんには、意味があるようで、無いような・・・・・禅問答ですね(^.^)
花生けに限らず、いろんな金工製品をこれまでいくつか紹介してきました。
焼き物にくらべれば保管が楽です。骨董屋の隅でたいてい1個や2個はほこりをかぶっていますから、値段的には狙い目です。
ただ、人気はありません(^^;
色合いやお写真の重量感からか、どうしても陶器に見えてしまい不思議です。ものすごい存在感。
さらに不思議なのは、このバランスでこの背の高い、しかも軽い銅器の花器がなぜ倒れないのか?
達磨さんは転ばない
この味わいはモノクロならではだと思います。
濃紺と緑の降り物、緑はいわゆる緑青(塩基性炭酸銅)だと思いますが
濃紺はなんでありましょうか。
いずれにしても銅器ならでは味わいなんでしょうね。
どのようにしてこんな模様を出すのかわかりません。
考えてみれば、不思議な形ですね。
下の方へ枝が下がっているので、ぺたんと倒れそうです。
やはい、達磨さんのおまじないが利いているのでしょうか(^^;
おそらくやじろべえみたいに、重心が下方にあるので倒れないのだと思います。
この写真も、いまとったなら、達磨さんが場違いに見えるかもしれません。
でも、白黒だと、危なっかしい椿の枝、銅製細長花瓶、達磨が調和しています。
銅の表面処理にはいろんな技法があるらしいです。熱も使うらしいですから、その意味では窯変ですね(^.^)